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「初稿・異稿」特集、管弦楽

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 このブログは(タイトルの通り)クラシックしか扱わないので、私はクラシックしか聞かないと思いになられている方が多分多いのだろうが、実際は結構何でも聞く。日本のポップスであれば福山雅治は1993年(歌手デビュー3年目)から聞いているし、カラオケでも良く歌う。彼は一昨年のNHK大河ドラマで坂本龍馬を演じていたので俳優もやっていることは有名だと思うが、彼が演じる天才だが少し堅物な物理学者が難事件を解決する「ガリレオ」という番組(フジの2007年の連ドラ)が先日再放送されていた。

 言葉で理解できるもの(理屈で説明できるもの)を理解しようとしない女性に対して彼が「分かっていない」と言い、言葉で伝えられないもの(理屈で説明できないもの)を理解しようとしない彼に女性が「分かっていない」と言うシーンには苦笑してしまった。自分もそういう部分が少しあるように思うからだ。でも私はガリレオのような天才ではないし、福山のようなイケメンという訳でもないのでそれではいけないと思う。大らかになるように気をつけようと思う。


・ブルックナー:交響曲第7番ホ長調(室内楽版)
 トーマス・クリスティアーン・アンサンブル
(2004)

 これは見つけ物だ。このディスクは昨年紹介した室内楽版のマーラーと同様、シェーンベルクがウィーンで主宰した「私的室内楽協会(私的演奏協会)」コンサートのための編曲物で1921年夏に初演されたそうだ。編曲はシェーンベルク門下の3人が分担し、ハンス・アイスラーが第1楽章と第3楽章、エルヴィン・シュタインが第2楽章、カール・ランクルが第4楽章を編曲した。

 編成はクラリネット、ホルン、ハーモニウム、ピアノ、弦5部(各1台)の9人だ。ホルンやハーモニウム、ピアノを使っているあたりは室内楽版の大地の歌と共通するが、打楽器を全く使っていないのでさらに小編成になっている。

 正直なところ、室内楽版マーラーは良かったけどブルックナーはどうかなあと思いながら聞いたのだが、これが良いのだ。シンプルな音の中にブルックナーの厳かな音楽を十分表現している。違和感がないどころか、大変心地よい音楽だ。内声部の細かい動きが良く聞こえるのは室内楽のメリットだ。フルオケを使わないでも9人でこれだけの音楽ができるのだ。このバージョンは日本で演奏されたことがあるのだろうか? ぜひもっともっと聴いてほしい。

 室内楽版の7番は他にリノスアンサンブルの演奏があるようだ。以前紹介したマーラーの4番と同時期の1999年の録音だそうだ。全然知らなかった。いずれも国内盤は出ていないと思うが、ぜひ紹介してほしいものだ。
http://ml.naxos.jp/album/C10864

 私的室内楽協会おそるべし。3年間の活動期間中に117回のコンサートが開催されたそうだが、他にどのような編曲が残されているのだろうか。ぜひ聞いてみたいものだ。ブルックナーなら4番か9番あたりもこの路線で編曲できると思うのだが。

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マーラー:交響曲第4番(シュタイン編曲による室内楽版)
アリソン・ブラウナー(ソプラノ)
リノス・アンサンブル
(1999年〜2000年)
http://ml.naxos.jp/album/C10863

 大地の歌に続く室内楽編曲によるマーラーは交響曲第4番だ。これはシェーンベルクに師事したウィーンの作曲家、エルヴィン・シュタインによる編曲だそうで、シェーンベルク編曲の大地の歌と同様「私的室内楽協会(私的演奏協会)」のコンサートのために1921年に編曲されたものだ。シュタイン版のスコアは失われてしまったそうだが、楽器の使用法をメモした原譜スコアから復元して演奏可能な状態になったものだという。編成は、フルート、オーボエ、クラリネット、弦5部、ピアノ、ハーモニウム(ハルモニウム)、打楽器×3、ソプラノとなっている。シェーンベルクの編曲の大地の歌とほぼ同じ編成で、私的室内楽協会おかかえの演奏家がこのようなメンバーだったのかもしれない。弦5部はやはり各1台で指定されており、ルイジ盤の大地の歌の経験からも「室内オケ」に増員しない方が良いと私は思う。

