こだわりクラシック Since 2007

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・モーツァルト:交響曲第35番ニ長調 KV 385『ハフナー』
・R.シュトラウス:交響詩『ドン・ファン』 op.20
・ラヴェル:『マ・メール・ロワ』組曲
・ラヴェル:『ダフニスとクロエ』組曲第2番
 ウィーン・フィルハーモニー
 アンドレ・クリュイタンス(指)
 録音:1955年5月15日、ウィーン、ムジークフェラインザール(モノラル)

 これはクリュイタンスのVPOデビューコンサートの録音だ。先日の助六さんのコメントにもあったように、この日はオーストリアが戦後の独立を果たした記念すべき日でもある。日本は1952年4月28日に戦後の独立を果たしているが、オーストリアの独立はそれより3年も遅いとは知らなかった。

 ハフナーの後に急に演奏されたオーストリア国家は残念ながら入っていない。国家だけ録音しなかったとは考えにくいのでそのまま入れた方がドキュメンタリーとしての価値は高まっただろうに残念だ。ジャケット解説にもオーストリアの独立については何も触れていない。ひょっとしたらALTUSはなぜハフナーの後に国家が演奏されているのか理由が分からなかったのではないだろうか? しかし、フルトヴェングラー時代とは明らかに違う、推進力と艶のある響きからは確かに新しい時代の産声が聞こえてきそうだ。

 ドン・ファンは先日紹介したEMI盤よりも緩急の変化が激しくついたノリの良い演奏だ。EMI盤も良い演奏だが録音がイマイチということもあって、同じモノラルでもこちらの方が若々しく感じる。ラヴェルも期待通りにVPOの色彩感がクリュイタンスの趣味の良い棒に反応してなかなか聴きごたえがある。VPOが演奏するラヴェルは80年代以降は珍しくなくなったが、この時代のラヴェルはかなり珍しいと思う(1951年のフルトヴェングラー指揮とされるスペイン狂詩曲のライブなど全くないわけではないが)。カラヤンとはラヴェルを録音していないし恐らく演奏したこともない。
 
 クリュイタンスはこの年バイロイト音楽祭に「タンホイザー」で、翌1956年にはウィーン国立歌劇場に「トリスタンとイゾルデ」でデビューし、ドイツ・オーストリア圏での名声を獲得した。ここから、わずか62歳で亡くなる1967年までが彼の最盛期と言えるだろう。VPOはこの演奏会を機会にクリュイタンスにほれ込み、1956年の米国ツアーは急逝したエーリッヒ・クライバーに代わってクリュイタンスとシューリヒトが振ることになった。クリュイタンスとVPOの演奏がほんのわずかしか残っていないことは本当に残念だ。このディスクはモノラルではあるものの、ALTUSのリマスターということもあって音質は安定しており広くお勧めできると思う。

 なお、ドン・ファンと言えば、例によって例のごとく、お決まりの、46小節目のシンバルだが、この演奏は.....何と、何と.....鳴っていないのだ。1958年のEMI盤が鳴っているのになぜ? VPOがどういう基準でシンバルを入れているのか全く分からなくなってきた(笑)。


クラウス/VPO(1950デッカ)シンバルあり
クリュイタンス/VPO(1955ライブ録音)シンバルなし
クリュイタンス/VPO(1958EMI)シンバルあり
カラヤン/VPO(1960デッカ)シンバルなし
ベーム/VPO(1970ライブ映像)シンバルあり
ベーム/VPO(1977ライブ録音)シンバルなし
ドホナーニ/VPO(1989デッカ)シンバルあり
プレヴィン/VPO(1990テラーク)シンバルあり

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・ショスタコービッチ交響曲第10番
 カラヤン/ベルリンフィル
 (1981)

 マーラーまでの時代は指揮者≒作曲家だったが、指揮者と作曲家の分業が進んだ20世紀において著名な作曲家からお墨付きをもらうのは専業指揮者にとって大変栄誉のあることだった。カラヤンも1969年5月にBPOを引き連れてモスクワを訪問した際にショスタコービッチの交響曲第10番を作曲家の前で演奏しお褒めの言葉をもらっている。

