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R.シュトラウス

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至誠にして動かざる者は未だこれ有らざるなり

 吉田松陰の言葉で、誠意を尽くして事に当たれば、どのようなものでも必ず動かすことができるという意味だそうだ。そういう志は持ち続けなければならないと思う。

 日本は未だかつて無い厳しい環境にあるが、ここで自分が何をするべきか、しなければいけないかを考えるために、幕末に学ぶことは多いのではないだろうか。私も実は吉田松陰の本を何冊か買ったところだ。

 
・モーツァルト:小さな糸紡ぎ娘K.531、
・グルック:流れる小川に(歌劇『思いがけないめぐり会い(メッカの巡礼)』より)、
・シューベルト:音楽に寄せてD.547, Op.88-4、
・ヴォルフ:フィリーネ(『ゲーテ歌曲集』より)/もしあなたの家がガラスのように透明だったら(『イタリア歌曲集』より)
[ソプラノ]エリーザベト・シュヴァルツコップ[ピアノ]ジェラルド・ムーア
[収録]1961年12月30日BBCスタジオ(ロンドン)[映像監督]ウォルター・トッズ

・モーツァルト:警告(男たちはいつでもつまみ食いしたがる)K.433(416c)/我皇帝たらんものK.539、
・シューベルト:至福D.433/シルヴィアにD.891, Op.106-4、
・シューマン:くるみの木Op.25-3(『ミルテの花』より)、
・ブラームス:甲斐なきセレナードOp.84-4/谷間にWoO.33, No.6(『ドイツ民謡集』より)
・ヴォルフ:捨てられた娘(『メーリケ歌曲集』より)/わたしの長い髪のかげで(『スペイン歌曲集』より)、
・R.シュトラウス:あすの朝 Op.27-4/私の父は言いましたOp.36-3
[ソプラノ]エリーザベト・シュヴァルツコップ[ピアノ]ジェラルド・ムーア
[収録]1970年3月22日BBCスタジオ(ロンドン)[映像監督]パトリシア・フォイ

・R.シュトラウス:憩え、わが魂Op.27-1/わが子にOp.37-3/献呈Op.10-1/森のしあわせOp.49-1
[ソプラノ]エリーザベト・シュヴァルツコップ
[指揮]ベリスラフ・クロブチャール[演奏]フランス国立放送管弦楽団
[収録]1967年12月サル・プレイエル(パリ)[映像監督]アニー・エジュー
http://www.classica-jp.com/program/detail.php?classica_id=CE1055

 クラシカジャパンでシュヴァルツコップの映像が流れていた。全てDVD化されているが、日本語字幕はやはりありがたい(DVDの方が1967年のオーケストラコンサートの曲目が少し多い)。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/2776555

 特に1970年のカラー映像は珍しい。シュヴァルツコップのカラー映像は他に有名な「ばらの騎士」の映画があるぐらいだろうか。確か1974年の日本での最後のリサイタルをNHKがテレビ放送していたような記憶があるのだが、ビデオには残っていないのかもしれない。テレビ用のスタジオ収録のようだが曲目はパーソンズと1972年に来日した際のリサイタル(CD化されている)と似通っている。キャリア晩年の十八番だったのだろう。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/3759699

 1967年のR.シュトラウスのオーケストラ歌曲の映像も珍しい。同時期にセルとの有名なEMI盤も収録しており、晩年のシュヴァルツコップにとってシュトラウスが大切なレパートリーだったことが分かる。カラヤンとバラの騎士とセルとのオーケストラ歌曲集には私も大変お世話になった。正直なところ今にして聞き返すと少々表現が濃厚過ぎるかなと思わなくはない。今の私ならデラ・カーザをより好むが、まとまったオーケストラ歌曲集は長いことシュヴァルツコップ盤しかなかったのだ。もしシュヴァルツコップが録音してくれなかったら私のシュトラウス狂いもなかっただろう。大変に感謝しております。