 私が調べたところすでに10種類ものディスクがあるのでこれもディスコグラフィーとしてまとめておこう。私が選んだのは指揮者なしのリノス・アンサンブルが演奏しているカプリッチョ盤だ。これは初録音のノヴァリス盤に続く2番目の録音だ。シュタインの編曲はピアノや打楽器を効果的に使っている点でシェーンベルク/リーン編曲の大地の歌と共通する趣味の良いものだ。ハーモニウムというアコーディオンのようなリードを用いるオルガン(英語圏ではリード・オルガンとも言う)を使っているのも同じだ。この楽器は当時ウィーンで流行ったのだろうか? ネットで調べたところハーモニウムには据え置き型と携帯型の2種類があるようだ。

 私は楽しめたが、室内楽版大地の歌のような衝撃には及ばなかったと思う。大地の歌をピアノや室内楽で演奏することで、フルオケをバックにしたときとは違う叙情的な歌い方が可能になり、歌曲としての表現の幅が大きく広がった。また、室内楽版はではオケの肥大化した響きがそぎ落とされたことで歌曲としての本質がより明確になっただけでなく、東洋的なエキゾチズムはかえって増幅された感もある。

 しかし、4番の場合はもともと(マーラーとしては)シンプルな音楽だったので、室内楽にしたところで音楽の持つ方向性自体は大きくは変わらないのだ。4楽章のソプラノ(グリフィス盤はボーイ・ソプラノ)の歌い方も室内オケだからと言って大きくは変わらない。でもこれはこれとして、フルオケ版のピリオドオケによる演奏(最近ヘレヴェッヘが録音している)と聴き比べてみようと思う。最新のカーティス盤は米国の指揮者アレクサンダー・プラットが校訂を加えたヴァージョンだそうだ。

 ところで、大地の歌と4番に続く室内楽版マーラーとしては9番か7番あたりが出れば作品の新しい魅力を発見できるのではないだろうか? もしも編曲の腕に覚えのある方がいらしたらこのブームが続いているうちに挑戦してはいかがだろう? 全楽章完全ノーカットで、編成は大地の歌や4番と同じように弦5台に少数の管楽器、それにピアノと打楽器とハーモニウムでお願いしたい。恐らく75分ぐらいの演奏になるのでCD1枚に収まると思う。


・ダニエル・ヘルマン(ボーイ・ソプラノ)
 ノーザンシンフォニア グリフィス指揮
 録音:1999年(ノヴァリス)
http://www.hmv.co.jp/product/detail/443013

・アリソン・ブラウナー(ソプラノ)
 リノス・アンサンブル
 録音:1999〜2000年(カプリチョ)
http://www.hmv.co.jp/product/detail/55162

・クリスティーヌ・ブランディス(ソプラノ)
 スミソニアン室内プレイヤーズ、スロウィック指揮
 録音:2002年(Dorian)
http://www.youtube.com/watch?v=xvZlNiOLVl4&feature=fvsr

・クレア・ゴームリー(ソプラノ)
 シドニー・ソロイスツ、ジョン・ハーディング指揮
 録音:2003年頃(オーストラリアABC)

・クリスティアーネ・エルツェ(S)
 トーマス・クリスティアーン・アンサンブル
 録音:2004年 (Mdg)
http://www.hmv.co.jp/product/detail/1388578

・ヘレネ・リンドクヴィスト(S;+)
 ペーター・シュタンゲル指揮タッシェンpo.
 録音:2004年? (preiser)
http://www.hmv.co.jp/product/detail/1800599


・ケイト・ロイヤル(S)
 マンチェスター・カメラータ ダグラス・ボイド(指揮)
 録音:2004年11月4日 マンチェスタ、ノーザン王立音楽院(Avie)
http://www.hmv.co.jp/product/detail/1481125

・ロール・デルカンプ(ソプラノ)
 オクサリス
 録音:2008年(Fuga Libera)
http://www.hmv.co.jp/product/detail/3550894

・ヘザー・シップ(メゾ・ソプラノ)
 オーケストラ・オブ・ザ・スワン デイヴィッド・カーティス(指揮)
 録音時期:2009年3月25日 (Somm Recordings)
http://www.hmv.co.jp/product/detail/4086766

・ディアンナ・ブレイウィック(ソプラノ)
 マーティンゲール・アンサンブル
 ケン・セルデン(指揮)
 録音時期:2011年1月(MSR classics)
http://www.hmv.co.jp/product/detail/4235163