 こうして作曲者と親交を結んだにも関わらず、カラヤンが振ったショスタコービチはこの10番だけで他に5番や7番など向いてそうな作品は一度も振っていない。5番はバーンスタインが1959年にNYPを率いてモスクワで演奏し、先に作曲家のお墨付きをもらってしまったためだろう。7番も米国初演を巡る争いについて先日の記事で書いたが、カラヤンにしてみればトスカニーニやクーセヴィツキー、ストコフスキーの手あかが先についた作品をわざわざ後追いする必要もないだろう。

 BPOの機能美をフルに生かせる作品で、まだ西側ではマイナーだった作品として10番を選んだ選択は正しいと思う。ただし、正直なところカラヤンの10番やバーンスタインの5番をショスタコービッチが本心から称賛していたかどうかは分からないと思う。ショスタコービッチの作品が西側で演奏されることはソヴィエト体制の宣伝という点でも、著作権使用料による外貨獲得という点でも大きな意味を持つので、外交辞令でもいいから称賛するように当局から強要された可能性の方が高いのではないだろうか。が、とにもかくにもカラヤンは10番のお墨付きをもらった。

 カラヤンは10番を1966年と1981年の2回録音しているが、特に後者のデジタル再録音は大変素晴らしい。豊潤でありながら肥大化せず、ダイヤのように内側に向かって光る硬質の引き締まった輝きは20世紀的オーケストラ美学の頂点と言う事ができるだろう。「カラヤンのショスタコは精神性が...」などというコメントを稀に見かけるが、「それがどうかしましたか? 精神性って何ですか?」と言いたくなるくらい圧倒的な完成度だ。

 カラヤンは再録音が大好きだったが、70年代以降の再録音が60年代の録音を上回ったのは交響曲ではこの曲とチャイコフスキーだけだし、掛け値なしに文句なくBPOは最高のオーケストラだと断言できたのはこの1981年までだと思う。この録音は今にして振り返れば先日記事にした惑星と並んでカラヤン/BPOの最後の輝きだったのだ。惑星同様このディスクも発売当時はデジタル初期特有のきつい響きが目立ったがOIBPリマスター化(この曲の場合はリマスターというよりもリミックス)されてバランスが良くなった。

 カラヤンと20世紀の作曲家の関係をもう少し見てみよう。オルフと親交があるカラヤンは「アフロディテの勝利」と「時の終わりの劇」の2曲を初演しているが、録音は「時の終わりの劇」があるだけで、オルフの最高傑作カルミナ・ブラーナは録音していない。これは作曲家自身が監修しオーソライズした演奏がヨッフム盤、サヴァリッシュ盤、アイヒホルン盤とすでにたくさんあったためだろう。

 カラヤンが1953年に初演した「アフロディテの勝利」は録音してもよさそうなものだが、この作品は翌1954年にDGが作曲者監修のヨッフム指揮で初録音してしまった。それでも、ヨッフムがカンタータ三部作のうち「アフロディテの勝利」だけステレオ再録音をしなかったのは、ひょっとしたらカラヤンがDGにステレオで録音するという計画があったのかもしれない。

 カラヤンはR.シュトラウスとも親交があったことになっているが、実際はベームやクラウス、あるいはショルティほど深い親交があった訳ではないので、ベームが初演しベームに献呈されたダフネやクラウスが台本を書いたカプリッチョなどを振るはずもない。実際に繰り返し演奏したのは有名な交響詩とサロメとばらの騎士だけだ。エレクトラや影のない女、アラベラは「振ったことがあります」という程度の回数しか演奏していないしアリアドネは1度録音しただけで実演では振っていない。

 シベリウスでは4番から7番を繰り返し演奏し素晴らしい録音を残したにも関わらず、1番と2番は録音こそあるが実演では取り上げなかった。これは1番と2番はオーマンディが先に作曲者のお墨付きをもらってしまったためだと考えられる。ストラヴィンスキーからは春の祭典の1963年の録音をけなされたので実演で振った曲は少ない。それでも「カルタ遊び」や「ミューズの神を率いるアポロ」などそれほどメジャーではない作品まで録音しているので本音では結構好きだったのではないだろうか。火の鳥あたりは本当は合ってそうなレパートリーだと思うが残念だ。

