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バッハ

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続けてマタイを聞いてみたくなった。

演奏者 : Equiluz, Kurt (Tenor), Ridderbusch, Karl (Bass),
指揮者 : Harnoncourt, Nikolaus
楽団 : Regensburg Cathedral Boys Choir, King's College Choir, Cambridge, Vienna Concentus Musicus, Vienna Boys' Choir Soloists
(1970)下記サイトに試聴あり
http://www.hmv.co.jp/product/detail.asp?sku=138813&cltrack=1

クリストフ・プレガルディエン(テノール/福音史家)
マティアス・ゲルネ(バス/イエス)
クリスティーネ・シェーファー(ソプラノ1)
ドロテア・レッシュマン(ソプラノ2)
ベルナルダ・フィンク(アルト1)
エリーザベト・フォン・マグヌス(アルト2)
ミヒャエル・シャーデ(テノール1)
マルクス・シェーファー(テノール2/証人2)
ディートリヒ・ヘンシェル(バス1/ユダ、ペテロ、他)
オリヴァー・ヴィトマー(バス2)
アーノルト・シェーンベルク合唱団
ウィーン少年合唱団
ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス
ニコラウス・アーノンクール(指揮)
録音:2000年5月、ウィーン
(下記サイトに試聴あり)
http://www.hmv.co.jp/product/detail.asp?sku=829979&cltrack=1

Wikiによるとリピエーノ(ripieno)には、「合奏でトゥッティから大小に別れたアンサンブルのうちより大きな集団」という意味と、「通奏低音を演奏する際に付け足される音」のという2通りの意味があるそうだ。マタイ受難曲のオリジナルな演奏スタイルではソロを合唱が兼ねるので、ソロを歌わない合唱メンバーは「ripieno」だといえるだろうが、マタイ受難曲の1曲目の場合、ソロ以外のソプラノが全員「ripieno」のパートを歌うのは不自然なので、ここで言うripienoは後者の「通奏低音(このではオルガン)に付け足される音」の意味だろう。

このripienoのみをボーイソプラノに受け持たせて合唱は女声を含めた混声で歌う演奏が多いが、それはメンデルスゾーンの復活上演して以降のロマン派の習慣である。バッハの時代は女性は教会で歌えなかったそうで、ソプラノはボーイ・ソプラノ(あるいはカストラート)、アルトはカウンター・テナーだった、つまり全員男声だったと考えられている。

カストラートが教会音楽やオペラで重要な役割を果たした1650年〜1750年頃は丁度バッハの時代に重なる。カストラートは女声の音域で非常に強い声を出すことができたらしいが、これは現代では再現不可能なので女声のパートをどのように処理するかが常に問題となる。

このため演奏形態には大きく分けて、

1.合唱もソロもボーイソプラノとカウンターテナーを用いて全員男声で演奏する、
→ アーノンクールの旧盤やレオンハルト盤など

2.合唱のみボーイソプラノとカウンターテナーを用いてソロには女声も起用する
→ ソプラノソロのみ女声(カークビー)を起用したクラウベリー盤など

3.ripienoのパートのみボーイソプラノ(あるいは少年少女合唱)に受け持たせてソプラノの合唱とソロには成人の女声を起用する
→ ほとんど全ての演奏(アルトの合唱とソロは女声アルトの場合と男声のカウンタテナーの場合がある)

という3通りが存在する。

合唱もソロも全員男声で演奏した(上記1の)最初の演奏がアーノンクールの最初のマタイだ。古楽器による最初の録音だったということもあって当然にかなり地味な響きがする。ボーイソプラノはカストラートや女声のような強い声は出せないので劇的な表現はどうしても弱くなる。健闘しているとはいえ音楽的な未熟さも伴う。

しかし当時としてはかなり斬新なテンポも今聴けば常識的なものだ。「舞曲のようだ」と言われた1曲目(7分25秒)も6分台の演奏も珍しくなくなった現在では普通のテンポか、むしろ少し遅めに聞こえる。リヒターのような重い演奏が普通だったこの時代にマタイを本来の姿に大幅に近づけたという点で、このアーノンクールの最初のマタイはメンデルスゾーンの復活上演以来の歴史的な偉業だと私は思う。

