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マーラー:交響曲第4番(シュタイン編曲による室内楽版)
アリソン・ブラウナー(ソプラノ)
リノス・アンサンブル
(1999年〜2000年)
http://ml.naxos.jp/album/C10863
大地の歌に続く室内楽編曲によるマーラーは交響曲第4番だ。これはシェーンベルクに師事したウィーンの作曲家、エルヴィン・シュタインによる編曲だそうで、シェーンベルク編曲の大地の歌と同様「私的室内楽協会(私的演奏協会)」のコンサートのために1921年に編曲されたものだ。シュタイン版のスコアは失われてしまったそうだが、楽器の使用法をメモした原譜スコアから復元して演奏可能な状態になったものだという。編成は、フルート、オーボエ、クラリネット、弦5部、ピアノ、ハーモニウム(ハルモニウム)、打楽器×3、ソプラノとなっている。シェーンベルクの編曲の大地の歌とほぼ同じ編成で、私的室内楽協会おかかえの演奏家がこのようなメンバーだったのかもしれない。弦5部はやはり各1台で指定されており、ルイジ盤の大地の歌の経験からも「室内オケ」に増員しない方が良いと私は思う。
私が調べたところすでに10種類ものディスクがあるのでこれもディスコグラフィーとしてまとめておこう。私が選んだのは指揮者なしのリノス・アンサンブルが演奏しているカプリッチョ盤だ。これは初録音のノヴァリス盤に続く2番目の録音だ。シュタインの編曲はピアノや打楽器を効果的に使っている点でシェーンベルク/リーン編曲の大地の歌と共通する趣味の良いものだ。ハーモニウムというアコーディオンのようなリードを用いるオルガン(英語圏ではリード・オルガンとも言う)を使っているのも同じだ。この楽器は当時ウィーンで流行ったのだろうか? ネットで調べたところハーモニウムには据え置き型と携帯型の2種類があるようだ。
私は楽しめたが、室内楽版大地の歌のような衝撃には及ばなかったと思う。大地の歌をピアノや室内楽で演奏することで、フルオケをバックにしたときとは違う叙情的な歌い方が可能になり、歌曲としての表現の幅が大きく広がった。また、室内楽版はではオケの肥大化した響きがそぎ落とされたことで歌曲としての本質がより明確になっただけでなく、東洋的なエキゾチズムはかえって増幅された感もある。
しかし、4番の場合はもともと(マーラーとしては)シンプルな音楽だったので、室内楽にしたところで音楽の持つ方向性自体は大きくは変わらないのだ。4楽章のソプラノ(グリフィス盤はボーイ・ソプラノ)の歌い方も室内オケだからと言って大きくは変わらない。でもこれはこれとして、フルオケ版のピリオドオケによる演奏(最近ヘレヴェッヘが録音している)と聴き比べてみようと思う。最新のカーティス盤は米国の指揮者アレクサンダー・プラットが校訂を加えたヴァージョンだそうだ。
ところで、大地の歌と4番に続く室内楽版マーラーとしては9番か7番あたりが出れば作品の新しい魅力を発見できるのではないだろうか? もしも編曲の腕に覚えのある方がいらしたらこのブームが続いているうちに挑戦してはいかがだろう? 全楽章完全ノーカットで、編成は大地の歌や4番と同じように弦5台に少数の管楽器、それにピアノと打楽器とハーモニウムでお願いしたい。恐らく75分ぐらいの演奏になるのでCD1枚に収まると思う。
・ダニエル・ヘルマン(ボーイ・ソプラノ)
ノーザンシンフォニア グリフィス指揮
録音:1999年(ノヴァリス)
http://www.hmv.co.jp/product/detail/443013
・アリソン・ブラウナー(ソプラノ)
リノス・アンサンブル
録音:1999〜2000年(カプリチョ)
http://www.hmv.co.jp/product/detail/55162
・クリスティーヌ・ブランディス(ソプラノ)
スミソニアン室内プレイヤーズ、スロウィック指揮
録音:2002年(Dorian)
http://www.youtube.com/watch?v=xvZlNiOLVl4&feature=fvsr
・クレア・ゴームリー(ソプラノ)
シドニー・ソロイスツ、ジョン・ハーディング指揮
録音:2003年頃(オーストラリアABC)
・クリスティアーネ・エルツェ(S)
トーマス・クリスティアーン・アンサンブル
録音:2004年 (Mdg)
http://www.hmv.co.jp/product/detail/1388578
・ヘレネ・リンドクヴィスト(S;+)
ペーター・シュタンゲル指揮タッシェンpo.
録音:2004年? (preiser)
http://www.hmv.co.jp/product/detail/1800599
・ケイト・ロイヤル(S)
マンチェスター・カメラータ ダグラス・ボイド(指揮)
録音:2004年11月4日 マンチェスタ、ノーザン王立音楽院(Avie)
http://www.hmv.co.jp/product/detail/1481125
・ロール・デルカンプ(ソプラノ)
オクサリス
録音:2008年(Fuga Libera)
http://www.hmv.co.jp/product/detail/3550894
・ヘザー・シップ(メゾ・ソプラノ)
オーケストラ・オブ・ザ・スワン デイヴィッド・カーティス(指揮)
録音時期:2009年3月25日 (Somm Recordings)
http://www.hmv.co.jp/product/detail/4086766
・ディアンナ・ブレイウィック(ソプラノ)
マーティンゲール・アンサンブル
ケン・セルデン(指揮)
録音時期:2011年1月(MSR classics)
http://www.hmv.co.jp/product/detail/4235163
シュタイン編曲の4番はユーチューブでもすでにかなりの映像がアップされている。
http://www.youtube.com/results?search_query=mahler+symphony+4+stein&aq=f
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