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カレーラス
カプッチルリ
ギャウロフ
フレーニ
オブラスツォワ
ネステレンコ
1977年、アバド指揮スカラ座
カレーラス、
カプッチッリ、
バルツァ、
フルラネット、
イッツォ・ダミーコ、
サルミネン
カラヤン指揮ベルリン・フィル、
1986年、ザルツブルク復活祭音楽祭
http://www.youtube.com/results?search_type=&search_query=karajan+don+carlo+1986&aq=f
カレーラス+カプッチルリ+ギャウロフの最高傑作としてはやはりドン・カルロを挙げないわけにはいかないだろう。カラヤンのドン・カルロはザルツブルグ音楽祭の1975年のプレミエ(カラヤンは1958年にも上演しているが祝祭大劇場では75年が最初)ではドミンゴが歌ったが、1976年はドミンゴは他の契約が先にあったため出演できずこの年からカレーラスが主役を歌うことになった。
一方ドミンゴはスカラ座が1968年から上演していたアバド指揮ポネル演出のドン・カルロで72年頃から主役を歌っていたが、77年のロンコーニ新演出(指揮はアバド)ではカレーラスに主役の座を奪われた。エリザベッタもフレーニを新たに起用したため76〜77年のカラヤンのザルツブルグ上演と77年のスカラ座の上演は主役4人が同一という酷似したキャスティングになった。このためカラヤンとユニテルがスカラ座の上演のテレビ中継を妨害したのは有名な話だ。
それほどまでに望まれたカレーラス+カプッチルリ+ギャウロフのドン・カルロの魅力は何だったのだろうか? ドン・カルロというキャラクターは革命的精神は持った主役ではあるが、アンドレア・シェニエやカヴァラドッシのような英雄的な死に方はしない。カレーラスのリリックだが情熱的な歌は、このやや弱いキャラクターを逆手に取った真実味を加えていると思う。
特にカラヤンのドン・カルロは遅めのテンポでやや耽美的な傾向があるので、この解釈であればドミンゴのように力強く歌いきるドン・カルロではなくカレーラスの方が合っているだろう(ドミンゴは大変残念だとインタビューで言っていたが)。無論、カラヤンのこのテンポとカレーラスのリリックな歌でも間延びしないのはカプッチルリのロドリーゴとギャウロフのフィリッポという完璧なキャスティングが支えているからに他ならない。
しかしユニテルの録画は結局翌78年のザルツブルグでも79年のウイーンでも実現せず、EMIの録音のみが行われた。カラヤンは86年になってザルツブルグでようやく録画したが、フレーニもギャウロフも参加していないのは大変残念だ。ただ晩年のカラヤンの指揮が超スローテンポには耐えられなくなったためBPOの演奏が78年の録音ほどは重くならず、結果的に少しイタオペっぽくなったのは興味深い。演出はカラヤンにしては評判が良かったとも聞くが何とも暗い照明だ。なお私が持っているこのDVDは輸入盤で、国内盤とは異なり1枚組だ。便利だが、リージョン1なのでリージョンフリーのプレイヤーが必要だ。
アバドの演奏はカラヤンと比べるとはるかにイタリア的だが、豪華なキャストと並んでこの77年の上演でさらに特徴的なのは変わった版を使用している点だ。通常のイタリア語5幕版と比べて異なる点は大きく4つある。一つは1幕冒頭に前奏曲と導入が加えられていること、次は終幕フィナーレをピアニッシモで終わる初稿版に戻している点だ。ただし、前奏曲と導入はレヴァインのメトの演奏(83年のビデオと92年のCD)でも演奏されており、初稿版のフィナーレはサンティーニのDG盤でも聴くことができたのでこの2点はそれほど驚かない。
アバドの77年の演奏が特に変わっているのは、3幕前奏曲の後で改訂版では削除されたエリザベッタとエボリが衣装を交換する場面を復活させている点と、4幕の暴動のところでフィリッポがレクイエムのラクリモーザの旋律を歌う初稿版に戻しているという2点だ。私は5幕版の場合、前奏曲と導入はあった方がいいと思うが、それ以外の場所を部分的に初稿に戻すのは私はどうも好かない。ヴェルディ後期の音楽に部分的に中期の音楽が混じりこむ感じに聞こえる。
私はこのような変わった版を作るのはアバドぐらいだろうと思っていたら、73年のフェニーチェの演奏(指揮はプレートル)もフィリッポがラクリモーザの旋律を歌っているので大変驚いた。アバドの77年の上演以前に前例があったのだ。ドン・カルロの改訂の経緯については下記のサイトを参照されたい。
http://www.h5.dion.ne.jp/~goten/verdi1884.htm
http://www.h5.dion.ne.jp/~goten/verdi1886.htm
アバドはこの変わった版を結局この後引っ込めて83年のCDでは通常の5幕版に戻してしまった(ただし歌詞を初演時のフランス語に戻している)。最近は5幕版の演奏が増えてきたようだが私はこの曲は4幕版で演奏するのが好きだ。いずれにしてもラクリモーザ入りのドン・カルロが演奏されることは恐らくもうないだろう。
アバドとロンコーニのドン・カルロはテレビ放送用に別キャストの上演が特別に上演された。ドミンゴとしては一矢を報いたというところか。ただ、1回の特別上演のためにこの変わったバージョンのドン・カルロを覚えなければいけなかった歌手はさぞや大変だったろう。この事件についてはkeyakiさんのブログを参照されたい。ドミンゴが出たテレビ放送はユーチューブでも見ることができる(共演はブルゾンとネステレンコ)。カレーラス+カプッチルリ+ギャウロフとはだいぶ違った音楽になっている。
http://keyaki.blog.so-net.ne.jp/2007-12-31
http://keyaki.blog.so-net.ne.jp/2008-01-10
http://www.youtube.com/results?search_type=&search_query=don+carlo+scala+1978&aq=f
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