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マーラー1番-5番

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 コラムニストでクラシック音楽にも造けいが深く、だいぶ以前に私もお会いしたことがある天野祐吉さんがお亡くなりになりました。謹んでご冥福をお祈り致します。

マーラー:交響曲第5番

チョンミュンフン指揮ロンドン交響楽団
2006年3月7日
ミューザ川崎シンフォニーホール
http://www.youtube.com/watch?v=LdoYX0P_Jmo

 またしてもマラ5だ。以前紹介したアバドの巨人からは24年も後のロンドン響の来日公演だが、この映像も面白い。

 冒頭の長いトランペットソロを普通の指揮者は1拍目から振る。楽譜がそうなっているのだからバーンスタインもショルティもテンシュテットもアバドもマゼールもゲルギエフも大抵の指揮者はそうするのだが、ここはリハーサルがきちんとできていればわざわざ振る必要のない場所でもある。ソリストだと思ってしまえば良いのだ。たとえばベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番で冒頭のピアノソロから棒をつける必要はないだろう。

 チョンミュンフンはここで棒を下ろして目をつむったままトランペットソロをじっと聞き、オケがトゥッティで鳴る直前の13小節目(下記楽譜参照)でおもむろに「ガッ」っと鷲のように両手を広げて振り出す。これがオケを集中させて内側のエネルギーを爆発させるのに実に効果的で、この指揮者らしいと思った。オケが第2バイオリンが右でチェロが左の両翼(対向)配置になっているのも望ましい。両翼配置がブームになる前の2006年の演奏なので進んだ取り組みだったと思う。
http://petrucci.mus.auth.gr/imglnks/usimg/d/d6/IMSLP13080-Mahler-Symphony_No.5_I.pdf

 チョンミュンフンは派手さはないが私が好きな現役指揮者の一人である。実は彼が指揮するヴェルディのレクィエムの合唱を歌ったことがあるのだが、普通の指揮者であれば激しく棒を振り回しそうな「怒りの日」でも実にコンパクトで要領を得た、かといって醒めている訳ではなく内面に向かって燃焼していくような素晴らしい指揮だった。外側に向かって激しく煽るバーンスタインとはおよそ正反対の方向性だ。曲の合間などで時折、斜め上方の宙を見つめて集中するような仕草をするのが何かを瞑想しているようにも見えて興味深かった。マラ5は先日N響でも振ったのでご覧になられた方も多いだろう。テレビでも放送されたようだが見逃してしまったので再放送されたら見てみたい。

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マーラー:交響曲第5番
パーヴォ・ヤルヴィ指揮フランクフルト放送響


 何とか時間が取れたので6月6日のヤルヴィ/フランクフルト放送響のマラ5を聴いてきた。この組み合わせは4年前にも来日し、その時は9番を演奏したそうだ。できれば2番か3番、もし合唱が準備できなければ6番か7番あたりを聴きたかった。5番や1番は「さま」になりやすい曲なので、インバル時代からマーラーを熟知しているオケをヤルヴィほどの実力者が振れば良い演奏にならないはずがないのだ。なので、生ヤルヴィをサントリーホールで一度聴いておくのもいいだろうというぐらいの気持ちで聞きに行ったのだが、3楽章で思わぬ驚きがあって大変満足した。

 メンゲルベルクが使っていた楽譜の書き込みによると、3楽章のホルンのオブリガートをソリスト扱いにして指揮者脇(コンサートマスターの前)で演奏させたそうだ。この情報は2002年にペータースが出版した新校訂版に注釈されたため広く知られることになった。約400カ所の誤りを訂正したというラインホルド・クビーク校訂のペータース新版については下記サイトに詳しいので参照されたい。
http://www.musicking.co.jp/mt/trb_cla/archives/04_sheetmusic/mahler5_kritische.php

