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R.シュトラウス

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マルトン
ファスベンダー
ヴァイクル
ツェドニク
メータ指揮BPO
(1990)

なるほど確かに助六さんのおっしゃるように40年代から50年代にかけてサロメ歌いで有名だったチェボターリやヴェーリッチュはエレクトラを歌うような声ではなかったようだ。シュトラウスが晩年好んだリリックなサロメとはこのような声を言うのだろうか? しかし50年代にはボルグ、ヴァルナイといったエレクトラ歌いもサロメを歌っており、この場合はサロメとエレクトラの相似性が強調される。(ゴルツはエレクトラを歌ったのだろうか?)

世代としてはチェボターリが1910年生まれ、ヴェーリッチュが1913年生まれなので、ゴルツ(1912年生まれ)やホルグ(1917年生まれ)、ヴァルナイ(1918年生まれ)とほぼ同世代だ。もともとはどちらのスタイルのサロメが主流だったのだろうか? 初演時や戦前のサロメ歌いはどのような声だったのだろう? メアリー・ガーデンがエレクトラを歌ったとは考えにくいのでやはりリリックなサロメが主流だったのだろうか? 録音に残っている最も古いサロメは1947年のクラウスのライブ(サロメはチェボターリ)で戦前の録音はない。サロメとエレクトラの戦前の演奏史を検証してみる必要がありそうだ。

サロメとエレクトラは1幕もののギリシャ悲劇という点では共通しているが、よく言われるほど似ている作品ではないと思う。エレクトラの方がはるかに前衛的かつ演奏困難で、サロメはもっと叙情的でロマンティックだ。90年代以降はマルフィターノなどエレクトラ歌いではない歌手によるサロメが多くなり、サロメとエレクトラの分業化が進んでいるように見えるのが面白い。サロメとエレクトラの演奏は今後どう変わっていくのだろうか。

さてこの録音でサロメを歌っているのはマルトンだ。エレクトラ歌いによるサロメとしてはニルソン、ジョーンズ、ベーレンスの後の新しい世代に属する。最近の軽めのサロメに聞きなれた方にはやや耳慣れないかもしれないが、十分立派な歌で重量級のサロメを新しいスタジオ録音で聞きたいという方には向いているだろう。ファスベンダーやヴァイクルも良い。ヘロデにはキャラクターテノールのツェドニクを起用して重量級サロメとの対比を大きくしている。

この録音はBPOが演奏していることでも注目される。BPOにとってシュトラウスの交響詩は大変重要なレパートリーを占め、フルトヴェングラー、カラヤン、アバド、ラトルみなこぞって演奏しているのだが、シュトラウスのオペラを全曲録音したのは恐らくこれが初めてなのではないだろうか? (ハイライトであれば以前紹介したデラ・カーザのアリアドネがある)

もちろんBPOは歌劇場のオケでないという事情はあるのだが、カラヤンもアバドもラトルもワーグナーなどのオペラでBPOを使うことは珍しくなくなってきている。録音だけであれば古くはビーチャムやベームの魔笛もあった。なので、シュトラウスのオペラを演奏する気になればできない話ではないだろう。ばらの騎士やアラベラをBPOで聞こうとは思わないが大型のオケを必要とするサロメかエレクトラか影のない女であればBPOで録音すればよいのではないかと思っていた。

この録音がどういう経緯で実現したのか詳しく知らないが、確かこの頃にメータ指揮で演奏会形式上演があったような記憶がある。BPOは期待に違わずシンフォニックで輝かしいサロメを演奏している。メータもシュトラウスの交響詩は早くからレパートリーに入れていたし、イタリアオペラは早くから取り組んでいたにもかかわらず、シュトラウスのオペラを録音するのはこれが初めてだったと思う。サロメの数ある名盤の中ではこの演奏はやや地味な存在のようだがもっと注目されて良い演奏なのではないだろうか。廉価盤でまだ入手可能なようだ。