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 ノートPCを久しぶりに買い換えた。Windows7とOffice2010の環境になった。今年の年末にはWindows8が発売されるらしいし、今使っているWindowsXPのサポート期限(2014年4月)まであと2年もあるので本当は急ぐ必要はない。だがHDDがいっぱいになってきたし、最近のノートPCは横長のワイド画面で文字の細かいモデルばかりになってしまったので私の好きなXGA(1024×768)画面の機種はすでに製造中止、もう在庫分しかないのだ。

 ワイド画面はパームレストが狭くて手を置く場所が少なくなるし、キーボードとスライドパッドの位置が非常に近くて親指が誤って触れてしまうので好きになれない。親指がスライドパッドに触れないように恐る恐る叩いていたのではパームレストに手を落ち着いて置いていられない。最近のウルトラブックでは外付けマウスで操作することを前提にしてスライドパッドの機能をオフにできる機種すらあるようだが、それでは本末転倒だろう。スライドパッドとキーボードを離して誤操作がそもそも起きにくくすることの方が重要だ。

 というわけで、今使っているのと同じPanasonicの同じような形のノートPCを選んだところ、正直あまり変わり映えはしない(笑)。今まで使っていたOffice2007はファイル形式が.docxに変更されたり、メニューが「リボン」表示になる2003とはだいぶ変わったが、今度の2010では「形式を指定して貼り付け」が右クリックで選びやすくなったぐらいだろうか。OSやOFFICEなどのサービスパックやバグfixのアップデートが80もあって随分時間がかかったのにも辟易した。それでも新しいPCは気持ちがいいものだ。これで3年ぐらいは大丈夫だろう。


・R.シュトラウス:ヴァイオリン・ソナタ 変ホ長調 Op.18
 ギドン・クレーメル(ヴァイオリン)
 オレグ・マイセンベルク(ピアノ)

 1977年3月5日(ステレオ)
 1995年(デジタル)


 R.シュトラウスは作曲家としての人生を自分で設計していたようで、若いときはまず室内楽、次に交響詩、最後にオペラと決めていたようだ。このため彼の室内楽作品はほとんどが若書きだが、以前紹介したチェロソナタも含めてなかなか良く書けていると思う。この曲はハイフェッツの愛奏曲として知られ1972年のラストリサイタルのライブを含めて数種の録音が残されているが、そのためか最近の他のヴァイオリニストはあまり演奏したがらない。

 それでも昔は1939年のヌヴー盤や1953年のリッチ盤などの注目すべき録音があったが、ステレオ時代に入ってこの曲は全く流行らなくなり、1975年のレコード芸術の総目録には現役盤が1枚も載っていない! ハイフェッツ以外メジャーレーベルの国内盤は恐らく1965年のシュナイダーハン盤から1986年のシャハム盤まで出ていなかったのではないだろうか。ブルッフ、コルンゴルド、エルガー、グラズノフ、プロコフィエフなどハイフェッツのレパートリーをカバーしたがるパールマンもなぜかこの曲は録音していないと思う。この曲の録音が増えてきたのは90年代からだ。

 意外にもクレーメルはこの曲が好きなようで、1995年のDG盤以外にもソビエトでの1977年の録音が「クレーメル・エディション」に入って正規発売された。クレーメルはパールマンと違ってハイフェッツ特有のレパートリーをカバーしたがらないが(やはり敢えて避けている?)、この曲はソヴィエト時代から繰り返し演奏しているということは何か思い入れがあるのかもしれない。

 伴奏者は同じだがストレートに突き進んだ1977年盤と弱音でのひっそりとした表現を重視した1995年盤とではテンポも表情が少なからず異なる。クレーメルの楽器はストラディバリウス→グァルネリ→アマティと変わっているらしいので楽器の違いもあるだろう。CDにはソリストが何の楽器を使っているのかを明記してほしいものだとつくづく思う。1977年盤は伴奏が少しガンガン弾きすぎている感じだが、どちらもこの曲の注目すべき演奏だと思う。

