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「初稿・異稿」特集、器楽・オペラ

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 もう20年以上前に買いそびれたままになっていたこのディスクを運良く手に入れることが出来た。ドイツにあったSCHWANNというレーベルが0721という番号で出していたもので、日本では日本クラウンがライセンス販売していたものだ。

ラザール・ベルマン(ピアノ)
ユーリ・テミルカーノフ指揮ベルリン放送響
(1986)

 チャイコフスキーは初演後に何度かこの曲に手を加えており、現在用いられている楽譜は第三版だそうだ。ニコライ・ルービンシュタインが「演奏不可能」と評したと伝えられるこの曲の原型がどのようなものだったのかぜひ耳で確認したいと思っていた。

 率直に言って初稿版も悪くないというのが聞いてみた印象だ。初稿版の楽譜が手元にないので正確には分からないが、第一楽章と第二楽章の小節数は変わらないと思う。第三楽章は中間部のつなぎが改訂版よりも長くなっている。

 ジャケット解説によれば第一楽章はオケも一緒だ。ピアノのパートに10か所の変更が加えられているというが、はっきり違うのは冒頭が柔らかいアルペジオになって点だけだ。改訂版と和音は一緒だが、ここで最高音域の鍵盤を使っていないこともあって非常に叙情的に聞こえる。この曲の新しい側面、しかしこの曲が本来持っていた側面に気付かされる思いだ。

 ベルマンは改訂版よりもこの初稿版を高く評価していたそうだ。演奏も演奏時間は1975年のカラヤンとの旧盤とそれほど変わらないにも関わらず、はるかに内省的なものだ。楽譜の違いを除いてもその違いははっきりしている。

 恐らくベルマンの豪快なイメージはソヴィエト当局によって作り上げられていたものなのではないだろうか。ベルマンが1977年に初来日して10月6日にN響に客演した際の録音も近くCD化されるが、初稿版によるこの1986年の演奏がベルマンの結論だと考えて間違いないだろう。廃盤のままにしておくには惜しい演奏だ。(ちなみにベルマンは1977年の9月26日にはマリス・ヤンソンス指揮のレニングラードフィルの東京公演でもこの曲を弾いている)
http://www003.upp.so-net.ne.jp/orch/page131.html

 ソヴィエト時代、50年代から60年代にかけてリヒテルやギレリスもチャイコフスキーのコンチェルトを世界中で弾かされたが、硬質なピアニズムのギレリスはともかく、リヒテルは本質的にはもっと叙情的なピアニストだったと思う。

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クラシカジャパンで河合優子さんというピアニストの方がショパンの新しい原典版である「ナショナルエディション」について解説していた。ショパンの意図をできるだけ忠実に再現することを目指して極力自筆譜などの信頼できるソースを参照し、信頼できるソースが複数ある場合は併記する形を採っている。従来の版との最大の違いは付点リズムと3連符が同時に用いられた場合の処理にあるようだ。

バッハの時代から付点リズムが3連符と同時に書かれた場合は付点を3連符と合わせるという暗黙のルールがあったそうで、有名なところでは「主よ人の望みの喜びよ」がそうなっている。ところが、ベートーベンが月光ソナタの有名な出だしで「付点を3連符の後にずらして弾いても良い」という前例を作ったため(文書が残っているらしい)、現在の月光ソナタの演奏は100%付点を3連符より後に弾いている。

ショパンの時代はちょうどその両方の使い方が混在したそうで、ショパン自身は1ヶ所の例外を除いて全て付点と3連符を揃えて書いているにも関わらず、出版社が勝手にずらして出版しそれが定着してしまったケースが多いそうだ。具体的には前奏曲第九番の右手のリズムが従来の版と異なる。ここは付点を3連符とずらして鋭くするのではなく付点を3連符と同時に弾くのが正しいようだ。これは昨日紹介したシェバノワによるピリオド楽器の演奏でも確認できる。

