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モツレク、フォルレク特集

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ソプラノ:キャロリン・サンプソン(Carolyn Sampson)
メゾソプラノ:インゲボルク・ダンツ(Ingeborg Danz)
テノール:マーク・パドモア(Mark Padmore)
バス:アルフレード・ライター(Alfred Reiter)
合唱:コレギウム・ヴォルカーレ(Collegium Vocale Gent)
管弦楽:シャンゼリゼ管弦楽団(Orchestre des Champs-Élysées)
指揮:フィリップ・ヘレヴェッヘ(Philippe Herreweghe)
2006/8/27 ロイヤルアルバートホール
http://www.youtube.com/watch?v=AieUpXFTcUc

 何と言うことだ。ヘレヴェッヘがついに手兵のコレギウム・ヴォルカーレと来日したというのに入院中で聞きに行けなかった。やっと本当の形でヘレヴェッヘを見ることができたのに大変残念だ。再来日を待とう。2006年のプロムスの演奏をユーチューブで見つけたのがせめてもの慰めだ。

 2006年の演奏では合唱は各パート8名で前列に女声、後列に男声を配置している。ソリストは通常とは逆に左からバス、テノール、アルト、ソプラノと並んでいるのが興味深い。オケはもちろんピリオドオケで、「く」の字に曲がったバセットホルン(ホルンと言っても木管楽器、上記写真参照)が面白い。ソリストには若干の注文もなくはないが、現時点ではほぼ理想的な演奏と思われる。

 版は通常のジュスマイヤー版のようだ。アーメンコーラスが聞けないのは残念ではあるがジュスマイヤー版で良いと私も思う。サンクトゥス以降をゼロから作曲する勇気がなければジュスマイヤー版に安易に手を加えるのはいかがなものか。ヘレヴェッヘがサンクトゥスの前でやや長めの合間を取っているのは「ここからはジュスマイヤーの作曲」という意味かもしれない。ここで曲の雰囲気が少し変わるからだ。

 来日公演はどうだったのだろうか。ソリストは全員代わっている。2006年と比べてどうだったか、聞きに行かれた方がいらしたら教えて頂きたい。対訳は例によってオペラ対訳プロジェクトを参照されたい。
http://www31.atwiki.jp/oper/pages/646.html

(追記)
 ヘレヴェッヘとコレギウムヴォルカーレには2010年のモツレクの映像と2011年のドイツレクィエムの映像もあるようだがPAL方式のDVDなので見られなくて残念。ブルーレイ化を期待したい。

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 助六さんがコメントされた通り、この作品についてはモーツァルトが弟子に口述で旋律を残した可能性や、現在は失われた自筆譜があった可能性を否定できない。この作品は複雑な経緯で補作されたため、モーツァルトの自筆譜はバラバラにされてしまった。1曲目のイントロイトゥスと2曲目のキリエはジュスマイヤーの補作部分とひとまとめにされてこの曲の発注者であるヴァルゼック伯に引き渡された。

 3曲目以降の自筆譜はアイブラーやジュスマイヤーの元にバラバラに残され、これらの断片は(一部はコンスタンツェやシュタドラーの手を複雑に経由して)後に宮廷図書館にばらばらに寄贈され、ここでようやく一つにまとめられた。しかし戦後になってアーメン・フーガの自筆譜がベルリンで発見されたように、他にも断片がある(あった)可能性は否定できないだろう。

 自筆譜が断片しか残っていないラクリモーサ、および(現在は)自筆譜が存在しないサンクトゥス、ベネディクトゥス、アニュス・デイの4曲に関するジュスマイヤー版の評価は、ジュスマイヤーの補作がモーツァルトの指示(あるいは失われた自筆譜)によるものだと信じるか、そうでないかによって大きく変わってくる。これを否定的に捉えれば、ジュスマイヤーに代わって大胆な補筆を行うことも当然考えられる。このためアーメン・フーガを含めて補作したレヴィン版には大いに期待したのだが、結果は微妙だった。

・モーツァルト:レクイエム 
 マーティン・パールマン指揮ボストン・バロック
 ルート・ツィーザク(ソプラノ)、
 ナンシー・モールツビー(メゾソプラノ)、
 リチャード・クロフト(テノール)、
 デイヴィッド・アーノルド(バリトン)
 (1994年)

 ピアノフォルテの演奏で有名なレヴィンが校訂した版は一部で高い評価を得ているようだ。レヴィン版は1991年にヘルムート・リリング指揮シュトゥットガルト・バッハ・コレギウムにより初演され、同じメンバーによる同年の録音もある。楽譜は1993年にヘンスラーから出版されたが、現行版(改訂版?)はフルスコア、ボーカルスコアともにCarus社から出ている。

 私も始め初演者のリリングの演奏を聴いてみようかとも思ったが、ヤマギシケンイチ氏のHPによるとリリング盤はアーメン・フーガの59小節から71小節を演奏していないそうだ。恐らくこの13小節はレヴィンが初演を聴いた後で出版する前に追加したと思われる。
http://classic.music.coocan.jp/sacred/mozart/mozreq/levin.htm