ただ、願わくばこのキャストとオケでエレクトラを聞いてみたかったところだ。BPOの機能性が最大限発揮されるのはエレクトラだと思う。私がプロデューサーだったら絶対そうしたと思うが、マルトンとヴァイクルは同じ90年にサヴァリッシュとエレクトラを録音しているのでそれは無理だろう。サヴァリッシュとBPOは相性が良かったようなので、いっそのことバイエルン放送響の代わりにBPOを起用したら面白かったかもしれない。

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レオニー・リザネク(サロメ)
ハンス・バイラー (ヘロデ)
ゲルトルーデ・ヤーン (ヘロディアス)
ベルント・ヴァイクル(ヨカナーン)
ヨーゼフ・ポップファーヴィーザー(ナラポート)
ウィーン国立歌劇場管弦楽団
ハインリッヒ・ホルライザー指揮
演出:ボレスラフ・バルロク(Boleslaw Barlog)
装置・衣装:ユルゲン・ローゼ
1980年10月23日NHKホール
http://www.youtube.com/results?search_query=salome+rysanek&search_type=&aq=f


レオニー・リザネク(S:サロメ)
グレース・ホフマン(Ms:ヘロディアス)
ハンス・ホップ(T:ヘロデ)
エバーハルト・ヴェヒター(ヨカナーン)
カール・ベーム(指揮)ウイーン国立歌劇場
12/22/1972, Vienna, Austria [Live]
http://www.youtube.com/watch?v=UlBrIrNnkPs
(下記サイトに視聴あり)
http://www.hmv.co.jp/product/detail/1904469


1980年のウイーン国立歌劇場初来日公演ではフィガロの結婚が7回、サロメが5回、エレクトラが3回、ナクソス島のアリアドネが4回、後宮からの逃走が3回演奏された。このうちテレビ放送されたのはDVD化されたベームの初日のフィガロの結婚と、10月23日のホルライザー指揮のサロメの2本だ。サロメはリザネクとカラン・アームストロングのダブルキャストだったがテレビ放送された日はリザネクの演奏だった。ユーチューブで少しだけ見ることができる。「踊り」は2人ともダンサーを使わず自分で踊ったようだ(全身タイツのようなものを着ていたらしい)。

9月30日東京文化会館:ベーム:モーツァルト/フィガロの結婚
10月2日NHKホール:ホルライザー:Rシュトラウス/サロメ
10月3日東京文化会館ベーム:モーツァルト/フィガロの結婚
10月4日NHKホール:ホルライザー:Rシュトラウス/サロメ
10月6日昭和女子大人見記念講堂/ベーム
10月7日東京文化会館:グシュルバウアー:モーツァルト/後宮からの誘拐
10月9日東京文化会館:ベーム:Rシュトラウス/ナクソス島のアリアドネ
10月10日東京文化会館:グシュルバウアー:モーツァルト/後宮からの誘拐
10月11日NHKホール:シュタイン:Rシュトラウス/サロメ
10月13日大阪フェスティバルホール:ベーム:モーツァルト/フィガロの結婚
10月14日大阪フェスティバルホール:シュタイン:Rシュトラウス/ナクソス島のアリアドネ
10月15日大阪フェスティバルホール:シュタイン:Rシュトラウス/サロメ
10月16日大阪フェスティバルホール:シュタイン:Rシュトラウス/ナクソス島のアリアドネ
10月17日大阪フェスティバルホール:ベーム:モーツァルト/フィガロの結婚
10月19日NHKホール:クロブチャール:Rシュトラウス/エレクトラ
10月20日東京文化会館グシュルバウアー:モーツァルト/後宮からの誘拐
10月21日神奈川県民ホール:ホルライザー:モーツァルト/フィガロの結婚
10月22日NHKホール:ホルライザー:Rシュトラウス/サロメ
10月23日NHKホール:クロブチャール:Rシュトラウス/エレクトラ
10月24日神奈川県民ホール:ホルライザー:モーツァルト/フィガロの結婚
10月25日東京文化会館クロブチャール:Rシュトラウス/ナクソス島のアリアドネ
10月27日NHKホール:クロブチャール:Rシュトラウス/エレクトラ
10月28日東京文化会館ホルライザー:モーツァルト/フィガロの結婚

