こだわりクラシック Since 2007

12月までに移行します。コメントも手作業でコピーする予定です。

ジョーンズとベーレンス

[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索

全2ページ

[1] [2]

[ 次のページ ]

イメージ 1

ワーグナー作曲:楽劇「トリスタンとイゾルデ」

Tristan:Jon Fredric West
Isolde:Hildegard Behrens
Marke:Matti Salminen
Brangene:Ann Murray
kurwenal:Alan Titus
ロリン・マゼール指揮バイエルン放送交響楽団
演出:エヴァーディング
美術:シャヴァーノッホ
衣装:毛利臣男
(1996、プリンツレーゲンテン劇場)
http://www.youtube.com/results?search_query=maazel+tristan

 これはバイエルン国立歌劇場ではなくプリンツレーゲンテン劇場で行われたバイエルン放送交響楽団の公演だ。以前紹介した1981年のバーンスタインのトリスタンも同オケの演奏だが、バーンスタインの公演が1幕ごと3回に分けた演奏会形式(衣装付きセミステージ)だったのに対して、15年後のこの公演はエヴァーディング(写真)の演出による通常のオペラ上演だ。1993年から2002年まで同オケの音楽監督を務めたマゼールが振っている。

 マゼールは2012年からはミュンヘンフィルの音楽監督も務めているのでミュンヘンでの人気は高いのだろう。マゼールは60年代からベルリンでの人気は高かったが、ミュンヘンに本格的に登場したのは1978年8月にバイエルン国立歌劇場のオテロ(エヴァーディング演出)をクライバーがキャンセルした時のようだ。

 窮地のエヴァーディングを救うためバイエルン国立歌劇場では一度も指揮したことがなかったマゼールが急遽代役を務めた。その公演は好評であり、またマスコミがクライバーを非難したため以後クライバーはミュンヘンでオテロを振らなかった。それから19年後のこのトリスタンはエヴァーディングとマゼールの友情と、ミュンヘンでのマゼール人気を反映したものなのだろう。

 理由は分からないがマゼールは代役を引き受けるのが好きだ。1976年の指輪初演100周年のバイロイトでは、リハーサル中にブーレーズの指揮に抗議した楽団員が集団ボイコットするという事件が発生したが、その際も万が一の場合はマゼールが代役で振る手配がされていたそうだ。キャンセル魔だったクライバーの代役はことのほか好きだったようで、ミュンヘンのオテロ以外にも、「テレーゼ事件」で有名な1982年12月のウィーンフィル定期(ベートーヴェンの4番と6番、テレビ中継とユニテルのビデオ撮りが予定されていた)や、ゼフィレッリ監督の映画「オテロ」のサウンドトラック(1985年、主演はドミンゴとリッチャレルリ)など、クライバーがキャンセルした仕事を次々と引き受けている。

 さてこのトリスタンの映像は1981年のバーンスタインの公演と同様にベーレンスがイゾルデを歌っている点でも注目される。1996年はすでにキャリア後期で、私が知る限りベーレンスの最新の舞台映像だ。助六さんがお聞きになったザルツブルグでのマゼールとベーレンスのエレクトラ(浅利慶太演出)も同年8月だ(評論家の吉田秀和氏も聞いてベーレンスを絶賛しているらしい)。実演では結構共演していたのかもしれない。

 助六さんによるとベーレンスは1998年頃に急速に衰えたとのことだが、ユーチューブで見る限りここではまだ大きな破綻はしていないようだ。以前紹介した1994年のエレクトラ(METのDVD)と比べると若干声の艶が失われたような気もするがyoutubeの限られた音質では正確には分からない。ベーレンスのワーグナーはブリュンヒルデの映像(ミュンヘンとメットの2種類)が有名だが、イゾルデとゼンタの方が合っているように私は思う。

 エヴァーディングの演出も、DVDになっているメットのローエングリン同様に自然で違和感がない。助六さんによるとこの演出は日本で1986年にウイーン国立歌劇場が上演したものとは別の演出とのこと。また、マゼールのトリスタンとイゾルデと言えば1963年のベルリン・ドイツ・オペラの伝説的な来日公演(なんと日本初演!)を思い出すオールドファンもいらっしゃるだろう。マゼールはワーグナーの楽劇を何度も振っている割には正規の全曲録音がないので、ぜひこの映像をDVD化してほしいものだ。