 アーメン・フーガはレヴィン版最大の聴きどころなので(笑)、ここは楽譜通り88小節演奏している盤を聴きたい。1993年の出版後の録音には、チャールズ・マッケラス指揮スコティシュ室内管弦楽団による2002年のCDもある。しかし最初に聴くにはモダンオケでなくピリオドオケによる演奏の方が良いのではないかと考えて今回はこのマーティン・パールマン盤を選んでみた。バイヤー版やランドン版と比べてレヴィン版はジュスマイヤー版と大幅に異なるので、ピリオドオケで演奏しても不自然に聞こえないかどうかがその成否を判断する基準になると考えたからだ。ピリオドオケによるレヴィン版はこのパールマン盤が初めてで、かつ現在までのところこれが唯一のようだ。

(なおリリングによるレヴィン版の演奏はナクソス・ミュージック・ライブラリーで聴くことができる)
http://ml.naxos.jp/opus/89429

 まず全体の構成を確認すると、ジュスマイヤーが補作しなかったアーメン・フーガを含む全15曲だ。保守的な考えの方がいらしたら、作曲から200年も経ってからアーメン・フーガを追加することに疑問の声を上げるかもしれない。しかし逆に、アーメン・フーガが入っていることをこの曲の完成の条件と捉えれば、200年の時を経てついにこの曲が完成したと考えることもできるだろう。全15曲揃っているのはレヴィン版とドゥルース版しかない。ジュスマイヤーがなぜこの曲を補筆しなかったのか分からないが、残された断片がモーツァルトの直筆であることが間違いなければ、私はアーメン・フーガを補作するという行為は大いに肯定したい。

 その上で1曲目から聞いていくと、7曲目のコンフターティスまでは基本的にモーツァルトの自筆とジュスマイヤーの補筆をベースにしている。声楽部はジュスマイヤー版とほとんど変わらず、オーケストレーションが一部で違うだけだ。つまり7曲目まではランドン版と同じアプローチだと言える。具体的にオーケストレーションの違いは、1曲目と2曲目はそれほど違わないようだが、3曲目の「ディエス・イレ」で41小節、45小節、49小節のバスのパートに金管の合いの手を入れているのが耳につく。これは面白いアイディアだと思う。他にヴァイオリンの旋律にも色々手を加えてあるが、これはなくても良いと思った。

 続くトゥーバ・ミルムとレックス・トレメンデはそれほど大きく違わないようだが、6曲目のレコルダーレではヴァイオリンの合いの手を随所に追加しているのが耳につく。こういうのを好きな人もいるかもしれないが、私はこれは別になくてもいいと思った。その後のドミネ・イエスについて先に書いてしまうと、ここでも7小節目などでヴァイオリンの旋律が変更されているが、ここはジュスマイヤー版のオーケストレーション通りソプラノとヴァイオリンを揃えた方が良いように思った。ディエス・イレやレコルダーレのヴァイオリンもそうだが、あまり凝ったことをやるとモーツァルトらしさから遠くなるような気が私はする。

 レヴィン版の8曲目のラクリモーサと9曲目のアーメン・フーガ、それに12曲目のサンクトゥスから14曲目のアニュス・デイの計5曲はジュスマイヤー版とかなり異なる。私が最初に気がついたのは、レヴィンはモーツァルトの残した未完成の自筆譜に対して補筆しているのではなく、アーメン・フーガ以外はジュスマイヤーの補筆をさらに補筆(あるいは修正?)しているということだ。ジュスマイヤー版を批判する立場から徹底的にラジカルに取り組むのであればジュスマイヤーの補筆を一度ゼロリセットする(つまりサンクトゥスからアニュス・デイは新たに1から作曲する)べきだと私は思うが、ジュスマイヤー版をベースに手を加えたに過ぎないという点ではバイヤー版やランドン版と大差ない。手を加えた度合いが大きいというだけなのだ。

 人の成果物に対して大幅に手を加えるというこのような「先生目線」の補筆をした場合、客観的に誰が見ても前より良くなっている必要があるが、残念ながらレヴィン版がジュスマイヤー版より必ずしも優れているとは言えないと私は思う。例えばサンクトゥスの冒頭11小節(ジュスマイヤー版は10小節)にもコード進行やオーケストレーションの変更など大幅に手を加えているが、私はシンプルなジュスマイヤー版の方がモーツァルトっぽいと思う。私にとっては改悪だ。続くホザンナも大幅に拡張されて長くなっているがオリジナルより良いとも悪いとも言えないと思う。同じテーマを使って別の曲を作ってみました、というレベルを超えていないのではないだろうか。

