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・ヴェルディ:歌劇『アイーダ』全曲
ユリア・ヴァラディ(アイーダ)
ルチアーノ・パヴァロッティ(ラダメス)
ステファニア・トツィスカ(アムネリス)
ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(アモナスロ)
マッティ・サルミネン(ランフィス)
ハラルト・スタム(エジプト王)
ルートヒルト・エンゲルト(巫女)
フォルカー・ホルン(使者)
ベルリン・ドイツ・オペラ管弦楽団&合唱団
ダニエル・バレンボイム(指揮)
録音時期:1982年3月22日
録音場所:ベルリン・ドイツ・オペラ
録音方式:ステレオ(ライヴ)
F=Dのオペラデビューは1948年のヴェルディのロドリーゴ(ドン・カルロ)だったことは前に書いた。恐らくドイツ語上演だったはずだ。ドイツ語でのローカルな舞台では当然ヴェルディも歌っただろうが、国際的に話題になった舞台としては60年代のザルツブルグ音楽祭でのマクベスや、ウィーンでのファルスタッフなどがあるぐらいで、一般的にF=Dはヴェルディ歌いとは認識されていないだろう。60年代にはリゴレットやイアーゴ(オテロ)、ジェルモン(椿姫)などの録音もあるが、舞台で歌ったことはあるのだろうか?
そのF=Dが80年代になってアムナズロを舞台で歌っているのには驚いた。もうドイツ物のオペラですら舞台ではそれほど歌わなくなっていた時期だ。捕虜としては多分に偉そうな歌だし、ヴェルディとしてはやや異質な歌唱であることは間違いないが、これはこれで充実した歌唱でF=Dの意外なヴェルディ愛を知る貴重な資料だ。
ヴァラディはルーマニアで1941年に生まれているので1939年生まれのコトルバスとほぼ同世代だ。西側での活躍をフランクフルトから始めた点もコトルバスと一緒だが、コトルバスはその後ロンドンやミラノでも活躍したのに対して、ヴァラディはミュンヘンやウィーンといったドイツ語圏を活動の中心に据えた。
モーツァルトやワーグナーなどのドイツ物を歌ったのはもちろんだが、ドイツ語圏でのイタリア物歌いという印象も強く、アイーダ、トロヴァトーレ、オテロ、椿姫、運命の力、ナブッコなどのヴェルディを主なレパートリーにしていた。このアイーダも前年にサンフランシスコで初めてラダメスを歌ったパヴァロッティやアムネリスを得意にしたトツィスカを相手に違和感のない歌唱を聴かせている。
バレンボイムはカラヤンに輪をかけた重たい指揮で、全体としては異色の演奏であることは否めないかもしれないが、私は楽しめた。
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FDが82年にアモナスロを舞台で歌っていたとは驚きました。同役はスタジオ録音もなかったですもんね。おまけにこれが初役で4回歌っておしまいだったようです。あるいは録音用の特別配役だったのが録音は挫折したとかでしょうか。しかもFDはこの後82年のミュンヘン・オペラ祭でリア王を歌ったのが最後のオペラ舞台上演になったようで、その後は演奏会形式でアンフォルタスやアルフォンソを少し歌ってるだけですから、このアモナスロはFDのオペラ舞台へのさよなら打ち上げ花火だったのかも知れません。
私はFDのヴェルディは大好きで、バルビローリ指揮オテロやマゼール指揮トラヴィアータは超ユニークなヴェルディ演奏として時々聞きたくなります。FDはヴェルディ歌唱としてはもちろん異質だけど、リートの息苦しい精緻さから開放されたFDと抑制と分別が加わったヴェルディを楽しめるのが最高です。
2012/7/1(日) 午後 0:38 [ 助六 ]
ヴァラディは95年にバスティーユでアビガイーレを聞いたことがあります。P・スタインバーグ指揮でラフォン、レイミー、クーラ、ウルマーナが共演していました。発声はちょっと篭り気味でドイツっぽかったけれど、アジリタの正確さ、声の力強さ、強い劇的緊張を兼ね備えた傑出したアビガイーレ歌唱でした。再演を歌ったグレギーナが能天気に聞こえてしまう感じの。
2012/7/1(日) 午後 0:43 [ 助六 ]
FDのベルリン48年のロドリーゴはフリッチャイ指揮だったそうです。
FDはイヤーゴは67年にマゼールの指揮でDOBの舞台で5回だけ歌ったことがありますが、リゴレットを舞台で歌ったことは一度もないと思います。
FDが舞台で歌ったヴェルディはロドリーゴ、ファルスタッフ、マクベス、ジェルモン、イヤーゴ、アモナスロですが、ダントツで歌唱回数が多いのはファルスタッフで、すでに57年にエレーデの指揮でベルリンで歌い、その後も75年のサヴァリッシュ指揮ミュンヘン上演まで絶えることなく歌い続けています。まあ最もドイツっぽいヴェルディ役ですからロジックとも言えますが、個人的愛着も深かったんでしょうね。FDは他のヴェルディ役は多かれ少なかれ一時的にしか歌ってません。
2012/7/1(日) 午後 0:45 [ 助六 ]