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 コルカタの太陽光線は強烈だった。オゾン層の破壊が進んで、高緯度地域だけでなく赤道直下でも紫外線が強くなりすぎていた。昼間外で作業するにはサングラスが必須だった。特に一日中外で作業する農民は皆、紫外線に反応して色が濃くなるサングラスを着けていた。めがねと顔の間の隙間もほとんどない、視界のほとんどはレンズを通してしか見ることが出来ないものだった。ここインドでも、中国でも、ブラジルでも、アメリカでも農民は皆同じようなサングラスを使っていた。

 タゴールは最近とても幸福だった。家族でけんかをしなくなったからだった。テレビもインターネットも使えなかったが、それでもよかった。電力不足で明かりさえもつけれないことがあったが、仲良く生活が出来ることが一番だった。以前は村で直ぐにいさかいが持ち上がった。水や肥料、家畜の問題で直ぐに人が死んだ。ところがこの数ヶ月、平和になったのだ。電力不足が目立ってきたのと同じ頃からだった。おかしなことにその頃から液晶の屋外広告がどんどん道端に作られていった。アメリカ製品の広告だった。しかし、サングラスをかけているとあまりよく見えないのだ。「アメリカのやることはいつも中途半端だ。」そうタゴールはつぶやいた。今度村で組合を作ろうと話が来ていた。そうなれば少しでも高く小麦が売れるかも知れない。金がなければアメリカ製品も買えないのだから。

 「おい、なんだか風向きが変わってきたぞ。」ラルフ・ネーダーが叫んだ。インターネットを通しての個人献金が突然集まりだしたのだ。「これならテレビで広告が打てる。」「すごいな。オバマの時と同じだ。いや、彼はバックに巨大政党が付いていたが、我々は違う。」「ジャネットの言っていることがみんなの心を掴んだからだよ。軍産複合体のやり方にみんながノーと言っているんだ。」「おい、これは大変だ。CIAの内幕の暴露記事が投稿されている。」「レスタ−、ついに軍産複合体が崩れる時が来たんだよ。インテクのCPUが細工されていると言う記事もあるぞ。」

 同じ頃、世界中のインターネットサイトで内幕暴露の記事が読まれていた。元々、そう言った記事はいつも投稿されていたのだ。ただ、それまでは自動的に一般公開がされないようにプロキシーサーバー内に封じ込まれていたものだった。それが急に普通に読めるようになったのだ。最初に気が付いたのはマスコミの記者だった。まるでマインドコントロールから解放されたように記者たちは政治の内幕暴露のニュースを流し始めた。

 スイスでも同じだった。いや、特にスイスは個人個人が独立し、警戒心の強い人々だったので、過去の犯罪歴に関心が強かった。そんな中、日本から移住してきた蝶収集家の兄弟が行方不明になったと言うニュースが流れた。10年程前から亜熱帯化して山の頂き付近では亜寒帯の蝶が、中腹では温帯の、そして麓では亜熱帯地方のものが捕れるのだ。彼らは幸福の青い蝶を追いかけていて行方不明になったと言うことだった。

 多くの人を短い間だますことはできる。同様に、少数の人を長い間だますこともできる。でも、多くの人を長い間だますことはできない。

*読んでいただきありがとうございました。これは全くの創作です。現実の人々と同じ名前があってもそれは偶然の産物です。

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