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2014年02月

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・シェーンベルク:『グレの歌』

 ジークフリート・イェルザレム(テノール:ヴァルデマール)
 シャロン・スウィート(ソプラノ:トーヴェ)
 マルヤナ・リポヴシェク(メゾ・ソプラノ:山鳩)
 ハルトムート・ヴェルカー(バリトン:農夫)
 フィリップ・ラングリッジ(テノール:道化クラウス)
 バルバラ・スコヴァ(語り)
 ウィーン国立歌劇場合唱団
 アルノルト・シェーンベルク合唱団
 スロヴァキア・フィルハーモニー合唱団
 ウィーンフィルハーモニー管弦楽団
 クラウディオ・アバド(指揮)
 1992年5月ウィーン、ムジークフェラインザール

 M.F.さんが教えて下さった情報によると、2007年のルツェルン祝祭管の北米ツアーの際、急病のアバドに代わってブーレーズがマーラーの3番を振ったことがあったそうだ。アバドとブーレーズ....歳は8つも違うし(ブーレーズは1925年生まれ)、活動拠点もあまり接点がないように思っていたが、よくよく考えてみるとアバドはシェーンベルクあたりは時々振っていたし、ベルクのヴォツェックはウィーン時代の主要レパートリーだった。イタリアのノーノのような現代作品も折に触れて取り上げていたし、意外に近い存在だったのかもしれない。指揮のタイプは異なるが、複雑な作品でも見通しの良い音楽を演奏するという点でも少し共通するものがあると言えないだろうか。

 グレの歌は後期ロマン派の影響が色濃いシェーンベルク初期の大作だ。一般に入手できる演奏は70年代にはブーレーズ盤ぐらいしかなかったが、80年代以降マーラーを主要レパートリーとする指揮者が好んで取り上げるようになってメジャーになった作品だ。小澤、シャイー、シノーポリ、ラトル、ギーレンなど数多くの録音がなされたが、その中でもこのアバド盤はウィーンフィルの官能的な響きが特徴的だ。歌手はブーレーズ盤に及ばない(特にヴァルデマール)もののそれに次ぐ良い演奏だと思う。終盤近くの語りを男性でなく女性を起用しているのは珍しい。

 この演奏もしばらく廃盤だったが昨年出た廉価盤は現在でも入手可能だ。

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ロッシーニ:歌劇「セヴィリアの理髪師」

アルマヴィーヴァ伯爵 / ルイジ・アルヴァ(テノール)
バルトロ / エンツォ・ダーラ(バス)
ロジーナ / テレサ・ベルガンサ(メッゾ・ソプラノ)
フィガロ / ヘルマン・プライ(バリトン)
バジリオ / パオロ・モンタルソロ(バス)
フィオレルロ / レナート・チェザーリ(ソプラノ)
ベルタ / ステファニア・マラグー(ソプラノ)
士官 / ルイジ・ローニ(バス)
アンブロージョ / ハンス・クレイマー(バス)
公証人 / カール・シャドラー
ミラノ・スカラ座管弦楽団・合唱団、
指揮:クラウディオ・アバド、
演出:ジャン=ピエール・ポネル
制作:[映像]1972年8月 ザルツブルク、ミュンヘン[音声]1971年9月 ミラノ
http://www.youtube.com/results?search_query=abbado+Siviglia&sm=3

 アバドが1981年のスカラ座来日公演でも振った十八番の作品だ。この映像と同一のキャストによるロンドンでのレコード録音は当時から評判が高かった。続くチェレネントラや2つの序曲集も含めて70年代は「ロッシーニと言えばアバド」と言われていたといって過言ではないだろう。アバドは1965年にマーラーの復活でザルツブルグ音楽祭にデビューしたのに続いて1968年と1969年にはセヴィリアの理髪師を振っており、アバドのロッシーニ好きはデビュー当初からだったようだ。

