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ヴェルディ:
・レクィエム
・聖歌四篇
「アヴェ・マリア」
「悲しみの聖母」
「聖母への讃歌」
「テ・デウム 」
シェリル・ステューダー(ソプラノ)
マルヤナ・リポヴシェク(メゾ・ソプラノ)
ホセ・カレーラス(テノール)
ルッジェーロ・ライモンディ(バス)
ウィーン国立歌劇場合唱団
ノルベルト・バラチュ(合唱指揮)
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
クラウディオ・アバド(指揮)
録音時期:1991年10月、11月
録音場所:ウィーン、ムジークフェラインザール
ベルリンフィルの主席オーボエ奏者アルブレヒト・マイヤーのドキュメンタリーをクラシカジャパンで見た(制作は2006年)。マイヤーはECユースオーケストラ時代にアバドに見込まれて、アバド時代のベルリンフィルに入団したアバドの秘蔵っ子だけにマイヤーがアバドをどう見ているかに注目したところ、マイヤーは「アバドは人との接し方が魅力的で人に向上心を抱かせてもっと良く知りたいと思わせる」そうだ。自分はオケの1メンバーであっても受け入れられた感覚が幸福感をもたらすという。
なるほど。以前の記事でも書いたように、アバドはベルリンフィルの芸術監督に就任して以降指揮のスタイルが変わってきたように私は感じているが、アバド以降のベルリンフィルの演奏スタイル(ルツェルン祝祭管にも共通する)である「オケの全員がソリスト」的な間合いの取り方の狙いはこういう点にあったのだ。一人一人がまるでソリストのように一つ一つのフレーズを体を使って演奏するのは、アップの映像で見るとちょっと煩わしいと感じることもある。しかしアバドの意図が、マイヤーが感じていたようにメンバーの自主性を引き出すことにあったとすれば、これはまさに狙い通りだったことになる。個人的にはもっと巨匠然と構えたカリスマ型の棒の方がが好きだし、アバドもそう振ろうと思えばできたはずだが、マイヤーがこう証言している以上は協調型の棒のメリットも認めない訳にはいかないだろう。
さて、アバドは先日紹介したロンドン響とのDVDを除くとヴェルディのレクイエムを3回録音している。1度目は79〜80年のスカラ座盤、2度目は91年のウィーン盤、3度目は2001年のベルリン盤だ(奇しくもカラヤンもスカラ座とウィーンとベルリンで1度ずつ録音している)。私が一番良いと思うのがこの2回目のウィーン盤だ。評論家の間ではスカラ座盤の評価が高いようだが、1981年の来日公演での圧倒的な演奏(私はテレビとFMで聞いただけだが)と比べると随分大人しい。スカラ座でのアバドはスタジオ録音と実演との差が大きいと言われていたが、この曲に関してはそれは当たっていると思う。
ライブで収録されたウィーン盤は、スカラ座の来日公演ほど激しくはないが流れの良さを感じさせる。それにウィーンフィルの明るい音はベルリンフィルの重たい音よりこの曲には合っていると思う。ソリストも揃っている。この演奏は2006年以降廃盤になっていたそうだが2011年に出たDUOシリーズでは現在も入手可能だ。
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