竹田恒泰日記

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皇室典範議論の行方5〜捏造された綸旨


 よく政治家や官僚が「陛下の御意思」を軽率に語りますが、それはいかがなものでしょう。
 語られたその内容が本当に陛下の御意思だとしても、皇室の政治利用という点で大問題です。
 あまつさえ、もし「陛下の御意思」が偽りであったら、その問題の大きさは計り知れず、その罪は切腹を以っても償えないと言わなくてはなりません。
 これほど大胆な発言をしておきながら、小泉総理は、女性天皇と女系天皇の違いを理解していなかったことは衝撃的でした。
 小泉総理は平成18年1月27日、記者団に対して、女系天皇を容認する皇室典範改正案への反対論について、

 「女系天皇を認めないということは、仮に愛子さまが天皇になられた場合、そのお子さまが男でも認めないということだ。それを分かって反対しているのか」

 と反論しました。
 それが駄目だというのが反対派の立場なのです。
 この発言により、小泉総理が、女性天皇と女系天皇の違いも知らずに「陛下の御意思」とうそぶいていたことが分かります。
 これで、総理が皇室典範改定法案の趣旨も分からずに法案上程を叫んでいたことも露呈しました。
 同じく「陛下の御意思」を強調していた武部幹事長も、後になって、ようやく女性天皇と女系天皇の違いを認識したと発言しています。 続きを読む

少年タケシ「皇室のきょうかしょ」毎週月曜更新




 

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チェルノブイリ原発事故の確率


 1986年に旧ソ連で起きたチェルノブイリ原発4号炉の事故は、東海村の臨界事故と同じ核暴走事故だったが、その規模は東海村の10億倍に相当する。
 300キロメートル離れた地域にも避難命令が出され、未だに数十万人が避難生活を送っている。犠牲者数は不明だが、事故の後処理作業に従事したソ連兵の内、5万人が既に死亡したとロシア政府が数年前に発表したのがひとつの参考になる。過去最悪の核事故は果たして偶然か、必然か。
 4号炉は当時核技術大国ソ連が誇る最新の炉で、運転2年目にして初の定期検査のため、24時間がかりで出力を降下させて炉を止める作業に入っていた。
 この日ある実験が予定されていた。4号炉にはタービンの惰性で発電できるように改良が施されており、それを確認する実験だった。
 数十秒で終わるはずのこの実験は事故の大きな要因となる。
 出力を50%まで下げた時、電力需要が大きいため50%出力を維持するように管制所から指示があり、手動に切り替えて出力を維持した。
 実験のために炉心緊急冷却装置が切られていたが、この時再びセットするのを忘れていた。
 約5時間経ち23時過ぎに出力降下を再開。だが深夜1時に停止させる当初のモードをリセットし忘れていたため、炉は急激に出力を落とし、実験をしない内に停止に近い状態になってしまった。
 運転員のシフト交代時に伝達が漏れていたのだ。
 このまま停止させれば何の問題もなかったが、同伴していた技術者は激怒した。この実験は数年に一度の炉を停止させる時にしか行えない実験だった。
 炉を止めると核分裂を抑えるガスが充満するため、再び出力を上げるのは困難だ。
 だが運転員は技術者の剣幕に押されて出力上昇を試みた。
 それはあまりに危険な賭けだった。
 サイドブレーキをかけながらアクセルをふかすようなものである。
 運転員の努力により、やがて出力が上昇しはじめたが今度は暴走状態になり、慌てて緊急停止ボタンを押したが間に合わず、大爆発を起こし巨大事故となった。
 タイタニック号の沈没同様、偶然が重なりすぎると必然に思えてしまうのは私だけではあるまい。(竹田恒泰)



この原稿は、平成18年10月〜平成20年9月に「フジサンケイ・ビジネスアイ」に連載した「エコマインド・アイ」を転載したものです。

タイタニック号沈没の確率


 1912年4月14日の深夜に氷山に接触して沈没し1513人の犠牲者を出した客船タイタニック号は、防水隔壁で仕切られ、特に船首部分では4区画が浸水しても沈まない「不沈船」といわれていた。
 不沈船が沈没したのは果たして偶然か、必然か。
 沈没に影響を与えた要素は多い。
 まず、建造が1ヶ月遅れ、流氷の多い4月に処女航海をすることになったこと。
 次に出航時間が1時間遅れたことも事故を大きくした。
 つまりタイタニック号が氷山に接触して救難信号を発したのが0時14分。
 近くにいたカリフォルニア号が無線業務を終了した14分後だった。
 もし出航時間が遅れていなければ、救難信号を受信した同船が沈没前に救難に駆けつけることができたはずだ。
 また、先行船からの氷山の警告を無視して高速航行を続けたことも要因の一つである。
 結局450メートル前で氷山の存在に気付き、回避行動をとるが回避できず、船首の5区画に浸水して沈没することになる。
 皮肉にもその晩は新月に近く、無風で海面が鏡のようで、監視員が双眼鏡を持っていなかったという不運が重なり氷山の発見が遅れた。
 さらに、減速して舵を切った船長の判断が船を沈めた。
 減速すると舵が利きにくくなる。
 もし減速せずに舵を切っていれば衝突を回避でき、また舵を切らずに減速していれば正面から衝突するので5区画に浸水することはなく、やはり沈没は避けられたといわれている。
 衝突したのは23時40分、速やかに救難信号を出していればカリフォルニア号が受信できたはずだった。
 また0時44分に信号灯を打ち上げたが、同船は意味を理解せずに無視した。
 結局信号を受信したカルパチア号が到着したのは4時10分、沈没から約2時間が経過しており、ボートに乗れずに海に投げ出された全員が死亡した後だった。
 救命ボートの数が少なかったことも犠牲者を多くさせた。
 これら要素の一つでもなければ沈没を逃れていたかもしれないわけだ。
 偶然が重なりすぎると必然のように思えてくる。
 巨大事故はこのようにして起きる。(竹田恒泰)