1980年の来日でベームはフィガロの結婚とナクソス島のアリアドネしか指揮しなかったが、ローゼのクリムト風の衣装が印象的なバルロクの演出のこの舞台はもともと72年にベーム指揮で初演されたものだ。この演出は好評のようで、初演から40年近く経った未だにウイーンでは現役だそうだ。その間さまざまなサロメが登場し、たとえばグレース・バンブリーがサロメを歌ったこともあるそうだ。

2008年1月6日にはカミーラ・ニイルンド(Camilla Nylund)のサロメ、モルテン・フランク・ラーセン(Morten Frank Larsen)のヨカナーン、指揮はステファン・ゾルツ(Stefan Soltesz)で178回目の上演がされた。同年の5月28日にもHerodes: Wolfgang Schmidt、Herodias: Daniela Denschlag、Salome: Eva Johansson、Jochanaan: Terje Stensvold、指揮:Stefan Solteszで上演された。クリムト風の舞台がよほどウイーンのイメージに合うのだろう。2009年11月4日にもシルマー指揮で上演された。
http://archiv.kulman.info/archiv09/oper/salome.html

しかしこの舞台は初演でも日本公演でも歌ったリザネクをもともと想定しているということは間違いないだろう。エレクトラの映画でもリアルな演技を見せたリザネクはここでもなかなかの熱演だ。暗い舞台だしいまどきの演出のようなドキツサはないが十分良い演奏だと思う。ぜひクリムト風のサロメを全曲見てみたいものだ。ソプラノ時代のリザネクの映像はエレクトラの映画ぐらいしかないのでその意味でもぜひDVD化してほしい。

なおヴァイクルとバイラーは74年にベームがゲッツ・フリードリヒ演出で制作したサロメの映画にも出演している。またヤーンとホップファーヴィーザーは後年サヴァリッシュ指揮のミュンヘンオペラでも来日している。ホルライザーはカラヤンやベーム、サヴァリッシュの影で録音に恵まれなかった。良い指揮者だったと思うが、正規音源はEMIがドレスデンで録音したワーグナーの「リエンツィ」とLDで出ていたコルンゴルトの「死の都」ぐらいだろうか。ホルライザーは86年の来日公演のトリスタンと89年のパルジファルも指揮したている。後者は私も見ることができたが大変素晴らしい演奏だった。

一方のCDは初演時のベーム指揮の演奏だが、これもなかなか優れている。カラヤンのような官能美とはやや異なりドイツ風の表現だがウイーンのオケの音がそれを緩和しているのでぶっきらぼうにはなっていない。海賊盤を除けばリザネクのサロメはこれ一つしかない点でも貴重だ。ただリザネクのサロメは80年の演奏の方がさらに役をものにしているように思う。キャストは74年の映画とは全く異なり、フリードリヒの映画は舞台とは全く関係なく制作されたもののようだ。

ベームは65年にメトで制作されたサロメ(レンネルト演出)も指揮しており初演時はニルソンが主役だったが、72年の再演からは主役をリザネクに変えている。ベームがリザネクのサロメを気に入っていたのだろう。その時の様子は下記のページで知ることができる。
http://oberon481.typepad.com/oberons_grove/2008/12/rysanek-in-salome-at-the-met.html

なおwikiにはサロメの初演について「1905.6.20(サロメ舞曲なし)、1905.8月下旬;サロメ舞曲」とあるがサロメのダンスは後から加えられたものなのだろうか? (助六さんこの経緯について何かご存知でしたら教えてくださいまし)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%92%E3%83%A3%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%88%E3%83%A9%E3%82%A6%E3%82%B9

