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・レオンカヴァッロ:歌劇『道化師』全曲
カニオ/道化師:カルロ・ベルゴンツィ(テノール)
ネッダ/コロンビーナ:ジョーン・カーライル(ソプラノ)
トニオ/タッデーオ:ジュゼッペ・タッデイ(バリトン)
ペッペ/アルレッキーノ:ウーゴ・ベネッリ(テノール)
シルヴィオ:ローランド・パネライ(バリトン)
農民:ジュゼッペ・モレーシ(バス)
もう一人の農民:フランコ・リッチャルディ(テノール)
ミラノ・スカラ座合唱団(合唱指揮:ロベルト・ベナーリオ)
ミラノ・スカラ座管弦楽団
ヘルベルト・フォン・カラヤン(指揮)
録音時期:1965年9月、10月
録音場所:ミラノ、スカラ座
1965年にDGが録音した道化師とカヴァレリア・ルスティカーナは、先日紹介したセラフィンとベルゴンツィのトロヴァトーレを含めて1960年以来DGが進めてきたスカラ座でのシリーズを締めくくるものだ。また、1959年のアイーダに続くカラヤンとベルゴンツィの共演でもある。ベルゴンツィの声はより力強さを増してアイーダの録音以上に好ましいと私は思う。カヴァレリア・ルスティカーナのディスクが棚から取り出したままどこかへ紛れてしまったので(涙)、今日は道化師だけを取り上げる。
この道化師は名曲名盤の類ではデル・モナコの演奏と並んで常に上位にランクされる名盤中の名盤だが、デル・モナコの強靱な声で牽引したドラマティックな演奏と比較して、よりスタイリッシュなこの演奏は曲本来のプロポーションを大事にした演奏と言えるだろう。
デル・モナコが幕切れの「喜劇は終わりました」をカニオの台詞にしてしまったのはよく知られている通りで、確かにこの方が演劇的にはドラマティックだ。しかし楽譜ではこれはトニオの台詞であり、このカラヤン盤では楽譜通りになっている。また「衣装をつけろ」のアリアでデル・モナコはinfranto(練習番号93の4小節前)の部分で思いっきりフェルマータしており、これは他のテノールも多かれ少なかれ踏襲しているのだが、楽譜は4分音符2つだけでそのような指定はない。このカラヤン盤は楽譜通りに演奏しており、初めて聞いたときはちょっとあっさりしていると感じるくらいだ。
しかし過剰に劇的な演出をしないのがこの演奏のコンセプトであり、ベルゴンツィもその線に沿った歌唱を聴かせている。このため表面的な温度はデル・モナコ盤ほど熱くないが、純音楽的な充実度は素晴らしい。脇役もトニオにタディ、シルヴィオにパネライという豪華なキャスティングで固めている。
ちなみにカラヤンはこの3年後に道化師の映画をスカラ座で制作しているが、そこでのカニオはヴィッカーズに替わってしまっており残念だ。
(追記)
このリマスター盤にはプロデューサーのハンス・ヴェーバーの回想が添えられている。丁度デッカでカルメンの収録を終えたばかりのカラヤンがデッカのスタッフがステレオ効果を得るために歌手を舞台上でところ狭しと動かしたことを熱心に語り、カラヤンはそれを誉めそやしたが、DGのスタッフがこの曲にはそのような音響はふさわしくないことをカラヤンに説得したそうだ。カラヤンらしくて面白い。
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60年代の、まだ音楽を聞き始めてそれほど時間が経過していない頃はオペラといえばワグナーばかりでして、わずかに聞くイタリア・オペラはDECCA盤が優先で、従ってデル・モナコ盤で聞いていました。
当時は、まだよくわかっていませんでしたので、DGの、それもカラヤンによるイタリア・オペラは奇異な感じがしたものです。
後年、このカラヤン盤を聞いたときは、下手にデル・モナコ盤を聞き込みすぎたせいか、もっぱら雄弁なオーケストラばかりに気を取られていたところ、少し前に聞き直してみて、ベルゴンツィの迫力に感心しました。
合唱も素晴らしいのに、この録音の難点があるとしたらネッダですかね。
2014/10/30(木) 午前 8:09
Gustavさんこんばんは
カラヤン盤はデル・モナコ盤に比べるとかなり地味に聞こえますが、それでも名曲名盤では必ず上位に入っています。ある意味デル・モナコ盤に対するアンチテーゼなんでしょうね。
私もカラヤンのイタリアオペラはちょっと独特だと思います。少なくともトスカニーニ、サバータ、セラフィンなどとは一線を画すと思います。
それでもウィーンやスカラで録音したものはオペラティックな雰囲気がありますが、ベルリンで録音したものはちょっと....
有名なボエームやドン・カルロは歌手は素晴らしいですが、重厚すぎるオケの音にはどん引きです(笑)
2014/10/30(木) 午後 8:09 [ たか改め「みんなのまーちゃん」 ]