竹田恒泰日記

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大規模システムの落とし穴


 大規模に集約したシステムを「文明的」と呼ぶらしい。
 だが、大規模に集約したシステムは、本質的に脆弱である。
 なぜなら、集約している分、一ヶ所を破壊すればシステム全体が麻痺するからだ。
 分かりやすい例はニューヨークの貿易センタービルだろう。
 わずか63メートル四方の敷地二ヶ所に、およそ5万人が勤務し、一日あたり約20万人の来館者があった。
 同時多発テロの犠牲者は2749人だった。
 朝早かったためにそれで済んだが、もし遅い時間帯だったら、何万人もの犠牲者が出ただろう。
 本来旅客機2機で何万人も殺害することはできない。
 たとえ渋谷や銀座に旅客機が落ちても何万人も死にはしない。
 だが、巨大オフィスビルを狙えば話は違ってくる。
 集約しているほど破壊の影響は大きく、テロの対象となる。
 自衛隊機が送電線を切断しただけで80万世帯が停電になったことがあった。
 山手線が10分止まっただけで、何万人の足に影響が出るのも同じことだ。
 最もオフィス・ワーカーを集約するのが巨大オフィスビルなら、最も発電能力を集約するのは原発である。
 原子炉自体は意外と小さく、内径はおよそ6mメートル強、面積約30平方メートル程度の敷地の上で1基分の約100万キロワットの電気が作られている。
 平成19年には地震で世界最大の原発基地・柏崎刈羽原発が全面停止し、電力供給に大穴が開いた。
 7基の原子炉の合計出力は821万キロワット、約365万世帯の電力を賄える。
 原発は故障などで一基停止しても影響は大きい。ところが、今回は地震で7基全てが停止する、空前にして絶後の超大穴が開いた。
 「文明的」なシステムほど脆弱なのだ。
 大規模集約型の時代は20世紀で終わった。
 これからは小規模分散型の時代である。
 生態系や人体は、どこかに故障が生じてもシステム全体が破綻しない作りになっている。
 インターネットも然り。
 電力も自然発電などを積極的に取り入れ、小規模分散に移行すべきではないか。
 ところで、平成19年の夏は、柏崎の原発無くして電力が賄えた。原発はある程度なくしても電気は足りることが実証されたことになる。(竹田恒泰)


この原稿は、平成18年10月〜平成20年9月に「フジサンケイ・ビジネスアイ」に連載した「エコマインド・アイ」を転載したものです。

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