 そのザルツブルグでの舞台を演出したのがポネルだった。このプロダクションはザルツブルグでの成功を受けて翌1969年12月9日にはアバドによりスカラ座の演目にも加えられた。両者はほぼ同一のものだと推測されるので、1981年のスカラ座の来日公演でも披露された回り舞台は恐らくザルツブルグの舞台でも見られたのだろう。キャストはフィガロとアルマヴィーヴァ伯爵とバジリオの主役3人がこの映画と1968年の舞台で共通しており、ポネルにとって不動のキャスティングだったことが伺える。
http://www.salzburgerfestspiele.at/archive_detail/programid/271/id/267/j/1968

 映画版はセヴィリアの街がよりリアルに描写されているが、舞台では回り舞台が小気味良くて楽しかったので来日公演の映像もぜひDVD化してほしいものだ。だがいずれにしてもこの映画の成功が4年後に同じくプライの主役、ポネルの演出で制作されたフィガロの結婚の映画(指揮はベーム)につながったことは間違いない。この2つの映画はセットの雰囲気やフィガロの衣装も似ている。

 だが私はこの映画よりもヌッチが主役を歌った来日公演のテレビ放送を先に見ていたので、正直なところプライの歌う「セヴィリア」のちょっとおっとりしてベルカントっぽくはないフィガロには初めは多少の違和感を感じた。少なくとも映画や来日公演で既におなじみだった「フィガロの結婚」のフィガロほどはまり役だとは思わなかった。しかしポネル演出のセヴィリアとしてはプライがオリジナルキャストなのだ。

 しかも助六さんによればプライは「セヴィリア」のフィガロは「タンホイザー」のヴォルフラム、「魔笛」のパパゲーノ、「コジ・ファン・トゥッテ」のグリエルモと並んで最も好きな役だと回想録で述べているそうだ。プライは「フィガロの結婚」のフィガロよりも先に「セヴィリア」のフィガロを持ち役にしたのだ。ピリオド(時代考証)スタイル全盛の今となってはこのようなロッシーニは異色と言わざるを得ないかもしれないが、ここでは一世を風靡したプライのフィガロを楽しむべきだろう。

 なおアバドは80年代後半以降、アバドが蘇演した「ランスへの旅」を除けばロッシーニを振る機会はめっきり少なくなった。しかしウィーン時代の1987年に2回だけ「セヴィリアの理髪師」を指揮している。演出はレンネルトの古いものだが、ヌッチのフィガロ、シュターデのロジーナ、ダーラのバルトロ、フルラネットのバジリオという超豪華キャスティングがすごい。もしも録音が残っていたらぜひ聞いてみたいものだ。

Claudio Abbado | Dirigent
Günther Rennert | Inszenierung
William Matteuzzi | Graf Almaviva
Enzo Dara | Bartolo
Frederica von Stade | Rosina
Leo Nucci | Figaro
Ferruccio Furlanetto | Basilio
http://db-staatsoper.die-antwort.eu/search/person/108/work/18

 アバドのザルツブルグでの1969年の演奏はユーチューブで音だけ聞くことができる。1968年とされる海賊盤CDが以前出ていたのでひょっとしたらそれと同じ演奏かもしれない。
Claudio Abbado, Conductor
Jean-Pierre Ponnelle, Director
Luigi Alva, Il Conte di Almaviva
Fernando Corena, Bartolo
Malvina Major, Rosina
Robert Kerns, Figaro
Paolo Montarsolo, Basilio
http://www.youtube.com/results?search_query=abbado+Siviglia%E3%80%801969&sm=3

(追記)
2014年4月にクラシカジャパンがアバド追悼番組としてブラームスのピアノ協奏曲第二番、ペルゴレージのスターバト・マーテル、ロッシーニのチェレネントラと共にこのセヴィリアの理髪師を放送した。セヴィリア以外の3曲はデジタルリマスターによりハイビジョン化され画質・音質ともに大幅に改善されていたの。これに対して、セヴィリアの理髪師だけは横長ワイドスクリーンにはなっていたもののデジタルリマスター化はされていなかったようでフィルムの経年劣化による画面上のノイズなどはそのまま、画質・音質ともDVDとの差は大きくなかったのは残念だ。