 2002年のラトル/ベルリンフィルの演奏はこの新校訂版を採用しているようで、第一ホルンのシュテファン・ドールを第3楽章だけ指揮者脇に移動させている。DVDや放送でその映像をご覧になった方も多いだろう。(ちなみにラトルは同年にウィーンフィルとベーレンライター新校訂版のベートーヴェン全集も完成させている。ラトルは新校訂版が好きなようだ。)

 私はここだけソロで扱うのはちょっと大げさではないかと思ったが、アバドの2004年の演奏では第一ホルンを(その場で)起立させており、このオブリガートの演奏方法がにわかに争点になってきたことは間違いない。ユーチューブではラトルの映像は見つけられなかったが、アバドの映像は見つかった。第一ホルンが起立していることが確認できる。(全くの余談だが、90年代以降のアバドの指揮はニコニコしながら友達感覚で振っている感じで違和感がある。オケに迎合しているというか、予定調和的というか。昨日紹介した70年代の映像がストレートに音楽に切り込んでいるのとはだいぶ違うと思う。)
http://www.youtube.com/watch?v=vOvXhyldUko

 楽譜(現在普通に使用されている出版譜)自体にはホルンオブリガートを指揮者脇で演奏するとか、起立するといった指定は特にされていない。
http://imslp.org/wiki/Category:Mahler,_Gustav

 しかし下記情報によると、このオブリガートは当時の名手でウィーン・フィルの主席奏者だったカール・シュティーグラーのために書いたもので、マーラー自身はアバドの演奏のようにホルンを起立させて吹かせていたらしい。オブリガートの演奏方法に工夫の余地があるのは間違いなさそうだ。
http://kcpo.jp/legacy/32nd/Wienetal/horn.html

 さて、この点に関するヤルヴィの解決方法は、第二楽章の後で第一ホルンを舞台左手奥から右手奥(チェロの後ろあたり)に移動させて起立させて演奏させるというものだった。左手のホルン軍団と右手のオブリガートソロが素晴らしいステレオ効果を挙げて非常に効果的だった。ラトルのように1人だけソリストにしてしまうとオブリガートだけが目立ってしまうが、このやり方であればオブリガートソロとホルン軍団との掛け合いが強調されるのだ。これはうまいことを考えたものだ。聞き手は第3楽章でこのように華やかなホルンの掛け合いを聞いた後、有名なアダージェットで、ああこれは確かに弦楽とハープだけの音楽なのだ(管楽器と打楽器は全休止。上記楽譜の178ページを参照)、ということを改めて確認するのだ。実に効果的だ。やはりヤルヴィはただ者ではない。

 この曲は両翼配置(対向配置)の弦楽を想定して書かれているので、ホルンでステレオ効果を出すならばヴァイオリンも両翼にして良さそうなものだが、弦の配置はインバル時代のこのオケと変わらないストコフスキー型(アメリカ型)だった。この点はちょっと残念。クレンペラーやクーベリック、あるいはシノーポリ(実演ではなくCDのみ)のマーラーのような古典的両翼配置、もしくはギーレンのようなハイブリッド両翼配置で聴きたかった。ヤルヴィはドイツ・カンマーフィルとピリオドアプローチによる素晴らしいベートーヴェンを演奏しているだけに、彼なら両翼配置でマーラーを振れるだろう。

 アンコールはブラームスのハンガリー舞曲第5番と第6番だった。緩急をかなりオーバーにつけた演奏で、真面目な顔でおどけている感じが面白かった(確かにブラームスの音楽にはそういう要素があると思う)。ちなみに前プロはアリス=紗良・オットのリストだった。生で聴くのは初めてだが、まあまあというところか。

(追記)
 私はリストを非常に熱心に聞いているとは言いにくいので単なるステレオタイプ(固定概念)かもしれないが、私のリスト弾きのイメージはベルマン、ホロヴィッツ、ギレリス、それにアルゲリッチと言ったところだ。タイプは異なるが、いずれもある種の大見得を切るようなヴィルトーゾシティを持ったピアニストという点では共通すると思う。

