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・第一幕のイゾルデとブランゲーネのデュエット
・第二幕のイゾルデとトリスタンのデュエット
・第三幕の愛の死

メードル(イゾルデ)
ヴィントガッセン(トリスタン)
ブラッター(ブランゲーネ)
ローター指揮ベルリン国立歌劇場
(1952、1954)

ヴァルナイ(イゾルデ)
ヴィントガッセン(トリスタン)
テッパー(ブランゲーネ)
ワイケルト指揮バイエルン放送響
ライトナー指揮バンベルク響
(1954、1959)

ヴァルナイとメードルのイゾルデは放送用ライブ録音の記録しかないことはすでに書いたが、ハイライトであれば正規のスタジオ録音がある。この2枚はスタジオ全曲録音を残さなかった2人の素晴らしいイゾルデが50年代にドイツで録音したものだという以外にもいくつかの共通点がある。

まずこれらのハイライト盤が当初から1枚のディスクとして企画されたものではなく、別々の機会に録音された音源を集めてあるという点が似ている。ヴァルナイ盤では1幕デュエットはワイケルトが指揮、2幕デュエットと愛の死はライトナーが指揮している。メードル盤は指揮者は3曲とも共通だが、愛の死は1952年に、1幕デュエットと2幕デュエットは1954年に収録されている。おそらくこれらの録音は30センチLPのための収録ではなく25センチEPのための収録だったのではないだろうか? 愛の死はおそらくトリスタンの前奏曲とのカップリングだったのではないかと推測される。

それにもかかわらず両盤の収録曲がほとんど同じなのも興味深い。1幕デュエットはメードル盤の方が5分ほど長く収録しており、2幕デュエットはヴァルナイ盤の方が5分ほど長く収録しているが、全体としてはほとんど同じ部分を取り上げている。イゾルデ中心にハイライトを組めばだいたいこのあたりになるということかもしれない。

最後に、(これが一番重要なポイントだが)、トリスタンがヴィントガッセンである点も共通している。ヴィントガッセンがバイロイトでトリスタンを始めて歌ったのは1957年でニルソンとの共演だった。ヴィントガッセンは1952年に戦後バイロイト初のトリスタンを要請されていたが、当時はまだトリスタンを舞台で歌ったことがなく、時期尚早ということで断ったそうだ。それにも関わらず50年代の2大イゾルデであるヴァルナイやメードルの相手に選ばれているあたり、50年代のヴィントガッセンがいかに注目されていたが伺える。

しかしヴィントガッセンは50年代当初はヘンデンテノールとしてはリリックな声だと言われていたそうだ。ワーグナーにふさわしいスタイルを自力で獲得したという点で後年のコロに共通するものがありそうだ。ヴィントガッセンの録音はショルティ指揮やベーム指揮でのニルソンとの共演で正規録音、ライブ録音ともに非常にたくさんある。このためヴィントガッセンの歌のありがたさを感じにくくなってしまうが、ヴィントガッセンからトーマス、そしてコロに続く戦後の新しいジークフリート像を作った先駆けだ。

この2枚のハイライトはどちらも音質が良く(ヴァルナイ盤の2幕デュエットと愛の死はステレオ)楽しめるが、ヴィントガッセンとの共演で全曲を聴いてみたかったものだ。ヴィントガッセンはバイロイトの1962年の第二チクルスでメードルと、1963年にはヴァルナイと1度ずつ共演しているので録音は残っていないものだろうか?

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