アーノンクールに始まったバッハルネッサンスはその後オランダやイギリスにも飛び火し、よりバッハの時代のスタイルに忠実に演奏者数をかなり絞り込んだ演奏も出てきた。特にソロにボーイソプラノを使う場合はオケに負けてしまうのでオケを絞り込んだ方が良いと思う。

逆にそれほどオケを絞り込まないのであれば、ソプラノソロは女声を使った方が良いように私は思う。ただしノンビブラートかそれに近い歌い方ができるソプラノに限る。カウンターテナーはアンドアス・ショルやマイケル・チャンの活躍もあり演奏技術がこの十数年間で大幅に進歩したのでアルトはカウンタテナーで良いと思う。

合唱についてはボーイソプラノが良いか、女声が良いか? う〜ん、これは難しい。マタイはヨハネと比べても激しい音楽なのでボーイソプラノでは苦しい部分もある。合唱までボーイソプラノにしてしまうとripienoとの差別化ができなくなるという点もある(まあこれは初演時からそうだったはずだが)。全体としてややおとなしい感じにはなるが、それでも少年合唱特有の清楚な雰囲気の演奏は独特の魅力を持っている。

ripieno以外の合唱にもボーイソプラノを起用している演奏のうち、レオンハルト盤は私は未聴だ。試聴を聞くとテンポが意外に遅く(1曲目が8分29秒、コラールもかなり遅い)、それにテルツ少年合唱団があまり良くないという評判があるので...
でもアーノンクールの旧盤とクラウベリーのDVD(いずれもKing's College Choir, Cambridgeが参加している)は一聴に値する演奏だと思う。

クラウベリーのマタイ
http://jp.youtube.com/watch?v=Xh-Rw7ukTFY
http://jp.youtube.com/watch?v=BKWblia3Ic0

レオンハルトのマタイ(試聴あり)
http://www.amazon.co.jp/%E3%83%90%E3%83%83%E3%83%8F-%E3%83%9E%E3%82%BF%E3%82%A4%E5%8F%97%E9%9B%A3%E6%9B%B2-%E5%85%A8%E6%9B%B2/dp/B0009I8UOG

さてアーノンクール自身はその後マタイを1985年にコンセルトヘボウでモダン楽器で再録音したがこれはチャリティ用のレコードだったそうで、アーノンクール自身によって廃盤にされた。満を持して再録音されたのが2000年の新盤だが、この演奏は私の予想とはいくつかの点で異なっていた。

まず編成がかなり大きくなった。メンバー表によればバイオリンは18名だ。旧盤の12名から5割増しだ。合唱とソロに女声が入ったのは考え方の問題なのでそれ自体で良いとも悪いとも言えないが、合唱の人数はオケに合わせてだいぶ多くなったようだ。

テンポは全曲で162分で全体としては旧盤(175分)よりも洗練され旧盤にあったある種のぎこちなさは解消されているのだが、全体としてこの演奏のオリジナル度は30年前の旧盤よりも薄まっているように私は感じた。この間、アーノンクールはオペラやモダンオケの指揮者としても一流と見なされるようになった。世間ではこの新盤を高く評価する声もあるようだが、私には彼がオリジナル楽器でこれから何を目指しているのかこの演奏からは良く分からない。丁度リヒターの旧盤と新盤との関係に近いように思う。

実はそれでも聞く頻度は新盤の方が多いかもしれない。それは私が持っている新盤はDVDオーディオという最近あまり見ないフォーマットのディスクであって1枚に全曲が収まっており、ディスクを交換する必要がないからである。高音質を謳った類似のディスクにSACDがあるが、SACDは収録時間が1枚75分程度でCDと変わらない。映像つきのDVDがこれだけ出回っているのに音だけでマタイやオペラはもとよりマーラーの交響曲すら1枚に収まらないSACDのニーズってどのくらいあるのだろうか? (レオンハルトのマタイが今度SACD化されるそうだが3枚組みで8000円もする!)