なおこの映画「セヴィリアの理髪師」と同一の演出と映像監督による姉妹作の映画「フィガロの結婚」(ベーム指揮)も2014年9月にクラシカジャパンでニューバージョンが放送された。こちらは映像・音声ともにデジタルリマスターされて従来のDVDよりも改善しているが、画面サイズは4対3のままで「セヴィリアの理髪師」のように横長ワイドスクリーンにはならなかった。同一のスタッフによる作品でも違うフィルムサイズで収録したのだろうか? ちょっと不思議だ。

ちなみにカラヤンが60年代から70年代にかけて大量に制作した演奏会フィルムもリマスターされる際にオリジナル映像が横長ワイドスクリーンのものと4対3のままのものがある。当時の35ミリフィルムの規格に2通りあったということだろうか?

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Disc1
・プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番ハ長調 Op.26
 ユジャ・ワン(ピアノ)
・マーラー:交響曲第1番ニ長調『巨人』
 収録時期:2009年8月12日

・マーラー:交響曲第2番ハ短調『復活』
 エテーリ・グヴァザーヴァ(ソプラノ)
 アンナ・ラーション(メゾ・ソプラノ)
 オルフェオン・ドノスティアラ(合唱団)
 収録時期:2003年8月21日

Disc2
・マーラー:交響曲第3番ニ短調
 アンナ・ラーション(メゾ・ソプラノ)
 アルノルト・シェーンベルク合唱団
 テルツ少年合唱団
 収録時期:2007年8月19日(ライヴ)

・マーラー:交響曲第4番ト長調
・リュッケルトの詩による5つの歌曲
 マグダレーナ・コジェナー(Ms)
 収録時期:2009年8月21、22日

Disc3
・マーラー:交響曲第5番嬰ハ短調
 収録時期:2004年8月18日、19日

・マーラー:交響曲第6番イ短調『悲劇的』
 収録時期:2006年8月10日

Disc4
・マーラー:交響曲第7番ホ短調『夜の歌』
 収録時期:2005年8月17-18日

 ルツェルン祝祭管弦楽団
 クラウディオ・アバド(指揮)
 収録場所:ルツェルン、カルチャー&コンヴェンション・センター内コンサート・ホール(ライヴ)
http://www.youtube.com/results?search_query=abbado%20lucerne%20mahler&sm=3

 アバドはバーンスタイン、ハイティンクに続いてマーラーの録音が多い指揮者だと思うが、その取り組みはやや統一感に欠けた不思議なものだった。3つの全集を完成させられる可能性があったと思うが、結果的には全集としてまとまったのは1つだけだ。

 1度目の取り組みはもともとはシカゴ響とウィーンフィルの2つのオーケストラで進められたものだ。以前紹介した76年の2番から始まって、77年の4番、79年の6番、80年の5番と3番、81年の1番、83年の7番と続いたが、その後はブレーキがかかりウィーンフィルとの9番は87年、最後の8番は94年になってオケをベルリンフィルに替えてようやく収録された。8番の収録が遅くなったため全集のCDがまとめられた際はベルリンフィルとの1番(89年)と5番(93年)、ウィーンフィルとの2番(91年)に差し替えられ、シカゴ響との録音は6番と7番だけになってしまった。私は1番、2番、5番もシカゴ響の旧録を収録した方が全集としてのまとまりは良かったと思う。

 2つ目の取り組みは1番、5番、8番以外のベルリンフィルと録音していなかった6曲を再録音してベルリンフィル単独での全集を目指していた(?)シリーズだ。1999年に3番と9番、2001年に7番をライブで再録音し、ベルリンフィルを退任した後も2004年の6番、2005年の4番と続いた。残すは2番のみになっていたが、2番は2003年にアバドが改組・再編したルツェルン祝祭管との録音を先にCD化してしまったためか、あるいはラトルが2010年にベルリンフィルと録音してしまったためか、アバドとベルリンフィルの再録音は実現しなかった。

