竹中 正治(たけなか まさはる)

筆者が正しいと考える事実に基づいて記述しておりますが、その正誤については責任を負いません。自己責任でご判断ください。

金融・投資

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Yahooニュース(個人)に投稿しました。
 
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冒頭引用:「高値更新を続けて来た米国株、「もうバブルだ」「いや、まだバブルではない」とブル&ベアーの議論が盛んだ。筆者自身は昨年9月の時点でトムソン・ロイター社のコラムに次のような「やや警戒が必要」の判断を提供したが、その後も続騰の相場が続いた・・・」(あとはYahooニュースでご覧ください)
 
途中部分引用:「問題はVIX指数が超低位水準にあることだ。述べたとおり、VIX指数の2000年1月以来の平均値は21%だ。そして回帰分析の結果では、1ポイントのVIX指数の上昇は0.9%のS&P500の下落に対応している。この関係性は前回の回帰結果でもほぼ同様だから、比較的安定していると見ていいだろう。(回帰結果は下段の表、参照)
つまり7月16日に11%だったVIXが長期平均値の21%に戻るだけで、株価指数は9%も下落するのだ。」
 
最後の部分引用:「投資の実践的な操作としてはどうすべきか? 米国株について「ここから積極的に買い増す」「パンパンのロング(買い持ち)のままで行く」というのは、私にはバクチ過ぎる投機にしか思えない。逆に「空前の量的金融緩和が生んだバブルだ」とも考えていない。
 
私自身は2012年まで保有していたS&P500指数連動の買い持高のうち、1/3は2013年前半までに利益を確定してキャッシュ化してある。残りの2/3は「中核ポジション」としてずっと保有継続のスタンスだが、今年7月に入ってから中核ポジションの3割程度をめどに、株価指数先物売り持高を組み入れたETNを買う形でヘッジすることにした。ただいまヘッジ持高を分割して積み上げ中であり、目立った反落場面があれば買い戻すつもりだ。
それでは皆様、Good Luck!」
 
追記:降雨確率の50%の意味
 天気予報が「本日午後の降雨確率は50%です」と報じた時に、「なんでえ〜、雨が降るか、降らないのか、5分5分ってんじゃあ、わからね〜と言っているのと同じじゃねえか」と思う人がいるなら、それは確率的に考え、判断するということが全く理解できていない人だろう。
 
 金融投資の相場現象は、天気の変化よりも(それが人為であるが故に)ずっと不確実かつ厄介である。 しかしそれでもある程度の蓋然性、過去のパターンを利用した確率的な判断ができる(と思える)局面もある。
 
 そうした局面が見えたと思った時に、売りでも買いでも投資の持高を傾斜する、そうでない時はポジションはほとんど動かさない、あるいは目立ったリスクテイクはしないのが私の投資方針であることは、弊著の読者ならご理解頂いていることだと思う。
 
 「ずばり上がるか、下がるか、申し上げましょう」なんてのは、いかさま占い師の類(「いかさま」ではない占い師が存在するとは思っていないが)、そんな連中の言説を頼って右往左往するのは哀れな存在だと申し上げておこうか。
 
追記(7月29日):①WSJ記事
これでは負け犬の遠吠えのバブル論ですね〜。
 
②ロイター論考
カレツキー氏、シラー教授のシラーPERを「投資尺度としては全く役に立たない。価値がない」と批判している。まあ、シラー教授もこの指数だけで賢明な投資ができると主張しているわけでもないし、私もひとつの参考指標に過ぎないと思っている。
で、カレツキー氏自身は現下の米国株価、どう判断しているのか?
「イエレンFRB議長が示しているように(そしてそれはまさにわたしの考えでもある)、株価の最高値が根拠なき熱狂の証拠か、それとも単に緩やかな景気回復に対する合理的な反応かは、時が過ぎないとわからない」
あれれ、それじゃあシラーPERと同様に無価値な情報ですね・・・・(^_^;)
最高値の判断は不能でも、割高・割安の蓋然性程度は示してくれないとね。
 
追記(7月31日):Yahoo Finance掲載の記事  ちょっと気にとめておこうか↓
“There have been only two instances when the NYSE Tick and stock prices diverged radically,
and that was in the first quarter of 2000 and the third quarter of 2007. The third time was April
of 2014,” Cook says.
In simple terms, as stock prices have gone higher, the NYSE Tick has moved lower.
This divergence is an extremely negative signal, which is why Cook believes the market is losing
energy.
Cook predicts that within 12 months, the market will suffer a 20% or greater
pullback.
 