 マーティン・パールマンの指揮するボストン・バロックの演奏は決して悪くはないが、コンフターティスやドミネ・イエスのテンポが明らかに速く、これではアンダンテではなくアレグロだろう。テンポを落とす時も少し表現が大げさで、せっかくピリオドオケを使っているにも関わらずモーツァルトらしさから少し遠くなるような気がするのはレヴィンのオーケストレーションだけでなく演奏にも責任があるのではないだろうか。

 いずれにしても、レヴィン版は一部で評判が良いようなだけに期待が大きかったこともあるだろうが、本当にアーメン・フーガが最大の聴き所になってしまったのは残念だ。200年前の作品に新たに補筆を加えるという作業の難しさを改めて感じさせる結果だった。

 他の補筆版ではドゥルース版とモーンダー版も取り上げたいのだが、前者は楽譜が未入手で後者はCDを未入手なのでそれが揃ってから改めて取り上げることにして、盆も明けたことだし今回のモツレク特集はひとまずここまでにしようと思う。

(追記)
都響が10月6日にレヴィン版のモツレクを演奏する。なんと指揮者はピリオドオケの演奏で名高いヴィンシャーマンだが、聴くべきかパスするべきか悩んでしまう(笑)
http://www.tmso.or.jp/j/concert_ticket/detail/index.php?id=3511
指揮:ヘルムート・ヴィンシャーマン
合唱指揮:ロベルト・ガッビアーニ
合唱:スーパー・コーラス・トーキョー
ソプラノ:澤畑恵美
メゾソプラノ:小山由美
テノール:福井敬
バリトン:牧野正人

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・モーツァルト:レクイエムニ短調 K.626[ランドン版]

 ブルーノ・ヴァイル(指揮)、
 ターフェルムジーク・バロック管、
 テルツ少年合唱団(ゲルハルト・シュミット=ガーデン指揮)
 マリーナ・ウレヴィツ(ソプラノ)、
 バルバラ・ヘルツル(メゾ・ソプラノ)、
 イェルク・へリング(テノール)、
 ハリー・ヴァン・デル・カンプ(バス)
 録音:1999年9月9,10日 教区教会,バート・テルツ,ドイツ
(下記サイトに試聴あり)
http://tower.jp/item/1593777/

 校訂者のロビンズ・ランドンはレクイエム同様に未完成に終わったモーツァルトの大ミサ曲の補作でも知られる。ランドン版によるモーツァルトのレクイエムは1991年のモーツアルト没後200年を機に作成され、翌1992年にブライトコプフ社から出版された。ランドン版の基本スタンスは、ジュスマイヤー版と未完成に終わったヨゼフ・アイブラー(作曲家でジュスマイヤー同様にモーツァルトの弟子)による補作の良いとこどりをしようというものだ。

 具体的には第1曲はモーツァルトの自筆譜通りで第2曲もジュスマイヤーとフライシュテットラーの補作通り(ジュスマイヤー版とほぼ同じ)だが、第3曲「ディエス・イレ」から第4曲「トゥーバ・ミルム」、第5曲「レックス・トレメンデ」、第6曲「レコルダーレ」、第7曲「コンフターティス」に関しては、ジュスマイヤーより先にコンスタンツェが補作を依頼したヨゼフ・アイブラーのオーケストレーションを採用している(一部ランドンが補筆)。アイブラーが補作を断念した第8曲「ラクリモーサ」以降はジュスマイヤー版に準拠している。

 第3曲から第7曲の声楽部の旋律はモーツァルトが自筆譜に残しているのでアイブラーの補作は声楽部についてはジュスマイヤー版とほとんど変わらない。違いは主にオーケストレーションにある。先日紹介したバイヤー版が第8曲「ラクリモーサ」の声楽部をかなり修正しているのに対して、ランドン版は8曲目以降はジュスマイヤー版に大きな変更は加えていない。ランドン版の構成についてはジュラシック・ページの情報が参考になる。
(ジュラシック・ページ)
http://www.ne.jp/asahi/jurassic/page/talk/mozart/landon.htm

 結局、ランドン版の声楽部はジュスマイヤー版とそれほど変わらないのでボーカルスコアを見ただけでは違いはほとんど分からない。アイブラーのオーケストレーションの違いを知る上でランドン版のフルスコア(スタディスコア)が2009年に出版されたことは大変な朗報だと言えるだろう(3000円弱程度で手に入る)。このスコアではモーツァルト自筆部分を(M)、アイブラー補筆部分を(E)、ジュスマイヤー補筆部分を(S)、ランドンの補筆部分を(L)と楽譜上に表記してあるので、誰が書いた旋律か分かりやすくなっているのは大変良いことだと思う。

 アイブラーはモーツァルトの自筆譜に直接補筆をしたので、ジュスマイヤーはモーツァルトの自筆部分を写筆してから補作を進めた。このためアイブラーと似たようなオーケストレーションしている場所も多いのだが、アイブラーの真似と言われるのを恐れたのか、違っている場所も少なくない。ランドン版で第3曲から第7曲のオーケストレーションの違いを見てみると、第3曲「ディエス・イレ」と第7曲「コンフターティス」のトランペットとティンパニの合いの手の入れ方がかなり違うのがまず耳に付く。