 トリスタンとイゾルデの対訳は例によってオペラ対訳プロジェクトを参照。
http://www31.atwiki.jp/oper/pages/44.html

イメージ 1

イメージ 2

イメージ 3

 今日の「東北がんばれ」シリーズは駅なかのコンビニで見つけた「岩手県産牛のビーフカレーパン」と「青森豚まんパン」だ。これらはもともとは青森新幹線の全線開通を祝って開発されたもののようだが、いずれにしても震災を期に国産材料への関心が高くなっていることは国内の農業の発展と食糧の国内自給率を高めるためにも良いことだと思う。仮に10円20円高くなっても国産材料を使ってほしい。


・R.シュトラウス「ピアノ歌曲集」

「最後の花びら」よりの8つの歌 Op. 10 TrV 141
No. 1. Zueignung
No. 3. Die nacht (The Night)
No. 7. Die zeitlose
No. 8. Allerseelen
5つの歌 Op. 15 TrV 148 - 第5番 帰宅
6つの歌 Op. 17 TrV 149 - 第2番 セレナード
素朴な歌 Op. 21, TrV 160
No. 1. All' mein gedanken, mein herz und mein sinn
No. 2. Du meines herzens kronelein
4つの歌 Op. 27 TrV 170
No. 1. Ruhe, meine Seele
No. 2. Cacilie
No. 3. Heimliche Aufforderung
No. 4. Morgen
3つの歌 Op. 29 TrV 172
No. 1. Traum durch die dammerung
No. 2. Schlagende Herzen
No. 3. Nachtgang
5つの歌 Op. 41 TrV 195 - 第1番 子守歌
8つの歌 Op. 49 TrV 204 - 第2番 黄金色あふれる中を
6つの歌 Op. 56 TrV 220
No. 5. Mit deinen blauen augen
No. 6. Die heiligen drei konige aus morgenland
5つの小さな歌 Op. 69 TrV 237 - 第5番 悪天候


ギネス・ジョーンズ - Gwyneth Jones (ソプラノ)
ジェフリー・パーソンズ - Geoffrey Parsons (ピアノ)
(1989)

(下記サイトに試聴あり)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/B004B6GJ6S/
http://ml.naxos.jp/album/C10258

 このアルバムは実は私は買いそこなってしまったのだが、アマゾンのMP3ダウンロードのメニューに入っていることに最近気がついた。1500円なのでCDを買うより安いが、ネットでクレジット決済はしたくないのでアマゾンのギフト券(一種の電子マネー)をコンビニで買って決済した。ダウンロード用のソフトをインストールすると自動でダウンロードでき、iTunesにも自動的に登録してくれるので使い勝手は大変良い。比較的高品質なデータ(このアルバムの場合212Kbps程度)が提供されるのも良心的だ。願わくばジャケット解説もPDFで提供してくれるとさらに良いのだが。ダウンロードのメニューは結構増えていて先日のジョーンズとリザネクのエレクトラも同じようにダウンロードできる。

 アマゾンというと書籍通販と思いがちだがHMVなどと競合するCDやDVDの売上も伸びており、アップルストアなどと競合する音楽データ配信も拡大しているのだ。楽天などと競合するショップモールとしてのサービスも強化しているので、アマゾン以外のショップがアマゾンで物を売っているケースも増えている。アマゾンは日本でも電子書籍に参入すると見込まれ、また最近はクラウドサービスも拡大しておりグーグルと比較されることも多くなった。

 これからは電子出版により音楽や書籍の流通の仕方自体が大きく変わっていくのだろう。私はまだパソコンをオーディオにつないでいないので、これは当面はiPodなどで聞くしかない。パソコンが壊れたらどうするとか心配な点はあるが、とりあえず廃盤になってしまったアルバムがデータで購入できるというのは大変ありがたいことだ。ナクソスのデジタルライブラリーも同じように大変意義のあるサービスだと思う。こちらはダウンロードはできないのでiPodなどで持ち歩けないが、パソコンをオーディオにつないで聞く分にはこれで十分だろう。

 さて肝心の演奏は、ヘッドホンで聞いただけなので正確ではないかもしれないが、録音も良く、全盛期のジョーンズらしい伸びやかなすケールのシュトラウスだと思う。シンプルなピアノ伴奏のリートになると、ややフラットするジョーンズの癖がオペラの録音や先日のワーグナーアルバムなどよりも若干目立つ嫌いはあるが、その点も含めて当時の印象に非常に近いと思う。