 クレーメル・エディションには1967年から1992年まで長期に渡る演奏が収録されている。レーガーのソナタなど興味深い音源が含まれているので追々紹介したい。

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・モーツァルト:交響曲第35番ニ長調 KV 385『ハフナー』
・R.シュトラウス:交響詩『ドン・ファン』 op.20
・ラヴェル:『マ・メール・ロワ』組曲
・ラヴェル:『ダフニスとクロエ』組曲第2番
 ウィーン・フィルハーモニー
 アンドレ・クリュイタンス(指)
 録音:1955年5月15日、ウィーン、ムジークフェラインザール(モノラル)

 これはクリュイタンスのVPOデビューコンサートの録音だ。先日の助六さんのコメントにもあったように、この日はオーストリアが戦後の独立を果たした記念すべき日でもある。日本は1952年4月28日に戦後の独立を果たしているが、オーストリアの独立はそれより3年も遅いとは知らなかった。

 ハフナーの後に急に演奏されたオーストリア国家は残念ながら入っていない。国家だけ録音しなかったとは考えにくいのでそのまま入れた方がドキュメンタリーとしての価値は高まっただろうに残念だ。ジャケット解説にもオーストリアの独立については何も触れていない。ひょっとしたらALTUSはなぜハフナーの後に国家が演奏されているのか理由が分からなかったのではないだろうか? しかし、フルトヴェングラー時代とは明らかに違う、推進力と艶のある響きからは確かに新しい時代の産声が聞こえてきそうだ。

 ドン・ファンは先日紹介したEMI盤よりも緩急の変化が激しくついたノリの良い演奏だ。EMI盤も良い演奏だが録音がイマイチということもあって、同じモノラルでもこちらの方が若々しく感じる。ラヴェルも期待通りにVPOの色彩感がクリュイタンスの趣味の良い棒に反応してなかなか聴きごたえがある。VPOが演奏するラヴェルは80年代以降は珍しくなくなったが、この時代のラヴェルはかなり珍しいと思う(1951年のフルトヴェングラー指揮とされるスペイン狂詩曲のライブなど全くないわけではないが)。カラヤンとはラヴェルを録音していないし恐らく演奏したこともない。
 
 クリュイタンスはこの年バイロイト音楽祭に「タンホイザー」で、翌1956年にはウィーン国立歌劇場に「トリスタンとイゾルデ」でデビューし、ドイツ・オーストリア圏での名声を獲得した。ここから、わずか62歳で亡くなる1967年までが彼の最盛期と言えるだろう。VPOはこの演奏会を機会にクリュイタンスにほれ込み、1956年の米国ツアーは急逝したエーリッヒ・クライバーに代わってクリュイタンスとシューリヒトが振ることになった。クリュイタンスとVPOの演奏がほんのわずかしか残っていないことは本当に残念だ。このディスクはモノラルではあるものの、ALTUSのリマスターということもあって音質は安定しており広くお勧めできると思う。

 なお、ドン・ファンと言えば、例によって例のごとく、お決まりの、46小節目のシンバルだが、この演奏は.....何と、何と.....鳴っていないのだ。1958年のEMI盤が鳴っているのになぜ? VPOがどういう基準でシンバルを入れているのか全く分からなくなってきた(笑)。


クラウス/VPO(1950デッカ)シンバルあり
クリュイタンス/VPO(1955ライブ録音)シンバルなし
クリュイタンス/VPO(1958EMI)シンバルあり
カラヤン/VPO(1960デッカ)シンバルなし
ベーム/VPO(1970ライブ映像)シンバルあり
ベーム/VPO(1977ライブ録音)シンバルなし
ドホナーニ/VPO(1989デッカ)シンバルあり
プレヴィン/VPO(1990テラーク)シンバルあり

