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「展覧会の絵」,「惑星」特集

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カラヤン指揮ウィーン国立歌劇場
(1961年11月)

 カラヤンはコンサートで惑星を振ったことは1度もないが、1961年9月にVPO盤を録音した直後の11月にウィーン国立歌劇場でバレエ作品として惑星を3回振っている。カラヤンはオペラを自分で演出することが多かった。この惑星は演出がエーリッヒ・ウォルター、舞台がハインリヒ・ヴェンドルだったそうで、さすがのカラヤンもモダンバレエの演出まではやらなかったようだが、ストラヴィンスキーなどのモダンバレエにほとんど関心を示さなかったカラヤンが戦後バレエの伴奏をしたのはこの時ぐらいだろう。「カラヤンとウィーン国立歌劇場 ひとつの時代の記録」という大型本(アルファベータ刊)の137ページに写真が3点載っている(1点引用させて頂いた)。惑星をバレエで上演するというのは一体誰のアイディアだったのだろう?

 実はこの時期のウィーン国立歌劇場では、カラヤンが総監督になって間もない1957年3月にカルミナ・ブラーナを含むオルフのカンタータ三部作もモダンバレエ形式で上演している(演出はレンネルト、指揮はホルライザー)。この時期のウィーンでは他にも、バルトークの「中国の不思議な役人」(ギーレン指揮)や、アイネムの「メドゥーサ」(ホルライザー指揮)などのモダンバレエも上演されている。その上で1961年に惑星を舞踏作品化していることを考えると、ひょっとしたらこの時期のカラヤンは新しい舞台表現の創出に意欲的だったのかもしれない。バレエ版「惑星」がどうして実現したのか、その後どうなったのかもう少し情報を知りたいところだ。

 1961年9月に録音されたVPO盤の惑星と11月のバレエ上演に関係があるのかないのかも気になる。オペラの場合、カラヤンは本番前に録音を済ませるのが普通だった。時期的に考えても9月の時点で11月のバレエ上演の準備はすでに始まっていたはずだ。録音があればカラヤンがいなくても舞台稽古ができるので、ひょっとしたらVPO盤は本当はバレエ上演のために録音されたのかもしれない。大胆にシンフォニックなBPOの新盤とはテンポ設定がだいぶ違う曲があるのも、バレエで踊ることを意識したと考えれば容易に説明がつく。

カラヤン/VPO(1961) 7:02/8:20/3:57/7:36/8:31/5:44/7:30
カラヤン/BPO(1981) 7:14/8:34/4:11/7:27/9:20/5:59/8:41

 だとすれば惑星のレコードが大ヒットしたにも関わらず、惑星がカルミナ・ブラーナのような舞台作品として結局残らなかったことはカラヤンとしてはさぞや不本意に違いない。ここは誰かが一念発起してカラヤン/VPO盤をバックに惑星を演出してみてはどうだろうか? カラヤンは惑星と同時期にアダンのジゼルやチャイコフスキーの3大バレエ組曲といったクラシックバレエもVPOと録音しているが、これはウィーン国立歌劇場では振っていないようだ。

 なお、カルミナブラーナはストコフスキーもニューヨーク・シティセンターオペラで1959年に舞台作品として上演している。日本でもこの数年、新国立劇場やオルフ祝祭合唱団など舞台上演形式のカルミナ・ブラーナをみかけることが多くなった。このような上演がされるようになったのは最近なのかと思っていたが、50年代の昔から舞台作品として欧米で上演されていたのだ。

 ショットから出ている「カルミナ・ブラーナ」のスコアには「Cantiones Profanae cantoribus et shoris cantandae comitantibus instrumentis atque imaginibus magicis」というラテン語の副題がついている。訳すと「妖術的イメージを伴い、楽器で伴奏される独唱と合唱の為の世俗的歌曲」とでもなるだろうか。カルミナ・ブラーナが1937年の初演当時から舞台上演形式で演奏されていたのかどうか分からないが、作曲者は何かしらの視覚表現を伴う形式で上演することを期待していたと考えられそうだ。

 余談だが、カラヤンがストコフスキーばりに映画に関心を持つのもこの時期だ。1959年にVPOと録音したツァラトゥストラは映画「2001年宇宙の旅」のサウンドトラックに用いられ、1960年のザルツブルグ祝祭大劇場のオープニングを飾った「ばらの騎士」はツインナー監督により映画化された。カラヤンにとって新しい表現を積極的に模索していた時期にあたるのかもしれない。それにカラヤンとストコフスキーは2人とも録音好きだったが、やろうとしていることも意外と近かったのかもしれない。