シュタイン編曲の4番はユーチューブでもすでにかなりの映像がアップされている。
http://www.youtube.com/results?search_query=mahler+symphony+4+stein&aq=f

 大地の歌の歌詞は中国語を直接ドイツ語に翻訳したのではないため歌詞はかなり変わってしまっているという話を以前書いたが、中国語の元の詩を大地の歌の歌詞と比較したサイトを見つけた。下記のHPの第24回〜第27回にある「大地の歌にまつわる7つの唐詩」を参照してほしい。
(ちゅうごくちゅうどくHP)
http://www.geocities.jp/taakii9/haohao/hao-gokudoku.html

 さて、このブログは1記事5000文字という制限があって、文字数を超えると追記できないので室内楽版(および室内オケ版)の大地の歌のディスコグラフィーだけ別記事に移すことにした。5000文字というと原稿用紙12枚以上ですごい分量のような感じがするが、半角英数字も1文字としてカウントされているようなので実際はそんなに大したことはない(笑)。

 私が現時点までに確認しているのは下記の13種類だ。このうちRCAのウィッグルズワース盤は1995年に国内盤が出たことがあるが、他は国内盤で出たことはあるかどうか? いつも同じ「名曲名盤」ばかり紹介しているレコード会社も某出版社もそうだが、新しい音楽を紹介しなければ市場はどんどん縮小すると思う。

 ルイジ盤は昨日の記事にした通り、弦5部を各1台ではなく弦楽合奏に増強した「室内オケ」版となっている。ルイジ以外にもジョルダンやメストといったフルオケ系指揮者の演奏は弦5部を増員した「室内オケ」版の可能性がある。ヴァンスカはユーチューブでちょっと聞いた限りでは恐らく各一台の「室内楽」版だ。スミソニアン・チェンバー・プレイヤーズはアルトでなくバリトンを起用している。助六さんの情報によるとジョルダン盤のヘトヴィヒ・ファスベンダーという人はブリギッテ・ファスベンダーとは関係ないそうだ。

・アンサンブル・ケルン ロベルト・HP・プラッツ指揮
 シュミットヒーゼン(メゾ)、バルディン(テノール)(独Canterino 1989)

・フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮アンサンブル・ミュジク・オブリク、
 レンメルト(A)、ブロホヴィッツ(T) (ハルモニアムンディ、1993)
http://www.hmv.co.jp/product/detail/930622

・プレミエ・アンサンブル 指揮:ウィッグルズワース指揮
 リグビー(アルト)、ティアー(米RCA 1993)
http://artist.cdjournal.com/d/-/1195050718

・ラハティ室内アンサンブル、ヴァンスカ指揮
 グローブ(メゾ)、シルヴァスティ(テノール)、(BIS 1995)
http://ml.naxos.jp/album/BIS-CD-681

・アンサンブルコントルシャン、ジョルダン指揮
 ヘトヴィヒ・ファスベンダー(メゾ)、ワークナー(テノール)(Cascavelle 1995)

・シャロウン・アンサンブル メスト指揮
 カリッシュ(アルト)、エルスナー(テノール)、(独IPPNW-Concerts 1999L)
http://www.hmv.co.jp/product/detail/787835

・MDR交響楽団(ライプツィヒ放送交響楽団) ファビオ・ルイジ指揮
 ゾッフェル(メゾ)、ミュラー=ローレン(テノール)(独Querstand 1999)
http://www.hmv.co.jp/product/detail/1092719

・オクサリス・アンサンブル
 ヴァン・レイセン(メゾ)、ポスト(テノール)(ベルギーFuga Libera 2005)
http://www.hmv.co.jp/product/detail/1204493

・ヨーロピアン・チェンバー・ソロイスツ ニコル・マット指揮
 ハーゼ(メゾ)、サンス(テノール)(蘭ブリリアントクラシクッス 2006)
http://www.hmv.co.jp/product/detail/1240578

・スミソニアン・チェンバー・プレイヤーズ ケネス・スロウィック指揮
 ブラウン(Br)エルウィス(T)、(Dorian)
http://www.hmv.co.jp/product/detail/2672198

・ドゥラレイ・チェンバー・プレーヤーズ スコット・ティリー(指揮)
 ウィリアムズ(メゾ・ソプラノ)、W.スパークス(テノール)(Centaur Records 2007)
http://tower.jp/item/2841417/

・マンチェスター・カメラータ ダグラス・ボイド指揮
 アーウィン(メゾ・ソプラノ)、ウェッド(テノール)、(Avie 2010)
http://www.hmv.co.jp/product/detail/3820338

