竹田恒泰日記

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2009年07月

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世界日報、NHKスペシャル「天皇と憲法」の偏向


 NHKスペシャル「天皇と憲法」について、世界日報のインタビューを受け、7月13日付で記事になりました。ネット上で引用されているようなので、全文をここに掲載することにします。

(この写真は、紙面に掲載された写真です)


2009/7/13付 世界日報9面 インタビューより

NHKスペシャル
 「天皇と憲法」の偏向
   /慶應義塾大学講師 竹田恒泰氏に聞く


皇室の在り方疑問視へ誤導
国策決定は終戦の御聖断だけ/製作は歴史的事実に則れ


 NHKスペシャル「シリーズ・JAPANデビュー」の第1回「アジアの“一等国”」で台湾報道について偏向と歪曲があったと批判が相次いでいるが、竹田恒泰・慶應義塾大学講師は、さらに、第2回「天皇と憲法」(5月3日放映)中の重大な悪意を指摘する。特に「帝国憲法があったから戦争が起きた、今の憲法を守っていけば戦争は起きない」という見方は「詐欺師の論理」と論難する。 (聞き手=片上晴彦)

 ――NHKの台湾偏向報道に対する抗議運動の盛り上がりをどう見るか。

 行方が注目されるが、同シリーズ2回目の「天皇と憲法」もかなり強い意図をもって作られた番組で、むしろ問題はこちらが大きい。番組は上杉・美濃部論争(注・大正期、天皇の絶対主権説と天皇機関説をめぐる論争)の行方を取り上げ、当時の強権的な解釈が帝国主義を進め戦争に至ったのだと論を進めている。全体を流れるのは帝国憲法悪玉論で、検証の仕方も非常に大雑把だ。視聴者は、旧憲法は悪で、天皇を絶対視する天皇主権という考え方が、日本を軍国化させていったのだという感覚を持つのではないか。

 その上、番組の締めくくりで、3人の識者が出て、「今日まで、天皇の在り方についての議論はタブーとされたが、そろそろ触っていかなくてはならない」という趣旨のことを言う。番組はソフトな作りで淡々と進んでいき、見終わった人は、「そうか」と。「そろそろ皇室の在り方を根本的に見直す時期なのか」と思ってしまう…


 ――自分でも自覚なしに同調させられてしまう?

 そうだ。だから、見た人がいきなり、「何だ、これは」と気勢を上げるような感覚ではないが、深い部分で浸透していく感じがあって、非常に恐ろしいなと思う。よほど近現代史や帝国憲法の理論に精通している人でないと、内容について反論するなり、間違いを指摘することはできないと思う。

 保守系の人は、あの番組を見て、なにか煮え切らない感じはしたと思うが、ではそれがどの部分かを明確にし、番組の巧妙な意図を見抜くのはかなり難しい。

 NHKが扇動的に日本の論調をつくり上げているとしたら恐ろしい。そういう機運の中では、憲法改正などということは簡単に言えなくなるのではないか。

 ――扇動の内容がボディーブローのように効いてくる。

 連合国は皇室を廃止するつもりでいたが、できなかった。それで100年かけて徐々に皇室の存在を薄め、弱体化させる戦法に出たわけだ。現にこの60年間、その方向に来ている。そしてその一つのエッセンスが、帝国憲法は悪玉、今の憲法は素晴らしいという論で、帝国憲法があったから戦争が起きた、今の憲法を守っていけば戦争は起きないという短絡的な報道になっているわけだ。

 つまり、帝国憲法の天皇主権もしくは統治権の総攬者であるという天皇の在り方は悪であったが、そのすべてをはぎ取って、もはや象徴にすぎない今の天皇は人畜無害なんだと。しかも親しみやすい皇室であって、国民との垣根はほとんどなくなったという論調が組み込まれている。その論の流れは詐欺師のトリック、詐欺師の理論だと思う。天皇主権から国民主権になったと言うが、それ自体が既にトリックだ。

弱体化狙うトリック/全体流れる帝国憲法悪玉論

 ――トリックというと?

