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■2月4日 朝日新聞【社説】皇室典範 ここは冷静な議論を
皇室典範の改正問題で、政界が騒がしくなってきた。
女系天皇の容認に反対する与野党の国会議員が多数の署名を集め、集会を開いた。閣僚からも慎重論や、男系を維持すべきだという反対論が相次いでいる。
皇太子の次の世代に男子がいないなかで、皇位の継承をどうするかは天皇制の根幹にかかわる問題である。きちんと論議しなくてはならない。
小泉首相から諮問をうけた有識者会議は「女性・女系天皇を認める」「男女を問わず天皇の直系の第1子を優先する」という報告をまとめた。
男系・男子にこだわれば、継承者がいなくなる可能性が高い。旧皇族の男子を迎えて男系維持をはかるべきだという意見もある。だが、60年以上も一般国民として過ごしてきた人びとである。皇族となることに多くの国民が納得するとは思えない。そんな判断によるものだった。
この報告について、私たちは「妥当な結論だ」と支持した。ただ、皇位継承順を第1子優先とするかどうかには議論の余地があると考えている。
政府は報告書に沿って皇室典範の改正案をつくり、今国会で成立させる方針だ。議論を尽くし、国民の納得がいく合意を目指してもらいたい。
気がかりなのは、こうした議論のなかで皇族の発言が注目されていることだ。自民党内の改正先送り論の高まりについて、同党の細田博之国対委員長は「宮さまが否定的な見解を公表されたことも大きく影響している」と語っている。
宮さまとは三笠宮家の長男、寛仁(ともひと)さまのことだ。昨年来、月刊誌などで女系天皇に異を唱える発言を繰り返してきた。
私たちは、一般論としては皇族であっても自由に発言するのが望ましいと思う。だが、戦後の憲法で国民統合の象徴とされた天皇には、政治的行為や発言に大きな制約がある。皇族もこれに準じると解釈すべきだろう。
天皇制は政治を超えた歴史と伝統の問題だという意見もある。だが、いまの天皇制は戦前と違い、国民の強い支持がなければ成り立たない。茶道や華道などの家元制度とは異なり、政治の土台にかかわる問題なのだ。
天皇陛下や皇太子さまはこの間、皇位継承の問題について静かに見守り、いっさい発言を控えている。おふたりとも憲法上の立場を考えてのことに違いない。
私たちが2日の社説で寛仁さまに「もう発言を控えては」と求めたのは、皇族としての制約を超えると考えたからだ。皇室の総意であるかのような誤解も与えかねない。細田氏の言うように、政治に具体的な影響を及ぼしているとしたら、なおさら見過ごすわけにいかない。
この社説に対して「言論機関が皇族の言論を封じるのか」という反論も寄せられた。しかし、皇族だからこその言論のルールがある。それを指摘するのはむしろ言論機関の責務ではないか。
ここはぜひ冷静な議論を望みたい。
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