 ユーチューブで1978年の同じ曲目によるカーネギーホールでのリサイタルの映像がアップされていた。これも正規DVDで見てみたいものだ。

http://www.youtube.com/watch?v=qXpy7D8fUxc
Dame Gwyneth Jones is accompanied by John Wustman, piano.
Excerpts from her Carnegie recital of 16 January 1978.
1. "Die Nacht"
2. "Morgen"
3. "Schlagende Herzen"
4. "In goldener Fülle"
5. "Cäcilie"

イメージ 1

イメージ 2

今日の「がんばれ東北」シリーズは、渋谷駅の被災地支援イベントで見つけた「かんの屋」の「ゆずゆべし」(5個入りで525円)だ。また甘いものを買ってしまった(笑)。8月の仙台たなばた祭りにかける短冊に祈りごともさせてもらった。
(かんの屋HP)
http://www.kannoya.co.jp/

・R.シュトラウス:楽劇『エレクトラ』全曲(2CD)
 ギネス・ジョーンズ(S:エレクトラ)
 レオニー・リザネク(S:クリテムネストラ)
 アン・エヴァンス(S:クリソテミス)
 ヴォルフガング・シェーネ(Br:オレスト)
 ロナルド・ハミルトン(T:エギスト)、他
 スイス・ロマンド管弦楽団
 ジェフリー・テイト(指揮)
 録音:1990年3月10日 ジュネーヴ大劇場[ライヴ]
(下記サイトに試聴あり)
http://www.amazon.co.jp/Richard-Strauss-Elektra/dp/B003IJT4IO
http://tower.jp/item/1852999/

・R.シュトラウス:楽劇『エレクトラ』全曲(1991年 オランジュ)
gwyneth jones as elektra.
elizabeth connell as chrysothemis.
leonie rysanek as clytemnestra.
simon estes as orest.
james king as aegisth.
marek janowski as the conductor.
from the orange theater, 1991.
http://www.youtube.com/watch?v=1up5ytEEPqA
http://www.youtube.com/watch?v=gzx8RdVsJVE
http://www.youtube.com/results?search_query=elektra+jones+orange&sm=3

ジョーンズとリザネクのリハーサル風景
http://www.youtube.com/watch?v=h6iCo03lDnw
http://www.youtube.com/watch?v=F1QLIcocHp8&feature=related

(エレクトラの対訳はオペラ対訳プロジェクトを参照)
http://www31.atwiki.jp/oper/pages/462.html

 ベーレンス同様エレクトラを得意役としたジョーンズの2つの全曲演奏が聴けるようになった。一つはCD化された1990年のジュネーブの演奏、もう一つはユーチューブで見られる1991年のオランジュの映像だ。いずれも共演はリザネクだ。助六さんがご覧になられた1987年4月のパリオペラ座でのナガノ指揮、ジョーンズ(エレクトラ)、デルネシュ(クリテムネストラ)、ステューダー(クリソテミス)の公演(同年1月のシュナイトマン演出の再演)と、1992年のパリ・バスティーユでのシェーンヴァント指揮、ジョーンズ(エレクトラ)、リザネク(クリテムネストラ)、ハース(クリソテミス)の2つの公演のちょうど中間にあたる。

 パリでのジョーンズのエレクトラは大変素晴らしかったそうなので、私もこのCDを楽しみにしていた。実はだいぶ前に注文してあったのだが、メーカーの在庫切れで入手困難になってしまいやっと手に入った。テイト指揮のオケにもう少し鋭さがあったら、オケの音にもう少し粘りがあったら、あるいはクリソテミスがヴォイトだったら、さらに良かった気はする。

 録音も放送用音源の正規ライセンスによるライブ録音で決して悪くはないが、声がマイクから遠くなる瞬間がなくもないし、ジョーンズの声はなかなかマイクに入りきらないもどかしさはやはりある。しかし、とにもかくにもジョーンズの全盛期の圧倒的なエレクトラが正規CD化されたことを喜びたい。すでにこのCDは在庫限りのようだがアマゾンのMP3ダウンロードでは入手可能だ。CDの解説には舞台写真が豊富に載っている。ジュネーブの舞台は時々テレビ放送もされているので、もしこのジュネーブのエレクトラも映像が残っていればぜひDVD化してほしいものだ。

 ユーチューブの映像はこのCDの翌1991年のオランジュでの公演だ。画質も音質もそれなりだが、全盛期のジョーンズの圧倒的なエレクトラを削除されないうちに見ていただきたい。これもぜひ正規映像でDVD化してほしいものだ。

 先日紹介したようにベーレンスとファスベンダーの1994年1月のメットのエレクトラも、同年4月にはジョーンズとリザネクの組み合わせですぐに再演されている。この2人は90年から94年にかけて毎年欧米でエレクトラを歌いまくっていたことになる。会場の隠し撮りのような映像だがこちらも掲載しておこう。

ジョーンズとリザネクのエレクトラ(1994年4月 メット)
http://www.youtube.com/results?search_query=elektra+jones+met+1994&aq=f
gwyneth jones as elektra.
leonie rysanek as clytemnestra.
Deborah Voight as Chrysothemis.
james levine as the conductor.

