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・エルガー:ヴァイオリン協奏曲ロ短調 op.61
ヤッシャ・ハイフェッツ(ヴァイオリン)
サージェント指揮ロンドン響
(1949)
http://ml.naxos.jp/album/8.110939
エルガーのヴァイオリンコンチェルトと言えばやはりこの演奏だ。この曲も70年代はまるで流行らなかった曲で、1975年のレコード芸術の総目録には1枚も載っていない。メジャーレーベルが出した国内盤としては1977年のキョン・チョン・ファのデッカ盤がずいぶん久しぶりだったと思う(77年録音のヘンデル/ボールト盤は90年代になってテスタメントが初めて発売した)。80年代のめぼしい録音も以前紹介したパールマン盤があるくらいで、この曲のCDが増え始めるのは90年代に入ってからだ。
実は私はこのハイフェッツの演奏が94年にCD化されて初めてこの曲を聞いた。コーヌス(コニュス)やコルンゴルトの演奏を聴いて1950年頃のハイフェッツは素晴らしいということを知っていたので曲も知らないで買った。これは速めのテンポの中にも曲への深い共感(言い換えればひっそりとした静けさ)を感じさせる本当に素晴らしい演奏だ。オケの前奏からヴァイオリンが入ってくるところまで聞いただけで涙が出てくる。この曲のベストの座は未だに誰にも譲っていない。SP時代末期の録音なので若干の針音があり、数分置きに若干の音質変化もあるが音自体は良く入っている。
一般的にハイフェッツは1955年から1960年頃の有名コンチェルト(ベートーヴェン、ブラームス、メンデルスゾーン、チャイコフスキー、シベリウス、ブルッフなど)のステレオ録音で有名だが、50年代の中頃からオケを無視して自分だけ先に先に弾くような芸風が顕著になってきたように思う。弾き急いで息が浅い感じで、40年代〜50年代前半ぐらいまでの自然な息づかいで精神的な余裕が感じられる演奏とはだいぶノリが異なるのだ。
これがどのような心境の変化なのか、あるいは指のわずかな衰えをかばった結果なのかはよく分からない。いずれにしてもミュンシュやライナーとの共演盤、あるいは二流の指揮者を使ったシベリウスなどのステレオ録音は評論家が言うほど良い演奏ではないと私は思う(ステレオ時代よりもモノラル末期の演奏の方が良いという点はルービンシュタインも共通する)。強いて言えばブラームスが良いぐらいだろうか。
http://ml.naxos.jp/album/9.80081
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