 3つ目の取り組みがその2番で2003年に始まったルツェルン祝祭管との映像によるチクルスで、2004年の第5番、2005年の第7番、2006年の第6番、2007年の第3番、2009年の第1番と第4番、2010年の第9番と続いた。残るは8番だけだったが、これもまた実現しなかった。完成すればバーンスタイン以来2つ目の(同一指揮者による)映像のマーラー全集になるはずだったのに残念だ。この輸入盤(日本語字幕はついていない)のブルーレイ4枚組BOXには1番〜7番がまとめられていて9番が入っていない(別にブルーレイで出ている)のが残念だが、ブルーレイの大容量を生かして1枚に2曲ずつの計4枚に収めた点は評価できる(トップメニューに戻る都度にクレジットが再生されるメニューの仕様は煩わしい)。

 アバドの棒は彼の後期スタイルである「全員がソリスト」的な間合いの取り方をした振り方だ。個人的にはアバドが若かった頃のように眉間にしわを寄せてもっとどっしり構えた方が好きだし、全パートの奏者が体を揺らして間合いを取っているのはアップの映像で見ると少々煩わしいが、特にルツェルン祝祭管のように自発的に集まった臨時オーケストラの場合は、このように奏者の自主性を尊重した振り方の方が合っているのかもしれない。

 全体としてバーンスタインやテンシュテットのマーラーのような強烈な個性を放つ演奏ではないが、現代オーケストラ美学によるスマートで模範的な演奏と言えるだろう。アバドの90年代の演奏は時に表面的に感じられたが、闘病から復活したアバドはだいぶ痩せたものの90年代よりむしろ意欲的で生気に溢れている。これでさらにあと一歩、ロンドン響との来日公演の時のような腹にズドンと来るような手応えがあれば文句ないのだが、完成された調和と引き替えにスリルは少々控えめだ。

 特徴的な点をいくつか挙げると、まず5番のアダージェットは速めのテンポで8分半ほどで終わる。アバドのシカゴ響との旧録音を含め80年代以前はここを11分程度かける演奏が多かったが、90年頃に「アダージェットは本来もっと速いはず」という論争があり、アバドは1993年のベルリンフィルとの再録音では9分に高速化していた。メンゲルベルクやワルターの時代とはホールの大きさや響きが違うし「極めて遅く」という指定も書いてあるので、私は「アダージェット」は速度指定というよりは「小さなアダージョ楽章」ぐらいの意味しかないのではないかと思っているが、即座に解釈を変更してしまったアバドは臨機応変と言うか何と言うべきか。

 ちなみにアバドは3番のアダージョ終楽章でも80年のウィーンフィルとの録音では26分半もかけた遅いテンポを採用していたが(これはこれで面白かった)、2007年のこの映像では23分半の概ね標準的な速さで振っている。またこの楽章ではトランペットとトロンボーンをミュートさせるのに黒い布をラッパにかぶせるという手法を使っているのが画面で確認できて面白い。

 他に注記すべき点としては、1番の第三楽章のコントラバスは従来通りのソロで、第五楽章フィナーレのホルンは起立する(ベルリンフィルの映像とこの点は異なる)。アバドはいずれの曲も暗譜で振っているが2009年の1番と4番では珍しく指揮棒を持たないで振っている点も注目だ(2010年の9番では再び指揮棒を持っているので晩年のアバドが指揮棒なしに転向したという訳ではないようだ)。5番の第三楽章のホルンのオブリガートソロはその場で起立して演奏している。6番の第二楽章と第三楽章はベルリンフィルとの再録音同様にアンダンテ→スケルツォの順で演奏している。