ただそこで疑問なのは、そうすると左手のリズムも揃えなければいけないのではないのだろうかということだ。ナショナルエディションはノクターンなど別の曲では右手と左手で付点と3連符を揃えているので、この曲もその考え方からすると左手だけ従来の鋭い付点のまま残っているのはおかしいように思う。またシェバノワの演奏では最後の4小節だけ右手の付点を従来版の通りにずらして弾いている個所が4か所あるのも疑問だ。

ナショナルエディションは他の曲でも、ソナタの2番の提示部のリピートが5小節目に戻るのではなく1小節目の序奏からリピートされる、別れの練習曲の中間の和音が異なる、ペダリングや指使いの指示を楽譜に忠実に直した曲があるなどの違いがある。

ショパンイヤーも今日で終わりだ。締め切り間際に駆け込んだ感じだが(笑)、自分がショパンの音楽を愛していることを確認することができた。皆様のショパン愛を高める一助になれば幸いである。


(追伸)
前奏曲9番のナショナルエディションが気になって山野楽器まで楽譜を見に行った。大晦日だというのに私も物好きだ(笑)。ナショナルエディションでは確かに左手のリズムおよび右手の最後の4小節のみ従来版通り付点をずらしている。ただその理由が注釈していなかったのだが、ウイーン版の日本語翻訳版が音楽の友社から出ており、その冒頭に偶然9番の自筆譜ファクシミリが掲載されていて謎が解けた。

ナショナルエディションは、ショパンは付点2個と付点3個を明確に書き分けて付点2個の場所のみは3連符と揃えることを意図として書いたと判断したようである。最後の4小節の右手については、一度は3連符と揃った場所に書いたのだがその後でずらした位置に書きなおした跡があり、クライマックスに向かってリズムを鋭くする形に変更したという解釈だ。なるほど納得。やはり自筆譜にあたるということは大切だ。シェバノワの演奏はナショナルエディション通りだということだ。

ナショナルエディションが自筆譜に忠実だということは分かったが、注釈をここまで書いてくれないとなぜ3連符と揃えた場所と揃えなかった場所があるのかが分からない。作曲家の自筆譜ファクシミリはバッハなどの作品の一部がISLMPで入手可能になりつつあるが、このような取り組みがもっと進めば作曲家の意図をもっと容易に確認することができるようになるだろう。

最新のナショナルエディションがIMSLPに載っているはずがないが、付点と3連符と揃えるかずらすかなどと文字だけで書いても良く分からないので従来のブライトコプフ版を引用しておこう。
http://imslp.org/wiki/Category:Chopin,_Fr%C3%A9d%C3%A9ric

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今日のこだわりはトスカの初稿だ。このDVDブック「世界文化社オペラ名作鑑賞第10巻」に収められた二種類の演奏は通常版によるものだが解説書に永竹由幸先生が興味深い記事を書いている。

アレーナ・ディ・ヴェローナ2006年
・プッチーニ:歌劇『トスカ』全曲
 フィオレンツァ・チェドリンス
 マルセロ・アルバレス
 ルッジェーロ・ライモンディ
 マルコ・スポッティ
 ファビオ・プレヴィアーティ、他
 アレーナ・ディ・ヴェローナ管弦楽団&合唱団
 ダニエル・オーレン(指揮)
 演出:フーゴ・デ・アナ
http://www.youtube.com/results?search_query=tosca+verona+2006&aq=f


Renata Tebaldi (Tosca)
Eugene Tobin (Cavaradossi)
George London (Scarpia)
Heinz Cramer (Sacristan)
Herbert Buchta (Spoletta)
Claudia Hellmann (Shepherd)
Orchestra and Chorus of the Staatsoper, Stuttgart/Franco Patanè
http://www.youtube.com/results?search_query=tosca+1961+patane&aq=f