追記(8月5日)WSJ記事(日本語)
記事引用:「過去45年間にわたり米株式市場は、3つの警告サインが同時に点灯するたびに20%以上下落してきた。 過去1週間の売りによって、年初来のダウ工業株30種平均指数がプラスからマイナスに転落したが、この3つが現在すべて点灯しているのは注目される。
 
 これら3つのシグナルは、1)過剰なまでの強気ムード、2)株価収益率(PER)のような指標にみられる顕著な株価の過大評価、そして、3)市場部門ごとのパフォーマンスの極端な乖離(かいり)−−だ。
 
 ニューヨークの投資コンサルタント会社マーケット・エクストリームのヘイズ・マーティン社長によると、これらのシグナルが一緒に点灯したのは、1970年以降6回あるという。同社は主として市場の大きな転換点を研究している。」
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毎度のトムソン・ロイター社のコラムです。
ただ今(7月3日夕刻)掲載されました。
 
少し前にYahooニュース(個人)に寄稿したGDPギャップと長短金利格差の相関関係に基づいた米国長期金利の読み解きが核ですが、データを年次から四半期ベースに換えて単回帰し直したら、説明度がぐっとアップしました。ドル円相場への含意なども書きくわえています。
 
ご覧になってよろしければ、ロイターサイト上で「いいね」「おすすめ」などクリックして頂ければ幸いです。
 
引用:「米長期金利のこの低下をしきりと不思議がり、米国経済の長期的な衰退の兆候ではないかという議論がこの春以来、一部の市場関係者やエコノミストの間で繰り返されている。
 
しかし、私には不思議でもなんでもない。極めて自然なことで、むしろあのまま3%を越えてするすると長期金利が上昇したとすれば、そのほうがよっぽど特異なことと言うべきだろう。 その理由を説明しよう・・・」
 
「最後に来年までの予想をしておこう。すでに見た通り、CBOが推計した過去1年(13年第2四半期―14年第1四半期)のGDPギャップはマイナス4.3%だった。15年にこれがマイナス3.0%までマイナス幅が縮小したとすると、長短金利差は2.4%となる。
 
現時点で15年12月期日の先物が予想するフェデラルファンド(FF)金利は約0.7%だから(6月27日時点)、来年12月の10年物財務省証券利回りの現時点の推計値は3.1%となる(FFレートと3カ月物財務省証券の利回りがほぼ同じ想定)。やはりプラスマイナス0.6%の標準誤差の幅をもって考えると、15年の予想レンジは2.5%から3.7%となる。
 
ドル円相場への含意について考えれば、ドル長期金利の一段の上昇(10年物財務省証券利回りの3%越え)は年内には望み薄であり、それは15年になろう。一方、円についてはまだ長短金利ともに変化がないと想定すると、ドル円金利格差の拡大がドル高要因として働き始めるのは来年になる。
 
したがって、多くのストラテジストらが今年の相場として年初に予想した1ドル=110円近辺へのドル相場の上昇も来年に持ち越しとなる公算が高そうだ。足元ではドル円相場の膠(こう)着が続いているが、年内はむしろドルロング筋のポジション調整で一時的には100円割れの円高・ドル安に警戒しておくほうが良いかもしれない。」
 
追記:中国政府の米国債買い急増していた。WSJ記事7月16日
 
追記(8月4日):本日の日経新聞記事
「我慢の円安シナリオ」 米景気復調でようやく現実味:編集委員 清水功哉
記事引用:「「7〜9月期も米国が3%超の成長経路をたどるなら、FRBが9月にもハト派的なトーンを修正する可能性が高まり、米金利の先高観を背景にドル・円相場は9〜10月にも105円〜110円に向かう」(田中泰輔ドイツ証券チーフ為替ストラテジスト)との声もある」
 