 ジョーンズのR.シュトラウスも正規にDVD化されたものが大変少ないのはベーレンスの場合とまったく同様で、現在までのところクライバーとの有名なバラの騎士しかないのは大変残念だ。場所は不明だがジョーンズの1994年のサロメと1995年のマルセイユの影のない女の映像も見つけた。

ジョーンズのサロメ
http://www.youtube.com/watch?v=xqqGgfOT5y8
J. P. Lafont as Jokanaan. 1994

Richard Strauss -Die Frau ohne Schatten - Finale / Jones, Tomowa- Sintow, Hoffman, laFont
http://www.youtube.com/watch?v=hnMCTsFrCTM
1995 マルセイユ

イメージ 1

イメージ 2

 オイルショック以来の電力使用制限令が9月22日までの予定で発令された。今年は暑い夏になりそうだ。体調管理には例年以上に気をつけなければならないだろう。最悪の場合また電車が止まるかもしれないので、毎日電力消費の予想を見て外出先へはピークの時間帯を避けて移動しなくてはならない。

 今日7月1日は故ダイアナ(元)妃の誕生日だ。生きていればちょうど50歳だ。早すぎる晩年には平和運動に力を注いだダイアナ妃だが、生きていたら原発問題や環境問題にはどのような対応を見せただろうか? 反原発運動と反核運動は重なる部分とそうではない部分があるように思うが、この2つはこれから連動するのかしないのか?
(>助六さん、欧州ではどうなのでしょう?) 人類は核を正しく扱うことができるのか? 平和目的のみの原子力利用というのは本当に可能なのか、幻想なのだろうか? 

 とりあえず東北を応援する商品が東京でよく売られるようになったことだけは間違いないようだ。私が通る駅ナカの週替わりのテナントで、今週は岩手の和菓子「かもめの玉子」を売っていた。これもなかなか旨かった。
(さいとう製菓HP)
http://www.saitoseika.co.jp/top.php

歌劇「タンホイザー」
 Act II: Dich, teure Halle, gruss' ich wieder, "The Hall Aria"
 Act III: Allmacht'ge Jungfrau, hor mein Flehen!, "Elisabeth's Prayer"
歌劇「ローエングリン」 - 第1幕 エルザの夢
楽劇「トリスタンとイゾルテ」
 Act I: Prelude
 Act III: Mild und leise, "Liebestod"
楽劇「神々の黄昏」 - 第3幕 ラインの岸にたきぎの山を積みあげよ

ギネス・ジョーンズ (ソプラノ)
西ドイツ放送交響楽団
ロベルト・パーテルノストロ (指揮者)
(1990)

(下記サイトで試聴できる)
http://ml.naxos.jp/album/CHAN10286X

 ギネス・ジョーンズは1937年(1936年?)11月7日生まれ、ヒルデガルト・ベーレンスは1937年2月9日生まれ(2009年8月18日没)、アニヤ・シリヤは1940年4月17日生まれなので、この3人はほぼ同世代だ。主要なレパートリーもジョーンズがベルクを(恐らく)歌っていないのを除けば、ワーグナーやR.シュトラウスからベートーベンのフィデリオまでほぼ重なっている。でもこの3人の生き方はだいぶ違っている。

 シリヤはウィーラント・ワーグナーに見いだされ若干21歳の1961年にバイロイト音楽祭で衝撃的なデビューを果たしたが、ドラマティックソプラノとしての全盛期は60年代の約10年間だったようで、支援者のウィーラントが1966年に亡くなったことを差し引いても1970年以降の活動は明らかに絞られてくる。一方、ベーレンスは音楽を学んだのが遅くフライブルク音楽大学を卒業した1971年にデュッセルドルフのライン歌劇場と契約したが、国際的に有名になったのはメットにデビューした1976年、あるいはザルツブルグでカラヤンのサロメに出演した1977年あたりになってからであり、以後90年代半ばまでの約20年間が主な活躍時期と言えるだろう。

