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GIUSEPPE VERDI - Aida
IL RE LUIGI RONI Basso
AMNERIS FIORENZA COSSOTTO Mezzosoprano
AIDA MARTINA ARROYO Soprano
RADAMES PLACIDO DOMINGO Tenore
RAMFIS NICOLAI GHIAUROV Basso
AMONASRO PIERO CAPPUCCILLI Baritono
MESSAGGERO PIERO DE PALMA Tenore
SACERDOTESSA JOSELLA LIGI Soprano
Abbado, Claudio (conductor)
La Scala Orchestra & Chorus
1972年9月4日 ミュンヘン
カーティア・リッチャレッリ(アイーダ)
プラシド・ドミンゴ(ラダメス)
エレーナ・オブラスツォワ(アムネリス)
ニコライ・ギャウロフ(ランフィス)
レオ・ヌッチ(アモナズロ)
ルッジェーロ・ライモンディ(エジプト王)
ルチア・ヴァレンティーニ=テッラーニ(巫女)
ミラノ・スカラ座管弦楽団&合唱団
指揮:クラウディオ・アバド
録音:1981年1、6月 ミラノ
https://www.youtube.com/watch?v=Tu4GS1UMRxc
アバドのDGへのヴェルディの録音は先日紹介したマクベスやシモン・ボッカネグラのように実際の上演とほぼ同じキャストで録音されたものと、このアイーダや仮面舞踏会のように実際の上演とは無関係のキャストで離れた時期に録音されたものがある。
アバドは72年の4月〜5月にアイーダをスカラ座で8回上演した後、ミュンヘンオリンピックに合わせて9月にミュンヘンで3回上演した。上記の72年のCDはその時のライブ録音である。ミュンヘンでギャウロフが歌ったのは初日の9月4日だけなので録音日が特定できた。素晴らしい演奏なのだが残念ながらユーチューブでは音声も映像も見つけることができなかった。
若々しく凛々しいドミンゴ、いつもながらアムネリスが似合うコッソット、猛々しいカップチルリ、深々としたギャウロフ、いずれも文句のつけようがない。アーロヨのアイーダもスピントな声で好演だ。後述のカバリエよりもアイーダ向きの声だと私は思う。この素晴らしいキャストで正規録音が行われなかったのは、74年にムーティがこのキャストをほぼそのまま借用して(アイーダだけカバリエに替えて)EMIに録音してしまったからだ。
ほぼ同じキャストなのだからムーティ盤も同じように素晴らしいのだが、ムーティの指揮は良くも悪くもテンポがやや前のめり気味だ。72年のアバドのライブはより落ち着いたテンポの中にも内に込めた躍動感というか情熱が感じられて私には好ましい。ムーティ盤は確かムーティのEMI専属第一弾として華々しくPRされたアルバムでもあったが、72年の時点でDGがアバドとアイーダを録音していたならムーティのその後のキャリアも違ったものになっていたかもしれない。
一方のDGのCDは、ミュンヘンの公演から9年も後になってドミンゴとギャウロフ以外は全く別のキャストに変えて録音されたものだ。アバドは72年以降スカラ座でもウィーンでもアイーダを1度も指揮しなかったので、これが録音用に集められたキャストだということは間違いない。
アバドの場合、マクベスやシモン・ボッカネグラのように上演と同時期に録音されたCDですらライブ映像での生きの良い演奏と比較すると随分と整理された音楽に聞こえる。ましてやこのアイーダのように実際の上演と無関係の録音となると肩すかしなくらい大人しい音楽に聞こえる。アバドはライブで本領を発揮する指揮者だったのだ。本人もそれを自覚したのか80年代後半のウィーン時代以降は、ほとんどのCDをライブで録音するようになった。
おまけにリッチャレルリのアイーダというのも特殊なキャスティングだ。アイーダのような役を彼女の細い声で張り上げて歌うとちょっとヒステリックに聞こえる。リッチャレルリは89年には東京ドームでアイーダを歌ったそうだが(私はパスしたが)、少なくともスカラ座でアイーダを歌ったことは一度もないし、81年時点で舞台でアイーダを歌ったことはなかったと思う。
リッチャレルリがスカラ座で歌ったヴェルディはシモン・ボッカネグラと二人のフォスカリ、ルイーザミラーの3本だけだが、アバドは録音ではアイーダや仮面舞踏会に起用している点が興味深い。また、アバドのヴェルディの録音はシモン・ボッカネグラのガブリエレにカレーラスを起用したのを例外として、他は全てテノールにドミンゴを起用している点も興味深い。
アバドが72年のキャストで正規録音しなかったのは残念だが、81年の録音はアバドがスタジオ録音で見せる別の面を教えてくれたとも言える。
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