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長らく御無沙汰申し上げておりました。久しぶりの更新になってしまったことをお許しください。 さて、「皇室のきょうかしょ」の第二回目で、「正史」について触れましたが、それに関連して、少し補足しておきます。 「六国史」が日本の正史であり、それに引き続けて「大日本史料」が正史として編纂が続けられていることは、「皇室のきょうかしょ」第二回で記したとおりですが、私は、「天皇紀」も正史と見てよいのではないかと考えています。 皆様ご存知の通り、「日本書紀」を始めとする「六国史」全ては、天皇の代ごとにまとめられています。それを考えれば、天皇の代替わりがあるたびに、朝廷内(維新後は日本政府内)に先帝御事蹟取調掛が立ち上げられ、長い年月を費やして編纂される、歴代天皇の「天皇紀」は、六国史の作法を継承する、正史ではないでしょうか。 ところで、「天皇紀」とは、具体的には、最新のもので「明治天皇紀」、その前は「孝明天皇紀」が有名です。それぞれ、公刊されていますので、誰でも手にとって見ることができます。 天皇紀は、歴代天皇の御誕辰から崩御までを、一日単位で記録したもので、何時誰に謁を賜わったか、どんな贈り物を交わしたか、どのような宸翰を下さしたか、などなど、さまざまな資料を引用して、天皇の周辺で起きた事柄を始め、世の中の動向も合わせて記録したものです。 例えば、私は明治三十九年に完成して長らく公刊されずに、極秘資料として宮中奥深くに眠っていた、「孝明天皇紀」の原本を持っています。ここに掲載した写真がそれです。和製本で、和紙に印刷されています。全220巻という、膨大な量にのぼります。ここには孝明天皇の毎日が細かく記録されています。その内容は驚くべきものが含まれており、孝明天皇崩御から百年以上経過しなければ、とても公表できるような内容ではありません。 「孝明天皇紀」は後の昭和四十六年になって、全5巻にまとめられて公刊され、それによって始めて、内容が公にされたのです。 そもそも、「天皇紀」は公刊することを前提に編纂されていません。おそらく現在は宮内庁書陵部では「昭和天皇紀」が編纂されている真っ最中だと思われます。御在位六十四年という、歴代天皇では最も長い在位期間であらせられるため、「昭和天皇紀」は膨大な量に上るものになるでしょう。ただし、現在は「大正天皇紀」ですら未だ公刊されていませんので、「昭和天皇紀」が公刊されるのは、今から更に百年程度経過する必要があるでしょう。私が生きている間には、とても日の目をみることはないと思います。「昭和天皇紀」が公刊されると、終戦史が塗り替えられることになるかもしれません。また、公刊されず、未来永劫、宮中の奥深くで眠る書になるかも知れません。ちなみに、「天皇紀」は永久保存されることになっているようです。 ところで、「天皇紀」には、事蹟を記した文章とは別に、天皇の歴史的な場面を絵画にしてまとめた「附図」が付いている場合があります。「明治天皇紀」にも、「孝明天皇紀」にもこの「附図」がありました。惚れ惚れするような立派なものです。 ここに掲載した「附図」の写真は、明治三十九年に「孝明天皇紀」(220巻)ど同時に印刷されたものです。点数があるので、ここでは一点だけ紹介することにします。 ちなみに、現在私が進めている孝明天皇研究の柱は、「孝明天皇紀」研究です。「孝明天皇紀」を軸にして、そこに収録されていないその他の史料を分析しています。 「明治天皇紀」は大正から昭和にかけて編纂されたものなので、口語的な書き方がされていますが、「孝明天皇紀」は「日本書紀」同様、漢文で書かれています。 あと、皇室についてもし知りたいことなどがありましたら、リクエストしてください。可能な限り取り込むようにします。 ご意見・ご質問はメールでお受けいたします info@takenoma.com |
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