オスカー・ワイルドの戯曲「サロメ」のためにビアズリーが書いた挿絵は以下のページで見ることができる。
http://blog.goo.ne.jp/masamasa_1961/e/98cf75064d48645d65804fb0133b58e0


(追記)同じ演出で1990年にベーレンスが歌った映像も見つけた。1972年の初演以来40年近くも現役の名プロダクションであるにも関わらずDVD化されたことがないのは大変残念だ。恐らくウィーンで現役のプロダクションとしてはゼフィレッリのボエームに次いで長寿なのではないだろうか。この1980年のNHKの放送でも下記リンクの1990年のウィーンでの放送でも良いので、ぜひこのクリムト風サロメの映像をDVD化してほしい。NHKさんでもALTUSさんでもドリームライフさんでもテスタメントさんでも構わないのでぜひぜひお願いします。
http://www.youtube.com/watch?v=088VFU08K9c&feature=related

(さらに追記)
 ザンピエリが1991年に歌った映像とエッダ・モーザーが1994年に歌った映像も見つけた。日本公演も含めてこれだけ何度も収録されているにも関わらずDVD化されていないのは大変残念だ。
http://www.youtube.com/watch?v=0KqSosV6TiM
Wiener Philharmoniker - Peter Schneider -16.09.1991
Salome: Mara Zampieri Wiener Staatoper
Herodes: Horst Hiestermann
Herodias: Leonie Rysanek-Gausmann

http://www.youtube.com/watch?v=0o66yjX8R-E
Salome-Edda Moser

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・R.シュトラウス:楽劇『エレクトラ』全曲
 エレクトラ…レオニー・リザネク(ソプラノ)
 クリソテミス…カタリナ・リゲンツァ(ソプラノ)
 クリテムネストラ…アストリッド・ヴァルナイ(メゾ・ソプラノ)
 エギスト…ハンス・バイラー(テノール)
 オレスト…ディートリッヒ・フィッシャー=ディースカウ(バリトン)
 オレストの扶養者…ヨーゼフ・グラインドル(バス)
 老いた召使…クルト・ベーメ、他
 ウィーン国立楽劇場合唱団
 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
 指揮:カール・ベーム
 演出:ゲッツ・フリードリヒ
 制作:1981年
http://www.youtube.com/results?search_query=elektra+strauss&sm=3

リハーサル風景
http://www.youtube.com/results?search_query=astrid+varnay+elektra+rehearsal

 ヴァルナイはエレクトラを得意とし49年のミトロプーロスとの上演から64年のカラヤンとの上演まで放送録音が数多く残っている。70年代以降もメゾとしてとして活躍したヴァルナイはこの演奏では母親のクリテムネストラを歌っている。50年代から長く妹のクリソテミスを歌ってきたリザネクがここではエレクトラに昇格、クリソテミスは録音の少なかったリゲンツァが参加するというワーグナー・ソプラノ3人を揃えた強力な女声陣に、F=Dのオレスト、脇役もバイラー、グラインドルにベーメという大変に豪華なキャスティングだ。53年のR.クラウスの放送用(?)録音ではヴァルナイがエレクトラを、リザネクがクリソテミスを歌っている。2人とも長いキャリアの歌手だった。リザネクは90年代までメゾとして活躍しローエングリンのオルトルートやサロメのヘロディアスなどの映像も残されているがソプラノ時代に主役を演じた映像はこれぐらいなのでその意味でも貴重だ。

 ゲッツ・フリードリヒの生々しい演出でも有名なこの映像はLD時代から日本でも親しまれてきたものだ。エレクトラが本当に「ぼろ」を着ている。多分映画化されたグロテスクなオペラとしてはダンナ監督の「マクベス」の魔女と双璧だろう。気色悪くて逆にこの作品が敬遠されてしまうのではと心配してしまうぐらいだが(笑)、舞台の収録でなくせっかく映画で撮るならこのくらいリアルにやってほしいところだ。以前国内盤DVDも出ていたがLD用のマスターを転用したもので画像が途中で2回も途切れる。現在は新しいマスターのDVDが出ているが輸入盤でしか手に入らない。ぜひ国内盤を出しなおしてほしいものだ。