 「ディエス・イレ」では合いの手が付点リズムになっている。上記HPページにも譜例が載っているが、最も違いが耳に付くのは52小節〜56小節(このCDの1分25秒目)だと思う。ここでのトランペットとティンパニの合いの手がなかなか格好良くて、「おっ、アイブラーもなかなかやるじゃん」と思ってしまう。「コンフターティス」でも第11小節〜15小節(このCDの35秒目)のトランペットとティンパニの入れ方がジュスマイヤー版と異なる。第1小節〜4小節の合いの手を2拍目と4拍目に入れている点も異なる。ここはジュスマイヤー版では1拍目と3拍目の方を強調している。第4曲「トゥーバ・ミルム」の5小節目(このCDの12秒目)ではジュスマイヤーもアイブラーも2拍目と4拍目に合いの手を入れているので、ジュスマイヤーがここを敢えて変更しているのは興味深い。

 第4曲の「トゥーバ・ミルム」では11〜13小節などの弦のリズムが少し違うだけで大きな違いはない。第5曲の「レックス・トレメンデ」でアイブラーが第2拍の管楽器の合いの手を入れていないのはバイヤー版と同じだ。第6曲「レコルダーレ」では90小節などで弦の旋律が異なるが、やはり全体的に見て最も耳に付く違いは「ディエス・イレ」と「コンフターティス」のトランペットとティンパニだと言えそうだ。

 なおこのスコアの巻末には、アイブラーとジュスマイヤーによる補筆の歴史的経緯を説明したランドンの「あとがき」(ほぼ同じ内容のランドン自身による解説がこのCDのジャケットに和訳されている)がドイツ語と英訳で各4ページ掲載されている。しかしその後に掲載されている肝心の「校訂報告」(2ページ)はドイツ語のみで英訳がない。私はドイツ語を全く読めないのでこれは不親切だと思う。最後の2ページが落丁で欠けているのでなければ良いのだが。

 さて、このCDの演奏は以前紹介したピリオド楽器によるさまよえるオランダ人で冴えた演奏を聞かせてくれたブルーノ・ヴァイルによるものだ。なぜかジャケット解説には演奏家のことについてはほとんど触れていないがなかなか優れた演奏だと思う。合唱は名匠シュミット=ガーデン率いるテルツ少年合唱団なので、女声はソプラノソロとアルトソロの2人だけだ。バッハやモーツァルトの時代のようなカストラーノの代わりに少年合唱団にソプラノを歌わせた演奏はアーノンクールなどのバッハ演奏で時々見られるが、少年合唱団によるモーツァルトのレクイエムは私は初めて聴いた。

 少年合唱では劇的表現には欠けるのではないかと心配したが、どうしてどうしてなかなかの好演だ。子音を鋭く立てたラテン語の発音はひょっとしたら少々ドイツ流なのかもしれないが私は好きだ。私は未聴だが実はシュミット=ガーデンとテルツ少年合唱団は1974年のバイヤー版の初録音にも参加している(シュミット=ガーデンは意外に新しいもの好きなのかも?)。しかしジュラシック・ページではその演奏を酷評しているので、恐らくテルツ少年合唱団はこの25年の間に大きく進歩したのだろう。
http://www.ne.jp/asahi/jurassic/page/talk/mozart/bayer_cd.htm

 ランドン版による演奏と言われる録音はこのCDの他に2つある。一つは1992年にランドン版が出版される前の初録音とされるグッドマン盤(1989年録音)だ。この時点のランドン版は「サンクトゥス」と「ベネディクトゥス」のホザンナにバイヤー版のような終結部をそれぞれ4小節つけていたそうだ。これは出版時までに削除されたが、出版前のランドン版を演奏したグッドマン盤は、この校訂作業に対するランドンの考え方の変遷を知る上で興味深い。つまり、この4小節を最終的に削除したことで、ランドン版は声楽部についてはジュスマイヤー版とほぼ変わらなくなり、「ジュスマイヤー版をベースに、オケのアレンジに一部でアイブラーのアイディアを生かした別バージョン」という位置付けになった。ジュスマイヤーを批判するのでなく、その成果をむしろ肯定する立場の校訂譜に変わったのだ。

 もう一つのランドン版の演奏(ランドン版の最も有名な演奏)は、ザルツブルグにおける1991年のモーツァルト没後200年記念演奏会のショルティ盤だ。しかしこの演奏は「レックス・トレメンデ」の冒頭2拍目の合いの手を復活させるなど、一部でジュスマイヤー版に戻している箇所があり、純粋なランドン版とは言い難い。ミサ形式の演奏会をまるごと収録した映像は一見の価値があると思うが。
http://www.youtube.com/watch?v=gyEuY4MVzfs
http://www.youtube.com/watch?v=DiHAta3Bb_o