・オーケストラ・オブ・ザ・スワン ケネス・ウッズ指揮
 カーティス(コントラルト)、ギロリー(テノール)、(Somm Recordings)
http://www.hmv.co.jp/product/detail/4087351

このうち3つの演奏をユーチューブで聴くことができる。いずれも弦5部は各1台の「室内楽」版のようだ。ちなみにヴァンスカ盤のシルヴァスティはフルオケ版を2003年にベルティーニ指揮東京都交響楽団と日本で演奏しライブ録音もCD化されている。

・フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮アンサンブル・ミュジク・オブリク、
 レンメルト(A)、ブロホヴィッツ(T) 録音:1993年4月
http://www.youtube.com/results?search_query=Herreweghe+mahler+erde&aq=f

・プレミエ・アンサンブル 指揮:ウィッグルズワース指揮
 リグビー(アルト)、ティアー(米RCA 1993)
http://www.youtube.com/results?search_query=Wigglesworth+erde&aq=f

・ラハティ室内アンサンブル、ヴァンスカ指揮
 グローブ(メゾ)、シルヴァスティ(テノール)、(BIS 1995)
http://www.youtube.com/results?search_query=mahler+erde+lahti&aq=f

 他にyoutubeで室内楽版の映像を4つも見つけた。いずれも弦5部は楽譜通り各1台で演奏しているようだ。私は弦を増員した「室内オケ」よりも楽譜の指定通り各1台の「室内楽」の方が良いと思う。はじめの2つはロシアで演奏でStanislav KOCHANOVSKYという指揮者が2007年1月と2011年3月に振ったものだ。この指揮者はよほどこのバージョンが好きなのだろう。歌手は知らない人ばかりだがどちらもの演奏もなかなかしっかりしている。
http://www.kochanovsky.ru/index_files/Page266.htm

http://www.youtube.com/watch?v=_ad1I_WyET4
Alexandr Timchenko, tenor
Maria Uvarova, mezzo-soprano
Stanislav KOCHANOVSKY
Ensemble of the Mariinsky Theatre Orchestra
Recorded live at the Foyer of Mariinsky Theatre
13 January 2007

http://www.youtube.com/results?search_query=mahler+erde+Tallinn+Chamber+Orchestra&aq=f
Mati TURI, tenor
Annely PEEBO, mezzo-soprano
Tallinn Chamber Orchestra
Stanislav KOCHANOVSKY
live from Metodistic Church
Tallinn, 27 May 2011

 もうひとつはアメリカのウィラメット大学で2011年4月にアジア系の指揮者が振ったもの、最後のものはバルセロナでの演奏だ。
http://willamette.edu/cla/music/performance/new_music/


http://www.youtube.com/results?search_query=New+Music+at+Willamette+20th+anniversary+concert
Allison Swensen-Mitchell, mezzo-soprano
Les Green, tenor
Hekun Wu, conductor
Violins: Anthea Kreston and Casey Bozell
Viola: Clark Spencer
Cello: Jason Duckles
Bass: Kevin Deitz
Piano: Elise Yun
Harps: Jeff Parsons and Andrea Weiss
Celesta: Phil Taylor
Flute/piccolo: Sarah Tiedemann
Oboe/English horn: Mitch Iimori
Clarinet/bass clarinet: Natalie Pascale
Bassoon: Helena Spencer
French horn: Joe Berger
Percussion: Florian Conzetti and Chris Whyte
April 29, 2011 at 7:30pm
Hudson Hall, Willamette University

http://www.youtube.com/watch?v=JTHhDDw0IlM&NR=1
conductor - Eduardo Lopes
Ensemble Instrumental de Barcelona
Schoenberg version concert in Spain 4 july 2005

 youtubeでは声楽なしの室内楽演奏の映像も見つけた。これはすごい(笑)。でも合っているような気もする。ぜひ全曲聞いてみたいものだ。
http://www.youtube.com/watch?v=1L7cOGWiAbU
Arranged & performed by Alfred Wong 黃學揚 (piano), Ricky Yeung (dizi), Charles Kwong (clarinet) & Jimmie Jim (cello)

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 大地の歌がマイブームで止まらない。きっとマーラーの音楽ははまるとやめられない音楽なのだろう。私もはまりやすい性格なのだろうが(笑)。


