|
交響曲第3番イ短調『スコットランド』
交響曲第4番イ長調『イタリア』
ロンドン・クラシカル・プレイヤーズ
ロジャー・ノリントン(指揮)
録音:1989年
演奏:18世紀オーケストラ
指揮:ブリュッヘン(フランス)
作曲:メンデルスゾーン
録音1990年、1994年
私が知る限りオリジナル楽器によるメンデルスゾーンの交響曲全集というのはまだ存在しないようだ。わずかに3番と4番にノリントンの演奏が、3〜5番にブリュッヘンの演奏があるだけのようだ。ガーディナーの4番5番はVPOとのモダンな演奏だしヘレヴェッヘが録音していないようのも大変残念だ。
それだけにこの2枚は大変貴重な演奏だと言えるが、残念ながら両方ともそんなに出回っていない。ノリントンはモダンオケでの再録音があるが、このLCPでの録音は国内盤が出たことすらないようだ。ブリュッヘンのほうは国内盤だがすでに生産停止で流通在庫のみのようだ。
ノリントンはスコットランドの第一楽章でリピートを実行しているにもかかわらず15分、全曲で37分半というサクサクした快速テンポで正直最初はちょっとビックリだが、楽譜を確認すると1楽章の主題は8分の6拍子で1拍半=100だからかなり速い。メトロノームを鳴らしてみたがノリントンはほぼこのテンポなのでこれで楽譜通りなのだ。
(下記の楽譜の5ページを参照)
http://imslp.info/files/imglnks/usimg/b/b0/IMSLP25173-PMLP18973-Mendelssohn_Symphony_3_Op_56.pdf
終楽章の転調した後の主題(クレンペラーがライブでカットしたイ長調の主題)は8分の6拍子で1拍半=104なのでさらに速い。この主題は普通のモダンオケではもっと遅いテンポで2小節ずつ4つ振りのような聞こえ方がするが、(生で確認したわけではないのだが)この演奏だと2つ振りで振っているように聞こえる。別の曲のように聞こえて新鮮な驚きだが、8分の6拍子でこのテンポなら2つ振りが正解だと思う。これは素晴らしい。やはり我々はまだメンデルスゾーンを発見していないようだ。ノリントン/LCPで全曲を聴きたかった。
LCPの頃のノリントンは結構好きだったのだがLCPは90年代で解散してしまったそうで、ノリントンは現在はシュトゥッツガルトのモダンオケで活動しているのはご存知の通りだ。LCP時代の演奏はもっと聴かれるに値すると思う。
ブリュッヘンの演奏はノリントンと比べるとテンポ設定ははるかに伝統的なものだ。4楽章の最後の主題も良くあるように4つに振っているように聞こえる。オリジナル楽器ならもう少し速い方が聴き栄えがするようだ。
スコットランド/ イタリア
ノリントン/LCP 15:16/4/37/8:19/9:28/10:24/5:08/5:34/5:44
ブリュッヘン 16:27/4:20/9:20/9:58/11:11/6:22/5:41/5:17
(追記)
ところで「イタリア」の方だが、改めて聴いてみると長調(イ長調)で始まって短調(イ短調)で終わる交響曲というのは珍しいのではないだろうか? 短調→長調というのは王道だが、長調→短調というのは他にちょっと思いつかない。この曲が「へっ? これで終わり?」という感じのちょっと不思議な余韻というか、収まりの悪さを感じさせるのはそういうところに原因があるのかもしれない。
第一楽章はこんなに底抜けに明るいのになぜ終楽章は短調なのか? そして「抜本的に改訂が必要」としつつも、ついに改訂に着手できなかった第一楽章。この曲は完成しているように見えて実は未完成なのだ。一見オーソドックスに見えるがとても謎に満ちている。3番は王道通りに堂々と終わるのでCDの曲順は4番→3番の方が絶対に収まりが良いと私は思うのだが、そういうCDはないようだ。
(さらに追記)
KANZAKi氏の下記ページによるとノリントンのモダンオケの3番はだいぶ普通のテンポになってしまったようだ。残念。
http://www.kanzaki.com/music/mw/sym/mendelssohn
|