竹中 正治(たけなか まさはる)

筆者が正しいと考える事実に基づいて記述しておりますが、その正誤については責任を負いません。自己責任でご判断ください。

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2008年のリーマンショック以降、長期的には持続不可能な信用・債務膨張に支えられた中国経済が、ようやくハードランディング的な債務調整局面に入りつつあるように見える。


私が「中国バブルの『ミンスキーモメント』」 (ロイターコラム、20161月)を書いてから3年である。


中国はその金融システムの国家統制色が強いため、金融システムが資本市場型の米国はもとより、銀行中心型の日本のケースよりも、時間を引き延ばしたスローモーションでバブルはピークに達した後、崩壊するのだともとより予想していたが、ようやくその時が到来するようだ。

そうした状況を描いた直近の記事として福島香織さんの記事を掲載しておこう。

既に世界の各国株式市場と投資家は、中国経済の危機と不況からその国の経済・ビジネスがどの程度影響を受けるかを株価に反映し始めているのではなかろうか。

200708年の米国の金融危機では、証券化された債券を海外の投資家が莫大に購入しており、その価格が暴落することで金融危機の第1波が海外に波及した。しかし中国の場合は、そうした連関は弱い。むしろ「中国経済の失速、不況への移行」海外から中国への輸出の減退という実体経済を通じた波及の方がメインになるだろう。

そこで、各国の対中国輸出の対GDP比率(データは中国の輸入サイドのデータを使用、2015年のデータ)と過去1年間の各国主要株価指数の変化の関係性を検証してみた。中国の輸入に占めるシェアの大きい順に16か国を対象にした。

株価の変化は20192月末時点の前年同期比(%)である。私の考えが正しければ、対中国輸出のGDP比率が高い国ほど、その国の株価指数は相対的に下がっているという負の相関関係があるだずだ。

その結果を散布図と表にしたものを以下に掲載した。結果は私の予想以上に関係性が高く、相関係数(R)は−0.714、決定係数(R2)は0.510である。負の相関の場合、相関係数はゼロからマイナス1までの変域となる。−0.714はかなり高い。決定係数0.510とは、Rの平方根であり、説明度を示すものだ。

対中国輸出のGDP比率が最も高く、株価も相対的に大きく下がっているのが、マレーシア、ベトナム、韓国である。反対にインド、英国、米国は影響度が最も低く、インドと米国の株価指数は前年同月比プラスだ。英国の株価指数がマイナスであるのは、言うまでもなく中国の影響ではなく、合意なきEU離脱リスクを反映したものだろう。日本の受ける影響度はこの16か国の中では平均よりやや若干高い程度だ。

ふ〜む、こんなに鮮明に相関関係が出るとは思わなかった。株式市場というのは、非合理的な局面もあるが、大局的にはある意味では素直なんだろうね。


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いつも大変勉強になる記事をありがとうございます。先生が本文中で引用されておられる別の方の記事も読ませて頂いたのですが、少し疑問に思ったのですが、中国経済のハードランディング、というものは例えばですが、リーマンショック級のブラックスワンとして機能しそうなものなのでしょうか?と思ったのは、全くの不意打ちではなく、ある程度その可能性を認識されているものであるならばその悪影響は多少なりも株価に反映されているのではないか?また、米国債のイールドカーブも再度スティープニングしてきており、あまり大きなリスクを織り込みにいっているようにはみえないように感じてしまいます。ただ、10年-3か月等ではありませんがいったん一部で逆イールドが出た後のスティープニングであるので、そもそもあまり良い兆候ではない、とも感じてしまいます。目下個人的に一番気にしてるのは中国経済の腰折れなので、その影響度合いは大局的にみてどう想定されているのかが気になっております。 削除

2019/3/4(月) 午前 0:10 [ salt ] 返信する

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> saltさん
「中国のハードランディングはリーマン級のブラックスワンになるのか?」 その点については、福島香織さんもその論稿の中で「グレーのサイ」だと言っていますでしょ。 つまり全くの不意打ち的な危機の顕現化ではなく、もともと問題視されていたリスクが「ついにとうとう」という形で顕現する局面が想定されているわけです。

2019/3/4(月) 午前 8:37 [ たけなか まさはる ] 返信する

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> saltさん
「ある程度その可能性を認識されているものであるならばその悪影響は多少なりも株価に反映されているのではないか」 その通りです。上海株価指数は国有企業の割合が高いという事情を勘案しても、長期の上昇トレンドを描いていません。私は中国株だけでなく、中国経済への依存度が高い国の株価にも、この1年間、中国のハードランディングシナリオが反映されていることをデータで示したわけです。

2019/3/4(月) 午前 8:42 [ たけなか まさはる ] 返信する

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> saltさん

「米国債のイールドカーブも再度スティープニングしてきており、あまり大きなリスクを織り込みにいっているようにはみえない」 中国リスクに関して言うと、ここで示したように米国は最も影響を受けにくい3か国のひとつです。

2019/3/4(月) 午前 8:44 [ たけなか まさはる ] 返信する

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竹中先生,お返事誠にありがとうございます.既に中国そのものや中国経済への依存度が高い国々にハードランディングを想定したシナリオが反映されてきている点,よくわかりました.米国債金利の動きに関しては,中国経済のハードランディングを想定していない,というよりはハードランディングしてもその影響が比較的少ない国である,というように認識しました.先生も本文中で仰っておられるような回りまわって米国経済に影響するリスクが怖くはありますが,多分それも昨年末のように一番最後に米国に波及するのかな?と思います.いずれにせよ少しリスク資産等の配分は気をつけて過ごすようにしようと思います.お返事・ご回答ありがとうございます.今後もブログの方,楽しみにしております. 削除

2019/3/4(月) 午前 9:59 [ salt ] 返信する

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いつも、すごく勉強になり、感謝しております。

さて、

「FRBのバランスシート縮小計画が頓挫?」

本日のモーニングサテライトで、日銀の白井審議委員が、

「このままいくと、今後3〜5年後に、どこかの国でバブルが発生する可能性がある。」

と、語っていましたが、

どうして、FRBは、今後、当座預金を縮小していかないといけないのでしょうか? 削除

2019/3/7(木) 午前 11:24 [ メルロ ] 返信する

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