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・ワーグナー:『トリスタンとイゾルデ』全曲
 ゲルトルーデ・グロープ=プランドル(イゾルデ)
 ルドルフ・ルスティヒ(トリスタン)
 ゲオルギーネ・フォン・ミリンコヴィチ(ブランゲーネ)
 クルト・ベーメ(マルケ王)
 トニ・ブランケインハイム(クルヴェナール)
 ユリウス・パツァーク(牧童)、他
 ウィーン国立歌劇場管弦楽団、合唱団
 アンドレ・クリュイタンス(指揮)
 録音:1956年2月12日、ウィーン国立歌劇場(ライヴ、モノラル)

 久しぶりにオペラを取り上げよう。クリュイタンスは先日紹介した1955年5月のVPOデビューの成功と、7月のバイロイトデビュー(「タンホイザー」、オルフェオがCD化している)の余勢をかって1956年2月には「トリスタンとイゾルデ」でウィーン国立歌劇場にデビューした。ウィーン国立歌劇場は前年末に再建されたばかりで、クリュイタンスは当時の総監督だったベームよりも、翌年総監督になるカラヤンよりも先に戦後のトリスタンを指揮したのだ。助六さんの情報によるとこの公演のイゾルデはエルザマリア・マティスとのダブルキャスト、トリスタンはK.リーベとのダブル、ブランゲーネはルートヴィヒとのダブルだったそうだ。

 この音源は近年になって初めてCD化されたものだ。私は不勉強でグロープ=プランドルというソプラノについては全く存じ上げなかったし、ルスティヒも以前紹介した1955年のバイロイトのオランダ人でエリックを歌っているのは知っていたがトリスタンを歌うほどのテノールだったかなあという感じだったが、クリュイタンスとVPOは相性ばっちりだし、2000円と安かったのでこの際聞いてみることにした。

 クリュイタンスの流麗でしなやかな指揮が期待通りなのはもちろんだが、グロープ=プランドルのイゾルデが素晴らしいのには驚いた。50年代にはヴァルナイとメードルとニルソン以外にもこんなに素晴らしいイゾルデがいたのだ。グロープ=プランドルがなぜバイロイトでイゾルデを歌わなかったのか分からないが、ヴァルナイとメードルの評価がそれだけ高かったのだろう。イゾルデ歌いがいなくなってしまった現代からは想像もできないハイレベルな争いだ。これは大変な見つけものをした。

 調べてみたところグロープ=プランドルは1917年生まれのオーストリアの歌手とのことで1918年生まれのヴァルナイと1912年生まれのメードルとはほぼ同世代だ。ただ、ヴァルナイが戦争中アメリカに逃れて1940年代からメットで活躍したのに対して、グロープ=プランドルは1944年からウィーン国立歌劇場に属したものの、戦争の煽りで本格的に活躍できたのは50年代以降になってしまい損をしたと言えそうだ。正規録音は米VOXに1950年に録音したモーツァルトの「イドメネオ」のエレットラがあるぐらいのようだ。ライブ音源では1949年にモラルト指揮ウィーン響の指輪のブリュンヒルデを歌ったものや、1951年にサバタ指揮のスカラ座で歌ったイゾルデ、1953年にカプアーナ指揮のフェニーチェ座で歌ったトゥーランドットまであるようだ。

 それらの音源は聞いていないが、音質も含めてクリュイタンスとのこのトリスタンがグロープ=プランドルの最大の遺産であることは間違いないだろう。音質は十分良好で特に声は聴きとりやすい。ルスティヒのトリスタンも予想以上の健闘を見せている。ややぶっきらぼうな大根テノールっぽい部分もなくはないが声は良く出ており、少なくとも現代の頼りない声のトリスタンよりは数段良い。

 ただマイクが左側に寄っていたようで(あるいは右側に設置したマイクに何かトラブルがあったのかも?)、前奏曲の64小節目からの有名な左右のかけあいでは第二バイオリンの音が遠くなってしまう。二幕のデュエットでもトリスタンの声が遠くなる瞬間があるが、そういう些細なことには目をつぶろう。各幕が1枚、全部で3枚にきれいに収まっているのは良いのだが、二幕は通常よりも多めのカットが加えられており60分ほどで終わってしまう。昔のウィーンには3時間半ルールというのがあったそうで、演奏時間がこれを超えるとオケに追加のギャラを払わなければならなかったそうだ。このカットは恐らくそのためだと思われる。

 なお、助六さんのコメントによるとクリュイタンスはカラヤン時代の1959年〜61年の2シーズンに「さまよえるオランダ人」、「オテロ」(カラヤン演出)、「カルメン」、「ばらの騎士」、「アイーダ」、「トスカ」、「フィデリオ」、「魔笛」、「トリスタンとイゾルデ」と実に多くの作品を指揮している。その後エゴン・ヒルベルトの単独総監督時代になった1965年〜67年の2シーズンにも「ローエングリン」、「トスカ」、「マイスタージンガー」、「サロメ」、「アイーダ」、「トリスタンとイゾルデ」、「パルジファル」、「ばらの騎士」、「ペレアスとメリザンド」、「フィデリオ」、「タンホイザー」を指揮している。

 クリュイタンスがカラヤン時代に振った2回目のトリスタンは1961年6月で、メードル、ヴィンガッセン、レッスル=マイダン、G.フリック、O・ヴィーナーという顔ぶれ、ヒルベルト時代の3回目のトリスタンは1966年10月/12月でヴァルナイ、ヴィントガッセン/H・バイラー、タルヴェラ/ホッターという顔ぶれだったそうだ。いずれも演出はカラヤンの1959年6月のものだと思われる。カラヤン自身は1959年〜1963年の間にウィーンとスカラ座でこの曲を13回振っているが、その際はいずれもイゾルデはニルソンだった。

カラヤンの「トリスタンとイゾルデ」の演奏史については下記アドレスを参照されたい。
http://www.geocities.co.jp/MusicHall-Horn/2889/Tristan.html

 ベームがこの曲を戦後に振った主な公演にはメットでの1959年12月〜1960年1月(9回)、1962年〜1970年のバイロイト音楽祭、1967年9月のヒルベルト時代のウィーンでのエヴァーディングによる新演出、映画になっている1973年のオランジュ音楽祭などがあるが、これもイゾルデは全てニルソンだ。メードルやヴァルナイは60年代末までイゾルデを歌っていたのにも関わらず、ベームやカラヤンは起用しなかったのだ(ベームのトリスタンは1963年に1度だけヴァルナイが歌ったことがあるが)。カラヤンは1951年のバイロイトの指輪でヴァルナイと共演しており、翌年のトリスタンでメードルと共演している。

 逆にクリュイタンスがイゾルデにニルソンを起用していないのは興味深い。クリュイタンスはバイロイトでもヴァルナイやメードルとは共演しているがニルソンとは共演していない。ニルソンが(恐らく)パルジファルのクンドリーをレパートリーにしていなかったというような偶然もあるだろうが、何となくクリュイタンスらしい人選だと私は思う。

クリュイタンスとベームのバイロイトへの出演記録については下記アドレスを参照されたい。
http://www.bayreuther-festspiele.de/fsdb_en/personen/57/index.htm
http://www.bayreuther-festspiele.de/fsdb_en/personen/37/index.htm

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