 アリス=紗良・オットはリストが好きなようで演奏会や録音で良く弾いているが、意外に柔らかい音で私がリスト弾きにイメージするようなスケールの大きさはまだなかった。良く弾けてはいたので批判するつもりは決してないのだが、リストを良く弾けているというレベルのピアニストは今では日本人でも結構いる。まだ若い人なので今後に期待しよう。

 むしろ印象に残ったのは裸足でステージに登場したことの方だ。初めは見間違いかと思ったが、アンコールで何度も出てきた時もそうだったので間違いない。16列目の私の席でもはっきり確認できたので、もっとステージに近い席の人にはかなりサプライズだったのではないだろうか。ステージの上はチェロやコントラバスがピンを刺した跡などがそこらへんにたくさんあるので結構危ないと思うのだが、生足では怪我をしないかちょっと心配してしまう。

 アンコールはリストのラ・カンパネラとブラームスのワルツ第3番を弾いてくれた。ユーチューブでラ・カンパネラの演奏を3つ見つけた。3つ目の映像は今年のもので生足のようだ(笑)。
http://www.youtube.com/watch?v=7slRnziludY
http://www.youtube.com/watch?v=SVjTdMCi6tM
http://www.youtube.com/watch?v=-lmFh_jVX0A

 インタビューの映像と記事も見つけた。今は日本語でインタビューを受けられるくらい上達したようだ。3つ目の映像はリストについて英語で語っている。 
http://www.youtube.com/watch?v=sATEI35U_Fg
http://www.youtube.com/watch?v=tSryLoB2uJY
http://www.youtube.com/watch?v=5_yO9ZsPJgo
http://ja-orchestra.seesaa.net/article/256200595.html

 ヤルヴィが2011年に同じオケを指揮したマラ5も見つけてしまった。何とここではホルンを指揮台横のソリスト扱いにするというラトル式の処理をしている! ホルンソロは今回の来日と同じ奏者だ。この位置だと譜面台を自分で舞台袖にしまわなければならないのが何だか気の毒なような、おかしいような。
http://www.youtube.com/watch?v=MBDpb3l6O9c

 今回の来日公演は彼なりの試行錯誤の結果だったのだ。私は今回のやり方を支持する。聴いておいて良かった。マイクが入っていたようなのでいずれFMで放送されるのかもしれない。ホルンが左右で掛け合う第3楽章は必聴だろう。

(さらに追記)
 日本公演と同時期の韓国公演の映像をユーチューブで見つけた。第三楽章のホルンソロが右手に移動する様子ははっきりとは映っていないが他のホルン軍団と別の場所で吹いていることは確認できる。
http://www.youtube.com/watch?v=0AdHsa1mXx4

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 この数年マラソンやジョギングがブームだ。皇居あたりは相当にぎわっていて、ランナー用のシャワールームなどもあるらしい。私も近所を時々ジョギングしているが、今年はもう少し継続的な習慣にするためにJOGNOTEというジョギング愛好家のSNSサイトに記録することにした。このサイトでは上の例にあるように地図上のコースを自分で設定して走行記録を取ることができる。私がいつも走っている川沿いのコースは自宅から往復で3.6kmだということも分かった。急に長い距離を走ると体を壊すので、少しずつ距離を延ばして、まずは6月までに8km走れる体にしたい。

 ジョギングする時に私はオムロンの活動量計(消費カロリーを表示してくれる歩数計)とソニーのヘッドホン型ウォークマンを持って走っている。JOGNOTEのサイトでは写真も登録できるようなのでこれからはデジカメか携帯も持って走ることにしよう。活動量計のデータも吸い上げてくれるといいのだが、これはオムロンのWebサイトでないと出来ないようで残念だ。朝昼晩の食事記録も一緒につけたいのだが、合計の摂取カロリーを入れる欄しかない点も残念だ。無料サービスだから仕方ないか。お勧めのサイトであることは間違いない。

