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またしてもコーガン・エディションからの紹介だ。
・ハチャトゥリアン:ヴァイオリン協奏曲
アラム・ハチャトゥリアン(指揮)モスクワ放送交響楽団
1951年6月25日
・ハチャトゥリアン:ヴァイオリン協奏曲
・カミーユ・サン=サーンス:ハバネラ Op.83
ボストン交響楽団
ピエール・モントゥー(指揮)
録音:1958年1月12,13日、ボストン、シンフォニー・ホール(ステレオ)
以上 レオニード・コーガン(ヴァイオリン)
ハチャトゥリアンのヴァイオリン協奏曲と言えばコーガンの演奏も忘れる訳にはいかない。1951年のソヴィエトでの演奏と1958年のアメリカでの2種類の演奏が残されている。
この曲は開戦後の1940年にオイストラフがアレクサンドル・ガウク指揮で初演しオイストラフに献呈された。世界初録音は1944年(あるいは1942年か1946年? 資料により様々で正確には分からない)に初演者のオイストラフとガウクがソヴィエト国立soと録音したもののようだ。
http://ml.naxos.jp/album/RXC1071
1947年にオイストラフがラファエル・クーベリック指揮プラハ放送soと演奏したライブ(PRAGA/PR50017)もCD化されていた。コーガンのこの1951年の録音は恐らくそれに続く録音だろう。作曲者自身が初演者のオイストラフより先にコーガンと録音している点は注目されるだろう。先日紹介したチャイコフスキー同様にこの時期のコーガンの切れ味は抜群で、大変モダンな演奏を生々しい音で楽しむことができる。もしもハイフェッツがこの曲を弾いていたらこんな感じだったのではと思わせる素晴らしい演奏だ。
ハチャトゥリアンは1954年にオイストラフとロンドンを訪問した際にもEMIにこの曲を録音している。オイストラフの3回目になるその録音は、西側のメジャーレーベルによるこの曲の初めてのディスクだろう(オイストラフにはさらに60年代のソヴィエトの録音もあって合計4種類の録音があるらしい)。
http://ml.naxos.jp/album/9.80275
コーガンも1954年のオイストラフの録音のことは百も承知だったはずだが、コーガンは1958年にアメリカを初めて訪問した際に敢えてこの曲を録音している。モントゥーとの演奏会で演奏したのはブラームスのコンチェルトだが(この時のライブも復刻されているが)、RCAに録音したのはブラームスではなくハチャトゥリアンだった。
http://ml.naxos.jp/album/WHRA-6034
コーガンはブラームスをすでに1955年にEMIに録音していた。RCAもブラームスは1955年のハイフェッツ盤がすでにあり、モントゥーも1958年のシェリングとの録音をすでに予定していたのだろう。ハチャトゥリアンはハイフェッツが弾かなかったのでRCAにとってもカタログの穴を埋めるには都合が良かったのだろうが、コーガンとしては親友オイストラフに対するライバル心もあったのではないだろうか。
この1958年盤は2001年になって初めてCD化された。日本では恐らく初出の1958年以来の再発売だ。あまりに長いこと廃盤だったので、私はコーガンのRCA録音があることすら知らなかった。モントゥーがこの曲を指揮したのはこれが初めてだったそうだが、共演は概ね成功している。録音も50年代とは思えないほど良好だが、オケに比べてヴァイオリンソロがやや引っ込み気味で大人しく聞こえる。ちょっとよそ行きの感じだ。1951年盤と比較しなければ決して悪い演奏ではないのだが。
ちなみにカデンツァはいずれの録音でもハチャトゥリアンのものを使用している。オイストラフは自作のカデンツァを使用したが、ハチャトゥリアンはオイストラフのカデンツァを評価していたという説と評価していなかったという説の両方があるようだ。実はオイストラフのカデンツァは昨日紹介したリッチも採用しており昔は評価が高かったようだ。だが最近はハチャトゥリアンのカデンツァを使うのが普通のようだ。
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