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・ウォルトン:ヴァイオリン協奏曲(初演・初稿版)
ヤッシャ・ハイフェッツ(Vn)
シンシナティ交響楽団
指揮: ユージン・グーセンス
(1941年2月18日)
http://ml.naxos.jp/album/8.110939
ウォルトン(1902年3月29日−1983年3月8日)が亡くなった時は日本の新聞やFM雑誌などでも記事が出ていた。1981年に亡くなったバーバーの「弦楽のためのアダージョ」や1982年に亡くなったオルフの「カルミナ・ブラーナ」は当時から知っていたが、私は当時ウォルトンの曲は何も知らなかった。イギリスの現代作曲家であれば「青少年のための管弦楽入門」で有名なブリテン(1976年没)の方が私にはなじみがあったが、ウォルトンもイギリスを代表する作曲家だったことを追悼記事で知った。
シベリウスやエルガー、バーバーと同様にウォルトンのヴァイオリン協奏曲にも現行版と異なる初稿版がある。ナクソスの復刻で初めて聞いた。1939年にロジンスキ指揮クリーブランド管でこの曲を初演したハイフェッツが1941年に録音(世界初録音)しているのが初稿版だ。平林直哉氏の「クラシック名曲初演&初録音事典」によると、当初は初演と同じ顔ぶれでの録音が計画されたがハイフェッツはRCAと契約があり、クリーブランド管はコロンビアとの契約があったため実現しなかったそうだ。
5年前の記事で紹介したハイフェッツの1950年の再録音は改訂版による演奏だ。音質はもちろん再録音の方が優れているが(特にオケ)、この旧盤もヴァイオリンソロの音は結構しっかり入っている。wikiによると改訂は主にオーケストレーション(改訂版は初版よりも打楽器が削減されている)だそうで、1944年にヘンリー・ホルストというヴァイオリニストが初演している。もしヴァイオリンパートにも手が加えられていればハイフェッツが何かのアドバイスをした可能性もあるだろうが、耳で聞いた限りでは大きな変更はないようだ。ウォルトンの著作権はまだ存続しているのでIMSLPで楽譜は入手できないが、楽譜は出版されているはずなので入手して確認してみたい。
この曲はシベリウスの影響を受けていると言われているそうで、確かに第一楽章の出だしからヴァイオリンソロが寂しげだが冴え冴えとした旋律を奏でる点や、音楽がちょっと動き出しては止まってを繰り返す感じが似ていなくもない。しかしシベリウスのヴァイオリン協奏曲が民族色豊かなのに対してウォルトンの作品はもっと前衛的だ。ハイフェッツはシベリウスの協奏曲も1935年にハイフェッツが世界初録音しており、ハイフェッツが新しい作品を積極的に演奏していたことが分かる。
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