竹田恒泰日記

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科学で説明がつかないこと


 これだけ科学が発達すると、人類はあたかも自然の全てを知り尽くしているかのように思えるが、まだ科学によって解明されていないことは多い。
 幽霊や超能力を「科学で説明がつかない」というが、身の回りには「科学で説明がつかない」ことだらけなのだ。
 たとえば魚が泳ぐ原理、蛇が這う原理、ハエが飛ぶ原理、凧が飛ぶ原理などは今のところまだよく分かっていない。
 大型コンピューターの性能が向上し、瞬時に膨大な計算が可能になったため、多くの原理が解明されたのは事実である。
 しかし、固定したものの流体力学は計算可能であるも、魚や凧など、表面の形状が変化するものの流体力学は計算が複雑すぎて、大型コンピューターを駆使しても未だに計算ができないという。
 また、ハエは羽を動かす周波数が高く、羽が生み出す揚力よりも乱気流係数の方が常に高くなってしまい、航空力学上は飛ばないことになっているらしい。
 そして解明できないのは自然の原理だけではない。
 科学技術が生み出したものですら、人類はしばしばその不完全さに悩まされる。
 客船タイタニック号は「不沈船」といわれながらも1912年の処女航海であっけなく沈没。
 1995年の阪神・淡路大震災では、地震では絶対に倒れないとされた阪神高速が倒壊。
 また1985年の御巣鷹山への墜落事故では「最も安全な旅客機」とされたジャンボジェット機(B747-200型)が、何系統にも別れている油圧系が全てダウンするという全く想定外の事態に至って墜落。
 スリーマイル島原発、チェルノブイリ原発などの原子力事故然り、これらの惨事は枚挙に暇がない。
 そもそも、本当に安全なものには安全装置は付いていない。
 何重にも安全装置を付けるほど、そのシステムは本質的に危険なのだ。
 予測可能な事態には対策ができるが、予測不可能な事態には対策はできず、これが科学技術を不完全なものにしている。
 地球規模の科学を考える上で、我々はまず人類は自然界のことについて無知であるということを知るべきだろう。(竹田恒泰)


この原稿は、平成18年10月〜平成20年9月に「フジサンケイ・ビジネスアイ」に連載した「エコマインド・アイ」を転載したものです。

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