(追記)
バレエで惑星を踊っている例が他にないかユーチューブを見てみたらいくつかの映像が見つかった。今でも一応バレエのレパートリーになっているようだ。モダンバレエで踊っているものと、クラシックバレエで踊っているものと両方あるのが興味深い。どれも盗み撮りのようで映像は良くないが。消されないうちに見てほしい。
http://www.youtube.com/watch?v=5yFOAsf9ytI
http://www.youtube.com/watch?v=4_DGK9rFu-o
http://www.youtube.com/watch?v=RVjzI9TN7s8
http://www.youtube.com/watch?v=kLX9Po45ZiY&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=JjKJ2VtSCzs

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・ホルスト:組曲惑星Op.32

 NBC交響楽団
 1943年5月14日(モノラル、ライブ)
 6:53/8:45/3:36/7:06/9:05/5:40/9:52=51:07(拍手あり)

 ロサンジェルス・フィルハーモニー管弦楽団、ロジェ・ワーグナー合唱団
 1956年9月(ステレオ)
 6:36/8:03/4:04/7:37/7:47/5:44/6:44=46:38

 レオポルト・ストコフスキー指揮

 カラヤンの2度の録音はこの曲を普及させる上で大きな役割を果たしたが、しかし惑星の演奏史上で初演者ボールトに次いで重要な位置を占めるのはストコフスキーだと実は思う。

 彼のこの曲唯一のスタジオ録音となったロスフィルとの録音は、惑星初のステレオ録音でもある。録音した米キャピトルはRCAと同様に3チャンネル収録をしていたそうで、50年代当時のDGやEMIよりも明らかに音が良い。加えてストコフスキーは世界初のステレオ音声(オリジナルは9トラックのマルチチャンネル)の映画である「ファンタジア」を1940年に制作しており、ステレオ録音に対する進んだノウハウを持っていたのだろう。火星の終わりの部分など例によってストコフスキーのアレンジが加わっている場所もなくはないが、目立った改変は少なく、曲の派手な性格もあってそれほどは気にならない。

 私がアナログ時代に愛聴していたのは実はこの演奏だ。今聴き直してもそのチョイスは決して間違っていなかったと思う。ストコフスキーの演奏は1960年代以降厚化粧で恣意的・人工的な感じのものが多くなる。ねちっこいリストのハンガリー狂詩曲やR=コルサコフのシェエラザードがその端的な例だろう。これはデッカのマルチチャンネル録音のせいもあるだろうが、ストコフスキーの気合いの入り方も50年代までの演奏には及ばないように思う。楽曲に対するストレートな熱気が感じにくいのだ。私はストコフスキーの録音は50年代以前のものが良いと思う。

 一方、1943年のNBC交響楽団とのライブは1999年になって初めてCD化されたものだ。1920年代に録音されたホルストの自作自演に続くこの曲の全曲録音は、以前も紹介したボールトの1回目のSP録音(1945年)だと長い間思われていたが、放送用のライブ録音ではあるがボールトよりも先にストコフスキーが録音していたとは大変驚いた。アセテート盤からの復刻であるが音は思いのほか悪くは無い。

 映画ファンタジアが公開された1940年にフィラデルフィア管を退任した後のストコフスキーは良いポストにあまり恵まれなかった印象があるが、1942年〜44年の短い期間ではあるがNBC交響楽団の常任指揮者をトスカニーニと共同で務めている。そこで惑星のような新しい作品を取り上げていたという事実は、ショスタコービッチなどごく一部を除いて20世紀の作品をほとんど振らなかったがトスカニーニとは大変対照的だ。この演奏はひょっとしたら惑星の全米初演だったのかもしれない。

 演奏は56年のスタジオ録音を上回る気合いの入り方だ。慣れない曲のライブ(拍手入り)ということもあって、さしものNBC響も若干乱れている。しかしノリの良さは素晴らしく、ネットで検索しても下記のHPのようにこの演奏を高く評価する意見も少なくない。きっとストコフスキーはフィラデルフィア管に代わる理想像をNBC響に見出したのではないだろうか。実際はそれは数年で終わってしまうのだが....
http://www.geocities.jp/planets_tako8_ma_vlast/index.html

 「惑星はカラヤンとボールトに限る」と思っている人は、ぜひストコフスキーの演奏も聞いてほしい。NBC響との演奏はもうすでに廃盤になってしまったようだが、ユーチューブで木星を聞くことができる。
http://www.youtube.com/watch?v=bHKUohqS6RU