幕切れで「おおスカルピア! 神の御前で(共に裁かれよ)!」とトスカが叫んでサンタンジェロ城からテヴェレ川に身を投げ投身自殺するのは劇的だが、サンタンジェロ城は実際はテヴェレ川に面していないため現実的には実行不可能だということは良く知られた事実だと思う。

何かの本で、初稿段階ではトスカは自殺せずにカヴァラドッシの亡骸に泣き崩れるという、現在の版と比べれば非常に生ぬるいエンディングになっていたものを、原作者のサルドゥーがトスカの自殺は譲れないと強く主張したため現在の形になったと読んだことがある。何で読んだのかを忘れてしまったのが残念だ。

それを読んだ時は「へえー」としか思わなかったのだが、初稿はエンディングの音楽も現在と違ったものだったことを、このDVDブックの解説書48〜49ページで永竹由幸先生が引用している初稿譜で確認することができた。永竹先生がジェノヴァの古本市で発見したボーカルスコアで、恐らくリコルディが初演に向けて歌手に準備させるために作らせたものだろう。星は光りぬのメロディが14小節に渡って延々と続くエンディングになっており、トスカの自殺後に7小節でストンと終わる現在の出版譜に比べるとかなり長たらしい。

永竹先生はこの解説書で「初演前のリハーサルか再演の時に、この部分はカットされました。多分リコルディがしついこいと言ったのではないでしょうか」と書かれているが恐らく事実はそうではなくて、サルドゥーがトスカの自殺にこだわったためにプッチーニが初演前にエンディングを書き直さざるを得なかったというのが正しいだろう。

現行のリコルディ版では練習番号41でトスカの最後の「Dio(神)」がオケのフォルテッシモと重なっているが、永竹先生が引用しているボーカルスコアにはこのセリフが書かれていない。もしトスカが自殺しないのであれば「おおスカルピア! 神の御前で!」という捨てゼリフも初稿にはなかったと推測される。

また、現行版のフィナーレには「シャルローネと何人かの兵士が階段を上り手すりまで走り下を眺める。スポレッタは茫然として青ざめ動けない」というト書きが加えられているが、初稿版のフィナーレにはこれらのト書きがなくトスカが投身自殺していないことがここからも推測される。単にこれは正式に出版する前の版なのでト書きまで入っていないだけかも知れないが、tutta forza con grande slancio など音楽関係の表記は現行版通り全部入っているので、この版が初演後の出版を前提に組まれたことは間違いない。初稿の時点でもしここにト書きがあったら表記されていておかしくはないだろう。ぜひ一度初稿版をじっくりと見てみたいものだ。初稿版はそのほかにもトスカがスカルピアを刺した後の音楽が現行版より長いなどの違いがあるそうだ。

自殺しないトスカなど考えられない。サルドゥーの劇作家としての才能を思い知らされると同時に、オペラ化する以前のトスカという作品がどういうエンディングだったのかも知りたいところだ。

こうしてサンタンジェロ城からテヴェレ川に身を投げるという実際はあり得ないシチュエーションによって逆にリアルなドラマが生まれた訳だが、トスカの大成功によって「自殺する悲劇のヒロイン」という設定はその後プッチーニの必勝パターンとなり、蝶々婦人、修道女アンジェリカ、リュー(トゥーランドット)と繰り返されることになる。

(追記)
サルドゥーの戯曲「トスカ」(1887年初演)はサラ・ベルナール主演ですぐに大評判となった。そのオペラ化にはヴェルディも関心を持っていたそうだが高齢を理由に断念したらしい。また下記サイトの情報によると、ヴェルディは「イッリカとジャコーザの台本が良いのでプッチーニは成功するだろうがフィナーレは書き改めた方が良い」とも述べていたそうだ。イッリカとジャコーザは「詩情に欠ける」として当初はこの作品のオペラ化には乗る気でなかったと伝えられるので、初めの台本がトスカは自害しない幕切れだったことは間違いない。ヴェルディの言う「書き改め」は何を意味したのだろうか? オテロの壮絶な幕切れを描ききったばかりのヴェルディの言うことなので、恐らくサルドゥーの原作通りの方が良いと言いたかったのではないだろうか。
http://abend.exblog.jp/18600449/