その点DVDオーディオは長時間だしDVDビデオプレーヤでも再生できる。要するにDVDの動画が静止画になっただけだ。私はDVDオーディオの方が優れていると思っているがソニーが推進するSACDに負けてしまったようで残念だ。そのSACDもそれほど普及が進んでいるようには見えない。ソニーはベータ方式の時に「映画を録るのに2時間必要」という声を無視してVHSに負けたと言われるがSACDも技術先行でニーズを見誤っているように思う。

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大変ご無沙汰しております。もう来週は師走の声を聞く季節になりました。世界経済が迷走する中、私自身もいろんなことがあった1年でした。自分は新しい一歩を踏み出せたのか? そうでもないのか? 何を得て何を失ったのか? きっと神様だけがご存知なのでしょう。私は年末になるとバッハが聞きたくなります。去年もそうでした。

 イェルク・デュルミュラー(T:福音史家)
 エッケハルト・アーベル(Br:イエス)
 コーネリア・サムエリス(S)
 ボグナ・バルトシュ(A)
 ポール・アグニュー(T)
 クラウス・メルテンス(Bs)
 アムステルダム・バロック管弦楽団&合唱団
 トン・コープマン(指揮)
 CCDVD72233

私がこのDVDについてHMVにだいぶ前に書いたコメントにレスがあったのを発見した。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/1393960

磯山先生の名著「マタイ受難曲」によると、1742年頃のマタイのパート譜では第二オケの通奏低音はチェンバロになっているそうだ(第一オケはオルガン)。この本は買ったままいつか読もうと思いつつ読んでいなかった。写筆者は不明なようだが、一部自筆の書き込みがあるそうなので信憑性は高いのだろう。私はマタイの通奏低音は絶対オルガンにすべきと以前書いたが、その前提が崩れてしまった(笑)

総譜とパート譜の違いは他にも多く、印象的な1曲目のリピエーノは総譜にはない(自筆のパート譜のみが残されている)というのだから驚きだ。自筆譜の総譜がネットにアップされていないか探してみたら、IMSLP(←祝復活!)にあったあった。

確かに30小節目(下記の自筆譜の7ページ2小節目)から入るリピエーノがない! 通奏低音のオルガンだけが入っている。これは事件だ。現在流布している慣用版はバッハが清書した総譜と残されたパート譜の折衷だったのだ。注釈が比較的詳しいベーレンライターの総譜にもそんな注釈は一つも入っていないが、これは当然注釈するべきだろう。このPDFは100Mバイトもあるのでダウンロードに少し時間がかかるがぜひ慣用版の楽譜と見比べてほしい。(それにしてもバッハの清書のきれいなこと!)

http://imslp.info/files/imglnks/usimg/2/22/IMSLP22994-PMLP03301-BGA44_21.pdf
http://imslp.info/files/imglnks/usimg/6/62/IMSLP00934-Bach_StMatt1.pdf

そうなると、せっかくオリジナル楽器を使った演奏なら本当に自筆総譜どおりの演奏で聴いてみたい気もする。でもこのリピエーノがないと寂しいし....この暗い出だしにリピエーノだけが長調で入ってくるのが天上的でいいのだから....少なくともリピエーノのパート譜は自筆なのだそうだから良しとするか....などと考えていたら、コープマンのちょっと賑やかな通奏低音もまあこれもありかななどと思えてきた。

コープマンのこのDVDは6曲目その他にリュートまで通奏低音に加わっている。磯山先生の本を見てもさすがにそういうパート譜は残っていないようだから、この通奏低音はコープマンの独自解釈ということになるだろう。だがいずれにしたって完全にオリジナルな演奏はまだないということなのだ。そもそも合唱に女声を使った時点で当時の編成ではなくなってしまっているのだ。

