こだわりクラシック Since 2007

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下記サイトに試聴あり
http://www.hmv.co.jp/product/detail/3530876

多彩な音色と重すぎない打鍵に無限のイマジネーションを持っていて、(知らないけど)恐らくネアカなピアニストをもう一人知っている。エラートに全集を録音しているモニク・アースだ。フィリップスに全集を録音しているウエルナー・ハースと同じくHaas姓だが別人なので注意が必要だ。フランス人はHは発音しない。

私が学生の頃、ドビュッシーの演奏で評論家うけが良かったのはミケランジェリ、フランソワ、ギーゼキングといったところだった。だがフランソワは私が期待したほどではなく、ミケランジェリは最初の71年の「映像」は良かったが、78年と88年の前奏曲集あたりから腰が重くなってしまった感じがする。

ミケランジェリはまじめすぎるぐらい大変生真面目な音楽家で、そうであるがゆえに音を奏でることが恐くなってしまったことは理解できる。晩年のクライバーと一緒だ。だがそれが音に出てしまうと音楽が前に進まなくなってしまうのだ。ベートーベンやショパンのようなガチっとした音楽はそれでも形になるだろうが、ドビュッシーの場合はそれはいかがなものだろうか? 

(語弊のある言い方かも知れないが)ドビュッシーは「鬱」の状態でなく「躁」の状態で弾く音楽なのではないだろうか。ミケランジェリが84年に録音したが発売をOKしなかったシューマンのコンチェルトも最近発売されたが同じように音楽が停滞している印象を受ける。ミケランジェリの全盛期は70年代前半までだと私は思う。

maskballさんお勧めのギーゼキングも実は学生当時かなり聞いた。だがモノラルの古い音からドビュッシーの無限のイマジネーションを聞きとるには音に入っていない部分を聞き手の側で補完しなければならないので、聞き手にも高いイマジネーション能力が求められる。maskballさんのような耳の肥えた方であればそれが可能だが、少なくとも当時の私には難しかった。今なら可能かも知れないのでいつか再チャレンジしようと思う。maskballさんにはギーゼキングのドビュッシーの「ツボ」をご教授頂きたい。

そういう訳で、もっと良い演奏がないかなあと捜し歩いて私がたどり着いたのがアースおばちゃんのこの全集だ。多彩な音色に、落ち着いているがそれでいて前へ前へと進むわくわくする気分、まるでおばあちゃんが孫に絵本を読んで聞かせるような絶妙の語り口だ。アースおばちゃんはきっと幸せな人生を送った方に違いない。

ドビュッシーのピアノ音楽はつまらないと実は思っている方にこそこの演奏を聴いてほしい。おばあちゃんに絵本をせがむ子供のように「もっと、もっと」状態になることは請け合いだ。

当時エラートの国内販売権を持っていたRCAビクター(後のBMGビクター)のLPやCDを聞きながら、評論家の言うことはあんまり当てにはならないものだなと思ったのもこの頃だ。日本では地味な評価だが海外では数々のそうそうたるディスク大賞を受賞した名盤だ。エラートの販売権は現在はワーナーミュージックが持っているが、ワーナーはこの演奏の価値が分かっているようでSIM−CDにまでしてくれている。ぜひ多くの人に聞いてほしい。

Disc 1
ドビュッシー:
・ボヘミア風舞曲
・2つのアラベスク
・夢
・バラード
・舞曲
・ロマンティックなワルツ
・ノクチュルヌ
・マズルカ
・ベルガマスク組曲
・ピアノのために
・ハイドン賛歌

Disc 2
ドビュッシー:
・練習曲集第1巻
・練習曲集第2巻
・喜びの島
・スケッチ帳より
・仮面
・レントよりおそく
・英雄の子守歌

Disc 3
ドビュッシー:
・映像第1集
・映像第2集
・前奏曲集第1巻
・小さな黒人の子

Disc 4
ドビュッシー:
・前奏曲集第2巻
・版画
・子供の領分



 モニク・アース(ピアノ)
 録音:1970年12月-1971年4月、パリ、リバン聖母教会

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ドビュッシー:
・喜びの島
・ピアノのために
・『映像』第1集より『ラモーをたたえて』
・版画
・小さな黒ん坊
 エリック・ハイドシェック(ピアノ)
 録音:1975年(ステレオ)

これは期待に違わない素晴らしい演奏だ。ショパンの音楽と違ってドビュッシーのピアノ曲はちょっと捉えどころが難しいというか、とりとめがないところがあって、ガシっと来る前にどんどん移ろって行ってしまうところがある。それがこの音楽の面白いところでもあるのでピアニストにはそこを何とか表現しきってほしいのだが、率直に言って生真面目に弾きすぎるピアニストの演奏は全然面白くない。多彩な音色と重すぎない打鍵に無限のイマジネーションを持っているピアニストだけがこの世界を表現できると思う。

本来フランソワはその最右翼のはずなのだが、大変残念なことにフランソワのドビュッシー(前奏曲1曲と練習曲集数曲が欠けた未完の全集)はほとんどが60年代後半の晩年に録音されたもので「ノリ」が少し重いのだ。決して悪い演奏ではないのだが、絶好調のフランソワならもっとはじけた演奏ができたはず、という思いが捨てきれない。

コルトーの最後の弟子にあたるハイドシェック(ということはフランソワは兄弟子だ)のドビュッシーは、その満たされない思いを充足してくれる。ドビュッシーはこのくらい自在なテンポとキラキラした音色で聞きたいものだ。それにハイドシェックがフランソワと決定的に違う(というか私がそう勝手に理解している)のはハイドシェックは恐らく人生に対して大変に肯定的なイメージを持っているであろうという点だ。

フランソワの陰りのある演奏は芸術家の苦しみ(あるいはフランソワの個人的な悩み?)を常に感じさせる。私はそういうデリケートな部分に反応してしまうタイプの人間なので、特にショパンの演奏においてフランソワの演奏は決して真似ができない孤高の領域に達していると思う。

だがドビュッシーの音楽は悩み多きショパンとは少々異なる観点を必要としているような気がする。もっと気持ちをポジティブに持って前へ前へと進んでいくような、まあいろんなことがあって人の気持ちも世の中も移ろって行くのだけど、それでもその先はまたあるのだよ、と言っているような音楽に私には聞こえる。だから(決してドビュッシーがふざけた音楽を書いているというわけではないが)あんまりクソまじめに弾くと全然面白くないのだ。

(当然のことながら)私はフランソワには直接会ったことがないので公平な比較ではないのだが、ことドビュッシーに関してはハイドシェックはフランソワ以上の適性があるのではないだろうか。私にはハイドシェックのドビュッシーは「大丈夫、大丈夫、何とかなるよ」と言っているように聞こえてならない。ドビュッシーが向いているピアニストには「根アカの人」という要件も入れておいたほうがよさそうだ(笑)。

ピアノ音楽の愛好家にぜひお勧めしたい。2巻の前奏曲集も出ている。

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