 実は楽譜出版後の1999年に録音されたヴァイルのこのCDもブライトコプフから出版されているスコアとは異なる点が1か所ある。「ラクリモーサ」の14小節目のソプラノの音形が楽譜と違うのだ。ジャケット解説では「訳者による補足」としてこの点に触れているが、ランドン自身による解説はこの点については全く触れていない。このため、出版後にランドンがどのような理由でこの旋律を改訂したのか、あるいはヴァイル独自の判断なのかは残念ながら分からない。

 なお、ジュスマイヤー版をベースとしながらもアイブラーが残したオーケストレーションを一部で採用するという考え方はランドン版だけに限ったものではない。ガーディナーは1986年録音のCDではジュスマイヤー版を採用していたが、DVDになっている1991年のライブ映像では一部にアイブラー版を採用していると言われている。ただアイブラー版とジュスマイヤー版のオーケストレーションの違いが一番良く分かる「ディエス・イレ」はジュスマイヤー版のままのようだ。
http://www.youtube.com/watch?v=A3CeOdZZygY

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 温泉やスキー場で有名な蔵王(ざおう)は宮城県に近い山形県に位置する。今日の被災地応援商品はコンビニで見つけたヤマザキの蔵王産牛乳入りホイップ使用「白いコロネ」だ。蔵王産牛乳1.9%入りのミルクホイップクリームを使用しているそうだ。蔵王産牛乳というのが普通の牛乳とどう違うのかは存じ上げないが、まったりとしたクリームがデザートっぽくていい感じだ。ただ、これ1個で347Kカロリーも摂ってしまった(笑)。

・モーツァルト:レクイエム K.626
(DVD)
 ラシェル・ヤカール(ソプラノ)
 オルトルン・ヴェンケル(コントラルト)
 クルト・エクウィルツ(テノール)
 ロベルト・ホル(バス)
 ニコラウス・アーノンクール(指揮) ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス
 ウィーン国立歌劇場合唱団(合唱指揮:ゲルハルト・デッケルト)
 収録:1981年11月1日、ウィーン、ムジークフェラインザール(ライブ)
http://www.youtube.com/results?search_query=harnoncourt+mozart+requiem+1981&aq=1

(CD)
 クリスティーネ・シェーファー(ソプラノ)
 ベルナルダ・フィンク(アルト) 
 クルト・シュトライト(テノール) 
 ジェラルド・フィンレイ(バス)
 ニコラウス・アーノンクール指揮 ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス 
 アルノルト・シェーンベルク合唱団(合唱指揮:エルヴィン・オルトナー)
 録音2003年11月27日〜12月1日 ウィーン,ムジークフェラインザール (ライヴ)
 (ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス創立50周年記念演奏会)
(下記サイトに試聴あり)
http://tower.jp/item/2305259/

(1981)4:18/3:03/1:54/3:34/1:51/5:46/2:19/3:44/3:52/3:38/1:49/5:27/3:17/6:53=49:45
(2003)4:57/2:56/1:50/3:52/1:58/6:19/2:35/3:07/3:50/3:02/1:19/5:20/3:25/5:45=50:15

 モーツァルトのレクイエムのバイヤー版の初版は1971年に作成された。ミュンヘン音楽大学教授である校訂者のフランツ・バイヤーは古楽器オケのさきがけだったコレギウム・アウレウム合奏団のビオラ奏者でもある。バイヤー版は1974年にコレギウム・アウレウム合奏団によって初録音され、1977年にはマリナーも録音している。しかしバイヤー版を一躍有名にしたのは、アーノンクールの1981年の録音だろう。このDVDはその録音と同時期のライブ映像で、2007年になって初めて商品化されたものだ。DVDのジャケット解説によると、この演奏会はウィーン国立歌劇場合唱団側が主導して開催されたもので、アーノンクールはこの録音と演奏会をきっかけにモーツァルトに継続的に取り組み始めたそうだ。

 ただアーノンクールの演奏は強いアクセントをつけているので、バイヤー版が前衛的でエキセントリックなバージョンであるかのような印象を与えてしまった面もある。例えば1981年の演奏では、5曲目の「レックス・トレメンデ」の3小節目で「レクス」と子音を音符の中に入れて短く切っているが、これはアーノンクールの解釈である。今回確認したいずれの楽譜でもここは4分音符1つで長さは変わらない。ほとんどの演奏では子音を音符の外に出して「レークス」と歌っているが、古楽器系の演奏ではジュスマイヤー版やランドン版を使ったものでも「レクス」と短く切っている演奏がある。このためバイヤー版の特徴とアーノンクールの演奏の特徴は分けて考える必要がある。