JOGNOTE
http://www.jognote.com/top


・マーラー作曲交響曲第一番「巨人」
 ラインスドルフ指揮ボストン交響楽団

DVD 1962年12月
13:18/7:42/11:51/19:22
http://www.youtube.com/watch?v=WYP_z1_rL4M

CD 1962年10月
15:11/7:51/11:29/18:21

 今年はラインスドルフの生誕100年だ。1912年という年は指揮者の当たり年(?)だったようで、他にもマルケヴィッチ、チェリビダッケ、ショルティ、ヴァント、ザンデルリンクが生誕100年を迎える。

イーゴリ・マルケヴィチ (指揮者)1912-1983
エーリヒ・ラインスドルフ(指揮者)1912-1993
セルジュ・チェリビダッケ(指揮者) 1912-1996
ゲオルグ・ショルティ(指揮者) 1912-1997
ギュンター・ヴァント(指揮者) 1912-2002
クルト・ザンデルリング(指揮者) 1912-2011

 ラインスドルフのマーラーは以前紹介した5番のCDで大変良い印象を持っていたが、1番の映像が最近になってDVD化されたので見てみた。ラインスドルフがボストン響に着任した翌年、CDになっている同年10月のスタジオ録音の直後のハーバード大学での演奏会だ。素手で両手を水平方向に水をかくような振り方は後年のブーレーズの振り方にちょっと似ている(ラインスドルフの方が世代が上なのでブーレーズの方が似ていると言うべきだろうが)。

 ラインスドルフは演奏会と録音を分けて考えており、「録音は繰り返し聞くものだから」という理由であまり感情を出さなかったという話を聞いたことがある。ラインスドルフの一部のCDが淡泊でつまらないのはそのためだという説もあるようだが、この曲に関する限りCDと基本的な解釈は変わっていない。しかし第一楽章や第四楽章ではCDよりも音楽の流れや勢いが感じられるのはさすがにライブっぽいと言えるだろう。ライブなので金管などに若干のミスがなくはないが全体としては安定した演奏だ。この時代にこれだけのマーラーを演奏したのはさすがというべきだろう。

 ボストン響は戦前のクーセヴィツキーの時代はわからないが、少なくとも前任のミュンシュの時代にマーラーをほとんど演奏していなかったはずだ。彼らにとってマーラーは慣れないレパートリーだったはずだ。後年テンシュテットが客演してマーラーを演奏したり、小澤征爾が全曲チクルスを取り上げる土壌はラインスドルフ時代に熟成されたと言うことができそうだ。米国におけるマーラーの受容を考える上でラインスドルフはバーンスタイン同様に重要な地位を占めていると言えるだろう。

 戦前から米国で活躍し後に米国に帰化したラインスドルフだが、彼はオーストリア人なのでひょっとしたら第四楽章でホルンが起立するかもしれないと期待したが、この点は残念ながら座ったままだった。ホルンが起立する伝統は西側のオケでは早々に廃れてしまっていたようだ。配置はヴィオラが右手前のフルトヴェングラー型だ。

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 昨日8月6日は広島の原爆記念日だった。テレビで見たのだが、トルーマンは原爆実験に成功したために太平洋戦争の勝利を確信し、(戦後の共産圏の拡大を恐れて)ソヴィエトには対日参戦を積極的に求めず、実質的にアメリカ単独での日本占領を計画・実行したそうだ。このため結局ソヴィエトが進攻したのは満州国と北方4島にとどまったわけだが、ということはもしも原爆が開発されていなければ日本も韓国同様に南北分断という悲劇に見舞われていたのだろうか? あるいは、もしもソヴィエトが先に原爆を開発していたら日本はソヴィエトに占領されて共産化していたのだろうか? 原爆も困るが南北分断や共産化も困る。平和のありがたさを再確認しなければいけない。


・グスタフ・マーラー:交響曲第2番ハ短調『復活』〜第3楽章、第4楽章、第5楽章
 ヘザー・ハーパー(ソプラノ)
 ヘレン・ワッツ(アルト)
 ゲオルグ・ショルティ指揮フランス国立放送管弦楽団及び同合唱団
 [収録]1967年サル・プレイエル(パリ)、(モノクロ、モノラル)
 [映像監督]アニー・エジュー
http://www.classica-jp.com/program/detail.php?classica_id=CE1028&date=

