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・交響曲第6番イ短調『悲劇的』
ロイヤルコンセルトへボウ管弦楽団
ロリン・マゼール(指揮)
収録時期:2010年10月20日(ライヴ)
収録場所:アムステルダム、コンセルトヘボウ
https://www.youtube.com/results?search_query=maazel+mahler+6
これはマーラー生誕150年を記念してロイヤルコンセルトヘボウが9人の指揮者を起用して演奏した交響曲全曲演奏会の1つだ。すでに11枚組のBDやDVDでも発売されているものだ(本来はBD5枚ぐらいに収まるはずだが)。私はクラシカジャパンの放送で見た。
マゼールがロイヤルコンセルトヘボウを指揮した演奏は少なくとも録音では珍しいと思う。何と意外なことに暗譜ではなく譜面を見ながらの指揮だ。マゼールは確か若い頃は暗譜が早いことで知られただけに、「あれっ?」っと少し心配してしまったが、心配は不要でここぞというところでグっとテンポを落として粘るマゼール節は全開だ。オケの並びはアメリカ型(ストコフスキー型)で流行の両翼(対向)配置などは採用していないところもマゼールらしい。
6番で問題になる中間2楽章の順番は従来通りのスケルツォ→アンダンテだ。安易にアンダンテ→スケルツォに変更しないあたりが「オレはこういう音楽をやってきたんだ。文句あるか」とでも言いたげでかえって気持ちがいい。
マーラーの交響曲第6番の第2楽章と第3楽章について、2003年10月に「楽章順はアンダンテ→スケルツォとする」と国際マーラー協会が宣言して以降の主なマーラー指揮者による中間楽章の順番を簡単に調べてみた。情報ソースはCDの演奏とyoutubeだ。ギーレンの2つの演奏については助六さんとM.F.さんに情報を頂いた。
1930年代以前に生まれた巨匠世代ではマゼール、ハイティンク、インバルが変更なし、アバドと最近のギーレンが変更ありだ。それ以降の指揮者ではゲルギエフとシャイーが変更あり。この他の指揮者ではラトルが1987年以来アンダンテ→スケルツォを採用していることを以前の記事で紹介した。今回調べた範囲では若い世代の指揮者ほど変更する傾向があるようだ。敢えて変更なしのマゼール、ハイティンク、インバルは国際マーラー協会の発表を知らないはずがないので確信犯だ。
http://blogs.yahoo.co.jp/takatakao123/38389209.html
アバド/ベルリンフィル(2004)アンダンテ→スケルツォに変更
ヤンソンス/ロンドン響(2005)アンダンテ→スケルツォに変更
ヤンソンス/ロイヤルコンセルトヘボウ(2005) アンダンテ→スケルツォに変更
ギーレン/北ドイツ放送響(2005)スケルツォ→アンダンテのまま
ゲルギエフ/ロンドン響(2007)アンダンテ→スケルツォに変更
ハイティンク/シカゴ響(2008)スケルツォ→アンダンテのまま
マゼール/フィルハーモニア(2011)スケルツォ→アンダンテのまま
ヤンソンス/バイエルン放送響(2011)スケルツォ→アンダンテに戻す
シャイー/ライプツィヒゲヴアントハウス(2012) アンダンテ→スケルツォに変更
インバル/東京都響(2013) スケルツォ→アンダンテのまま
ギーレン/南西ドイツ放送響(2013)アンダンテ→スケルツォに変更
面白いのはヤンソンスで、2005年のロンドン響とロイヤルコンセルトヘボウで順番を変更しておきながら、2011年のバイエルン放送響ではスケルツォ→アンダンテに戻してしまった。古くはミトロプーロスが1955年のニューヨークフィルでアンダンテ→スケルツォとしながら、1959年のケルン放送響ではスケルツォ→アンダンテに戻していることを以前ラトルの記事で指摘した。ヤンソンスもミトロプーロスと同じ結果になったようだ。
私は個人的にはスケルツォ→アンダンテの方が音楽的だと思っている。この曲は第一楽章より第四楽章が長いので、第三楽章に緩徐楽章であるアンダンテを置けばここが全曲の折返しになる。こうすれば4楽章の交響曲の古典的なルールに従うことになって収まりが良い。逆に第一楽章の方が第四楽章より大きければ第二楽章が緩徐楽章になる。運命など一部の特殊な交響曲を除けば古典派からロマン派の4楽章で書かれた交響曲のほとんどがこのルールに従っている(私はこれを「緩徐楽章折返し理論」と勝手に名付けている)。このこともラトルの記事で何年も前に指摘した。
国際マーラー協会がアンダンテが第二楽章と発表した根拠も今ひとつはっきりしないようなので、結局はスケルツォ→アンダンテに戻す指揮者が増えてくるのではないかというのが私の予測なのだが、どうなるだろうか。
マーラーの場合、マーラー協会新全集版が必ずしも正しいと言えるのかどうか? 新全集版では巨人の第三楽章冒頭がコントラバスのソロでなく、全員ユニゾンするトゥッティに変更されたが、ここをトゥッティで演奏している例を私はいまだに聴いたことがないのだが。
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私も1楽章アレグロと2楽章スケルツォの修羅場に耐えた後、3楽章アダージョの長い休息が来て4楽章アレグロの英雄的カタストロフに突き進む構図の方が心理的にしっくり来るのですが、自伝的側面を重視するならば、早く来すぎた安息が後半でじわじわかつ徹底的に破壊される方がリアルかも知れません、今度はそうした視点で聞いてみようと思います。
昨金曜日にシャンゼリゼ劇場でネゼ=セガン指揮ロッテルダム・フィルが6番やって行きましたが、スケルツォ→アダージョと従来の順序でした。
ただ上階からオペラグラスで総譜を覗きこんだらアダージョ冒頭に鉛筆でIIと上書きしてあるらしいのが見えたので、彼も色々考え試した後に従来の順序を採用したのかも知れません。
2014/9/21(日) 午前 2:00 [ 助六 ]
オペラグラスでスコアを覗く!
これは面白いですね。私も今度やってみます。
しかも順番を変えようとした形跡があるとは(笑)
ヤンソンスに限らずみんな悩んでいるということですね。
音楽的には絶対スケルツォ→アンダンテだと思います。
2014/9/21(日) 午前 11:35 [ たか改め「みんなのまーちゃん」 ]
3楽章「アダージョ」じゃなくて「アンダンテ」でしたね。
失礼しました。(恥・笑)
2014/9/22(月) 午前 11:29 [ 助六 ]