 バイヤー版は基本的にはジュスマイヤー版をベースにしているため、違いはモーツァルトの自筆譜をジュスマイヤーが写筆する際に加えた変更を自筆譜どおりに復元したり、モーツァルトらしくない和声やオーケストレーション、あるいは並行八度といった和声学上の誤りとされる点を修正した点で、後年の他の補筆者によるバージョンと比べればジュスマイヤー版との違いは少ない。ジュスマイヤーが補完したラクリモーサに見られる平行八度についてはDr.町田氏のHPの譜例を参照してほしい。
(Dr.町田の音楽エッセイ集「レコルダーレ」)
http://www.geocities.jp/machi0822jp/recordare.htm

 バイヤー版は1962年に16小節の断片が発見されたアーメン・フーガの復元も行っていないのでジュスマイヤー版と同じ14曲で構成される。小節数が違うのはサンクトゥスとベネディクトゥスの2曲で、ジュスマイヤー版よりそれぞれ4小節多くなっているが、これはホザンナの最後に4小節の終結部を追加しているためだ。しかしアーノンクールは1981年盤でも2003年盤でもこれを実行していない。

 このため耳で分かる最も大きな違いは、ジュスマイヤーの稚拙なオーケストレーションの例としてよく批判される「レックス・トレメンデ」の2拍目の管楽器の合いの手を削除した点だろう。この修正はバイヤー版以降の他のいずれのバージョンも踏襲しているが、逆にバーンスタインのようにバイヤー版を使いながらもこの合いの手を復活させている演奏もある。この部分の譜例が下記ページに載っている。
(ジュラシック・ページ)
http://www.ne.jp/asahi/jurassic/page/talk/mozart/bayer.htm

 他にジュスマイヤー版との違いが大きいのは8曲目のラクリモーサで、特にアルトとテノールのパートはジュスマイヤー版とかなり異なる。25小節目にディミニエンドが、26小節目にピアノが指定されていることもあって、ジュスマイヤー版が通常この部分をフォルテのまま演奏するのとはだいぶ雰囲気が異なる。Dr.町田氏はこの部分をバイヤー版の弱点としているが、私はこういう補完の仕方もあるのではないかと思う(ただしラクリモーサだけ旋律を大幅に変更するのはどうなのかという編集スタンス上の疑問はあるが)。ジュスマイヤー版のようにここであまり劇的に盛り上げてしまうと終止感が強くなりすぎて、次のドミネ・イエスに入る前に一息つかなければならないだろう。確かLP時代はちょうどここでA面が終わったのでそれでも良かったのだろうが。Dr.町田氏のHPに譜例が載っている。
(Dr.町田の音楽エッセイ集「ラクリモーサ」)
http://www7.plala.or.jp/machikun/lacrimosa.htm

 さてアーノンクールの演奏だが、旋律の頭に強いアクセントをつける独特の解釈は新盤も旧盤も基本的に変わっていない。2002年に出た伝記には「この曲を演奏したのは今のところ1981年が唯一」と書いてあるそうなので、恐らく2003年の再録音(演奏会のライブ)は22年ぶりの演奏だったのだろう。ただし、新盤は1曲目のイントロイトゥスが旧盤より目立って遅くなったこともあり、鋭さが際立った旧盤よりも全体的に沈んだ雰囲気だ。10曲目のオスティアスが速いのが少し目立つぐらいだろうか。この22年間におけるウィーン・コンツェントゥス・ムジクスの充実は素晴らしく、新盤の合唱とソリストも旧盤よりはるかにモーツァルトに近くなっているが、それでも若かった頃のアーノンクールの鮮烈な指揮を映像で見てしまうとアーノンクールらしさは旧盤の方がはっきり出ていると思う。

 旧盤のオケは下手、というかぎこちないし、ウィーン国立歌劇場合唱団は(いつもそうだが)ヴィブラートがきつい発声でモーツァルトには向いていない。これはこの曲のベームやショルティのCDや映像でも全く同じことがあてはまる。この曲にはウィーン楽友協会合唱団の方がはるかに向いている。それでもアーノンクールでどちらか一つと言われれば旧盤を選びたい。1981年盤の指揮で2003年盤のオケと合唱を振ってほしかったというのが正直なところだが、それは無い物ねだりか。なお、旧盤は8曲目のラクリモーサと11曲目のサンクトゥスが新盤より遅くなっているように見えるが、これは楽章間のチューニングの時間などが含まれているためでこの2曲のテンポは新盤と数字ほど違ってはいない。旧盤のオケの配置は意外なことにチェロとコントラバスが右のストコフスキー型だ。

 なお、アーノンクールの新盤にはCD-ROMのおまけアプリ(36Mバイトほどのフラッシュコンテンツ)がついていてパソコンで再生できる。これは冒頭からオスティアスまでの10曲のモーツァルトの自筆譜を収めたもので、音楽と同期して再生するようになっている。自筆譜はまだIMSLPなどでも入手できないのでここで見られたのは大変うれしいことだ。これを見るだけでも新盤を入手する値打ちがあると思う。ただし、新盤は現在はRCAから発売されているようで、RCA盤にこのアプリがついているのかどうかは私は知らない。

