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ここのところ、聖トマス大学や神戸ファッション造形大学など、定員割れが続いて学生募集停止に追い込まれる大学が相次いでいます。
その中で株式会社立大学が募集停止となりました。
「株式会社立」LEC大が学生募集を停止へ
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/natnews/education/267736/
「それみたことか、教育はビジネスではないんだ」という鬼の首を取ったような意見がありますが、大いに疑問です。
まず現状の整理ですが、通常の大学は国、地方公共団体、学校法人によって設立されています。学校法人で設立されるのが私立大学と言うことになります。株式会社が大学を設立することは認められていなかったものを、構造改革特区で認めたのが株式会社立大学ということになります。
作ってしまえば同じ、ということならいいのですが、学校法人の場合と異なり、株式会社立大学では私学助成が受けられないという課題があります。これは、公の支配が及ばない教育には国が財政支援できないという憲法第89条によるものとされますが、国公立大学と私学で分けるならともかく、私学の中で学校法人には公の支配が及び、株式会社立大学には公の支配が及ばないという解釈は苦しいところです。株式会社立大学が気に入らないのでいじめていると取られても仕方がないように思います。
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第八十九条 公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。
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さて、そのような状況にある株式会社立大学ですが、まず、個別大学の失敗を、株式会社立大学一般に展開するのは慎重に行わなければならないことだと思います。学校法人が設置した大学も募集停止に追い込まれています。
そして、教育はビジネスではない、という議論も大いに違和感を感じるところです。
大学に限定しても、少なくとも一部は間違いなくビジネスです。「大学」とひとくくりにするとわかりにいですが、大学は分野ごとに「ビジネスモデル」が大きく異なっています。それをやっても食えないような高尚な学問を教えていて、得られる授業料もたかが知れているのでとても儲からない、という分野もありますが、それを学べば高い給料が約束されているので、高い授業料でも学生が入ると言う分野もあります。ロースクールやビジネススクールは典型です。これらは(成功すれば)儲かりますし、確実にビジネスと言えるのではないでしょうか。資格学校のようなものです。
また、「教育は金儲けのためではない」という言葉で選民的な議論をされるのも違和感があります。以前も「介護は金儲けのためにやるものではない」という議論がありました。
これ、率直に「ビジネス」をやっている人に失礼ではないでしょうか。通常のビジネスをやっている人だって、利益ばかりを求めているのではなく、使命感を持ってやっているのではないでしょうか。
同じ教育でも学習塾や英会話スクールは株式会社が設立しています。学習塾は教育ではないのでしょうか。学校教育に比べてこれらの教育は格が下がるのでしょうか。大学で英語を教えるのと英会話スクールで英語を教えるのは違うのでしょうか。よく分かりません。
さらに、教育はビジネスかどうかを別にして、株式会社がまずいのか、という点も疑問です。
学校法人と株式会社の違いは利益を求めるかどうかという大きなものがありますが、それだけではありません。株式会社には所有と経営を分離しているという大きな特徴があります。そのため、適切に運営されれば外部からの監視が働いて規律が守られます。株主が配当、利益を求めなければNPOのようにも運営できるはずです。
また、利益だって配当されるだけです。非常に細かい議論をすれば、借金をして金利を支払っているNPO法人と、利益を出して配当している株式会社で、ファイナンスの面でどう違うのでしょうか。
一方、学校法人は財団法人と同じような仕組みのようですが、総長がセクハラをしている都築学園のような学校法人もありました。学校法人というより財団法人の問題のようにも思いますが、非常に外部からの監視が行き届きにくい、よどみやすい法人形態のように感じます。
最後に、仮にLEC大学のように、株式会社が大学を作っても儲からないので成立しないのだとしても、放っておけば誰も参入しなくなるのであって、規制をして禁じるという必要性は薄いように思います。
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