コープマンのやや楽天的で人懐っこい感じの演奏はユーチューブにたくさんアップされている。

http://jp.youtube.com/watch?v=M_LLFfFXaUA
http://jp.youtube.com/watch?v=JpsPmisWF68&feature=related
http://jp.youtube.com/watch?v=UnyXgcoQl-A&feature=related
http://jp.youtube.com/watch?v=eZxqPqWD5pI&feature=related
http://jp.youtube.com/watch?v=xrjOg3nqqoY&feature=related
http://jp.youtube.com/watch?v=vbC6UctBjEA&feature=related
http://jp.youtube.com/watch?v=Z7aRkpYzaBI&feature=related
http://jp.youtube.com/watch?v=pnulpTbugC8&feature=related
http://jp.youtube.com/watch?v=lkkQ4OtEN9s&feature=related
http://jp.youtube.com/watch?v=nD9hFhFFn4w&feature=related
http://jp.youtube.com/watch?v=mMJuPL-XKJE&feature=related
http://jp.youtube.com/watch?v=XrQ7IeBMmgI&feature=related
http://jp.youtube.com/watch?v=TgBFgIavUuU&feature=related
http://jp.youtube.com/watch?v=rNnk4fTJT88&feature=related
http://jp.youtube.com/watch?v=zu0KyHFxtjc&feature=related
http://jp.youtube.com/watch?v=UGj1xcPpIZM&feature=related
http://jp.youtube.com/watch?v=UM0R0dSiDes&feature=related


(追記)
HMVで探したら初期稿による演奏というビラー盤が出ておりこれは恐らく1736年の自筆総譜通りの演奏か、もしくはそれ以前の断片的な写筆譜からの再構成による(つまりripienoなし)と思われる。また最終稿(1742年頃のパート譜)を用いたバット盤も出ていて、これは第二オケの通奏低音がチェンバロになっているはずだ。マタイも楽譜のバージョンを識別しなければならない時代に入ったようだ。

ビラーの初期稿盤
http://www.hmv.co.jp/product/detail/2549728
バットの最終稿盤(試聴あり)
http://www.hmv.co.jp/product/detail/2693607

いずれも聴いてみたいが、3枚組のディスクを聴いている余裕がなかなかない。本当はDVDオーディオで1枚で出してくれるといいのだが.....

それからマタイの歌詞は主にルターがドイツ語に訳した新約聖書から取られているが、コラールの歌詞はルター派教会の賛美歌からとられている。1曲目のリピエーノの歌詞はN.デーツィウスという人が1522年に作った賛美歌の1〜2節だ。この部分の歌詞はラテン語のミサ曲の「グローリア」の歌詞と「世の罪を背負った神の子羊、われらを哀れみたまえ」という主旨が似ているように思う。私はクリスチャンではないので詳しいことは分からないが、このリピエーノにミサ曲のグローリアと同様の意味を持たせようとしたのではないだろうか。

コラール   (N.デーツィウス作 1522 1〜2節 伊藤啓氏の訳)
 おお神の子羊、
 罪なくして十字架の上にて殺され、
 どんなに辱めを受けても
 どんなときにも堪えている。
 あなたは全ての罪を負っているが、
 そうでなければ私たちは絶望してしまう。
 おおイエスよ、我らを憐れんで下さい。

グローリア(部分)
Domine Deus,  Agnus   Dei,  Filius Patris,       
神なる主、神の子羊、神の御子よ。
Qui   tollis  peccata mundi,  miserere   nobis,
世の罪を除きたもう主よ、我らをあわれみたまえ。

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何とフェルトホーヴェンが2月に来日してバッハのヨハネ受難曲の第一稿を演奏して行ったのだ。知らなかった。聞きにいけなくて大変残念だ。フェルトホーヴェンはモーツァルトのレクィエムやバッハのマタイ受難曲の記事でも紹介したオランダ古楽界の重鎮だ。私も大変素晴らしいメサイアを聴いたことがある。手兵との演奏はぜひ聴いてみたかった。第一稿はスコアが紛失しているのでフェルトホーヴェンが中心になって復元したものらしい。幸い明日(バッハの命日)に放送があるので楽しみにしよう。

放送案内を引用しておく。

◇ヨス・ファン・フェルトホーベンの指揮、オランダ・バッハ協会管弦楽団の演奏で、J・S・バッハの『ヨハネ受難曲』を送る。この曲は1724年、バッハ39歳の時に初演された。しかし、当時のスコアは残されておらず、初演時のバッハの作曲意図を読み取るのは難しくなっていた。古楽の研究家でもあるフェルトホーベンは、その後に改訂を重ねた楽譜の断片を詳細に検討してきた。今回の演奏は「初演バージョンの復元」として注目を集めた。2月、東京・紀尾井ホールで収録。