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・ホルスト:組曲『惑星』作品32
 フランス国立女声合唱団、フランス国立管弦楽団
 ロリン・マゼール(指揮)
 録音:1981年、パリ(デジタル)

(下記サイトに試聴あり)
http://www.hmv.co.jp/product/detail/2781253

 CD最初期の惑星と言えばこの演奏も忘れる訳にはいかない。フランスのオケによるホルストというのは大変珍しいと思う。ホルストに限らずエルガーにしてもブリテンにしてもディーリアスにしても、フランスのオケによるイギリス音楽の録音はほとんどないのではないだろうか? やっぱりフランスとイギリスは仲が悪いのだろうか? でもイスラエルフィルがワーグナーを演奏する時代に、そんな時代錯誤なことを言う人間がいるのだろうか? 逆にイギリスのオケによるドビュッシーやラベル、あるいはフォーレは全然珍しくないのに大変不思議な現象だ。

 マゼールは1980年前後のこの時期フランス国立管に好んで客演した。この当時パリ管はすでにドイツ式の管楽器に変わってしまっていたが、それに比べるとフランス国立管はまだフランスっぽさを残していたと思う。この惑星も英米のオケにはない色彩感と、十分な機能美、それにマゼール特有の大見えを切るようなあざとさがほどよくブレンドしてなかなか印象的だった。ティンパニがややオフ気味のため重低音を期待する向きにはちょっと合わないかもしれないが、ぜひ聞いてほしい1枚だ。この演奏も恐らくマシューズが校訂したクリティカル・エディション(1979年)を使っていると思う。月面から見た木星のイラストも印象的だ。

 マゼールはこの惑星の少し前にマーラーの1番もこのオケと録音していて、それもなかなか良い演奏だった記憶があるのだがCD化されているのだろうか? マゼールはその後ウィーンフィル初のマーラー全集を完成させたがスローテンポな演奏が多くて全体としてはあまりパッとしなかったように思う。個人的にはフランスのオケ初のマーラー全集の方が面白かったのではないかと思うのだが? 今度出るBOXセットにフランス国立管との1番が入るようなので購入するかどうか思案中・・・・

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 スペースシャトルが1981年の初飛行から30年の任務を終えて引退する。同じ機体を繰り返し打ち上げることで1回あたりのコストを下げるという当初のもくろみはなかなか実現できなかったが、それでもスペースシャトルがなければ国際宇宙ステーションを建設し様々な観測や実験をすることは不可能だっただろう。夢と希望を与えてくれたスペースシャトルに感謝したい。

指揮者 : Karajan, Herbert von, Karajan, Herbert von
楽団 : Berlin Philharmonic Orchestra, Berlin RIAS Chamber Chorus
録音場所: 01/1981, Philharmonie, Berlin [Studio]

 惑星については以前に初演者ボールトの演奏や、ホルストに試演の機会を提供したイギリスの作曲家ヘンリー・バルフォア・ガーディナーゆかりのガーディナー盤を紹介した。これらは惑星を語る上で非常に意味がある演奏だ。しかし、逆説的なようだが、純粋にオーケストラピースとして聞くには機能的に割り切った非イギリス系の演奏の方がスカッとするのも事実だ。スペースシャトルが飛んだ1981年に録音されたこのカラヤン/BPO盤はその最右翼と言えるだろう。

 これはカラヤンにとって1961年のVPO盤から20年ぶりの再録音であり、デジタル時代に真っ先に再録音したと言われたが、実際にはデジタル録音の惑星には先に、シャンドスのギブソン盤(1979年)やEMIのラトル盤(1980年の旧盤)がある。しかし翌1982年にCDで発売することを当初から想定して録音した惑星という点では、このカラヤン盤とCBSソニーのマゼール盤が最初だろう。先日亡くなった大賀典雄氏の証言では1981年春の時点でカラヤンはCDの試作機の音を聞いていたという。

 CD時代に向けて満を持してBPOと録音したこのディスクは、結果的に重厚にして輝かしいカラヤン/BPO黄金時代の最後の輝きを記録したものとなった。スタジオ録音の割にはライブっぽい勢いのある演奏でもある(同時期のマーラーの9番のスタジオ録音にも同様の傾向があるのが興味深い)。金管が若干荒っぽく聞こえる点を批判する人が稀にいるようだが、これはこのディスクの初期盤がデジタル初期特有のキンキンしたヒステリックな音質になっていたため、些細な点が誇張されて聞こえた可能性が高い。