田中さんはいつも円安バイアスですからね。直感的にはこのまま9月〜10月に105〜110円にレンジシフトというのは、ちょっと早過ぎる感じがします。
まあ、短期の変動はどうなるかわかりませんがね。一応テイクノートしておきましょうか。
 
追記(8月11日):田中泰輔さんの論考(上記と同じ主旨)
引用:「7〜9月期のGDP成長率が3%超になれば、米金利の先高観が強まり、ドル円の上昇再開につながるとみる。・・・・ドル円がひとたび105円を超えれば、視界は110円超へ広がるはずだ。」
 
 
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http://bylines.news.yahoo.co.jp/takenakamasaharu/  Yahooニュース個人
↑New!YouTube(ダイビング動画)(^^)v
 
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6月21日付の日本経済新聞の以下の記事を読んで、基礎的なデータもチェックせずにいい加減なこと書いているなあ・・・と思ったので、指摘しておこう。
 
「3%成長」の蜃気楼、「長期停滞説」の波紋、6月21日、米州総局編集委員 西村博之
「構造的な低成長を招く一因は富の集中だとサマーズ氏や他の専門家は懸念する。上位1割の富裕層の所得の比率は1980年の30%前半から直近は50%まで拡大。お金持ちほど多く稼ぐ傾向が強まるのに、富裕層はお金をあまり使わない。下位9割の層が所得の1〜2%しか貯蓄しないのに対し、上位1%の層は約40%をためるとの分析もある。経済全体で消費に回るお金は減り、成長率を押し下げているという。」
 
米国で所得格差の拡大傾向が続いていることも、またそれについて米国のリベラル派のエコノミストが繰り返し危惧の念を表明しているのも事実だが、それが記事が指摘するような因果関係で米国の経済成長率を押し下げているという事実は確認できていないと思う。 「サマーズ氏や他の専門家」が言っているというが、その主張を検証した論文のひとつくらいは紹介、引用して欲しいものだ。
 
記事が指摘する「所得格差拡大⇒経済成長率低下」の因果関係は、富裕層の消費性向は低い(貯蓄性向は高い)、従って富裕層への所得の集中傾向は、経済全体の消費性向を低め(貯蓄率を高め)、その他の条件が変わらないとすると、個人消費需要の伸びの鈍化を通じて成長率を引き下げるというものだ。
 
それをデータで検証するにはどうしたら良いか? 簡単なことだ。米国の家計全体の貯蓄率が所得格差の拡大に伴って上がっているかどうか確認するれば良い。 もっと簡単には所得格差の拡大は80年代以降の趨勢的な傾向だから、家計貯蓄率が趨勢的に上昇しているかどうか見れば良いわけだ。
 
では見てみよう。 以下の図が貯蓄率の推移である。上段が2000年以降の四半期データ、中段が長期の年間データである。 戦後の家計貯蓄率は1970年代前半の13%前後をピークに趨勢的に低下している。
 
より近年では2008年リーマンショック直後にいったん上昇した。これは住宅ローンなど債務を拡大させた家計がバランスシート調整(債務の圧縮=貯蓄率上昇)を強いられた局面であるから当然のことだ。しかし2009年の7%をピークに家計貯蓄率は低下傾向を辿っている。ちなみに2000年以降の平均値は4.6%であり、2014年第1四半期は4.0%である。
 
以前書いた通り、2010年代の米国の趨勢的な成長率の減速(3%強から2%台ミドル)は、ベビーブーマー世代の引退開始という人口動態で予測されてきたものだ。米国の所得格差拡大が低成長の原因という朝日新聞なら飛び付きそうな見解を、基本的な統計データのチェックもなしに書くのは、日本経済新聞の方にはやってもらいたくないねえ・・・・(^_^;)
 