3/21(金) (22:25〜0:40)NHK教育 芸術劇場
オランダ・バッハ協会『ヨハネ受難曲』
<演目>ヨハネ受難曲 BWV245(J.Sバッハ作曲))
<指揮>ヨス・ファン・フェルトホーヴェン
<演奏>管弦楽:オランダ・バッハ協会管弦楽団
<合唱>オランダ・バッハ協会合唱団
<ソリスト>
 ゲルト・テュルク(テノール/エヴァンゲリスト)
 ステファン・マクラウド(バス/イエス)
 マリア・ケオハナ(ソプラノ)
 マシュー・ホワイト(カウンターテナー)
 アンドルー・トータス(テノール)
 ヴォルフ・マティアス・フリードリヒ(バス/ピラト・ペテロ)
<収録>2008年2月25日(月) 紀尾井ホール(東京)


招聘元のアレグロミュージックのHP
http://www.allegromusic.co.jp/toppage.htm

オランダ・バッハ・ソサエティHP
http://www.bachvereniging.nl/

招聘元の公演案内も引用しておこう。

2008年「ヨハネ受難曲」プロジェクト 日本公演スケジュール
2月22日(金) 兵庫県立芸術文化センター 午後7時開演 0798-68-0255
2月23日(土) 厚木市文化会館 午後4時開演 Tel: 046-224-9999
2月24日(日) 愛知県長久手町文化の家 午後4時開演 Tel: 0561-61-2888
2月25日(月) 東京 紀尾井ホール 午後7時開演(6時30分開場) Tel: 03-5216-7131


オランダ・バッハ協会合唱団&管弦楽団
 オランダ・バッハ協会は1922年から今日まで、ナールデンのグローテ教会でバッハの『マタイ受難曲』を演奏して高い評価を受けている。この演奏はオランダの人々に愛され、毎年12,000人を超える人が聴きにくる。現在のバッハ協会を構成するのは17・18世紀の音楽の演奏を専門とするプロの歌手と器楽奏者である。音楽監督と首席指揮者をヨス・ファン・フェルトホーヴェンが務める。

 オランダ・バッハ協会は年間約50回のコンサートを行い、おもにバッハと彼の同時代および先輩の作曲家の作品を演奏している。プログラムには主要なバロック作品からあまり知られない作品や比較的小規模の曲が取り上げられる。アンサンブルの構成を自由に変えられるので、宗教曲と世俗の合唱曲や管弦楽曲の両方を大編成および小編成で演奏することができる。そのためオランダ・バッハ協会は過去数年間に非常に多くの作品を演奏しており、そのなかには今日の時代では初めて演奏されるという曲も多い。この独創的なプログラミングは音楽家にも一般の人にも強い刺激を与えている。

 ほとんどのコンサートはオランダ国内で行われるが、フランス、イタリア、スペイン、ポルトガル、ポーランド、ノルウェー、日本、米国でも演奏している。毎年計画される公演のほぼ半分は音楽監督ヨス・ファン・フェルトホーヴェンが指揮する。その他は、グスタフ・レオンハルト、ポール・マクリーシュ、マーカス・クリードといった古楽の指揮者によって行われる。

 チャンネル・クラシックスとの提携によりオランダとイタリアの作曲家の音楽をはじめとする、あまり知られない作品のレコーディングという意欲的な企画が実施され、評論家の高い評価を得ている。

ヨス・ファン・フェルトホーヴェン(音楽監督、指揮)
ヨス・ファン・フェルトホーヴェンはオランダのデン・ボッシュで生まれユトレヒト・リイクス大学で音楽学を、ハーグ王立音楽院で合唱とオーケストラの指揮を勉強した。1983年にオランダ・バッハ協会の音楽監督に就任し現在に至る。就任以来、ヨハン・セバスティアン・バッハとその先輩および同時代の作曲家の主要作品を国内国外で定期的に演奏している。さらに1976年にユトレヒト・バロック・コンソートを結成して監督を務めている。これらのアンサンブルを率いて国内国外で数多くのラジオ・テレビ出演やCDレコーディングを行うとともに、オランダ国内や多くの西欧諸国の音楽祭に出演している。