・マーラー:交響曲『大地の歌』(シェーンベルクとリーンの編曲による室内楽版)
 ドリス・ゾッフェル(Ms)
 ヴォルフガング・ミュラー・ロレンツ(T)
 MDR交響楽団(ライプツィヒ放送交響楽団)
 ファビオ・ルイジ(指揮)
 (1999年)

 この室内楽版大地の歌は、OEKの2005年の日本公演同様に弦楽5部を各1台ではなく合奏に増強して演奏している。これは「室内楽」というよりは「室内オケ」と言うべきだろう。この編成による演奏を早く聞きたくて、このディスクはネットで買えば1600円なのだが店頭で2100円で買ってきてしまった。室内楽版のヘレヴェッヘとブロホビッツの演奏があまりに素晴らしかっただけに、ルイジ、ゾッフェル、ミュラー・ロレンツという有名どころが揃ったこの演奏をわくわくして聞いたのだが、結果は....悪くはないがヘレヴェッヘ盤には及ばなかった。

 まず、このCDは2005年に発売されたのだが録音は1999年と結構古いのだ。ライブではないが恐らく放送用のスタジオ録音を後からCD化したのだろう。そのせいか演奏編成に関する情報はジャケットに一切触れられていないので弦5部を何人で演奏しているのか分からないが(弦が各1台の室内楽とはだいぶ響きが異なるのでジャケットに明記するべきだと思う)、音を聞いた感じでは結構多そうだ。恐らく弦楽器だけで20人近くいるのではないだろうか。

 おまけにライプツィヒのパウル・ゲルハルト教会での録音が残響過多で、この編曲で特徴的に扱われているピアノの音が遠くに霞んでしまっている。全体として弦楽器やホルンなど通常のフルオケ版でも良く聞こえてくる音だけが強調されて、ピアノ版と良いとこどりをした感じは大きく後退している。悪い演奏ではないのだが、わざわざ室内楽版で演奏する意図が感じにくく、この解釈で演奏するのであれば普通にフルオケで演奏すれば良いのではないだろうか。ミュラー・ロレンツの重たい声による熱唱もフルオケ版向きで、ブロホビッツが室内楽版ならではの叙情的な名唱を聞かせたのとは大きく趣味が異なる。

 マーラーやシェーンベルクの編曲ものとしては、マーラー編曲のバッハの管弦楽組曲、ベートーベンの弦楽四重奏曲第11番、シューベルトの死と乙女、シェーンベルク編曲のブラームスのピアノ四重奏曲などが有名だが、これらはいずれも編成を大きくする、悪く言えば後期ロマン派風の肥大化した響きにアレンジする点に特徴があった。私はそれが苦手だったのであまりこの手の編曲ものを聴いていなかったのだが、この大地の歌の室内楽版は、編成を絞る、つまり音をそぎ落として音楽の本質だけを残す方向のアレンジがされている点で大きく異なるのだ。私は弦5部を合奏にして「室内オケ」で演奏するのではなく楽譜通り各1台の「室内楽」の方が良いと思った。このシェーンベルク編曲版の特徴については下記HPの情報も参照されたい。
http://decafish.blog.so-net.ne.jp/2011-02-11-1

 なお、ルイジは今年コンセルトヘボウでフルオケ版を指揮しており、その映像をユーチューブで見ることができる。やはりこの人にはフルオケ版の方が合っているような気がする。オケはチェロが右のストコフスキー型配置だ。ヨッフムの来日時にはヴィオラが右のフルトヴェングラー型だったが、ヤンソンスの第九やマーラーの復活もストコフスキー型になっておりコンセルトヘボウはこの配置が標準のようだ。
http://www.youtube.com/results?search_query=mahler+luisi+erde&aq=f
Anna Larsson, alto
Robert Dean Smith, tenor
Royal Concertgebouw Orchestra
Fabio Luisi
Gewandhaus Leipzig 22 May 2011, 11 am

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・マーラー:大地の歌(作曲者によるピアノ伴奏版)
 ブリギッテ・ファスベンダー(メゾ・ソプラノ)
 トーマス・モーザー(テノール)
 シプリアン・カツァリス(ピアノ)
 録音:1989年9月
http://www.hmv.co.jp/product/detail/2664344

