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平成19年7月16日に起きた中越沖地震は、原発が直撃されて放射能漏れを起こしたため、世界中のメディアが注目した。 地震による原発の火災と放射能漏れは、いずれも人類の原子力史上これまでに例がない。放射能を漏らした柏崎刈羽原発は100万キロワット級が7基並ぶ世界最大の原発基地であるため、地震後の経過を欧米はじめ世界中が注意深く見守った。 とりわけロシアでは地震発生直後からトップ級ニュースとして扱い、放射能が日本海に流出した経緯などを詳しく伝え、国営ロシア通信は「地震の最も恐ろしい結末の一つは原発火災だった」と報じた。 原発事故の悲惨さを身をもって経験しているロシアは、隣国の原発火災の情報にはとりわけ敏感である。 全体の犠牲者数は公式な発表はないが、チェルノブイリ原発の事故後の処理作業だけで約5万人の兵士が死亡したとロシア政府は発表している。敏感になって当然だ。 中越沖地震では、原発が記録した揺れの強さを示す加速度680ガルは、耐震設計時の想定値273ガルの約2.5倍に相当する。 想定外の揺れにより、想定外の火災が発生し、想定外の放射能漏れを起こしたわけだ。 なぜ想定外の揺れが起きたのだろう。 それは近くの断層を過小評価していたからだ。 気象庁の解析によると、今回の地震で海底の活断層が原発の直下にまで延びている可能性が高いことが分かったという。 まさか活断層の真上に7基の原発が建っていたとは、原発作業員も近隣住民も想像もしていなかったろう。 だが、何事にしても想定外の事態は起きるものだ。 想定内のことが起きている限り事故は起きない。 毎日の世界のニュースは想定外の出来事で埋め尽くされている。 もし想定内のことしか起きない一日があったとしたら、それこそ想定外ではないか。 とすれば、原発のように一つ間違えたら大惨事に至るものは、常に想定外の事態に備えなくてはなるまい。 チェルノブイリの二の舞を踏んで「想定外でした」では済まされないのだ。 原発を保持するのであれば、相当のリスクがあることを覚悟する必要がある。(竹田恒泰) この原稿は、平成18年10月〜平成20年9月に「フジサンケイ・ビジネスアイ」に連載した「エコマインド・アイ」を転載したものです。 |
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2009年09月21日
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