ヨス・ファン・フェルトホーヴェンはボンのベートンヴェン・ハレ・オーケストラ、東京フィルハーモニー、テレマン室内管弦楽団、エッセン・フィルハーモニーの公演に定期的に客演している。2001年から演出家ディートリヒ・ヒルスドルフとともにボン歌劇場でヘンデルのオラトリオ連続公演を行っている。 

古楽の領域で新しいレパートリーを広げ、テレマンやグラウンのオラトリオ、ガストルディの『晩祷』(原文Vespers)、黄金時代のオランダ音楽、バッハの『マルコ受難曲』の復元、そしていわゆるケーテン時代の葬送曲や17世紀の多くの音楽対話劇の演奏に取り組んでいる。

 現在アムステルダム音楽院とハーグ王立音楽院の合唱指揮教授の任にある。


充実のソリスト陣 プロフィール

ゲルト・テュルク(テノール/エヴァンゲリスト) Gerd Türk
ドイツの当代一のバッハ歌手のひとり。バロック・オペラ、オラトリオ、コンサートのソリストとして世界各地で活躍。古楽音楽祭の常連アーティスト。現在、バーゼル・スコラ・カントゥルム教授。

ステファン・マクラウド(バス/イエス) Stephan MacLeod
ジュネーヴ音楽院で声楽を学び、ケルン音楽大学でさらに研鑽を積む。コルボ、ヘレヴェッヘ、ガーディナー等の指揮者と共演し、ルネサンスから近現代までの幅広いレパートリーを披露。

マリア・ケオハナ(ソプラノ) Maria Keohane
スウェーデン出身。ドロットニングホルム宮廷歌劇場、デンマーク王立歌劇場でモンテヴェルディ、ヴェルディなどのオペラに出演し絶賛を博す。エリクソン、パロット、リンドベルイなどの指揮で多くの作品のソリストを務める。 日本にも2006年1月にムジカマーノのメンバーとして来日し、美声を聴かせた。

マシュー・ホワイト(カウンターテナー) Matthew White
マギル大学で英文学を専攻。ニューヨークシティ・オペラやクリーヴランドオペラでヘンデルやモンテヴェルディのオペラに出演している。2004年カンヌ・クラシック音楽賞を受賞。

アンドルー・トータス(テノール) Andrew Tortise
ケンブリッジ大学出身。シャンゼリゼ劇場のミンコフスキ指揮「セメレー」でパリ・デビュー。ザルツブルク夏の音楽祭、グラインドボーン音楽祭、リヨン国立歌劇場などに出演し、いま最も有望視されるテノール。

*バス・ラムゼラーの健康上の理由により、バス/ピラト、ペトロが変更となりました。
ヴォルフ・マティアス・フリードリヒ(パス/ピラト、ペトロ) Wolf Matthias Friedrich
1980年のカルロヴィヴァリ(チェコ)でのドヴォルザーク国際コンクール入賞後、ドレスデン国立歌劇場をはじめ世界各地の著名な歌劇場やコンサートホールに出演。



【オランダ・バッハ協会2008年2月来日予定メンバー】

◆指揮者 Conductor
ヨス・ファン・フェルトホーヴェン Jos van Veldhoven

声楽ソリスト
◆テノール/エヴァンゲリスト(福音書記者) Tenor/Evangelist
ゲルト・テュルク Gerd Türk
◆バス/イエス、第19曲アリオーソ Bass/Christ, also: Betrachte main Seel
ステファン・マクラウド Stephan MacLeod
◆ソプラノ Soprano
マリア・ケオハナ Maria Keohane
◆アルト(カウンターテナー) Alto
マシュー・ホワイト Matthew white
◆テノール Tenor
アンドルー・トータス Andrew Tortise
◆バス/ピラト、ペトロ Bass
ヴォルフ・マティアス・フリードリヒ Wolf Matthias Friedrich

