ウイスキーと語る

兼業農家のグラフィックデザイナーです

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世の中にはまったく必要ないのに、その不必要性に気づかれていないものがある。わたしの知人は高級そうな腕時計をしているのに、いつもの癖かスマホで時間を確認する。彼のクルマに乗るとAT車なのにタコメーターがついている。さっき使った割り箸があるのにスナック菓子専用のトングを出されると、疑問で胸がいっぱいになる。しかも菓子の袋にはまったく無意味なベルマークがついている

言い出したらキリがない。テレビのお天気お姉さんもそうだ。原稿を読み上げるだけなら気象予報士の資格は要らない。そういう人は飼い犬にリボンをつけそうだし、ワインを選ぶのに資格が必要だと思ってソムリエの資格まで取りそうである。

海洋汚染の原因としてプラスチックのストローが問題になっている。これを紙のストローに変える企業が増えているという。そもそもストロー自体が必要なのか。ウイスキーや焼酎の水割りをストローで飲む人はいない。セルフサービスのドリンクバーではストローを使わない人が多い。百歩譲って女性の口紅問題を認めたとしても、男性にはまったく不要なはずである。

アイスコーヒーはそのまま飲めばいい。ひと昔前に割り箸が悪者にされたことがあったが、紙ストローこそパルプの無駄遣いなうえ、漂白に夥しい量の淡水が使用される。不要品の代替品ほど無意味なものはない。プラスチックを問題にするなら過剰な包装を問題にすべきだ。アイスコーヒーのカップは紙でも蓋はプラスチックである。蓋とストローの重量を比較して、どっちが問題かを考えるべきだ。

使い捨てではないストローは存在しない。昔は麦の芯をストローにしたが、それも使い捨てだった。欧州の博物館なら中世貴族が使った真鍮や銀の高級ストローが存在しそうだが、それもない。水割りや口紅のあった時代から無いのである。ストローに関するテーブルマナーも存在しない。ストローの正しい使い方を聞かれても返答に窮する。つまり文化的な側面からも無価値である。

紙ストローは、単なる環境パフォーマンスである。

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