 現在出ているOIBPリマスター盤はマルチトラックのマスターテープからリミックスされたものでバランスは大幅に改善されている。私は金管の粗さはそんなには気にならない。豪快に鳴っている割に全体としてはスマートな響きがするのは恐らくマシューズが校訂したクリティカル・エディション(1979年)を使っているためだと思われる。

 VPOとの旧盤も、ステレオ録音の惑星としては米キャピトルのストコフスキー盤(56年)、英EMIのサージェント盤(57年)、米ウエストミンターのボールト盤(59年)よりも後だが、これらの演奏は当初はモノラルLPで発売されたものだ。初めからステレオのLPで発売することを想定して録音したという点ではカラヤン/VPO盤が最初だと思う。実際、VPO盤の国内盤は1962年10月に初めからステレオ盤で発売され、これは国内盤としてはモノラル盤で発売されていたストコフスキー盤以来4年ぶりの新譜だったそうだ。

 ストコフスキーやオーマンディ、ショルティ、マゼール、あるいはラトルとは違ってこの曲をコンサートでは1回も演奏していないカラヤンだが(ただしカラヤンは惑星のバレエ上演を3回指揮したことがある)、ステレオLPやCDといったメディアの変化を敏感に意識して計画的に録音していたことが分かる。 そのVPO盤も名盤の誉れ高いが、実は私がアナログ時代に聞いていたのはストコフスキーの演奏だった。この曲をオーケストラピースとして割り切って聞くにはBPOやアメリカのオーケストラのような機能的なオケの方が合っていると思う。

 VPO盤はこの作品の知名度を高める上では大きな意味があったと思うが、音の質として合っているとは必ずしも言えないVPOを起用しているのはデッカの録音だったためであろう(VPOは当時デッカの専属で、BPOはEMIの一部の録音を除けばDG専属だった)。あるいはウィーン国立歌劇場でバレエで上演することを前提とした録音だった可能性もある。カラヤンのバレエ版の惑星については別に記事を書いたのでそれを参照してほしい。

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 クリュイタンスの展覧会の絵が3種類(CD2枚、DVD1枚)私の手元にある。2つはパリのオーケストラ、1つはイタリアのオーケストラを指揮したものだ。時期が近いということもあってクリュイタンスの解釈や演奏時間に大きな違いはなく、オケの違いを聴き比べるのには丁度いい。

・ムソルグスキー / ラヴェル編:組曲『展覧会の絵』

CD クリュイタンス指揮パリ音楽院管弦楽団
  1958年4月 パリ、モノラル
1:45/2:18/0:55/4:28/0:38/1:03/3:00/0:40/1:15/2:20/1:25/1:50/1:41/3:22/5:13

DVD クリュイタンス指揮フランス国立放送管弦楽団
  1960年8月13日 パリ、モノクロ・モノラル
1:42/2:10/0:55/4:21/0:31/1:05/2:58/0:34/1:18/2:32/1:24/1:51/1:34/3:19/4:55

CD クリュイタンス指揮RAIミラノ交響楽団
  1962年2月3日(ライヴ、ステレオ)
1:38/2:11/0:51/4:12/0:32/1:01/2:54/0:36/1:14/2:09/1:22/1:48/1:34/3:21/5:30

 パリ音楽院のCDとフランス国立放送の映像は当時のフレンチスタイル丸出しで、冒頭のトランペットの強いビブラートは現代では全く聴くことができなくなったものだ。あまりの濃さにびっくりして、もし私がこの指揮者に特別な思い入れを持っていなければ、パリ音楽院のCDはとっくに中古屋に売り飛ばしているところだった(笑)。

 しかしこれは今ではもう二度と聴けない音楽だということが(ほぼ)確定した現在、古き良き時代の記憶であるこのCDには愛着すら感じてしまう。50年代のポンタメルトまるだしのウィーンフィルを愛せる方はきっとこれも大丈夫だろう(笑)。パリとウィーンは田舎な都会という点で近いのだ。ラベルが「ビドロ」で指定したフレンチ・チューバ(C管のやや小型のチューバ)の哀愁を帯びた音色も聴きものだ。
http://www2.mackey.miyazaki.miyazaki.jp/MusicRoom/FrenchTuba/bydlo.html