さて、このDVDブックには2種類のトスカの演奏と、1種類のトスカの映画(1940年にヴィスコンティが撮影したものでセリフによる映画版、トスカのアリアが所々に挿入される)が収められている。ヴェローナの最近の映像は海外ではTDKが出しているもの。ソリストにチェドリンス、アルバレス、ライモンディ、指揮にオーレンを得て、最近の演奏としてはイタリアオペラらしい演奏だと思う。野外劇場ということもあってかこの曲に対する私の期待よりも大味な感じはあるが、この曲の映像としては現在最も勧められるものだろう。

ただ肝心の幕切れで実際に投身しないのは残念。最近のメットの演出もそうだった。ケガなどの危険性を考えるとそうなるのかもしれないが、そこは何とかサルドゥーの希望通り派手にやっちゃってほしいものだ。

もう一種類のテバルディ主演、パターネ指揮のビデオも海外では以前から出ていたもの。1961年のシュトゥッツガルトでの演奏だが十分イタリアオペラっぽい演奏ではある。当然モノクロ・モノラルだが安定している。テバルディのトスカはこれ以外にもデルモナコとの録音や日本でのビデオなど結構たくさん残っているし、なかなか優れた演奏だとは思うが、カヴァラドッシがいずれもイマイチで残念だ。

デッカの録音はデルモナコではなくボエームや蝶々婦人同様にベルゴンツィにしてほしかった。ヴィスコンティの映画でカヴァラドッシのアリアをタリアヴィーニが歌っていて、いっそのことテバルディとタリアヴィーニの組み合わせで聞きたかったものだ。

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突然フランス物に飛びます(笑)

・マスネ:歌劇『ウェルテル』
 ウェルテル:トーマス・ハンプソン(バリトン)
 シャルロット:スーザン・グレアム(メゾ・ソプラノ)
 アルベール:ステファーヌ・デグー(バリトン)
 ソフィ:サンドリーヌ・ピオ(ソプラノ)
 法務官:ルネ・シレール(バス)
 シュミット:フランソワ・ピオリーノ(テナー)
 ヨハン:ローラン・アルヴァーロ(バリトン)
 トゥールーズ・カピトル国立管弦楽団
 パリ聖歌隊
 ミシェル・プラッソン(指揮)
 収録時期:2004年4月29日(ライヴ)
 収録場所:パリ、シャトレ座
http://www.youtube.com/results?search_query=werther+massenet+graham+plasson&search_type=&aq=f

 マルセロ・アルバレス(T:ウェルテル)
 エリーナ・ガランチャ(Ms:シャルロット)
 アドリアン・エレード(Br:アルベール)
 イレアーナ・トンカ(ソフィー)
 アルフレード・シュラメク(Br:法務官)
 ペーター・イェロジッツ(シュミット)
 マルクス・ペルツ(ヨハン)、他
 ウィ−ン国立歌劇場管弦楽団&合唱団
 フィリップ・ジョルダン(指揮)
 演出:アンドレイ・セルバン
 収録:2005年2月25,28日 ウィーン国立歌劇場[ライヴ]
http://www.youtube.com/results?search_query=werther+massenet+2005&search_type=&aq=f

ウイーンでマスネというとちょっと意外な気もしてしまうが、なんとマスネのウェルテルはウイーン国立歌劇場(当時は宮廷劇場)で1892年に初演されたのだそうだ。しかもドイツ語版! パリのリリック座でのフランス語初演が事情で1893年にずれ込んだためとか。作曲者が作成したドイツ語版が存在することになる。原作はドイツの文豪ゲーテなので考えられる話ではある。初演はそこそこの評価だったようだがしかしこの作品が本当に成功を収めたのはやはりフランス語で初演されてからだと書いてある資料もある。

マスネはその後さらに当時のイタリアの高名なバリトン、マッティア・バッティスティーニのためにイタリア語のバリトン版も作ったそうなので作曲者自身による3ヶ国語の版が存在することになる。これはすごい。サロメには作曲者自身によるドイツ語版とフランス語版があり、ドン・カルロにはフランス語版とイタリア語版があるといった例はあるが、作曲者自身が3ヶ国語の版を作成するというのは前例があるのだろうか? 