・マーラー:大地の歌(シェーンベルクとリーンの編曲による室内楽版)
 フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮アンサンブル・ミュジク・オブリク、
 レンメルト(A)、ブロホヴィッツ(T)
 録音:1993年4月
http://www.hmv.co.jp/product/detail/930622
(追記:ユーチューブに何曲かアップされているのを見つけた)
http://www.youtube.com/results?search_query=Herreweghe+mahler+erde&aq=f

 まず作曲者自身によるピアノ版大地の歌は、オケ版の編曲ではなくオケ版と並行して作曲された別の作品で、オケ版とは小節数や音、歌詞が一部で異なるほか、第3曲から第5曲の表題が変えられているそうだ。下記HPによると例えば第5曲の「春に酔う人」(ピアノ版では「春に飲む人」)では、第4連の「春」の語の3回の繰り返しを2回に減らしている、第6連一行目の繰り返しがオケ版では単純な繰り返しだがピアノ版では変化がついているなどの違いがあるそうだ。でも楽譜を入手して比べないとこの違いを音だけで聞き分けるのはなかなか難しいと思う。
(梅丘歌曲会館HP)
http://homepage2.nifty.com/182494/LiederhausUmegaoka/songs/M/Mahler.htm

 マーラーの死後、ピアノ版の自筆譜は妻アルマが所持していたが、アルマは1950年代に画商のオットー・カリルに贈り、これをステファン・ヘフリングが校訂したものが1989年にマーラー全集の補巻として出版された。これによりオケ版とピアノ版との比較研究が可能になり、1990年に出版されたオケ版のクリティカルエディションにはその成果が反映されているそうだ。

 世界初演は、1989年5月15日の東京(国立音楽大学講堂)で、ヴォルフガング・サヴァリッシュ(ピアノ)、マリャーナ・リポブシェク(アルト)、エスタ・ヴィンベルイ(テノール)によるものだった。その時の映像がニコニコ動画にアップされているのでアカウント登録すれば見ることができる。
http://www.nicovideo.jp/watch/sm7558099

 同年9月に録音されたこのディスクは世界初録音だ。ピアノ版の初演が日本であったことも、カツァリスが録音したことも当時から知っていたが、私はこの頃はこの曲を交響曲として聞いていたのでまるで関心がなかった。しかし最近は歌曲として聞くようになったので、であればピアノ伴奏もいいかもと思って聞いてみた。やはりいい。世界初演を聞き逃したのが大変残念だ。マーラー自身が残したこのバージョンを聴けば、この曲は歌曲であることにだれしもが同意するのではないだろうか。オケの音に耳を奪われずに歌に集中できるのでこの歌の本来の姿がよりはっきり伝わる。これで1000円なら激安だ。

 同時期にモーザーはショルティ盤で、ファスベンダーはジュリーニ盤でも歌っているが、声を強く張り上げる必要がないので、オケ版とは多分だいぶ違う歌なのではないだろうか。ショルティ盤やジュリーニ盤と聴き比べもしてみたくなった。ピアノ版はこれ以外に3種類あるようだ。ラーデマン盤のようにアルトの代わりにバリトンを起用した演奏はオケ版でもあるが、アルトの代わりにソプラノの西松甫味子が歌った盤は珍しい。また、ソプラノの平松英子が独唱で全曲を歌った珍しいバージョンの演奏もある。下記HPで試聴できるのでぜひ聞いてみてほしい。

・西松甫味子(S)伊達英二(T)古川泰子(P)(音楽之友社 1992)

・ベルンハルト・ベルヒトルド(テノール)ヘルミーネ・ハーゼルベック(メゾ・ソプラノ)
 マークス・フォルツェルナー(ピアノ)(Avi 2008)

・ロバート・ディーン・スミス(T)イヴァーン・パレイ(Br)
 シュテファン・マティアス・ラーデマン(p) (Telos Records)

・平松英子 (sop)野平一郎 (pf)(ミュージックスケイプ 2002)
http://www.musicscape.net/cd/mscd0012j.html

 一方の室内楽版大地の歌は、シェーンベルクがウィーンの保守的な批評家や聴衆に対抗するため新ウィーン学派の作曲家を集めて1918年に発足させた「私的室内楽協会(私的演奏協会)」(恐らく会員制の予約演奏会のようなものだろう)のコンサートのために編曲されたものだ。だが、シェーンベルクは1920年に編曲を開始したものの冒頭のスコア21ページ分を書いただけで未完に終わってしまい、1983年になって音楽学者で指揮者のライナー・リーンが加筆して完成させた。楽譜はユニバーサル(ウニヴェザール)出版から出版されているそうだ。編成はフルート(ピッコロ持ち替え)1、オーボエ(イングリッシュホルン持ち替え)1、クラリネット(バスクラリネット持ち替え)1、ファゴット1、ホルン1、パーカッション3、ハルモニウム(チェレスタ兼)1、ピアノ1、弦5部各1だ。