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今日の「がんばれ東北」シリーズは、コンビニで見つけた岩手の山ブドウを使った「山ブドウゼリー入りの白いコロネ」だ。これもおいしかったが、被災地応援商品はなぜか甘いものが多くて体重が増えてしまった(笑)。


R.シュトラウス「オーケストラ歌曲集」

第一巻
1.3つの歌 Op. 43 TrV 196 - 第2番 母親の自慢
2.6つの歌 Op. 37 TrV 187 - 第3番 わが子に
3.5つの歌 Op. 41 TrV 195 - 第1番 子守歌
4.小川 Op. 88, TrV 264
5.4つの歌 Op. 27 TrV 170 - 第1番 憩え、わが心
6.6つの歌 Op. 37 TrV 187 - 第4番 私の眼
7.6つの歌 Op. 56 TrV 220 - 第6番 東方の聖なる三博士
8.5つの歌 Op. 48 TrV 202 - 第1番 懐かしい面影
9.5つの歌 Op. 39 TrV 189 - 第4番 解き放たれ
10.8つの歌 Op. 49 TrV 204 - 第1番 森の喜び
11.4つの歌 Op. 27 TrV 170 - No. 2. Cacilie
12.4つの歌 Op. 27 TrV 170 - No. 4. Morgen
13.4つの最後の歌 Op. posth., TrV 296
No. 1. Beim Schlafengehen
No. 2. September
No. 3. Fruhling
No. 4. Im Abendrot
http://ml.naxos.jp/album/CHAN9054


第二巻
1.4つの歌 Op. 33 TrV 180 - 第1番 誘惑
2.5つの歌 Op. 48 TrV 202 - 第5番 冬の愛
3.5つの歌 Op. 47 TrV 200 - 第2番 詩人のゆうべの散歩
4.6つの歌 Op. 56 TrV 220 - 第5番 春の祭
5.5つの歌 Op. 32 TrV 174 - 第3番 愛の賛歌
6.5つの歌 Op. 48 TrV 202 - 第4番 冬の霊感
7.4つの歌 Op. 36 TrV 186 - 第1番 バラの花環
8.4つの歌 Op. 33 TrV 180 - 第2番 アポロの巫女の歌
9.最後の花びらよりの8つの歌 Op. 10 TrV 141 - 第1番 献呈(シュトラウス編曲)
10.フリードリヒ・ヘルダーリンの3つの讃歌 Op. 71, TrV 240
No. 1. Hymne an die Liebe
No. 2. Ruckkehr in die Heimat
No. 3. Liebe
http://ml.naxos.jp/album/CHAN9159

フェリシティ・ロット (ソプラノ)
ロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管弦楽団
ネーメ・ヤルヴィ (指揮者)
(1986-1992)

 ジョーンズに続く「クライバーの元帥夫人」はフェリシティ・ロットだった。70年代のミュンヘンのばらの騎士が動的な勢いを強く感じさせるものだったのに対して、94年のウィーンのばらの騎士はモーツァルトを感じさせる繊細さが際立っていたと思う。元帥夫人の人選もその線に沿って行われていることは明らかだ。

 もうあれから20年近い年月が過ぎ去ろうとしている。クライバーがオペラを振るのはあの時の東京文化会館が最後になろうとは一体誰が予想しただろうか。クラシカジャパンでウィーンのばらの騎士が再放送されたので、以前紹介したクライバーの指揮姿がずっと右下に写っている別バージョンが見られると期待したのだが通常の映像でがっかりした。

 ウィーンのばらの騎士の少し前にシャンドスが出したこのR.シュトラウスのオーケストラ歌曲集は、ヤルヴィが86年から92年にかけて録音した交響詩シリーズの余白に収められていた歌曲28曲を2枚にまとめたものだ。シュトラウスのオーケストラ歌曲集ではこの当時最も曲目が揃っているアルバムだった。16曲を収めた有名なシュヴァルツコプフ盤よりも12曲も多く、なおかつシュヴァルツコプフ盤の収録曲は全てカバーしている。