(追記)
その後アーノンクールは2006年11月に来日した際にもこの曲を演奏している(来日公演は26年ぶりだった)。この時にNHKが放送した映像が以前ユーチューブで全曲見られたのだが、現在はラクリモーサだけのようだ。ジュスマイヤー版と違う響きが確認できると思う。チェロとコントラバスが左側にある19世紀型両翼配置に配置が変わっていることも確認できる。
http://www.youtube.com/watch?v=uy1rSQKWCnw
ニコラウス・アーノンクール指揮 
ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス 
アルノルト・シェーンベルク合唱団

(さらに追記)
ナクソス・ミュージック・ライブラリーでは下記のようなバイヤー版の演奏を聴くことができる。
http://ml.naxos.jp/opus/193379

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 お盆なので実家へ帰省してお墓参りをしていらっしゃる方も多いだろう。今年は震災後はじめて迎えるお盆でもあり、また明日は終戦記念日でもある。今日はこのブログを始めた頃に書いたモーツァルトのレクイエムを久しぶり(約4年ぶり)に取り上げようと思う。

 バイヤー版、ランドン版、レヴィン版、モーンダー版といった通常のジュスマイヤー版以外の補筆完成版のスコアがこのところ入手しやすくなり、私もスタディスコアないしボーカルスコアをいくつか入手することができた。マーラーの10番の各種補筆完成バージョンやブルックナーの初稿バージョンの演奏もそうなのだが、スコア(1万円もする指揮者用の大型版でなくスタディスコア)が手に入らないことには、なかなか具体的な比較はできない。耳だけで比較すると、楽譜がそうなっているのか、そうではなくて演奏家による解釈や変更なのか、その違いはなかなか判別できない。

 未完のこの作品の補筆完成版については下記のような優れた情報がすでに存在するのだが、これを機会に私も違いを検証してみようと思う。

(ヤマギシケンイチ氏のHP)
http://classic.music.coocan.jp/sacred/mozart/mozreq/edition.htm
(ジュラシック・ページ)
http://www.ne.jp/asahi/jurassic/page/talk/mozart/requiem.htm
(DR.町田の音楽エッセイ集)
http://www7.plala.or.jp/machikun/musicessay.htm

 まず最初にこの曲の編成と構成を確認しておこう。ジュスマイヤーが作曲しなかった「アーメン・フーガ」も含めると全部で15曲だ。

【編成】
独唱(ソプラノ、アルト、テノール、バス)、4声合唱
2バセットホルン、2ファゴット、2トランペット、3トロンボーン、ティンパニ
弦5部(第一ヴァイオリン、第二ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス)、オルガン

【構成】
イントロイトゥス【入祭唱】
 第1曲 レクイエム【交唱】
  (ニ短調 アダージョ 4分の4拍子 合唱・ソプラノ独唱)
 第2曲 キリエ【憐れみの賛歌】
  (ニ短調 アレグロ 4分の4拍子 合唱)
セクエンツ【続誦】
 第3曲 ディエス・イレ【怒りの日】
  (ニ短調 アレグロ・アッサイ 4分の4拍子 合唱)
 第4曲 トゥーバ・ミルム【不思議なラッパの響き】
  (変ロ長調→ヘ短調 アンダンテ 2分の2拍子 四重唱)
 第5曲 レックス・トレメンデ【恐るべき御稜威の王】
  (ト短調 グラーヴェ 4分の4拍子 合唱)
 第6曲 レコルダーレ【思い出したまえ】
  (ヘ長調 アンダンテ 4分の3拍子 四重唱)
 第7曲 コンフターティス【呪われ退けられし者達が】
  (イ短調 アンダンテ 4分の4拍子 合唱)
 第8曲 ラクリモーサ【涙の日】
  (ニ短調 ラルゲット 8分の12拍子 合唱)
 (第9曲 アーメンフーガ)
  (ニ短調 アレグロ 4分の3拍子 合唱)
オッフェルトリウム【奉献文】
 第10曲 ドミネ・イエス【主イエス】
  (ト短調 アンダンテ・コン・モート 4分の4拍子 合唱・四重唱)
 第11曲 オスティアス【賛美の生け贄】
  (変ホ長調 アンダンテ 4分の3拍子 合唱)
 第12曲 サンクトゥス【聖なるかな】
  (ニ長調 アダージョ 4分の4拍子 合唱)
 第13曲 ベネディクトゥス【祝福された者】
 (変ロ長調 アンダンテ 4分の4拍子 四重唱・合唱)
アニュス・デイ【神の子羊】
 第14曲 アニュス・デイ【神の小羊】
  (ニ短調 ラルゲット 4分の3拍子 合唱)
コンムニオ【聖体拝領唱】
 第15曲 ルックス・エテルナ【永遠の光】
  (ニ短調 アダージョ 4分の4拍子 ソプラノ独唱・合唱)

