こだわりクラシック Since 2007

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 やっと400記事を達成できました。300記事が去年の6月なので結局1年かかってしまいました(井上真央のひまわりを見ていた頃からもう1年も経ったのですね。時間が経つのは早いものです)。平均で3日〜4日に1本というペースは例年通りではありますが、今年はもう少し早く達成するかなと思っていたので、正直やっとという感じです(笑)。

 でも記念すべき400回目に大好きなアラベラを、先日亡くなったフィッシャー=ディースカウ追悼の意味も込めて取り上げることができたのも何かの縁だと思います。ユーチューブで見つけたこの映像は80年代にドイツで再放送され、日本でも日本リヒャルト・シュトラウス協会の例会で私的に上映された幻の映像であり、この曲の決定的な演奏です。

R.Strauss:Arabella

Lisa della Casa, Arabella
Karl John, Graf Waldner
Ira Malaniuk, Adelaide Waldner
Anneliese Rothenberger, Zdenka
Dietrich Fischer-Dieskau, Mandryka
Georg Paskuda, Matteo
Fritz Uhl, Graf Elemer
Carl Hoppe, Graf Dominik
Horst Günter, Graf Lamoral
Eva Maria Rogner, Die Fiakermilli
Cäcilie Reich, Eine Kartenaufschlägerin
Walter Matthes, Leibhusar Welko

Bayerischen Rundfunk
Direttore: Joseph Keilberth
Regia: Rudolf Hartmann.
1960
https://www.youtube.com/results?search_query=della+casa+arabella

 ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(F=D)が5月18日に亡くなった。この長い名字は父方のフィッシャーと母方のディースカウを組み合わせたものだそうだ。母方はバッハの『農民カンタータ』に由来する名家なのだそうだ。

 リートの巨人としてのイメージが強いF=Dだが、1948年にベルリン市立歌劇場(現在のベルリン・ドイツ・オペラ)のロドリーゴ(ドン・カルロ)でオペラデビュー以降、少なくとも1960年代まではオペラの舞台にも精力的に立っていた。モーツァルトやワーグナーなどのドイツ物の定番に留まらず、ヘンデルやグルックなどのバロック物、ヴェルディのマクベスやリゴレット、ファルスタッフなどのイタリア物、バルトークやベルクなどの近代物、ライマンの「リア王」のような新作まで幅広く歌った。50年代のバイロイト音楽祭やザルツブルグ音楽祭ではオペラの常連だったと言って良い。

 しかし良くも悪くも威厳のあるF=Dの声はオペラの舞台ではやや分別臭く浮いて聞こえることも少なくない。オペラにおけるF=Dの歌唱は少なくともF=Dのリートほど手放しで賞賛されたとは言えないだろう。王様や僧侶のようなキャラクターでないと収まりが悪いのだ。ベーム盤のパパゲーノ(魔笛)は恐らく録音用のキャスティングなので笑って聞き流すとしても、ドン・ジョバンニも批判の対象となっている。モーツァルトで本当に成功したのはフィガロの結婚の伯爵ぐらいと言ったら言い過ぎだろうか。

 ワーグナーもクライバーはF=Dがクルヴェナール(トリスタンとイゾルデ)を歌うことを苦々しく思っていたことが伝記で明らかにされている。カラヤン盤のラインの黄金で歌ったウォータンやヨッフム盤のザックス(マイスタージンガー)も恐らく録音用のキャスティングなので(ザックスは1979年頃にミュンヘンの舞台で一応歌っているらしいが)、ワーグナーで繰り返し取り上げた役はヴォルフラム(タンホイザー)とアンフォルタス(パルジファル)あたりに絞られるだろうか。

 しかしF=Dが50年代から80年頃までコンスタントに取り上げ成功を収めたオペラとしてR.シュトラウスの作品が挙げられるのではないだろうか。ヨカナーン(サロメ)、オレスト(エレクトラ)、バラク(影のない女)、そしてこのマンドリーカ(アラベラ)は結構好きな作品だったようだ。特にバラクとマンドリーカはミュンヘンではカイルベルト時代からサヴァリッシュ時代にかけて約20年も歌い続けた。恐らくフィガロの結婚の伯爵と並んでF=Dが舞台で最も長く歌った役だろう。録音だけかもしれないが音楽教師(ナクソス島のアリアドネ)やカプリチョ(伯爵とオリヴィエ)も残されている。