 これはベームの最後の録音でもあり、最後の来日時にこのエレクトラは完成させなければ、とインタビューで答えていたのを読んだ記憶がある。この1980年のウイーン国立歌劇場の来日時にはエレクトラも演奏されているが指揮はクロブチャールだった。演出は私の記憶が間違っていなければウィーラント・ワーグナーの抽象的な演出だったはずだ(これはもともと1965年に初演された舞台でウィーラントの最晩年の演出ということになる)。

 来日公演を見た人の情報によると配役はニルソンがエレクトラを歌い、リザネクが妹のクリソテミスを歌ったそうだ。チラシにはキングとバイラーの名前もあるのでエギストはキングとバイラーのダブルだったのだろう。助六さん情報によるクリテムネストラはグレース・ホフマンが歌ったようだ。チラシにはルートヴィッヒの名前があるのでクリテムネストラはルートヴィッヒの予定だったはずだがこの年は結局来日しなかった。

 80年の来日ではニルソンはエレクトラのみに出演したが、リザネクはサロメにも出演、キングはアリアドネにも出演した。このときの来日はなにしろ5演目も持ってきたのだから大変だ。こんなことは後にも先にもこの時だけだった。ウイーン国立歌劇場は昨年日本公演100回を記念して公演史を作ったそうなので入手された方がいらしたら正しいキャストを教えてほしい。ちなみに下記サイトによるとエレクトラはこの時の来日公演が日本初演だったようだ。
http://tc5810.fc2web.com/operat/100.htm

 ユーチューブでは1982年のウイーン公演の映像も見ることができる。ニルソンがエレクトラで、ジョーンスがここではクリテムネストラを歌っている。指揮と演出は不明だが、多分来日公演と同じウィーラント・ワーグナー演出だと思われる。
http://www.youtube.com/watch?v=G1_NOtK1sDQ&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=nzdrZ5aHChY&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=zE58sFrCZ9I&feature=related

(追記)
 この曲には1970年にリーバーマンがハンブルクで制作したエレクトラの映画もある。クリテムネストラはリザネクかと思ったらレズニクの間違だったので訂正する。エレクトラはクハタ(kuchta)クリソテミスはビヨーナー、オレストはゾーティンだ。このシリーズはドリームライフが国内でDVD化していたが、どういう訳かエレクトラとアラベラは漏れてしまっていて残念だ。ぜひDVD化を期待したい。一部だけユーチューブで見ることができる。
http://www.imdb.com/title/tt0217430/
http://www.youtube.com/results?search_query=Regina+Resnik+as+Klytamnestra

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・R.シュトラウス:歌劇『影のない女』全曲(完全全曲盤) [190:50]
 皇帝:ルネ・コロ(T)
 皇后:シェリル・ステューダー(S)
 乳母:ハンナ・シュヴァルツ(Ms)
 霊界の使者:アンドレアス・シュミット
 染物師バラク:アルフレート・ムフ(Br)
 バラクの妻:ウーテ・ヴィンツィング(S)
 バラクの片目の兄弟:ヤン・ヘンドリク・ローテリング(Bs)
 バラクの片腕の兄弟:クルト・リドル(Bs)
 バラクのせむしの兄弟:ケネス・ギャリソン(T)
 夜警:ヤン・ヘンドリク・ローテリング(Bs)
 夜警:クルト・リドル(Bs)
 夜警:ケネス・ギャリソン(T)
 生まれざる子供達:テルツ少年合唱団
 侍女たち:バイエルン放送合唱団
 バイエルン放送交響楽団
 ヴォルフガング・サヴァリッシュ(指揮)
 録音時期:1987年2,3,11,12月