 天皇主権という場合の主権と国民主権という場合の主権は意味が違う。前者の主権は、天皇が自由に政治を動かすという意味だと勘違いしている人がいるが、帝国憲法下でもそうではなく、基本的に今と同じ体制だった。従って、政治を動かしていた天皇が政治的権力を剥奪されて、無害な天皇になったというのはトリックだ。

 では、「国民主権とは何か」ということになるが、主権というのは、国の在り方を最終的に決める力、言い換えれば、憲法制定権力のこと。これは形式的な力と具体的な力に分けられる。国民が、憲法はこうあるべしと言い出せば、それで決まるから、国民が具体的な力だ。

しかし天皇の名において公布することで初めて憲法として効力を持つことになる。だから、主権の実質的側面は国民が、そして形式的側面は天皇が持っている。その点は旧憲法でも同じだから、天皇主権が国民主権に変わったというのは詐欺師の論理だ。

 帝国憲法下では、女性の参政権がないなどの制限はあったが、帝国議会が決議しなければ憲法は改正されないから、主権のかなりな部分を国民が担っていたということも事実だ。天皇主権が国民主権に変わった、天皇は主権者の地位を明け渡して、その地位を国民が占めたというのは間違いであって、問題の番組にはそのトリックがある。

 ――将来をにらんだ悪意ある議論だ。

 そうだ。帝国憲法の悪い部分は取り去ったのに、なぜ天皇は残っているのかと。今までタブーだったが、もうそろそろ、そこを議論していいのではないか、というのが番組の趣旨だ。ついに(皇室弱体化の戦法が)そこまで来たのかと思う。

 明治22年から今に至るまで、天皇が国策を決定したのは終戦の御聖断の1回だけだ。天皇は国策を決定する立場になく、その権能をお持ちにならない。政府と統帥部が決定した国策事項をひたすら裁可される御存在だった。

 国策の決定ではないが、あと2回あるうち1度目は二・二六事件で。この時、総理の生存も陸軍の態度も不明、しかもクーデターを認めようという空気すらあった中で、昭和天皇は、だめだ、鎮圧だと決意された。

2度目は昭和16年、いわゆる「白紙還元の御諚」だ。これは政府と統帥部が対米戦の決定をした後に御前会議で、本来は陛下がご発言されることはないが、明治天皇の御製をお読みになった。重臣たちが、陛下は開戦を望んでいらっしゃらないということを悟り、政府と統帥部の決定が一時白紙に戻るということになった。3回とも国が滅びるかどうかの瀬戸際で、平和の方向に導いていただいた。陛下が国家の方向の決定に関わったというのはこれだけだ。

 ――歴史的な事実ですね。

 天皇不親政の原則というのがあり、天皇は直接政治を執らない御存在で、その伝統は今に生きている。例えば天智天皇、天武天皇、持統天皇、後醍醐天皇など直接、親政をされた方はいらっしゃったが、125代の中でほんの数代しかいらっしゃらない。

あとは全員、天皇は政治の責任者を任命する御立場だった。昔は摂政・関白・太政大臣を任じ、武家政権ができてからは征夷大将軍を、今は内閣総理大臣を任命する。天皇が直接、政治を決定することは古代、大王の時代すらなかった。決して、直接、政治を執らない御存在だった。

 明治になって立憲君主国となり天皇が急に政治から離れたのではなくて、天皇は歴史上、政治には直接関わらない御存在だった。その代わり、摂政関白、内閣総理大臣にせよ、政治の責任者に最高の権威を与えられた。その歴史的伝統は続いている。

 <インタビューは、6月20日、NHKスペシャルの偏向報道に対する2回目の抗議集会があった東京・渋谷のイベントホール脇のベンチで行った。理路整然、竹田氏の話す言葉はそのまま書き原稿になった。弱冠33歳。2006年には著書「語られなかった皇族たちの真実」(小学館)で第15回山本七平賞を受賞。先の大戦前後、皇族が「天皇の藩屏(はんぺい)」として重責を担い行動する姿が生々しく描かれ、感動を禁じ得ない内容だ。著書は新刊「怨霊になった天皇」(小学館)などがある。>

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橋本明氏の廃太子論を批判する


 平成21年7月28日発売(8月7日号)『週刊朝日』に寄稿しました。

 天皇の級友を称する橋本明氏が、著書で廃太子を論じたため、批判的な意見を述べさせていただきました。

 国民が廃太子を論じるなど、あってはならないことです。



以下本文



識者が評する『平成皇室論』下
渡辺みどり/所功/竹田恒泰/友納尚子



皇室の尊厳を傷つける
心無い廃太子論
           竹田恒泰

 長い日本の歴史で、公に廃太子を語った日本人は橋本氏を除いて他にいたでしょうか。

 恥ずかしげもなく皇族方を扱き下ろしたあの西尾幹二氏ですら、廃太子までは論じていなかった。

 私はこの本を読んで、余りにも畏れ多いと思い、体が打ち震えました。

 天皇は日本国の象徴です。公然と廃太子を語ることは、皇室を語る作法から逸脱していると私は思うのです。
(続きは、週刊朝日をご覧ください)



引用終わり


 皇室典範の問題では所功氏とは意見が対立しましたが、今回は同意見です。所先生もいいことを書いていらっしゃいます。

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