 この手の編曲物は以前聞いたマーラー編曲のバッハの管弦楽組曲が微妙だったのでこれまで敬遠していたのだが、これはいい。オケ版とピアノ版の良いとこ取りを狙ったようなこういうアプローチは、結局どっちつかずでどちらの良さも失ってしまうことの方が多いように思う。しかしこれはオケ版の色彩感とピアノ版の透明感の両方を兼ね備えている。

 室内楽の澄んだ響き、しかし打楽器なども使ってほどほどに華やかな響きがオケ版以上にエキゾチックで、ある意味で東洋的な虚無の空間を作り出している。1930年頃の西洋化され始めた頃の上海あたりのサロンの雰囲気だ。知らなければマーラー自身の編曲だと言っても気がつかないのではないだろうか。室内楽版大地の歌はこのヘレヴェッヘの演奏を含めてすでに13種類ものディスクがあるようだ。マーラー自身のピアノ版よりもはるかに多く録音されているという事実は驚くべきことだ。これはこの手の編曲物としては異例の大ヒットではないだろうか。ピアノ版はやっぱり渋すぎるという方にもぜひお勧めしたい。

 私は選んだヘレヴェッヘとブロホヴィッツの演奏は1992年のアンサンブル・ケルン盤に続く2番目の録音で、現在出ているのは再発の廉価盤だ。ヘレヴェッヘとシェーンベルクやマーラーはなかなか結び付かないので(最近自主レーベルでマーラーをピリオドオケと録音し始めたようだが)、こんなに早い時期にシェーンベルク編曲のマーラーを取り上げていたとは大変意外だ。ブロホヴィッツはオケ版ではこの曲を録音していないと思うが、彼のようなそれほど重たくない声のテノールでも歌えるのは室内楽版のメリットと言えるだろう。

 期待通りの内容で大変満足しているが、これだけ良いと他の演奏も聞きたくなってきた。ゾッフェルもオケ版での大地の歌をまだ録音していないと思うがルイジ盤で歌っているので聞いてみようと思う。ルイジ盤は弦5部を数人ずつに増員しているそうなので、これは「室内楽」というよりは「室内オケ」と言うべきだろう。きっと室内楽版のヘレヴェッヘ盤ともフルオケ版とも違った響きがするだろう。


(追記)
 室内楽版は日本でも2005年のOEK(オーケストラアンサンブル金沢)など演奏の機会が増えているようだ。下記のファンページによると、この時の演奏はソプラノ(白井光子)とテノールによる演奏で、ルイジ盤同様に弦5部を14台に増員した「室内オケ」版だったそうだ(4−4−3−2−1)。フルオケ版にはアルトの代わりにバリトンでも良いという指定があるが、ソプラノを使っている演奏は私が知る限りない。もし録音が残っていたらぜひCD化してほしい。
(OEKファンページ)
http://oekfan.web.infoseek.co.jp/review/2005/1111.htm

 私はチェックし損なったが、2008年のラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンでも演奏されたそうだ。指揮はフランソワ=グザヴィエ・ロト、オケはオーケストラ レ・シエクル、メゾソプラノはイザベル・ドリュエ、テノールはパスカル・ブルジョワというフランスメンバーだ。下記ブログによるとオケは弦楽器を増員した「室内オケ」ではなく、楽譜通り各1台の「室内楽」だったようだ。
http://blog.goo.ne.jp/lfj_gw/e/a29d33e560e5515a3f7d6b12fe54f607

 イギリス在住の方が作られている下記サイトの情報によると、バリトン版の大地の歌を積極的に歌っているハンプソンも今年の2月に室内楽版を採り上げたそうだ。指揮はパッパーノでテノールはフォークトだ。このブームはもはや本物だろう。
http://mblog.excite.co.jp/user/dognorah/entry/detail/?id=16000584
At Gadgan Hall on 27 February 2011
Orchestra of the Royal Opera House
Antonio Pappano: Conductor/Piano
Thomas Hampson: Baritone
Klaus Florian Vogt: Tenor

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