リピエーノ(ソリストを補強する歌手) Ripieno Singers
◆ソプラノ Soprano
アマリリス・ディールティンス Amaryllis Dieltiens
◆アルト(カウンターテナー) Alto
ダニエル・ラゲル Daniel Lager
◆テノール Tenor
サイモン・ウォール Simon Wall

オーケストラ Instrumentalists
◆ヴァイオリン/ヴィオラ・ダモーレ Violin/Viola d'amore
アントワネット・ローマン Antoinette Lohmann
ピーター・アフォールティト Pieter Affourtit
◆ヴィオラ Viola
ヤン=ウィルム・ヴィス Jan Willem Vis
◆チェロ Cello
ルシア・スワルツ Lucia Swarts
◆ヴィオラ・ダ・ガンバ Viola da gamba
ミネケ・ヴァン・デル・ヴェルデン Mieneke van der Velden
◆コントラバス Double-bass
ロベルト・フラネンベルグ Robert Franenberg
◆オーボエ Oboe
マルティン・スタッドラー Martin Stadler
ペーター・フランケンベルグ Peter Frankenberg
◆オルガン Organ
ピーター・デュルクセン Pieter Dirksen
◆テオルボ Theorbo
マイク・フェントロース Mike Fentross
◆チェンバロ Harpsichord
シーベ・ヘンストラ Siebe Henstra


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 バッハ:管弦楽組曲(全4曲)
 アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールド
 指揮:サー・ネヴィル・マリナー
 チェンバロ:サーストン・ダート
 録音:1970年
 (UCCD-3915)

マタイ受難曲の1曲目と並んで昔の演奏と大幅にテンポが変わった曲にバッハの管弦楽組曲がある。リヒター、カラヤン、クレンペラーの演奏など、昔はいずれもフランス風の序曲をアダージョぐらいのテンポで演奏するのが普通だった。ここを8つで振ることはさすがになかっただろうがそれに近いかなり遅めのテンポだった。

バッハの時代はメトロノーム指定はおろかアレグロやアダージョといった速度記号すら入っていないので楽譜はまさに暗号のようなものだ。

管弦楽組曲冒頭の楽譜は以下のサイトを参照。
http://www.dlib.indiana.edu/variations/scores/baj3418/large/sco10003.html

「メヌエット」、「ガボット」といった曲名でテンポを決めるしかないが、それではフランス風の序曲がどのようなテンポだったのか時代考証により明らかになってきたのは1970年頃の話だ。

このディスクはマリナーの管弦楽組曲の第一回目の録音で、イギリスの有名な音楽学者でチェンバリストのサーストン・ダートの助言を得て制作された。現代楽器による華やかなバッハではあるがこの曲本来のキビキビとしたテンポで室内オーケストラを振った演奏はオリジナル楽器の演奏に慣れた今聴き直しても、こういうバッハも悪くないと思わせるものがある。繰り返しを省いているので全曲が1枚に収まっており、これはオリジナル楽器による演奏とほぼ同等のテンポだ。

マリナーとダートはこの録音に続いてブランデンブルグ協奏曲の録音に取りかかったがダートはその途中で亡くなったそうだ。マリナーはその後数年おきに管弦楽組曲を2回も再録音したが、再録音はもっとテンポの遅いロマンティックな時代がかった演奏に逆戻りしてしまったようだ。

1980年前後からオリジナル楽器によるバッハが一般化する中で、現代楽器でバッハをどう演奏べきか方向性を失ってしまったのは70年代のリヒターとも共通するこの時代の現象であるように見える。あるいはダートがもっと長生きしていれば違ったのか? 