・リヒャルト・シュトラウス:『エレクトラ』全曲(完全全曲盤)
 エレクトラ:エヴァ・マルトン
 クリソテミス:シェリル・ステューダー
 クリテムネストラ:マルヤーナ・リポヴシェク
 オレスト:・ベルント・ヴァイクル
 エギスト:ヘルマン・ヴィンクラー
 オレストの教師:クルト・モル
 女の親友:ヴィクトリア・ウィーラー
 荷物運び:ドロテア・ギーペル
 若い給仕:ウルリヒ・レス
 老給仕:アルフレート・クーン
 監督員:カルメン・アンホーン
 第1の給仕女:ダフネ・エファンゲラトス
 第2の給仕女:シャーリー・クローズ
 第3の給仕女:ビルギット・カルム
 第4の給仕女:ジュリー・フォークナー
 第5の給仕女:カロリナ・マリア・ペトリク
 バイエルン放送交響楽団&合唱団
 ヴォルフガング・サヴァリッシュ(指揮)
 録音時期:1990年1月
 録音場所:ミュンヘン、ヘルクレスザール

 影のない女という作品を私が初めて全曲聞いたのはこの演奏だ。このような優れた演奏に最初から接することができたのは私にとって大変な幸運だ。スチューダー、シュヴァルツ、ムフ、ロータリンクなど当時はまだ若手から中堅だった歌手がそれぞれ実力を発揮しているが、何と言っても全盛期のコロが皇帝を歌っているのが素晴らしい。シュトラウスのオペラの一つの特徴にイタリアオペラの輝かしさとドイツオペラの重厚さを併せ持っていることが挙げられる(もう一つの特徴は演劇と同じくらいのスピードで物語が展開する点にある)。皇帝にはイタリアオペラもかくやと思わせるカンタービレを聞かせてほしい。コロはまさにうってつけだ。

 コロの皇帝は1980年のパリでの映像(指揮はドホナーニ)がユーチューブで見られるが、トリスタン並みの苦悩を感じさせる名唱ではないだろうか。
http://www.youtube.com/watch?v=jmSBzn0SsH4&feature=related
http://www.youtube.com/results?search_query=Die+Frau+ohne+Schatten+1980&aq=f

 カットなしの完全全曲盤はこれが初めてだったことに加えて、ミュンヘンでこの作品を何十年も振ってきたサヴァリッシュの指揮も素晴らしい。オーケストラに国立歌劇場のオケ(バイエルン国立管弦楽団)でなくバイエルン放送交響楽団をわざわざ起用しているのもミソだ。ミュンヘンオペラでのサヴァリッシュは歌手からは絶大な信頼を寄せられていた反面、オケとの折り合いは合わなかったようで92年にミュンヘンを去ることになったのもそれが原因だったと聞いている。92年の日本での影のない女のDVDも、どうもオケの反応が鈍いというか鳴り切っていないような気がするが、多分そういう事情が反映しているのだろう。

 バイエルン国立管弦楽団はクライバーとは相性が良かったようなのでオケと指揮者の合性はとても微妙なのだろう。この録音でのバイエルン放送交響楽団(ヨッフムやクーベリックが長く音楽監督を務めたオケ)は俊敏にして重厚、わざわざ起用されただけのことはある素晴らしい演奏をしている。影のない女の録音としては以前紹介した世界初録音のベーム盤(デッカ、1955年)と並んで最も優れた演奏だと思う。ベームのデッカ盤もこのサヴァリッシュ盤も現時点では国内外ともに廃盤中のようで大変残念だ。ぜひ復活を期待したい。

 影のない女の成功を受けて90年にはエレクトラも制作された。こちらも完全全曲盤だ。女声はマルトン、スチューダー、リポブシェクという92年のショルティの影のない女とそっくりのキャスティングがされており、これが当時のシュトラウス演奏のベストメンバーだったことが分かる。録音スタッフが影のない女と違うようで(影のない女は放送局のスタッフの録音か?)、このエレクトラはややドライで重心が軽いような気がするがまずはこの曲の最右翼に挙げるべき演奏だろう。このCDは廉価盤でまだ入手可能なようだ。