この原稿は、平成18年10月〜平成20年9月に「フジサンケイ・ビジネスアイ」に連載した「エコマインド・アイ」を転載したものです。

科学で説明がつかないこと


 これだけ科学が発達すると、人類はあたかも自然の全てを知り尽くしているかのように思えるが、まだ科学によって解明されていないことは多い。
 幽霊や超能力を「科学で説明がつかない」というが、身の回りには「科学で説明がつかない」ことだらけなのだ。
 たとえば魚が泳ぐ原理、蛇が這う原理、ハエが飛ぶ原理、凧が飛ぶ原理などは今のところまだよく分かっていない。
 大型コンピューターの性能が向上し、瞬時に膨大な計算が可能になったため、多くの原理が解明されたのは事実である。
 しかし、固定したものの流体力学は計算可能であるも、魚や凧など、表面の形状が変化するものの流体力学は計算が複雑すぎて、大型コンピューターを駆使しても未だに計算ができないという。
 また、ハエは羽を動かす周波数が高く、羽が生み出す揚力よりも乱気流係数の方が常に高くなってしまい、航空力学上は飛ばないことになっているらしい。
 そして解明できないのは自然の原理だけではない。
 科学技術が生み出したものですら、人類はしばしばその不完全さに悩まされる。
 客船タイタニック号は「不沈船」といわれながらも1912年の処女航海であっけなく沈没。
 1995年の阪神・淡路大震災では、地震では絶対に倒れないとされた阪神高速が倒壊。
 また1985年の御巣鷹山への墜落事故では「最も安全な旅客機」とされたジャンボジェット機(B747-200型)が、何系統にも別れている油圧系が全てダウンするという全く想定外の事態に至って墜落。
 スリーマイル島原発、チェルノブイリ原発などの原子力事故然り、これらの惨事は枚挙に暇がない。
 そもそも、本当に安全なものには安全装置は付いていない。
 何重にも安全装置を付けるほど、そのシステムは本質的に危険なのだ。
 予測可能な事態には対策ができるが、予測不可能な事態には対策はできず、これが科学技術を不完全なものにしている。
 地球規模の科学を考える上で、我々はまず人類は自然界のことについて無知であるということを知るべきだろう。(竹田恒泰)


この原稿は、平成18年10月〜平成20年9月に「フジサンケイ・ビジネスアイ」に連載した「エコマインド・アイ」を転載したものです。

皇室典範議論の行方4〜皇室は最後の抵抗勢力!?


 これまで日本の歴史には、強大な政治権力を手中に収めた政治家がいました。
 だが、平清盛・源頼朝・足利義満・織田信長・豊臣秀吉・徳川家康ですら、自らが皇位を手に入れることはもちろん、万世一系の皇位継承原則を変更した者はいません。
 しかし、日本の建国から二千六百六十五年が経過した平成の御世(みよ)で、小泉総理は皇室制度の根幹である皇位継承原則にメスを入れようとしたのです。
 いった小泉総理は、皇室に対するどのような思想に基づいて女系天皇を成立させようとしたのでしょうか。
 その答えは、私が懇意にしている自民党のある国会議員から知らされた情報に見出すことができます。
 秋篠宮妃御懐妊が発表される直前の、皇室典範改定問題が最も激しく議論されていた最中の平成18年1月、小泉総理が自民党幹部と会合を持った際に、総理は

「今国会で皇室典範改正案を必ず上程する。典範改正は構造改革の一環だ」

と述べたあと、少し声を潜めて、静かに、しかし力強く

「皇室は最後の抵抗勢力」

と言ったというのです。
 さらに、その場にいた自民党幹部の一人が

「では、皇室典範改正法案が国会で否決されたらまた解散ですか?」

と聞くと、総理はかすかににやけた表情を見せ、大きく片手を挙げ、何も答えずに退席したため、その場に居合わせた自民党の国会議員たちは、「皇室典範改正」を覚悟したといいます。
 小泉総理は平成17年に郵政民営化の是非を問う「郵政解散」を断行し、圧倒的な勝利を収めたばかりでした。
 もし秋篠宮妃御懐妊がなく、国会で皇室典範改定法案が否決されたなら、日本の憲政史上前例のない、女系天皇の是非を問う「皇室解散」が現実のものになっていた可能性があったことになります。
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