このディスクは最近国内盤も復活し室内オーケストラによるバッハが最先端だった頃を懐かしく思い出させてくれる。ダート門下はホグウッドやガーディナーなどイギリス古楽界を支える逸材を輩出しており、その理念は現代にも受け継がれている。

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アクセスが多いようだ。バッハはネット受けするのだろうか? ぜひ何かコメントを残して下さい。
気を良くしてバッハをもう少し取り上げよう。

ジョン・マーク・エインズリー(福音史家)
スティーヴン・リチャードソン(イエス)
キャサリン・ボット(ソプラノ)
マイケル・チャンス(カウンター・テナー)
ポール・アグニュー(テナー)
スティーヴン・バーコー(バス)
ケンブリッジ・キングス・カレッジ聖歌隊
スティーヴン・クレオバリー(指揮)
ブランデンブルク・コンソート(リーダー:ロイ・グッドマン)

このクレオバリーのDVDは恐らく90年代の演奏で第二稿による全曲演奏としては最も早いものと思われる。第二稿ではまず冒頭の合唱と終曲のコラールが別の曲(最終的にマタイ受難曲とBWV23のカンタータに転用された曲)に差し替えられた。また、3曲のアリアが追加または差し替えられた。具体的には11番のコラールの後にバスとソプラノのアリアを追加し、13番と19番のテノールのアリア2曲を別の曲に差し替えた。

この3曲(BWV245a〜c)の楽譜は1981年にベーレンライター版(通常の出版稿)の巻末に付録として収められ一般に入手可能になった。ベーレンライターの楽譜はやたらとページ数が多かったり、英語の訳詞も書かれていて読みにくかったりといろいろ不満もあるのだが、こういう点は評価できる。

楽譜が出版されたことを受けて1988年にシュライヤーがヨハネ受難曲(通常の出版稿)の余白として3曲のアリアを収め、さらに1996年のリリングの再録音(通常の出版稿)、1998年のBCJの再録音(第四稿)の余白にも収められた。

結局11番に追加されたアリアは第三稿で削除され、13番と19番のアリアの別稿も元のアリアに戻された(?)ようだ。特に13番の元のアリア「Ach, mein Sinn」はテノールの嘆きがとても印象的な名アリアなので私もその方が良いと思う。第二稿の改訂には政治的あるいは宗教的な背景があったようで、冒頭の合唱といい終曲のコラールといい13番のアリアといい、聴かせどころがことごとく無くなってしまっていて私としてはあまり面白くない。

と色々違いはあるが、なんと言っても第二稿の最大の不満はあの終曲のコラールが短調の別の曲に差し替えられている点だ。通常の出版稿に慣れた耳にとってマタイと比較したヨハネの最大の違いは終曲のコラールでキリストが復活することだ。39番の合唱の後であの明るいコラールを聴くことで我々は「救われた」という気持ちになれるのだが、第二稿にはそれがない。冒頭が穏やかなコラールに差し替えられていることもあって全体が何かぼやっとした感じになり、それでなくともストーリー性でマタイに劣ると言われているヨハネ受難曲が一層つかみどころのない音楽に聞こえる。

クレオバリーの演奏はとても興味深かったがヨハネはやはり通常の出版稿か第四稿が良いというのが私の結論だ。ヘレヴェッヘの新盤を聴いていないのもそれが理由である。なおこのDVDはジャケットの曲目表示は通常の出版稿のままになっている。その点は不親切だ。

(追記)
大変細かい話になり恐縮だが、通常の出版譜とされているものは1739年に予定されていた(結局中止された)演奏会に向けバッハが作成した10曲目までの自筆譜と、弟子に1746年頃に清書させた11曲目以降の譜面を元に作成されたものだ。しかし1732年頃の演奏会の演奏会では33曲で現在は失われたシンフォニアも演奏され、また40曲目が削除され39曲で終わりになるなど出版譜とは細部で異なる。

このため失われた1732年版を第三稿と呼ぶならば、通常の出版譜は本来は第四稿であり、1749年版は第五稿と呼ぶのが正確だ。しかし1732年版と出版譜との違いは33曲、34曲、40曲が復活した点などわずかな点しかないため、一般的にはこの二つをほぼ同一のものとみなして、1749年版を第四版と数える習慣がすでに定着してしまっている。この記事でもその通例に従った。私一人で「第五稿」などと主張しても意味のないことだ。出版譜を「3.5稿」と書こうかと思ったが、煩わしいので「第三稿」という表記にまとめさせてもらった。ご承知置き頂きたい。


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