 サヴァリッシュのシュトラウスのオペラ録音には他にインテルメッツオ、モノラル時代のカプリッチョ、オルフェオに録音したアラベラがあるが、正規録音は残念ながらこのあと続かなかった(だいぶ後になって平和の日の放送録音がEMIから、ザルツブルグでのアリアドネの放送録音がオルフェオから発売された)。1988年の来日公演のアラベラと70年代の影のない女の映像がDVD化されることを切に希望する。

影のない女の対訳は下記サイトを参照されたい。
http://www31.atwiki.jp/oper/pages/372.html

エレクトラの対訳とあらすじは下記サイトを参照されたい
http://www31.atwiki.jp/oper/pages/462.html
http://www.and.or.tv/operaoperetta/119.htm
http://homepage2.nifty.com/aine/opera1/opera145.htm

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R.シュトラウス作曲、ホーフマンスタール台本
・楽劇 《影のない女》 完全全曲版
 皇帝:トーマス・モーザー(T)
 皇后:チェリル・ステューダー(S)
 バラク:ロバート・ヘイル(Br)
 バラクの妻:エヴァ・マルトン(S)
 乳母:マルヤーナ・リポヴシェク(Ms)
 伝令使:ブリン・ターフェル(Br)
 鷹の声:アンドレア・ロスト(S)
 若い男の霊:ヘルベルト・リッパート(T)
 天上の声:エルズビエータ・アルダム(A)
 宮殿の門衛:エリーザベト・ノルベルク=シュルツ(S)
 バラクの片目の兄弟:マンフレート・ヘム(Bs)
 バラクの片腕の兄弟:ハンス・フランツェン(Br)
 バラクのせむしの兄弟:ヴィルフリート・ガームリヒ(T)
 生まれざる子供達:ザルツブルク少年少女合唱団
 侍女たち:ウィーン国立歌劇場合唱団
 夜警たち:ウィーン国立歌劇場合唱団
 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
 指揮:ゲオルグ・ショルティ
 演出:ゲッツ・フリードリヒ
 収録:1992年8月、ザルツブルグ
http://www.youtube.com/results?search_query=schatten+strauss+1992&search_type=&aq=f

20年ぐらい前、ロシアオペラを全く理解していなかった私が好んで聴いたのはR.シュトラウスのオペラだ。ばらの騎士とサロメはもとよりアラベラ、影のない女、エレクトラを毎日聞いていた。サヴァリッシュの録音や来日公演に大きく影響されたのは間違いない。シュトラウスはこれから日本でももっともっとメジャーになるだろうと思っていたが、でも20年経った今振り返ってみるとシュトラウスのオペラのマイナー度は相変わらずあまり変わっていないように思う。今年は没後60周年に当たるのだがあまり盛り上がらなかったようだ。

日本人は「影がない → おばけ」という連想をしてしまうので、影のない女という作品は特に損をしているのではないだろうか。本当は夫婦愛の尊さを描いたとても人間的な作品なのに残念だ。金鶏ですら国内盤DVDが2種類も存在する時代なのに、影のない女の国内盤DVDは1つもない。LD時代にこのゲッツ・フリードリヒ演出が発売されたことがあるだけだ。

輸入盤を合わせてもDVDはこの映像と以前紹介したTDKがなぜか海外でのみ出している市川猿之助演出盤があるぐらいだろう。猿之助盤はサヴァリッシュのミュンヘン時代の最後を飾る記念碑的な日本公演の記録ではあるが、ちょっと演出の癖が強く歌手もやや小粒なので一般的にはショルティ指揮のこの映像の方がお勧めだろう。特に女性陣はリポブシェクの当たり役の乳母(猿之助のDVDでも歌っている)を始め、スチューダー、マルトンと役者が揃っている。この時期にウイーン国立歌劇場のメンバーだった佐々木典子さんが脇役で出演しているのも見逃せない。ターフェルの伝令も良くヘイルのバラクもまずまずだが、皇帝のトーマスはまだリリックだった頃でコロの名唱には遠く及ばない。

