竹田恒泰日記

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森林はCO2を吸収するか?


 地球温暖化問題が取り沙汰される昨今、「森林はCO2を吸収する」と語られるのをよく耳にする。

 しかし、それは半分正しいが、半分誤りである。

 温暖化対策として積極的に植樹・緑化を進める試みがあり、また森林国にはCO2排出削減に一定の猶予を与える考えも確立されたが、もし「森林がCO2を吸収しない」のであれば、話しは全く違ってくる。

 確かに植物は太陽光を浴びて、CO2と水を吸ってO2(酸素)と糖分を作り出している。

 これが中学で学習する「光合成」だ。
 
 ところが、植物が枯れて土に還るとき、光合成とは逆の反応が起こることを忘れてはいけない。

 植物が枯れると、今度は微生物が植物を分解する。

 そのときO2が消費され、CO2と熱が排出されるのである。

 地球全体では微生物が吐き出すCO2の総量は、人類を含む動物が排出する総量を遥かに凌駕する。

 植物が分解されるとき、光合成で植物内に蓄えられたC(炭素)は、CO2として解き放たれ、再び大気に戻される。

 薪を燃やしたときに出るCO2も、光合成によって木が蓄えたCO2が解放されたものである。
 
 よって、植物はCO2を消滅させているのではなく、一時的にCO2を形を変えて体内に蓄えているだけであり、枯れたらCO2は元通り大気に返される。

 森林はCO2を増やしも減らしもしないと結論せざるを得ない。

 つまり、森林は年間を通じておびただしい量のCO2を吸収しているが、年間を通じて同量のCO2を排出していることになる。
 
 だが、森林が成長する過程において、森林は全体としてCO2を吸収することは事実だ。例えば明治神宮の森は、元々更地に人工的に植林したものである。

 現在は大木が生い茂っているため、更地時代に比べると、多くのCO2がそこに蓄えられていることになる。

 森はCO2のタンクといえよう。
 
 いま世界では急速に森林が失われつつある。

 森林が消滅すればその分CO2のタンクが失われて、行き場を失ったCO2が大気に排出されるととらえるべきだろう。(竹田恒泰)


 この原稿は、平成18年10月〜平成20年9月に「フジサンケイ・ビジネスアイ」に連載した「エコマインド・アイ」を転載したものです。

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