 このフレンチ・チューバのパートは現在では大型のチューバとユーフォニアムの2台で分担して吹く(高音域のソロが続く「ビドロ」だけユーフォニアムで吹く)のが普通になってしまったそうだ(ビドロをB♭管のテナーチューバで吹いている演奏もあるらしい。シノーポリの録音ではチューバ奏者がF管チューバで吹いているらしいという情報もあるが筆者未聴)。オリジナルのフレンチ・チューバ1本で全曲を吹いているこの演奏は貴重だ。

 フランス国立放送の映像もほぼ同様の傾向だ。BSでも放送されたのでご覧になられた方も多いだろう。不鮮明なモノクロ映像なのでフレンチ式の楽器の特徴を画像で確認するのは難しいが、クリュイタンスのノーブルで優雅な棒は、機嫌が良い時のクライバーを何となく彷彿させるものがある。サックスはダニエル・デファイエだそうだ。正規発売されたクリュイタンスの映像はこのDVDと、同じフランス国立放送管とモスクワを訪問した際のDVDの2種類があるだけなので貴重だ。(後者はほとんど後姿しか映っていないそうなので、クリュイタンスの指揮ぶりをきちんと収めたDVDはこれ1枚のようだ。)

 それと比較してイタリアでのライブCDは音質としては最も良い条件であるにも関わらず、オケの音色の味わいという点ではパリ音楽院やフランス国立放送の比では全くない。これだと薄味に聞こえてしまって何だか物足りない。クリュイタンスのやや速めのテンポですっきりした解釈はパリの濃い音色のオケを想定したものだろう。なので、演奏としてはパリ音楽院の方が好きだが、そのことが確認できただけでもこのイタリアでのライブ盤を入手した甲斐があったと言えるだろう。このCDにはストラヴィンスキーの火の鳥も収められておりむしろそちらの方が印象に残る演奏だ。クリュイタンスは火の鳥の正規録音を残さなかっただけに録音状態の良いライブが残されたことはうれしい。

 なお、今回クリュイタンスの展覧会の絵を聴き直して発見したことがある。バーバヤーガから終局のキエフの大門に入るところは楽譜ではアタッカでつながっているが、クリュイタンスはアタッカを無視し ゲネラル・パウゼ(全休止)を入れてからキエフを演奏している。3つの演奏ともそうなっているので確信犯であり、恐らくキエフの大門のテーマがもう一度出てくる115小節の前には全休止が入っていることから類推解釈をしたものと思われる。

 実は以前の記事に書いたとおり、カラヤンもいずれの録音でも同じことをしている。レコード芸術の紙面で評論家が(名前を思い出せないが)、カラヤン盤のこの部分を「解せない」と批判していたが、クリュイタンスも同じことをやっている以上は、ここでゲネラル・パウゼを入れる伝統がどこかに存在したと考えるべきだろう。正統的なフランス芸術の継承者であるクリュイタンスがカラヤンのまねをするとは考えにくく、恐らく逆にカラヤンがどこかでクリュイタンスの演奏を聞いて真似たと考えるべきだろう。

 いずれもモノラルだが、クリュイタンスの展覧会の絵は他に1958年のパリ音楽院とのライブと、同じく1958年のケルン放送とのライブがあるようだ。火の鳥は1953年のケルンでのライブと1955年のウィーン響とのライブもあってライブでは結構演奏していたようだ。ケルンのオケにたびたび客演していることも初めて知った。ドイツでも人気は高かったのだろう。カラヤン時代のウィーン交響楽団に招かれていることからカラヤンとの関係との関係も良かったのではないかと推測される。

展覧会の絵 1958年ライブ パリ音楽院
http://www.hmv.co.jp/product/detail/2756397

展覧会の絵 1958年ライブ ケルン放送
http://www.hmv.co.jp/product/detail/3550153

火の鳥 1953年ライブ ケルン・ギュルツェニヒ管
http://www.hmv.co.jp/product/detail.asp?sku=1368669

火の鳥 1955年ライブ ウイーン響
http://www.hmv.co.jp/product/detail/2638472

(追記)
下記HPによるとフランス国立放送管の管楽器は1964年にクレツキが指揮した時点でかなり変わってしまっていたそうだ。私はクレツキの映像は確認していないし、この画質で見ても私は判断できないが、フレンチスタイルの管楽器の危機はこの時期からすでに始まっていたようだ。もっともクレツキの指示でたまたま持ち替えただけかもしれないし、マルティノンなどが振った時のこのオケはもう少し後までフレンチ式を使っていたはずだが。
http://www.numakyo.org/c_pic/17.html

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