 2番と3番のアルトソロはアバドのお気に入りだったアンナ・ラーションが歌っている。4番のソロはコジェナーだ。往年のルートヴィヒやマティス、あるいはポップの名唱とは比べられないが一定の水準は保たれている。声楽付きの2番〜4番で合唱も含めて全員暗譜で歌っている。これは映像で見た場合音楽に集中できて大変好ましいことだ。3番と4番のソロは指揮者脇で歌っているが、2番のソロは舞台左手のオケの奥で歌っている。3番でラーションは曲の冒頭から着席している。4番のコジェナーは第三楽章までは舞台にいないのに間をおかず続けて演奏された第4楽章では既に指揮台脇に登場している。映像を編集した訳ではなさそうなので、第4楽章が始まってから静かに登場したのか? 2番もソリストが最初から着席しているのか途中で登場したのか映像からは分からない。

 オケの配置はいずれもビオラが右手前のベルリンフィル型(フルトヴェングラー型)だ。スカラ座のオケはピット内では両翼(対向)配置だったし、アバドはコンサートでもマーラーの9番のウィーンフィルとの旧録では両翼配置を採用していたが、ベルリンフィルの音楽監督になって以降はフルトヴェングラー型に固執した点が興味深い。クライバーが88年以降は必ず両翼配置を採用していたのとは対照的だ。

 最後に画像が鮮明でカメラワークが概ね適切である点は高く評価できると思う。それだけに全集が完成しなかったことが大変悔やまれる。アバド晩年の円熟した棒を余すことなく堪能できるが、6番に使われている最近よくあるような指揮者を真正面から捉えた映像は音声と左右が逆になるので私は好まない。左側に振った方が良いと思う。

(追記)
下記サイトにアバドとポリーニのインタビュー記事が掲載されていて、「マーラーは、第8番を除いて(ベルリンで)全部やったと思いますが……」というアバドに対してポリーニが「いや、第8番は録音したでしょう。」と応えている。一瞬の勘違いにせよ録音したことすら忘れてしまうほど8番はアバドと相容れないらしい。ひょっとすると1つ目の全集すら本人は全集にするつもりで録音していたのではなかったのかも。上記の通りベルリンで録音し残したのは8番ではなくて2番だ。2番は確か日本公演があったはずなのでライブで録音してしまえば良かったのだが。
http://www.hmv.co.jp/news/article/1401220033/

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Ruggero Raimondi (Don Giovanni)
Cheryl Studer (Donna Anna)
Karita Mattila (Donna Elvira)
Marie McLaughlin (Zerlina)
Anatoli Kotscherga (Commandatore)
Lucio Gallo (Leporello)
Carlos Chausson (Massetto)

Luc Bondy | Inszenierung
Erich Wonder | Bühnenbild
Susanne Raschig | Kostüme
Dieter Sturm | Dramaturgische Beratung
Helmuth Froschauer | Choreinstudierung
Claudio Abbado | Dirigent
1990年5月 アンデアウィーン劇場
http://www.youtube.com/watch?v=ytH35OBhRQo

 アバドは自分に合った作品しか指揮しなかった点でクライバーと共通するものがある。ただしクライバーは特定のポストに就くことを拒否し続けたので好きな作品しか振らなかったのは当然だが、アバドはスカラ座、ウィーン国立歌劇場、ベルリンフィルで監督の要職にありながらも自らのスタイルを通したという点が注目される。プッチーニを振らなかったのは有名な話だが、ヴェルディでも椿姫、トロヴァトーレ、リゴレットあたりの中期作品には目もくれず、シモン・ボッカネグラや仮面舞踏会のような比較的渋い作品にこだわり続けた。

 アバドがウィーン国立歌劇場で振った演目は16作品に過ぎず、これは小澤征爾の19作品よりも少ない。しかもシモン・ボッカネグラが20回、ヴォツエックが16回、ランスへの旅が15回、仮面舞踏会、フィガロの結婚、ペレアスとメリザンド、ホヴァンシチナがそれぞれ14回と、フィガロの結婚を除けば比較的マイナーな作品ばかりを振っている。
(アバドがウィーン国立歌劇場で振った作品)
http://db-staatsoper.die-antwort.eu/search/person/108
(小澤征爾がウィーン国立歌劇場で振った作品)
http://db-staatsoper.die-antwort.eu/search/person/2145