フランスオペラの微妙な立ち位置というか、ドイツやイタリアで上演してもらわなければならない台所事情を表しているようで興味深い。イタリアでは50年代ぐらいまでイタリア語で上演するのが普通だったようだが私はイタリア語のウェルテルもドイツ語のウェルテルも聞いたことがない。今回の2種の映像もフランス語だ。

ウェルテルの映像は1985年にヴァイグル監督が作成した短縮版の映画が存在したが私は見ていない(ドヴォルスキーとファスベンダーというキャスティングだった)。やっとDVDになったのがハンプソンによるバリトン版のウェルテルだった。イタリア語の歌詞はフランス語に戻して演奏している。フランスには以前紹介したバリトン・マルタンの伝統があり、ペレアスのようにテノールでもバリトンでも歌われる役もある。バリトン版ウェルテルもひょっとしたらいいかもと思って買ってみた。

ハンプソンの歌は悪くないがフランス物にはちょっと生真面目すぎるかもしれない。それと、当然のことではあるが高い音は下に下げてあるので3幕の有名なアリアなどはちょっと物足りない。むしろスーザン・グレアムのシャルロッテはなかなかの名唱だと思った。この人てっきりヨーロッパの人だと思っていたらアメリカ人なのですね。

プラッソンの指揮とトゥールーズのオケもなかなかだが、楽譜台付の演奏会形式で中途半端に演技が入るので映像としては落ち着きがないのが残念だ。プラッソンの指揮はたっぷり見られる。クラウスとのCDはテンポが少し遅いように思ったが、今回はテンポ自体はそんなに変わらないものの映像がついているせいか充実して見える。

次に見たウイーンの映像の方は最近評判らしいラトヴィアのメゾソプラノ、ガランチャとアルバレスの共演だ。2人ともちゃんと聞くのは初めてだったがこれが意外に良かった。ガランチャはなかなかの美人でシャルロッテらしい雰囲気十分だ。アルバレスもルックスはともかく(笑)歌はぱっと聴いた感じはちょっとカレーラスばりでなかなか。二人とも少なくともハンプソンよりはフランス語っぽく聞こえる。ウイーンのオケも結構フランス物に合っている。演出も取り合えず違和感はない。今度低価格で再発売されるようなのでこの作品をまだ映像で見られていない方にはぜひお勧めする。

あらすじは下記サイトを参照されたい。
http://www.music-tel.com/ez2/o/work/Werther/1.html
http://www.and.or.tv/operaoperetta/81.htm
http://www.geocities.jp/wakaru_opera/werther.html
http://homepage2.nifty.com/aine/opera/opera69.htm

(追記)
助六さん情報によるとバリトン版ウェルテルはテキストが残っているのみで譜面は残っていないとのこと。バリトン用にするには当然高い音を下げなければならないので旋律をいじらなければならないのだが、私も正直ちょっと変だなと思っていた。有名なアリアがユーチューブで聴けるが皆さんはどう思われるだろうか?
http://www.youtube.com/watch?v=uD-AB_ukys8