 クラシカジャパンで放送されたこの映像はショルティの1967年のフランス国立放送管弦楽団への客演時のものだ。ショルティの60年代の映像は他に、NHKによる1963年のロンドン交響楽団との来日時のDVDと、以前LDとDVDで出ていた1966年の南ドイツ放送響との「タンホイザー序曲」のリハーサルと本番、最近icaがDVD化した1967年の「ドン・ファン」のリハーサルと本番があるぐらいだろう。1966年タンホイザーと1967年のドンファンはユーチューブで少しだけ見ることができる。
http://www.youtube.com/watch?v=TZFblJ297Wc
http://www.youtube.com/watch?v=0Ce8pIpV3iQ&NR=1

 ショルティは1956年にパリ音楽院管弦楽団に客演しチャイコフスキーの2番と5番の演奏会と録音を行っている。しかし50年代のショルティはオケとのコミュニケーションが下手で、以前コメントしたとおり、プロデューサーであるカルショウの回想録によると、嫌気がさしたオケがリハーサル中にソロを交替で代わって(つまり交替で練習をさぼって)反抗したそうだ。ショルティは4セッションの録音中首席奏者が変わらないことをオケに約束させたそうだが、その約束は結局守られなかったそうだ。

 また、助六さんの先日のコメントによると、ショルティは回想録で次のように述べているそうだ。「私のパリでの最初の契約は50年代で、パリ音楽院管を振ったがショッキングな経験だった。練習のときコンマスは腕組みをして座り口からはタバコがぶら下がっていた。平楽員たちはめちゃくちゃに議論やおしゃべりを続けて、弾き始めると受動的で無気力になった。例えば弦は5インチ以上は弓を動かそうとせず、私が矯正したりや弾き方を変えてもらうために止める度にまたおしゃべりが始まった。演奏会はひどいもので、私はその後何年も外国オケとの客演以外ではパリで振らなかった。」

 そうすると、1967年にフランス国立放送管に客演したこの映像は久しぶり(11年ぶり?)にパリのオーケストラを振った記録なのかもしれない。すでにショルティはこの頃までにはロンドン響との演奏、ロンドンやメットでのオペラ、それに指輪を始めとするデッカへの数々の録音で一流の指揮者と目されるようになっていたはずだ。それでもショルティの棒に対するオケの集中力は今一つで、特に金管は随所で危なっかしいだけでなく音を外している箇所もある。このオケはこの頃シューリヒトやホーレンシュタインの指揮でもマーラーを演奏しているはずだが、集中力は今ひとつでいかにも「弾くので精一杯」という感じだ。マーラーはこの時代のフランスのオケにとってはまだまだ特異なレパートリーだったのだろう。

 ショルティ独特の肘で指揮をするようなポキポキしたポーズは後年と変わらないが、マーラーの2番は5番と並んでショルティが最も得意とするレパートリーなだけに、なかなか良い指揮だ。フィナーレは個人的にはもう少し遅いテンポの方が好きで、この演奏はややあっさりしているように感じるが、聴衆からの喝さいは盛大で、ショルティがこの時期からパリで結構人気があったことを伺わせる。ソリストのハーパーとワッツもすでに前年ロンドンでこの曲を録音しているだけに充実した歌を聴かせている。ワッツが暗譜で歌っている(楽譜は手に持っている)「原光」の後で拍手が沸いているが、交響曲の途中で拍手が入るのは珍しいと思う。

 合唱は5楽章の前で舞台に登場し起立したまま歌う(2台のティンパニの脇のスペースなどにぎゅうぎゅう詰めになって立っている。多分ティンパニ奏者は指揮者が見づらかっただろう)。この時代のフランスの合唱団はどれもかなり粗い演奏が多いが、その中ではこの演奏は健闘していると思う。大きな違和感は感じない。5楽章冒頭に舞台裏で演奏する金管の別働隊がその後舞台に戻る様子も映っている。