 アバドにとってモーツァルトは重要かつ相性の良い作曲家だったにも関わらず、フィガロの結婚以外にはこのドン・ジョヴァンニを6回振っただけだ。ボンディの演出によるこの公演は、恐らく1991年のモーツァルト没後200年に向けて新制作されたものだろう。NHKのスタッフがウィーンに出張してハイビジョン収録した映像が日本でもBSで放送された。ライモンディやスチューダーと言ったアバドの当時のお気に入りによる演奏はなかなか素晴らしいと思うのだが、どういう事情か私の知る限りLDやDVDで発売されたことは一度もないと思う(翌年アンデアウィーン劇場で演奏したミラー演出のフィガロの結婚はソニーがLDで発売していた)。アバド追悼盤としてぜひDVDかブルーレイで出して欲しいものだ。

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ヴェルディ:
・レクィエム
・聖歌四篇
 「アヴェ・マリア」
 「悲しみの聖母」
 「聖母への讃歌」
 「テ・デウム 」

 シェリル・ステューダー(ソプラノ)
 マルヤナ・リポヴシェク(メゾ・ソプラノ)
 ホセ・カレーラス(テノール)
 ルッジェーロ・ライモンディ(バス)
 ウィーン国立歌劇場合唱団
 ノルベルト・バラチュ(合唱指揮)
 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
 クラウディオ・アバド(指揮)
 録音時期:1991年10月、11月
 録音場所:ウィーン、ムジークフェラインザール

 ベルリンフィルの主席オーボエ奏者アルブレヒト・マイヤーのドキュメンタリーをクラシカジャパンで見た(制作は2006年)。マイヤーはECユースオーケストラ時代にアバドに見込まれて、アバド時代のベルリンフィルに入団したアバドの秘蔵っ子だけにマイヤーがアバドをどう見ているかに注目したところ、マイヤーは「アバドは人との接し方が魅力的で人に向上心を抱かせてもっと良く知りたいと思わせる」そうだ。自分はオケの1メンバーであっても受け入れられた感覚が幸福感をもたらすという。

 なるほど。以前の記事でも書いたように、アバドはベルリンフィルの芸術監督に就任して以降指揮のスタイルが変わってきたように私は感じているが、アバド以降のベルリンフィルの演奏スタイル(ルツェルン祝祭管にも共通する)である「オケの全員がソリスト」的な間合いの取り方の狙いはこういう点にあったのだ。一人一人がまるでソリストのように一つ一つのフレーズを体を使って演奏するのは、アップの映像で見るとちょっと煩わしいと感じることもある。しかしアバドの意図が、マイヤーが感じていたようにメンバーの自主性を引き出すことにあったとすれば、これはまさに狙い通りだったことになる。個人的にはもっと巨匠然と構えたカリスマ型の棒の方がが好きだし、アバドもそう振ろうと思えばできたはずだが、マイヤーがこう証言している以上は協調型の棒のメリットも認めない訳にはいかないだろう。

 さて、アバドは先日紹介したロンドン響とのDVDを除くとヴェルディのレクイエムを3回録音している。1度目は79〜80年のスカラ座盤、2度目は91年のウィーン盤、3度目は2001年のベルリン盤だ(奇しくもカラヤンもスカラ座とウィーンとベルリンで1度ずつ録音している)。私が一番良いと思うのがこの2回目のウィーン盤だ。評論家の間ではスカラ座盤の評価が高いようだが、1981年の来日公演での圧倒的な演奏(私はテレビとFMで聞いただけだが)と比べると随分大人しい。スカラ座でのアバドはスタジオ録音と実演との差が大きいと言われていたが、この曲に関してはそれは当たっていると思う。

 ライブで収録されたウィーン盤は、スカラ座の来日公演ほど激しくはないが流れの良さを感じさせる。それにウィーンフィルの明るい音はベルリンフィルの重たい音よりこの曲には合っていると思う。ソリストも揃っている。この演奏は2006年以降廃盤になっていたそうだが2011年に出たDUOシリーズでは現在も入手可能だ。

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