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・ワーグナー:歌劇『さまよえるオランダ人』全曲
 テルイェ・ステンスフォルト(オランダ人)
 フランツ=ヨーゼフ・ゼーリヒ(ドナルド[スコットランドの船長])
 アストリート・ウェーバー(ゼンタ[ドナルドの娘])
 イェルク・デュルミュラー(ジョージ[猟師])
 ジモーネ・シュレーダー(メアリー[ゼンタの乳母])
 コビー・フォン・レンスブルク(テノール=ドナルドの船の舵手)
 WDRケルン放送合唱団&プラハ室内合唱団
 カペラ・コロニエンシス (a'=440Hz)
 コンサートマスター:ヒロ・クロサキ
 指揮:ブルーノ・ヴァイル
 2004年6月13日〜15日、エッセン・フィルハーモニーでのライヴ録音


 オランダ人・・・テオ・アダム(バス=バリトン)
 ゼンタ・・・アニヤ・シリヤ(ソプラノ)
 ダーラント・・・マルッティ・タルヴェラ(バス)
 エリク・・・コツーブ(テノール)
 ニュー・フィルハーモニア管弦楽団
 オットー・クレンペラー(指揮)
 録音時期:1968年(ステレオ)


オランダ人をもう少し続けよう。ブルーノ・ヴァイルの1841年初稿版はオランダ人の本来の姿に戻した画期的な演奏だった。クレンペラー盤が1843年の初期稿に準拠していると伝えられていたので、私はてっきり初稿が3幕仕立てなのかと勘違いしていたが、実際は3幕版は改訂稿で初稿は1幕版だったわけだ。当然序曲と幕切れは救済なしでゼンタのバラードはイ短調だ。オリジナル楽器なのでモダンオケのような重量感はないが、初稿による演奏ということを抜きにしても良い演奏だと思う。今後、バラードはオリジナル通りイ短調が普通になってほしいものだ。

クレンペラー盤は1843年のドレスデン上演の際の版とのことだが、救済なしの序曲の終結部はヴァイル盤とはやや異なる。ヴァイル盤の解説によるとこのようなバージョンは存在せずクレンペラーの独自の編曲だろうとのことだ。ゼンタのバラードはト短調、序奏付きの3幕仕立てという演奏形態だ。ゼンタはサヴァリッシュ盤同様にシリアが歌っているが、クレンペラーのテンポが遅いせいもあってバラードはだいぶ大人しく聞こえる。

でもクレンペラーのワーグナー全曲はこれ一つしかなく、全盛期のテオ・アダムのオランダ人や、ショルティの指輪のジークフリートになり損ねたコツーブのエリックなど注目されるキャスティングの演奏ではある。録音直後に行われた演奏会形式上演の放送録音も比較的最近CD化されたが、そこではエリックをジェームズ・キングが歌っている。HMVのサイトによればキングが録音に参加することにデッカが了解しなかったそうだ。デッカはジークフリートの録音を降ろした代わりとしてコツーブにこの録音をさせたかったのかもしれない。

ところで私はこの曲は3幕仕立てより初稿通り1幕物として演奏した方が良いと思う。バラードの移調もそうだが、音楽的な理由で3幕仕立てに改訂されたとは全く思えないからだ。恐らく2時間以上休憩なしで聞くのは辛い、あるいは間に休憩がないと物が売れない、舞台転換が大変などといった劇場側の都合によるものだろう。

ただし救済のモチーフはあった方が良いと私は思う。オランダ船が沈没したままで終わるか、最後に救済されるかは(大袈裟に言えば)ストーリーの変更に相当するからだ。作者の改訂の意志を尊重するべきだと思うし、オランダ人は最後に救われてほしいと私は思う。でも「救済のモチーフあり」→「バラードはイ短調」→「1幕物」という私の理想の演奏は私の知る限りまだない。

あらすじは皆さんご存じかと思うが一応下記サイトを参照されたい。
http://www.geocities.jp/wakaru_opera/derfliegendehollander.html
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%95%E3%81%BE%E3%82%88%E3%81%88%E3%82%8B%E3%82%AA%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%80%E4%BA%BA
http://homepage3.nifty.com/classic-air/database/wagner/Der_fliegende_Hollander_syp.html
http://homepage2.nifty.com/aine/opera1/opera144.htm

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