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マスコミ内にはウマル氏(通名:安田純平)を英雄視しようとする動きがある。英雄視は言い過ぎにしても、バッシングはやめようといった報道が目立つ。武器をもって権利を要求する「戦争」は現代人の価値観とは合致しないし、人類が核兵器を開発した以上、生命の根本である種子の保存をも脅かしかねない外交手段になった。「武力を背景にした要求には見返りを与えない」ことが平和を保つ唯一の手段である。
ウマル氏の罪は重い。「シリア人権監視団」のラミ・アブドルラフマン代表は、複数の信頼できる情報筋から得た情報として、タカールが「日本人の人命救助への貢献を国際社会にアピールするため」身代金約3億3700万円が支払われたと主張した。正確には朝鮮人だが、国籍はどうでもいい。また複数の情報筋の真意もどうでもいい。問題は武装勢力に身代金が支払われたと報道されてしまったことと、その金額だ。
ウマル氏が命乞いする動画は世界に配信された。仮に武装勢力に分からない日本語で、『わたしのことはいい。身代金は払うな』と言ったのなら英雄でもいい。ウマル氏はその逆のことを言った。正義に反してわたしを助けてほしい。気持ちは分かる。自らの命を守るための裏切りは背徳ではない。だが英雄ではない。ウマル氏を英雄視することは、武力による外交を正当化することになる。
またウマル氏の体験談が、ウマル氏に益する形で報道されるなら、それも正義に反する。例えば有償での寄稿やテレビ出演などだ。逆にバッシングは正しい選択肢のひとつだ。バッシングはやめようというなら、その正当性を示すべきである。
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