 田舎の金持ちで酔っぱらって取り乱すというマンドリーカという役をなぜF=Dが好んだのか分からないが、この役は声楽的にはシュトラウスが書いた最も難しい役の一つであり(F=Dのライバルだったプライはマンドリーカに向いた声だがこの役を歌わなかった)、F=Dの創造意欲をかき立てるものが何かあったのかもしれない。この映像はF=Dの2枚組DVDにほんの一部だけが収録されたことがある。ヴァラディと共演した際はその後私生活で実際に結婚した(F=Dの4度目の結婚だそうだ)というエピローグまでついている。

 しかしこの上演の主役は言うまでもなくデラ・カーザだ。デラ・カーザはザルツブルグ音楽祭にデビューした1947年に作曲家の前でズデンカを歌い未来のアラベラを約束された。50年代当時から決定的なアラベラという評価を得ていたが、1957年のデッカ盤はVPOを初めて振ったショルティの硬い指揮が作品に合っていない。この映像と似たキャストの1963年のDGのライブ盤もあるが、デラ・カーザの調子が悪く声が詰まり気味で伸びやかさに欠けるし、カイルベルトの指揮もこってりして粘り過ぎている。この映像ではデラ・カーザもローテンベルガーもF=Dもシュトラウスのスタイルにピッタリはまって他に何も感じさせない。ハルトマンの格調高い演出もシュトラウス自身のイメージは恐らくこういうものだったに違いないと思わせる。

 ルドルフ・ハルトマンは1946年のカプリッチョの初演でも演出を務めた作曲者お墨付きの演出家だ。作曲家がこのアラベラをばらの騎士の兄弟作品として書いたのと同様に、ハルトマンがミュンヘンで演出したアラベラ(1952年の初演。1958年にはザルツブルグ音楽祭でも上演しその後ウィーンに持ち込まれた)が、ハルトマンが演出しカラヤンが指揮した1960年のザルツブルグ音楽祭の有名なばらの騎士の舞台と兄弟であることを再確認させられる。どちらもデラ・カーザの主役を想定して制作された舞台なのだ。そういう意味でもカラヤンの映画ばらの騎士は本当はデラ・カーザが歌うべきだったのだ。

 この映像は本当に素晴らしい。デラ・カーザ、ローテンベルガー、F=Dは以前紹介した1958年のザルツブルグライブ盤と同じ不動の黄金トリオだ。デラ・カーザの美貌はもちろんのことショートヘアのローテンベルガーも愛らしく、1幕のアラベラとズデンカの2重唱(上記ユーチューブの14分頃から)は音を消したら戦前の映画女優が出ているモノクロ映画を見ているような美しい映像だ。もう一度見ることができて本当に感激だ。デラ・カーザ存命中にぜひ正規DVD化を期待したい。なおこの演奏は今では珍しくなったミュンヘン版を採用しており、2幕フィナーレから切れ目なしに3幕につながっている。

ぜひぜひ多くの人に見て欲しい。これを見ずしてシュトラウスを語るなかれ。

(追記)
アラベラの対訳はいつものようにオペラ対訳プロジェクトを参照。この対訳はシュトラウスが音楽を付けなかった部分(グレーに色づけされている)も含めたホフマンスタールの生台本を訳出したものだそうだ。CDについている対訳本にも載っていない貴重な情報がネットで公開されているとは大変素晴らしい。丁寧な作業に敬意を表したい。
http://www31.atwiki.jp/oper/pages/373.html

バイエルン国立歌劇場がアラベラを日本初演した際の若杉弘氏と大賀典雄氏の対談もユーチューブで見つけた。いずれも故人になってしまった。
http://www.youtube.com/watch?v=NHe0smYhswo
http://www.youtube.com/watch?v=Qfn2ILUEmIU
http://www.youtube.com/watch?v=mYknXJKbNCA

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