 演奏する以上は最高の演奏だと作曲家に言わせたいカラヤンにとって、20世紀の作曲家との関わりはかように微妙なものだったことがうかがえる。

 大地の歌の歌詞は中国語を直接ドイツ語に翻訳したのではないため歌詞はかなり変わってしまっているという話を以前書いたが、中国語の元の詩を大地の歌の歌詞と比較したサイトを見つけた。下記のHPの第24回〜第27回にある「大地の歌にまつわる7つの唐詩」を参照してほしい。
(ちゅうごくちゅうどくHP)
http://www.geocities.jp/taakii9/haohao/hao-gokudoku.html

 さて、このブログは1記事5000文字という制限があって、文字数を超えると追記できないので室内楽版(および室内オケ版)の大地の歌のディスコグラフィーだけ別記事に移すことにした。5000文字というと原稿用紙12枚以上ですごい分量のような感じがするが、半角英数字も1文字としてカウントされているようなので実際はそんなに大したことはない(笑)。

 私が現時点までに確認しているのは下記の13種類だ。このうちRCAのウィッグルズワース盤は1995年に国内盤が出たことがあるが、他は国内盤で出たことはあるかどうか? いつも同じ「名曲名盤」ばかり紹介しているレコード会社も某出版社もそうだが、新しい音楽を紹介しなければ市場はどんどん縮小すると思う。

 ルイジ盤は昨日の記事にした通り、弦5部を各1台ではなく弦楽合奏に増強した「室内オケ」版となっている。ルイジ以外にもジョルダンやメストといったフルオケ系指揮者の演奏は弦5部を増員した「室内オケ」版の可能性がある。ヴァンスカはユーチューブでちょっと聞いた限りでは恐らく各一台の「室内楽」版だ。スミソニアン・チェンバー・プレイヤーズはアルトでなくバリトンを起用している。助六さんの情報によるとジョルダン盤のヘトヴィヒ・ファスベンダーという人はブリギッテ・ファスベンダーとは関係ないそうだ。

・アンサンブル・ケルン ロベルト・HP・プラッツ指揮
 シュミットヒーゼン(メゾ)、バルディン(テノール)(独Canterino 1989)

・フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮アンサンブル・ミュジク・オブリク、
 レンメルト(A)、ブロホヴィッツ(T) (ハルモニアムンディ、1993)
http://www.hmv.co.jp/product/detail/930622

・プレミエ・アンサンブル 指揮:ウィッグルズワース指揮
 リグビー(アルト)、ティアー(米RCA 1993)
http://artist.cdjournal.com/d/-/1195050718

・ラハティ室内アンサンブル、ヴァンスカ指揮
 グローブ(メゾ)、シルヴァスティ(テノール)、(BIS 1995)
http://ml.naxos.jp/album/BIS-CD-681

・アンサンブルコントルシャン、ジョルダン指揮
 ヘトヴィヒ・ファスベンダー(メゾ)、ワークナー(テノール)(Cascavelle 1995)

・シャロウン・アンサンブル メスト指揮
 カリッシュ(アルト)、エルスナー(テノール)、(独IPPNW-Concerts 1999L)
http://www.hmv.co.jp/product/detail/787835

・MDR交響楽団(ライプツィヒ放送交響楽団) ファビオ・ルイジ指揮
 ゾッフェル(メゾ)、ミュラー=ローレン(テノール)(独Querstand 1999)
http://www.hmv.co.jp/product/detail/1092719

・オクサリス・アンサンブル
 ヴァン・レイセン(メゾ)、ポスト(テノール)(ベルギーFuga Libera 2005)
http://www.hmv.co.jp/product/detail/1204493

・ヨーロピアン・チェンバー・ソロイスツ ニコル・マット指揮
 ハーゼ(メゾ)、サンス(テノール)(蘭ブリリアントクラシクッス 2006)
http://www.hmv.co.jp/product/detail/1240578

・スミソニアン・チェンバー・プレイヤーズ ケネス・スロウィック指揮
 ブラウン(Br)エルウィス(T)、(Dorian)
http://www.hmv.co.jp/product/detail/2672198

・ドゥラレイ・チェンバー・プレーヤーズ スコット・ティリー(指揮)
 ウィリアムズ(メゾ・ソプラノ)、W.スパークス(テノール)(Centaur Records 2007)
http://tower.jp/item/2841417/