 その後ナイチンゲールから男声も含めたオーケストラ歌曲全集(CD3枚組47曲)も出たが、1人の歌手による曲集としては今でも最も充実した内容だと思う。先日紹介したジョーンズのワーグナーもそうだがシャンドスはとてもいい仕事をしてくれた。

 シュヴァルツコプフのように濃厚な表情をつけていないのは世代からしても当然だが、それでも淡泊な感じにはならず全体としては暖かな親しみやすさを感じさせるのは恐らくロットの人柄を反映しているのではないだろうか。当時大変良く聞いたアルバムの一つだ。4つの最後の歌を初演時の順番で歌っている点にも注目したい。

 なおフランツさんのブログにあるように、ロットは福島の放射能事故にもかかわらず先日来日して初のリサイタルを開催した。私はテレビで見ただけだが元気なようで何よりだ。
http://franzpeter.cocolog-nifty.com/taubenpost/2011/04/2011415-7c4e.html

(追記)
 「献呈」のオーケストラ版はロベルト・ヘーガー編曲のものを用いている演奏がほとんどだが、このCDでは1940年6月になって書かれたシュトラウス自身の編曲による版を用いている。1882年に作曲したオリジナルのピアノ版と比較して旋律に若干変更が加えられており、最終部で音価を2倍にして引き伸ばした上で”du wunderbare Helena”(素晴らしきヘレナよ)という言葉が挿入されている。この版の演奏が聞けるのは私が知る限りこのCDとナイチンゲールの全集のみだ。通常演奏されるヘーガー編曲版は基本的にオリジナルのピアノ版の通りにオーケストラアレンジをしてある。ぜひ聞き比べてみてほしい。

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 ウィーンやドイツでも人気があったクリュイタンスとは逆に、1950年代のパリで人気があったドイツの指揮者が3人いる。1人はシューリヒト、もう1人はホーレンシュタインで、さらにもう1人はクナッパーツブッシュだ。シューリヒトとホーレンシュタインはスタジオ録音やライブでパリでの録音がかなり残されているが、クナがパリで人気があったことは意外に思う人も多いかもしれない。

・R.シュトラウス:交響詩『死と変容』 作品24、交響詩『ドン・ファン』 作品20
 パリ音楽院管弦楽団 指揮:ハンス・クナッパーツブッシュ
 録音:1956年5月7日(ステレオ) 録音場所:パリ、共済組合会館
21:00/17:08

・R.シュトラウス:交響詩『死と変容』作品24
 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 ハンス・クナッパーツブッシュ(指揮)
 録音:1958年11月8日(モノラル、ライヴ) 録音場所:ウィーン楽友協会大ホール
21:32

・R.シュトラウス:交響詩『死と変容』op.24
 シュターツカペレ・ドレスデン ハンス・クナッパーツブッシュ(指揮)
 録音:1959年11月28日(モノラル、ライヴ)
21:55

 戦後のフルトヴェングラーやカラヤンは、ほとんどドイツ・オーストリア内とイタリアでしかオペラを振らなかったが(カラヤンはメットでワーグナーを振ったこともあるが)、戦後ほとんどドイツ・オーストリア内でしか指揮をしなかったクナッパーツブッシュが他の場所で定期的に客演したのはパリだけだったようだ。50年代にはほぼ毎年のようにパリ・オペラ座に客演し、指輪やトリスタンで素晴らしい演奏をしたそうだ。最近ALTUSなどがシューリヒトのフランスでのライブの復刻を進めているが、クナのライブも残っているものならぜひ聴いてみたいものだ。

 パリ音楽院管弦楽団を指揮して録音したこのディスクは、(戦前のSP録音を除けば)意外なことにクナッパーツブッシュによる唯一のR.シュトラウスのスタジオ録音である。また、40年代にスイスやイギリスのオケを振ったSP録音があるのを除けば、ウィーンやドイツ以外のオケを振って録音した戦後唯一のスタジオ録音でもある。

