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エヴァ・マルトン(トゥーランドット)
ホセ・カレーラス(カラフ)
カーティア・リッチャレッリ(リュー)
ヴァルデマール・クメント(中国皇帝)、他
ウィーン国立歌劇場管弦楽団&合唱団
ロリン・マゼール(指揮)
ハロルド・プリンス演出
収録:1983年、ウィーン国立歌劇場(ライヴ)
http://www.youtube.com/results?search_type=&search_query=turandot+1983+wien&aq=f
オペラ歌手が実際に舞台では歌わなかった役をCDや映画では歌っているケースというのは昔からままある。古くはカラスが録音した蝶々婦人やカルメンがそうだし、フレーニの蝶々婦人とトスカも多分そうだ。リッチャレルリのトゥーランドットとトスカ(演奏会形式の実演はある)、ホフマンのエリック(オランダ人)など結構たくさんある。カレーラスのカニオ(道化師)やパヴァロッティのアンドレアシェニエは実際に舞台で歌ったのは録音の何十年も後になってからのことだ。
そういった録音ならではのキャスティングを全く否定するつもりはないが、実際に歌わなかった役の録音をその作品のベストに挙げるのはやはり多少気が引ける。その役をものにするにはやはり実際に歌ってみる必要があると思うからだ。録音しかしていないということは恐らく暗譜もしないで楽譜を見て歌った可能性も高い。
リッチャレルリのトゥーランドットは実は個人的には嫌いではないのだが(トスカも)、やはりリッチャレルリはリューの方がもっと良いというべきだろう。このウイーンでの映像はマゼール時代の最高の成果と言われていたものだ。大昔米国から輸入VHS(正規品)が入ってきたことがあるが、LD化はなぜか日米欧で見送られ長いこと幻の映像だったものだ。プリンスの演出が品が悪いという評判もあったようだが、もっと品が悪い演出を見かけることが日常的になった現在では(笑)この程度ではそれほど驚かない。それどころか結構良いのではないかとすら思ってしまう。
たしかに舞台も衣装も華洋折衷といった感じで東洋人が見ると変だ。仮面舞踏会式のマスクをつけているのもコンセプトがあるようなないような微妙な感じだが、ゼフィレッリのやたらキラキラした有名な演出も中国とは思えない点では一緒だ。そもそも中国を舞台にした作品をオペラ化するという行為自体が華洋折衷なのだから、あまり細かいことには神経質にならないようにしよう。
なによりも先日見た70年代の映像よりは格段にたくましく成長したカレーラスのカラフが映像で見られるというのは大変喜ばしい。マゼールの(良い意味で)やや芝居ががった指揮もCDだけで聞くよりは映像で見たほうがより説得力がある。TDKが映像事業から撤退してしまったので国内盤は難しいだろうと思っていたら、世界文化社のDVDブックになって発売されてびっくりした。88年のゼフィレッリのメトの有名な映像と並んでこの曲の代表的な映像だと思う。
http://www.youtube.com/results?search_type=&search_query=turandot+1988+met&aq=f
正規商品化されていないカレーラスの映像は先日紹介した東京でのトスカとウイーンでの道化師、以前に紹介したバルセロナでのフェドーラ、さらに78年のスカラ座の運命の力、81年のパリの仮面舞踏会、82年のブレゲンツでのルチアもあるはずなのでぜひDVD化を期待したい。
なおリッチャレルリとマゼールはこの年にスカラでもこの曲を演奏している。共演はドミンゴとディミトローバだ。見たところ演出は88年の日本公演やメトの映像と同じゼフィレッリのようだ。やたら金色に光っているのが特徴だが、ゼフィレッリはひょっとしたら金閣寺を紫禁城と誤解しているのではないだろうか?
http://www.youtube.com/results?search_type=&search_query=turandot+1983+scala&aq=f
パヴァロッティはコンサートのアンコールで「誰も寝てはならぬ」をいつも歌ったが実際に舞台でカラフを歌ったのはほんの僅かだったようだ。なのに3大テナーコンサートでは「誰も寝てはならぬ」をパヴァロッティがいつも1人で歌いたがるのでドミンゴとカレーラスが不満を言っているのをドキュメンタリーで見たことがある。ユーチューブには音声のみだが77年にサンフランシスコでパヴァロッティが始めてこの曲を舞台で歌った際の録音が上がっている。共演はカバリエとミッチェル、指揮はシャイーだったようだ。
http://www.youtube.com/results?search_type=&search_query=pavarotti+turandot+1977&aq=f
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