・マンチェスター・カメラータ ダグラス・ボイド指揮
 アーウィン(メゾ・ソプラノ)、ウェッド(テノール)、(Avie 2010)
http://www.hmv.co.jp/product/detail/3820338

・オーケストラ・オブ・ザ・スワン ケネス・ウッズ指揮
 カーティス(コントラルト)、ギロリー(テノール)、(Somm Recordings)
http://www.hmv.co.jp/product/detail/4087351

このうち3つの演奏をユーチューブで聴くことができる。いずれも弦5部は各1台の「室内楽」版のようだ。ちなみにヴァンスカ盤のシルヴァスティはフルオケ版を2003年にベルティーニ指揮東京都交響楽団と日本で演奏しライブ録音もCD化されている。

・フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮アンサンブル・ミュジク・オブリク、
 レンメルト(A)、ブロホヴィッツ(T) 録音:1993年4月
http://www.youtube.com/results?search_query=Herreweghe+mahler+erde&aq=f

・プレミエ・アンサンブル 指揮:ウィッグルズワース指揮
 リグビー(アルト)、ティアー(米RCA 1993)
http://www.youtube.com/results?search_query=Wigglesworth+erde&aq=f

・ラハティ室内アンサンブル、ヴァンスカ指揮
 グローブ(メゾ)、シルヴァスティ(テノール)、(BIS 1995)
http://www.youtube.com/results?search_query=mahler+erde+lahti&aq=f

 他にyoutubeで室内楽版の映像を4つも見つけた。いずれも弦5部は楽譜通り各1台で演奏しているようだ。私は弦を増員した「室内オケ」よりも楽譜の指定通り各1台の「室内楽」の方が良いと思う。はじめの2つはロシアで演奏でStanislav KOCHANOVSKYという指揮者が2007年1月と2011年3月に振ったものだ。この指揮者はよほどこのバージョンが好きなのだろう。歌手は知らない人ばかりだがどちらもの演奏もなかなかしっかりしている。
http://www.kochanovsky.ru/index_files/Page266.htm

http://www.youtube.com/watch?v=_ad1I_WyET4
Alexandr Timchenko, tenor
Maria Uvarova, mezzo-soprano
Stanislav KOCHANOVSKY
Ensemble of the Mariinsky Theatre Orchestra
Recorded live at the Foyer of Mariinsky Theatre
13 January 2007

http://www.youtube.com/results?search_query=mahler+erde+Tallinn+Chamber+Orchestra&aq=f
Mati TURI, tenor
Annely PEEBO, mezzo-soprano
Tallinn Chamber Orchestra
Stanislav KOCHANOVSKY
live from Metodistic Church
Tallinn, 27 May 2011

 もうひとつはアメリカのウィラメット大学で2011年4月にアジア系の指揮者が振ったもの、最後のものはバルセロナでの演奏だ。
http://willamette.edu/cla/music/performance/new_music/


http://www.youtube.com/results?search_query=New+Music+at+Willamette+20th+anniversary+concert
Allison Swensen-Mitchell, mezzo-soprano
Les Green, tenor
Hekun Wu, conductor
Violins: Anthea Kreston and Casey Bozell
Viola: Clark Spencer
Cello: Jason Duckles
Bass: Kevin Deitz
Piano: Elise Yun
Harps: Jeff Parsons and Andrea Weiss
Celesta: Phil Taylor
Flute/piccolo: Sarah Tiedemann
Oboe/English horn: Mitch Iimori
Clarinet/bass clarinet: Natalie Pascale
Bassoon: Helena Spencer
French horn: Joe Berger
Percussion: Florian Conzetti and Chris Whyte
April 29, 2011 at 7:30pm
Hudson Hall, Willamette University

http://www.youtube.com/watch?v=JTHhDDw0IlM&NR=1
conductor - Eduardo Lopes
Ensemble Instrumental de Barcelona
Schoenberg version concert in Spain 4 july 2005

 youtubeでは声楽なしの室内楽演奏の映像も見つけた。これはすごい(笑)。でも合っているような気もする。ぜひ全曲聞いてみたいものだ。
http://www.youtube.com/watch?v=1L7cOGWiAbU
Arranged & performed by Alfred Wong 黃學揚 (piano), Ricky Yeung (dizi), Charles Kwong (clarinet) & Jimmie Jim (cello)

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