 これに対しジョーンズは、1962年にチューリヒ歌劇場に、1963年にロンドンのロイヤルオペラにデビューし、その後70年代から90年代まで一線で活躍、芸歴50年になろうという今なお舞台に立っている。ワーグナーやR.シュトラウスの大曲をシリヤよりもベーレンスよりもはるかに長い間歌い続けているのだ。

 日本でもベーム指揮のサロメやオランダ人(ゼンタ)、フィデリオ、ブーレーズ指揮のパルジファル(クンドリー)、クーベリック指揮のローエングリン(オルトルート)、あるいはバーンスタイン指揮のばらの騎士(オクタヴィアン)といった数多くのレコードで70年代当初から有名な存在だった。1974年のミュンヘンオペラで来日した際、クライバーが指揮するばらの騎士の元帥夫人に加えて急病のニルソンに代わりワルキューレ(サヴァリッシュ指揮)のブリュンヒルデも歌って日本公演を救ったのも有名な話だ。

 その後クライバーのばらの騎士は1979年にビデオ化され、エリーザベトとヴェーヌスの一人二役が話題になったバイロイトのタンホイザー(フリードリヒ演出)やシェロー演出のニーベルングの指輪(ブリュンヒルデ)も同時期にビデオ化されたので映像でもおなじみの歌手だ。長い活動歴のため録音も多く、最近1967年のバイロイトのマイスタージンガー(エヴァ)がオルフェオからCD化されたので、ワーグナーのオランダ人以降の全作品のCDもしくはDVDが出ている(私の知る限り)唯一の歌手である。

 しかし、私が残念に思うのはジョーンズの録音は70年代のものが多く、全盛期だった90年頃の録音が少ないことだ。私が生で聞いたこの頃のジョーンズは本当に圧倒的だったのにメットの指輪もミュンヘンの指輪も録音(録画)はベーレンスだった。メットの指輪は89年と93年のチクルスではジョーンズが歌っており、93年には日本公演のワルキューレまで歌ってくれたのに。メットの本拠地でもイゾルデ、クンドリー、フィデリオ、サロメ、エレクトラ、ばらの騎士、さらにはトゥーランドットまで、かなり歌っているのにビデオには何一つ残っていないのはなぜなのだろうか。

 1990年に録音されたこのアルバムは全盛期のジョーンズのワーグナーが聞ける貴重な録音だ。私が聞いているのは数年前に出た24ビットのリマスター版だが音質はなかなか良好で、ジョーンズのCDとしては最も状態の良い録音の一つだと言える。愛馬グラーネにまたがって空を駆けそうなブリュンヒルデはもう聞けないだろう。指揮のパテルノストロは先日紹介した翌年のサントリーホールのシュトラウス・コンサートと同じだ。ジョーンズのお気に入りだったのかもしれない。

イメージ 1

イメージ 2

 ソニー元社長の大賀典雄さんが4月に亡くなられた。大賀さんは東京芸術大学出身の声楽家でありながら実業家として成功した異色の経歴の持ち主だ。現ソニーミュージックの初代社長として音楽事業を育て、さらにソニーがゲーム事業への進出や米国のコロンピア映画買収によりソフトビジネスに大きく注力することになったのも、芸術家である大賀さんならではのリーダーシップがあったからだろう。

 大賀さんは日本リヒャルト・シュトラウス協会の理事長を長いこと務められた。当時は会長にはサントリーの佐治敬三元会長、名誉会長にサヴァリッシュ、理事には指揮者の朝比奈隆や、岩城宏之、尾高忠明、二期会の中山悌一などそうそうたる顔ぶれが揃っていた。定期会合にはフィッシャー・ディースカウやプライ、ポップなどの名歌手が時折顔を出して、ちょっとしたスピーチをしてからシュトラウスを2曲ぐらい歌ってくれるのが恒例で、今から考えれば信じられない夢のような話だ。

 そのような貴重な時間が実現したのも音楽家に広い顔を持つ大賀さんがいらしたからこそだろう。ビジネスと文化振興の両立を目指した大賀さんのご冥福をお祈りしたい。

R.シュトラウス:オーケストラ歌曲集
・献呈
・憩え、わが魂
・ツェツィーリエ
・明日
・子守歌
・親しき幻
・春の祭り
・東から来た三博士
・「4つの最後の歌」
ギネス・ジョーンズ(ソプラノ)
パテルノストロ指揮東京交響楽団
1991年4月29日 サントリーホールでのライブ録音
KOCH SCHWANN CD 314081 H1