ショルティの指揮はシュトラウスには少し鋭くて個人的にはサヴァリッシュの指揮の方が好きだがVPOはやはり旨い。この作品は舞台上演では通常2幕と3幕の一部をカットするが、この演奏はカットなしの完全全曲版である点も特筆される。

影のない女という作品はどこの国の話かということは特に特定されていない。この作品のインスピレーションの元になった魔笛は(これも特に特定はされていないが)エジプトあたりのアラブ世界がモーツァルトのイメージにあったようだ。フリードリヒ演出は、スチューダーの皇后がずいぶん白く塗りたくっているのがちょっと目についた以外は基本的には象徴的な舞台で比較的シンプルにまとめられている。あまりエキゾチックではないかも知れないが違和感は少ないだろう。ちなみに鷹の声は歌手が自分で演じていて猿之助演出のように別人に演技させるようなことはしていない。

ユーレカ方式のアナログ・ハイビジョン収録による映像は当時のNHKの収録に比べれば切れがないが十分なクオリティは保っており鑑賞には問題ない。90年のショルティの仮面舞踏会の映像や92年のクライバーのニューイヤーコンサートは、マスターはハイビジョン収録だが、DVD化されているのはPALにダウンコンバートしてブライアン・ラージが再編集した映像で、再編集時の画像の劣化は明らかだ。この作品は幸いなことにそういった再編集を経ずにDVD化されたようだ。欲を言えば、この時期のザルツブルグ音楽祭の録音はどれもフットマイクが主体で、音場がやや人工的で舞台ノイズも少し耳に付くが、しかし鑑賞の差し障りになるということはない。

影のない女は日本ではもう演奏されないのだろうかと思ったら来年5月に新国立劇場の予定に入っているのを見つけた。日本での上演は1992年のサヴァリッシュの公演以来だそうだ。これは聞きに行かなくてはいけないだろう。ショスタコのマクベス夫人もそうだが、国内の上演をきっかけに国内盤DVDが発売されるということはよくあることなので影のない女の国内盤DVDが来年発売されることを期待したい。

この作品の対訳はオペラ対訳プロジェクトを参照。
http://www31.atwiki.jp/oper/pages/372.html

あらすじは下記のサイトを参照されたい。
http://homepage2.nifty.com/aine/opera/opera86.htm
http://www.and.or.tv/operaoperetta/122.htm
http://www.nntt.jac.go.jp/season/updata/20000194_3_opera.html

サヴァリッシュの影のない女には70年代のミュンヘンでの公演の映像もあってフィッシャー・ディースカウやニルソンが参加しているらしいが、ユーチューブで見られるのは92年の日本公演だけのようだ。
http://www.youtube.com/results?search_query=schatten+strauss+sawallish&search_type=&aq=f

フィッシャーディースカウのバラクは63年のモノクロ映像もあるようだがこれはカイルベルトの指揮だろう。
http://www.youtube.com/watch?v=kRasTYiCipM

ニルソンの1978年のストックホルムでの演奏も見つけた。助六さんご指摘のとおりクロブチャール指揮のようだ。
http://www.youtube.com/watch?v=a--EUov1NSk&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=J6scoMMPwgw&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=ngJ3xEw-6J0&feature=related
この公演のドキュメンタリーも見つけた。
http://www.youtube.com/watch?v=cY5hwXFlW6Y&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=YOfI3jHJn0Y&feature=related

1980年のドホナーニのパリの映像にはコロやベーレンス、ジョーンズなどが参加しておりこれもぜひDVDで見てみたい。
http://www.youtube.com/results?search_query=schatten+strauss+paris&search_type=&aq=f

音だけがCD化されているベームの1977年の演奏も映像が残っているらしい。
クプファー演出の1996年のネーデルランドオペラの映像もあるようだ。
http://www.youtube.com/results?search_query=schatten+strauss+DNO&search_type=&aq=f

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