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Sibelius – Complete Works for Violin and Piano/Solo Works by Bach, Hindemith, Ysaÿe, Paganini
バイオリン:ルッジェーロ・リッチ
ピアノ:シルビア・ラビノフ
URS-90033 (2 CD set)
(追記:このディスクはもう入手は難しいと思うが、ナクソスの配信サービスで聞くことができる)
http://ml.naxos.jp/album/RR022-23
シベリウスつながりで私のとっておきのお気に入りアルバムを紹介しておこう。バイオリンが好きだったシベリウスはチャーミングな小曲をたくさん残しているが、まとまったアルバムはなかなかない。リッチのこのアルバムはシベリウスのバイオリン小品(全集)に加えてバッハとヒンデミットのソナタが2枚目の余白に納められているという少々変わった構成だが、リッチにとってのお気に入り曲集なのかもしれない。
ルッジェーロ・リッチについて知らない方のために書いておくと、1918年生まれのイタリア系アメリカ人である。若い頃からテクニシャンとして知られ1940年代からパガニーニの24の奇想曲の演奏で世界的に名を知られている。長い芸歴を持っており、さすがにこの数年は目立った演奏活動は聞かなくなったが、少なくとも90年代までは録音や演奏活動を活発に行っていた。
バイオリンのテクニシャンというとハイフェッツのような演奏をイメージしてしまうかもしれない。確かに過剰な感情移入をしないでサクサク弾く職人っぽいところは共通してなくもないのだが、音色、特に左手の使い方は全く異なる。明るい音色で大きめのビブラートを多用するリッチの奏法はハイフェッツよりも19世紀流だ。
実はボベスコにも若干その傾向はあるが、ボベスコはパリでティボーに師事しフランコ・ベルギー派のより洗練されたタッチを身に付けている。リッチのビブラートはさらに古風で極端なので、ハイフェッツ以降のスマートなバイオリンしか聴いていない人はちょっとギョっとするかもしれない。
でも私はこういうバイオリンの弾き方も好きなのです。(ハイフェッツも好きだけど)ハイフェッツ以降世界的に主流となったメカニックでメタリックな弾き方だけがすべてではないと思うのです。
リッチが一線で活躍するようになったのは戦後であり、その時点で1901年生まれのハイフェッツはすでに世界的な名声を獲得していた。このためリッチのポジショニングは世界的な潮流とは外れたところに置かれることになってしまった。リッチが生まれるのがせめてもう10年早ければバイオリンの歴史は変わっていたかもしれない。巨匠になり損ねた巨匠とでも言うべきか?
でもリッチの弾き方が特異なものとなってしまったからこそ、このような音色が現在も聴けるのは大変貴重だとも言えるだろう。ぜひ耳の垢を落として先入観抜きでリッチの音色を聴いてみてほしい。この木目のような暖かみのあるビブラートはかなりクセになりますよ(笑)
「遅れてきたヴィルトーゾ」であるリッチの音色を楽しむには「遅れてきたロマンチスト」シベリウスの作品がピッタリくる。1957年没のシベリウスの音楽はリッチにとっては現在進行形なのだ。
香港の111(ワンイレブン)というマイナーレーベルがリッチのディスクをかなり出している。ディスコグラフィーは下記のサイトで見ることができる。
リッチ公式サイト
http://www.ruggieroricci.com/
Sibelius – Two pieces, op. 2 (Romance, Epilogue)
Sibelius – Four Pieces, op. 78 (Impromptu, Romance, Religioso, Rigaudon)
Sibelius – Six Pieces, op. 79 (Souvenir, Tempo di minuetto, Danse caractéristique, Sérénade, Danse-Idylle, Berceuse)
Sibelius – Sonatina in E, op. 80
Sibelius – Five Pieces, op. 81 (Mazurka, Rondino, Valse, Aubade, Minuetto)
Sibelius – Novellette, op. 102
Sibelius – Five Danses Champêtres, op. 106 (Largamente assai, Alla polacca, Tempo moderato, Tempo di minuetto, Poco moderato)
Sibelius – Four Pieces, op. 115 (Moods of the moor (On the heath), Ballade (Tale), Humoresque, The bells (Capriccietto))
Sibelius – Three Pieces, op. 116 (Scène de danse, Danse caractéristique, Rondeau romantique)
Sylvia Rabinoff, piano
Bach – Sonata No. 3 in C major, BWV 1005
Hindemith – Sonata for violin solo, op. 31, no. 2
Ysaÿe – Sonata in D minor, op. 27, no. 3 “Ballade”
Paganini – Duo merveille
Paganini – “God Save the Queen” Variations
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