 このうちモーツァルトがオーケストレーションまで完全に仕上げたのは第1曲「レクイエム」のみ。第2曲「キリエ」から第7曲「コンフターティス」、および第10曲「ドミネ・イエス」と第11曲「オスティアス」は重要な声部のみのスケッチが一応曲の終りまで書かれている。だいぶ前に紹介したcoralwikiのPDFでモーツアルトが自筆した部分を確認することができる。
http://www.cpdl.org/wiki/images/f/fb/K626_Requiem_Urtext_PML.pdf
 なおジュスマイアー版のスコアについてはいつものようにIMSLPを参照されたい。
http://imslp.org/index.php?title=Category:Mozart%2C+Wolfgang+Amadeus&from=R
 対訳はいつものようにオペラ対訳プロジェクトを参照されたい。
http://www31.atwiki.jp/oper/pages/646.html

 終曲の「ルックス・エテルナ」は第1曲と第2曲の旋律を使って歌詞を入れ替えたもの。これはコンスタンツェの証言によればモーツァルトの指示だったそうだ(この証言は何とか完成させるための方便だったような気がしないでもないが、それは分からないのでまあこれで良いということにしておこう)。このため終曲は音符に対する言葉の割り当てなどが補筆者により多少異なるものの違いは比較的小さい。

 結局バイヤー版、ランドン版、レヴィン版、モーンダー版のいずれも、第1曲〜第7曲、第10曲、第11曲、第15曲の小節数はジュスマイアー版と変わらない。ここでの違いは和声の補完の仕方やオーケストレーション、あるいはモーツァルトが作曲した部分をジュスマイアーが写筆した際に変更した点をモーツァルトの自筆譜通りに戻すといった点にある。

小節数         1/ 2/ 3/ 4/ 5/ 6/ 7/ 8/ 9/10/11/12/13/14/15
(ジュスマイヤー1792)48/52/68/62/22/130/40/30/--/78/89/38/76/51/82
(バイヤー1971/2005)48/52/68/62/22/130/40/30/--/78/89/42/80/51/82
(ランドン1992)     48/52/68/62/22/130/40/30/--/78/89/38/76/51/82
(レヴィン1996/2004) 48/52/68/62/22/130/40/27/88/78/89/69/86/53/82
(モーンダー1987)  48/52/68/62/22/130/40/24/79/78/89/--/--/47/82

 これに対して、第8曲「ラクリモーサ」と第9曲「アーメン・フーガ」は断片的なスケッチが残っているに過ぎず、第12曲「サンクトゥス」以降は自筆譜には何も残っていない。このため、この部分を演奏可能な状態にするには他の部分と比べて大規模な補完、あるいは創作をせざるを得ない。「ラクリモーサ」の自筆譜は8小節までしかないため、版による補完の違いは大きく、基本的にジュスマイヤー版の構成を尊重しているバイヤー版ですら24小節以降のクライマックスの響きはジュスマイヤー版とは大きく異なる。

 第9曲「アーメン・フーガ」の16小節のスケッチは1962年にベルリンの図書館で発見された。この曲はジュスマイヤー版には含まれないが、ジュスマイヤーがこのスケッチを見ていなかったのか、見ていたが採用しなかったのかすら良く分からないようだ。バイヤー版やランドン版が基本的にジュスマイヤー版の構成を尊重して「アーメン・フーガ」を復元していないのに対して、モーンダー版とレヴィン版では「アーメン・フーガ」の復元を積極的に試みている。今回は楽譜を入手できなかったがドゥルース版(1984)でも127小節という長い復元を行っている。モーツァルトの16小節のスケッチの演奏をユーチューブで聞くことができる。
http://www.youtube.com/watch?v=--4Ud4UxzfQ

 「サンクトゥス」、「ベネディクトゥス」、「アニュス・デイ」は自筆のスケッチも何も残っていないため、ジュスマイヤー版のこの3曲はジュスマイヤーの作曲による完全な創作である(ただし「ベネディクトゥス」の主題はモーツァルトの弟子のプロイヤーの練習帳に書き込みがあるとする情報もある)。この3曲についてバイヤー版とランドン版は基本的にジュスマイヤー版を尊重しているが、レヴィン版は(ドゥルース版も)ジュスマイヤーの作曲をベースにしつつも「サンクトゥス」と「ベネディクトゥス」のオザンナ以降に大幅に手を加えて拡張している。このためレヴィン版はこの2曲の小節数がジュスマイヤー版より増えている。

 一方モーンダー版は逆に「サンクトゥス」と「ベネディクトゥス」の2曲を削除してジュスマイヤー作曲として巻末に移動している。このようにこの2曲についての対応は版により大きく異なっている。続く「アニュス・デイ」もジュスマイヤーの作曲だが、この曲についてはバイヤー版やランドン版だけでなく、レヴィン版やモーンダー版も基本的にジュスマイヤーの作曲を尊重している点が興味深い。

 次回からは具体的に演奏を聴きながらそれぞれの版の特徴を追っていきたいと思う。

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