 このCDに収められたオーケストラ歌曲のリサイタルはちょうどその頃、私がシュトラウスかぶれをしていた時期のものだ。私もサントリーホールで聴いたが大変素晴らしいコンサートだった。この当時シュトラウスの歌曲集のCDはシュバルツコプフとデラ・カーザのものくらいしかまだなく、ツェツィーリエや春の祭りのようなドラマティックな曲は入っていなかったのでこれらの曲は特に印象に残った。

 1990年前後、ジョーンズはこのリサイタル以外にもウィーン国立歌劇場やベルリン・ドイツ・オペラの「トリスタンとイゾルデ」、メットの「ワルキューレ」など比較的頻繁に日本を訪れ、日本R.シュトラウス協会の会合にも顔を出してくれた。

 FM放送とCDの発売が予定されていることはコンサート当日から聞いていたので首を長くして待っていたのだが.....当日の3割ぐらいの音しか入っていないので大変がっかりした。開館当時のサントリーホールはワンワン鳴るようなセッティングになっていて録音が難しかったことは前に指摘したが、それがもろに音に出てしまった感じだ。

 当日のジョーンズの声はホール全体を揺れ動かすような圧倒的な響きだったのに、このCDは声がワウワウ揺れている感じにしか聞こえない。大変残念だ。あまりの失望に中古屋に売ってしまおうかと思ったが、せっかく自分が聴いたコンサートの記録なのだからと思いとどまったので手元に残った。聴くときは記憶を頼りに耳で大幅な補正をかけて聴かなければならないが(笑)。

 ジョーンズのソロアルバムは意外に少なく、これ以外には同年にシャンドスに録音したワーグナー・アルバムと1989年にカプリッチョに録音したR.シュトラウスのピアノ歌曲、あとは60年代の若い頃にデッカに録音した2枚のアリア集しかないなので、その意味でも貴重な記録だ。英語のwikiにジョーンズのディスコグラフィーが載っている。
http://en.wikipedia.org/wiki/Gwyneth_Jones_(soprano)

 4つの最後の歌の対訳はwikiを参照してほしい。
http://ja.wikipedia.org/wiki/4%E3%81%A4%E3%81%AE%E6%9C%80%E5%BE%8C%E3%81%AE%E6%AD%8C

 それにしてもあの素晴らしいコンサートからもう20年も経つとは。だがジョーンズはいまだに現役で元気に歌っているらしい。うれしい限りだ。レコード芸術の記事によると30歳も若い指揮者と再婚したそうだ。彼女も女神(あるいは魔女?)の領域に近づいているようだ(笑)。ちなみにこのCDの曲順は入れ替えられている。コンサート当日のプログラムは前半がドンファンの後に「四つの最後の歌」、後半がティル・オイレンシュピーゲルの後にチェチーリエ、明日、東から来た三博士、子守歌、春の祭り、アンコールが、憩えわが魂、親しき幻、献呈だった。

 ジョーンズがパーソンズのピアノでチェチーリエを歌う1980年の映像をユーチューブで見ることができる。
http://www.youtube.com/watch?v=0IAYW17wNbc&feature=related

 ベーレンス同様ジョーンズもエレクトラを得意役とし、昨日紹介した1994年1月のメットのエレクトラは4月にはジョーンズとリザネクの組み合わせですぐに再演されている。youtubeで見られる下記の映像は2階あたりの客席からの盗み撮りだ。音が悪いので正確な判断はできないが、声の威力という点ではベーレンス/ファスベンダー組を上回っているのではないだろうか。ジョーンズはメットにも数多く出演したのにメットでの映像が残っていないのは残念だ。

ジョーンズとリザネクのエレクトラ(1994年4月 メット)
http://www.youtube.com/results?search_query=elektra+jones+met+1994&aq=f
gwyneth jones as elektra.
leonie rysanek as clytemnestra.
Deborah Voight as Chrysothemis.
james levine as the conductor.

全2ページ

[1] [2]

[ 次のページ ]


.
検索 検索
たか改め「みんなのまーちゃん」
たか改め「みんなのまーちゃん」
男性 / O型
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について

過去の記事一覧

友だち(5)
  • noriko
  • 恵
  • サヴァリッシュ
  • ミキ
  • maskball2002
友だち一覧

よしもとブログランキング

もっと見る

[PR]お得情報

数量限定!イオンおまとめ企画
「無料お試しクーポン」か
「値引きクーポン」が必ず当たる!
CMで話題のふるさと納税サイトさとふる
毎日お礼品ランキング更新中!
2019年のふるさと納税は≪12/31まで≫

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事