 モノクロ・モノラルだが画質・音質は安定している。全曲収録されていないのは残念だが、これは放送時間枠の関係であり、当時放送されたのは第4楽章と第5楽章だけだったそうだ。映像には明らかにステレオマイクが写っているので、もしかしたらラジオではステレオで全曲放送されたのかもしれない。

 ショルティは50年代の嫌な思い出にも関わらず、短い間だが70年代にパリ管の音楽監督やパリ・オペラ座の音楽顧問を引き受けている。パリ管とは5シーズンの契約だったそうだが結局振ったのは1972年から1975年の3シーズンで、パリ・オペラ座も1973年から2シーズンだ。なぜこれらの仕事を引き受けたのかショルティは回想録では触れていないそうだが、この60年代の客演時にパリで指揮するのも悪くないかもと思い直したのかもしれない。

 ショルティの70年代以降のコンサート映像はユニテルが結構収録しており、ワーグナーやR.シュトラウスのオーケストラ作品、あるいはブルックナーの6番や7番などが残っている。以前紹介したポップさんの素晴らしい「4つの最後の歌」はショルティの4枚組DVDセットなので私は残りの3枚も持っているが、シュトラウスにしてもブルックナーにしても視覚的な違和感が強くてなかなか最後まで見る気になれない。もっとマーラーを収録してほしかったものだ。

 他にショルティのマーラーの映像はLD時代に1986年のシカゴ響との来日公演の5番をソニーが出していただけだと思う。一部ユーチューブで見ることができる。DVDで復活したら全曲見てみたいものだ。
http://www.youtube.com/results?search_query=solti+mahler+5+1986&aq=f

 ショルティは1966年のロンドン響との録音の後、1980年にはシカゴ響とデッカに再録音しているが、ワッツも1981年にファーバーマンやロットと復活をVOXに再録音している。ワッツも結構長い間活躍したようだ。これは現在廃盤のようだがアマゾンのMP3ダウンロードやナクソス・ミュージック・ライブラリーで聞くことができる。ハーバーはショルティ盤の前年の1965年にミュンヘンでクレンペラー指揮バイエルン放送響とのライブ演奏がありEMIから正規CD化されていたこともある。

http://www.amazon.co.jp/gp/product/B004485GR6/ref=dm_sp_alb?ie=UTF8&qid=1312736872&sr=1-2
http://ml.naxos.jp/album/VOX2-7213
フェリシティ・ロット - Felicity Lott (ソプラノ)
ヘレン・ワッツ - Helen Watts (アルト)
ブライトン祝祭合唱団 - Brighton Festival Chorus
ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団 - Royal Philharmonic Orchestra
ハロルド・ファーバーマン - Harold Farberman (指揮者)

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 AKB48の総選挙が朝日や読売にも取り上げられているのには少々驚いたが、日本赤十字に義捐金を5億円も寄付したそうだからまあよしとしておこう。暗い話題が多い昨今、こういうエンタメな話題があるということ自体は悪いことではないだろう。このブログも全国の音楽ファンの方の何かの楽しみになれば幸いである。没後100年を記念してマーラーの名曲名盤総選挙でも企画しようか(笑)。

・マーラー:交響曲第5番嬰ハ短調
 クリーヴランド管弦楽団
 クリストフ・フォン・ドホナーニ(指揮)
 録音時期:1988年7月
 録音場所:クリーヴランド、メイソニック・オーディトリアム
 録音方式:デジタル(セッション)
(下記サイトに試聴あり)
http://www.hmv.co.jp/product/detail/3864924

 さて、今日は本当はタワーレコードのおかげでやっと手に入ったドホナーニのマーラーの9番(97年録音)を取り上げるつもりだったのだが.....期待していたのと何か違うのだ。ドホナーニは91年の6番まではストコフスキー型の配置(92年の4番は未聴)で演奏していた、この9番はバイオリン両翼・左チェロの古典的両翼配置で演奏している。この曲は両翼配置が効果的であり、アバド(VPOの旧盤)やラトル(VPO盤とBPO盤)もこの曲だけは両翼配置で演奏しているので、出だしは「おっ」と思ったがその後が続かなかった。何かズルズルと鈍い感じだ。5番、1番、6番では絶好調だったのに、この6年間で何があったのだろうか? 

