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歌劇『ラ・ボエーム』
レナータ・テバルディ(ミミ)
カルロ・ベルゴンツィ(ロドルフォ)
ジャンナ・ダンジェロ(ムゼッタ)
エットーレ・バスティアニーニ(マルチェッロ)
レナート・チェザーリ(ショナール)
チェーザレ・シエピ(コッリーネ)
フェルナンド・コレナ(ブノワ/アルチンドロ)
ピエロ・デ・パルマ(パルピニョール)、他
ローマ聖チェチーリア音楽院管弦楽団&合唱団
指揮:トゥリオ・セラフィン
ステレオ録音 (P)1959
https://www.youtube.com/watch?v=3REvV4wvlb8
これもベルゴンツィとバスティアニーニ、指揮はセラフィンの組み合わせというところまではDGのトロヴァトーレと同じだが、こちらはオケはローマ聖チェチーリア音楽院でミミはテバルディ、録音はデッカだ。テバルディはデッカ専属で録音も多く、特に「オテロ」などデル・モナコと組んだ録音で印象が強い。だがデル・モナコの余りにも個性的な歌唱がはまる役はオテロやカニオ(道化師)、アンドレア・シェニエなど一部の役に限られるというのが私の考えだ。本当の黄金コンビはこのテバルディとベルゴンツィの組み合わせだったのではないだろうか。
プッチーニであればカラフ(トゥーランドット)にはデル・モナコの一直線な声も合っているが、テバルディの「トスカ」や「マノン・レスコー」はベルゴンツィと組んだ方が良い結果になったのではないかと私は思う。ヴェルディについても「トロヴァトーレ」や「運命の力」は、(それにできれば「仮面舞踏会」も)テバルディとベルゴンツィの組み合わせで聴いてみたかった。
さてテバルディにとってミミは好きな役だったのか、あるいはレコード会社の要請か、51年のモノラル録音と59年のステレオ録音の2つがある。配役が揃っているのは59年盤の方だ。テバルディは60年代にはもうミミを卒業していたと思われるのでテバルディのミミとしては最後期になるだろうが、役柄を踏まえてあまり大柄な歌にならないように制御しているのが好ましい。
ベルゴンツィのロドルフォは60年代の歌と比較するとやや力強さに欠ける気もするし、パヴァロッティのような天衣無縫な感じ、あるいは強い存在感はしないが、十分に若々しく、一途に思い詰める真面目な青年を演じている。バスティアニーニのマルチェルロも素晴らしく、3幕のミミとのシーンは泣かせてくれる。コレナがショルナールを歌っているのも豪華だ。レコードならではの配役かと思いきや、コレナは1951年〜1952年にはMETやトリノでもこの役を歌っていることが分かった。4幕に1曲だけあるアリアが泣かせる歌でコレナが好きな役だったようだ。
セラフィンの指揮はここでも的確で歌心に満ちて歌手をじゃますることがない。この曲の有名なカラヤン盤も同じデッカの録音なのでこの演奏は損することが多く、国内盤はしばらく廃盤中だと思う。だが私はベルリンフィルの音が重たすぎるカラヤン盤よりもイタリアオペラらしさではこちらの方が上だと思う。難点をあげるとすればちょっと残響が付きすぎている録音だ(この時代のデッカのローマでの録音はみんなそうだが)。
もっともっと多くの人に聴いて欲しい名盤だ。すでに50年以上前の録音なのでオペラ対訳プロジェクトがユーチューブに1幕の音源を公開している。
(追記)
デッカのプロデューサーだったカルショウの手記「レコードはまっすぐに」によると、デル・モナコはこの素晴らしいボエームに加えてもらえなかったことを「地団駄を踏んで悔しがった」そうだが、私はベルゴンツィを選んだのは正解だったと思う。
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このボエームは、LP時代にはじめてこのオペラに接した懐かしい録音です。
テバルディは、確か初めてのオペラ全曲録音が51年盤であったように思いますが、モノラルながら声の若々しさが印象的でありました。
このステレオ盤ですと、ベルゴンツィもそうですが、向こう見ずな若者たちのはずが、ちょっと大人びているかなというところも感じます。
聞きどころ満載のオペラではありますが、シエピの「古い外套よ」のところは何度聞いても泣かされます。
その反面、ムゼッタがねぇ…
2014/10/1(水) 午前 9:32
Gustavさんこんばんは
ちょっと真面目でシャイなロドルフォですがまあこれもありかなと。
ムゼッタは...カラヤン盤のハーウッドよりはまだましかなと思っています。
2014/10/1(水) 午後 6:07 [ たか改め「みんなのまーちゃん」 ]
セラフィンはスカラとの録音はEMIとDGで、デッカでは専らサンタ・チェチーリアでしたね。57年にテバルディ、デルモナコとのメフィストーフェレ、58年がテバルディとのバタフライとラボエーム、60年にシミオナートとデルモナコとのカヴァレリアと続きます。
ロ―マ・オペラのオケとは58年にロスアンヘレスとの修道女アンジェリカ(EMI)、59年にコッソットやクリストフとのヴェルレク(EMI)、60年にヴィッカース、リザネック、ゴッビとのオテロ(RCA)とロスアンヘレスとのトラヴィアータ(EMI)を録音してます。
契約の問題からこうしたレーベルごとの棲み分けになったんでしょうが、長く本拠にしていたローマ・オペラとの録音が少なく、しかも最も成功したオテロは一つだけRCA企画というのが面白いです。
2014/10/4(土) 午後 0:04 [ 助六 ]
私もやっぱりラボエームはカラヤンとフレーニが刷り込まれてしまっているので、セラフィン盤は最初は歌手もオケも色彩感が地味に感じますが、同時にこうした剛毅で直線的な演奏こそヴェリズモ演奏の本流との印象も強く持ちます。いいですね。一方いやセラフィンもベルゴンツィもやっぱりヴェルディだなぁとの思いも耳から離れないんですが。
テバルディのこうしたグランド・マナーのミミも大好きですが、やはりフレーニ、コトルバス、ヴァデゥヴァ、チョーフィとか繊細でリリックなミミのほうが数の上では多いですかね。83年のフレーニは腰の強さも十分にあるミミでしたが。大柄なミミはテバルディの他、レヴァイン盤の70年代終わりのスコット、舞台で聞いた中ではL・ミッチェル、01年のゲオルギュー(今年4月に久しぶりに彼女をミミで聞いたら声は完全に下降線でした)、ネトレプコとかまあ結構いますか。最近聞いた若手ではルーマニアのアニータ・ハーティッグも強い声の素敵なミミでした。
2014/10/4(土) 午後 0:07 [ 助六 ]
初演歌手のチェジーラ・フェッラーニはマノン・レスコーも創唱し、グノーのジュリエットやトスカニーニ指揮のメリザンドからヴァーグナーのエファやエルザまで歌った人ですから大柄なリーリコつまりテバルディ・タイプだったのではないかと思うんですが。
フレーニはリリック・大柄の両面を満たしてくれた意味でも最高のミミでした。
2014/10/4(土) 午後 0:09 [ 助六 ]
私もテバルディのこの演奏も素晴らしいけど、80年代のフレーニのリリックでありつつも芯のあるミミがいいなあと改めて思いました。
フレーニのDVDを聞き直したので近いうちに記事にしようと思っています。
2014/10/4(土) 午後 7:11 [ たか改め「みんなのまーちゃん」 ]