 吉田光司氏によるクナのディスコグラフィーによると、ショルティとパリ音楽院管のチャイコフスキー(2番と5番)を録音するために5月4日にパリに到着したプロデューサーのカルショウと、オペラ座でのクナの指輪の公演期間がわずかに重なったために録音が実現したという。カルショウの自伝「レコードはまっすぐに」の184ページにもこの録音のことが触れられており、この録音の直前にクナがオペラ座で素晴らしいトリスタンを指揮したこと、クナがパリの優美さと、デッカが録音会場として使っていた共済組合会館の近くにあるビストロの気楽さを愛したことに触れられている。

 だがクナはオペラ座でワーグナーを振っていたのであり、たまたま時間ができたとは言え、なぜパリ音楽院管弦楽団とR.シュトラウスを録音することになったのか、カルショウの回想録では肝心なことに何も触れていない。クナが以前にこのオケに客演したことがあったのかどうかすら分からない。クナのデッカ録音はチューリヒなどで録音した40年代のSPと51年のバイロイトのライブを除けばほとんど全てウィーンフィルだ。十八番の「死と変容」も本来であればウィーンフィルで録音するのが順当だろう。

 ちなみにデッカはこの年アメリカのRCAと提携することを決めている。これは私の勝手な推測だが、提携第一弾としてRCAのアーティストであるライナーとVPOの組み合わせでこの年の9月に「死と変容」と「ティルオイレンシュピーゲルのゆかいないたずら」を録音することが先に決まってしまったため、クナは他のオケを使わざるを得なかったのではないだろうか?

 とにもかくにも、こうしてクナとパリ音楽院管弦楽団との唯一の録音が実現したわけだが、この録音についてカルショウは「オーケストラに対するクナッパーツブッシュの態度はあいまいで、楽員たちが最善を尽くそうという気分でないかぎり−−大概、そうではない−−ある程度以上に彼らに強制することはしなかった」とやや否定的なコメントを残している。

 確かに「ドン・ファン」はややずるっとした演奏で、(先日紹介したクリュイタンスがVPOと録音したEMI盤とオケがちょうど正反対だが)、クリュイタンス盤の方が良い演奏だと思う。このずるずる感を楽しめるのはクナのマニアだけだろう(笑)。ちなみに46小節のシンバルは鳴らしていない。しかし「死と変容」はなかなかの好演なのではないだろうか? フレンチスタイルの管楽器の色彩感がプラスに作用しており、なおかつ違和感がない。パリっ子がクナの気ままさをも愛したことが分かるような演奏だ。

 このディスクは長い間モノラル盤しか出ていなかったが、数年前にテスタメントが初めてステレオバージョンを発表した。ショルティのチャイコフスキーはだいぶ前からステレオ盤が出ていたので予想されたことではあるが大変うれしいことだ。プロデューサーとしてカルショウでなくピーター・アンドリーがクレジットされており、録音日が5月7日の1日のみ(モノラル盤は5月7日と8日)になっているなどデータが少し異なる。同一テイクから作られた別編集と考えた方が良いかもしれない。ヴィオラが右手前でチェロが右手奥に聞こえるので、オケの配置は恐らくデッカのいつものウィーンフィルの録音のようにフルトヴェングラー型だと思われる。

 「死と変容」を得意としたクナは他にライブ録音をいくつも残している。私が持っているものだけでも1958年のウィーンと1959年のドレスデンの録音があり、モノラルだが音質はまずまずだ。この3種のディスクの中ではやはりウィーンフィルとの演奏がクナの意図を最も良く反映していると思う。私は未聴だが1962年のウィーンと1964年のミュンヘンのライブもあるそうだ。亡くなる前年まで繰り返し演奏したことはクナのこの曲への愛着を示していると言えるだろう。

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