 むしろ余白に収められたハルトマンのアダージョ(94年録音)の方が変わった曲で面白いと思ったが、だいたい97年の録音と94年の録音がカップリングされるということ自体、レコード不況だったこの時期に何か計画通りに録音が進まなかったのではないだろうかと思わせる事実だ。私は聴きに行けなかったが、ドホナーニとクリーブランドは確か来日公演でもマラ9を演奏したはずだ。どんな演奏だったのだろうか? 両翼配置は実行したのだろうか?

 という訳で今日は予定を変更してドホナーニのマーラー第一弾となった1988年の第五番を取り上げよう。金管や低弦をスッカスッカ鳴らした、レントゲンで撮ったみたいなマーラーだが、言いたいことは確信を持って十分言いきっているので「何か物足りない」感じは皆無だ。すっきり爽やかなネアカ系マーラーの代表的な演奏だろう。92年頃に「アダージェット論争」が起きる前の録音で、第一楽章が12分でアダージェットが10分というのも妥当なところだが、すっきり系の演奏なのでアダージェットは9分ぐらいでも良かったかもしれない。

 続く89年の1番と91年の6番も良い演奏だったので、期待していた97年の9番がちょっと停滞気味なのは気になる。92年の4番はどんな演奏なのだろう? 私はもうこの時点で「全集になってから買おう」と思っていたので4番は買い損なってしまったが、9番がこの調子だとそもそもドホナーニが全集を完成させるつもりだったのかどうかすら疑わしくなってくる。

 というのは、マーラーを何曲か振ったが全部は振らなかった指揮者は1番、4番、5番、6番、9番、大地の歌あたりを選ぶことが多いからだ。(未完の全集に終わったレヴァインとメータの70年代の録音については先日書いたので除くとして)、例えばカラヤンは4番、5番、6番、9番、大地の歌、ジュリーニは1番、9番、大地の歌しか演奏しなかった。2番、3番、7番、8番あたりの濃い目の作品には手をつけていない。ドホナーニが2番、3番、7番、8番をレパートリーに入れているのかどうか、本人に聞いてみたいところだ。(追記:2番はクリーブランドで演奏しておりライブ演奏が10枚組の高価なCDBOXに収録されたそうだ。スタジオ録音しなかったのは出来映えに納得しなかったのか?CDのセールス的な問題か?)

 旧世代のマーラー指揮者の場合、放送録音も含めるとワルターは1番、2番、4番、5番、9番、大地の歌、クレンペラーは2番、4番、7番、9番、大地の歌、メンゲルベルクは4番のみ、ホーレンシュタインは1番、3番、4番、6番、7番、8番、9番、大地の歌、シェルヘンは1番、2番、3番、5番、6番、7番、8番、9番、10番(アダージョ)、ミトロプーロスは1番、3番、5番、6番、8番、9番、10番(アダージョン)、ロスバウトは1番、6番、7番、9番、大地の歌の録音が残っている。

 中間世代のラインスドルフの録音はRCAに1番、3番、5番、6番があるが、アンチェルはスプラフォンの1番、9番のみでバルビローリもスタジオ録音はヴァンガードの1番とEMIの5番、6番、9番だけだ。これだけだとカラヤン・ジュリーニパターンかと思ってしまうが、バルビローリは実はライブでは2番、3番、4番、大地の歌も演奏していて近年になってCD化された。アンチェルも恐らくライブでは1番、9番以外も演奏していたのではないだろうか。60年代にマーラーがもっと聴かれていれば他の曲も録音できたかもしれない。

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