ところで所得格差が拡大し、全家計所得に占める富裕層のシェアが拡大しているのに、米国では貯蓄率が上がっていない(消費性向が下がっていない)のはなぜか。それは米国の富裕層の消費性向が実は総じて高いためであると考えれば納得できる。 
 
日本と違って米国では富裕層、超富裕層向けのサービスや財の市場がとても大きい。わかり易い代表的な例がプライベイト・ジェットの利用だろう。 低所得層、ミドル中間所得層、富裕層、超富裕層に消費市場は分かれ、大きく異なった価格体系と内容で形成されている。 
 
それは昔からであり、例えば映画「華麗なるギャッツビー」でも見てみよう。米国の超富裕層は自分の富を誇示するようなド派手なお金の使い方が好きだ。 小金持ちじいさん、小金持ちばあさんが、たんす預金や預貯金を溜め込んでにんまりしているだけの日本とはずいぶん違うと言わざるを得ない。
 
さらに富裕層は現在のように株や住宅など資産価格が上昇する局面では消費に正の資産効果が働きやすいことも、貯蓄率の低下(消費性向の上昇)に加わっているだろう。
 
ただし以上の議論は現下の米国の所得格差と経済成長の問題であり、長期的な将来にわたる問題として私は米国の所得格差拡大傾向が今のまま放置されていても、趨勢的な経済成長に問題が生じないと考えているわけではない。
 
例えば、将来にわたり一握りの富裕層にますます所得の集中が進めば、低学歴・低所得層の増加、中間所得層の学歴、教育の質の低下などを通じて、生産性の低下やイノベーションの停滞が起こるかもしれない。そういう議論ならば、私としては大いに危惧に賛同できる。 
 
最後に、上記記事は今年の長期金利の低下(10年物財務省証券利回り3.0%⇒2.5%前後)を趨勢的な成長率の低下の結果であるという最近の通俗的な見方をしているが、これについては前回批判・指摘したことなので、繰り返さない。 
 
ただし、前回のGDPギャップと長短金利差の単回帰を四半期データでやったら、さらに説明度の高い結果(R2=0.73, R=0.86)が出たので、下段に散布図を掲載しておこう。2014年のGDPギャップは−3%〜−4%と推計され、それに対応した長短金利差は2.5%であり、標準誤差(3分の2の確率で値が分布する範囲は±0.6%である。 従って年間データでやった結果とほぼ同様の結果が得られたことになる。 
 
念のために言い添えると、今回使ったGDPギャップはIMF(前回)ではなくCBO(議会予算局)の推計値で、GDPギャップの水準についてはIMFの推計と異なる。 GDPギャップは推計方式や前提の置き方の違いでけっこうばらついた結果がでる。 しかしここで重要なのはギャップの水準自体よりも、その変化と長短金利差との相関関係だ。異なった推計法による変数系列でやっても、現在の長短金利差についてほぼ同様の結果が得られたことは、得られた関係性の妥当性を強く示唆していると考えていいかな。
 

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昨年12月末から今年年初にかけて3.0%前後まで上昇した米国の10年物国債利回りは、その後2.4%台まで低下、現在は2.6%前後で推移している。この米国の長期金利の低下をしきりと不思議がり、米国経済の長期的な衰退の兆候ではないかなどという議論が、この春以来一部の市場関係者やアナリストの間で繰り返されている。 
 
しかし私には不思議でもなんでもない。極めて自然なことで、むしろあのまま3.0%を越えてするすると長期金利が上昇したとすれば、その方がよっぽど異常か特異なことと言うべきだろう。 その理由をご説明しよう。
 
まず米国の長期金利に関するその種の言説をいくつか引用、確認しておこう。
米国の長期金利が低下傾向で推移している。足元の米景気は堅調に展開、株価も上昇し、米連邦準備理事会(FRB)は量的緩和を縮小と、金利上昇要因の“三銃士のそろい踏み”にもかかわらずだ。この謎を考えるうえでは、長期的かつ構造的な観点から検討することも意味があろう・・・・その意味を考えれば、米国経済の長期的な成長力に対する疑念が生じていたからと推察できる。
    出典:日本経済新聞6月13日夕刊コラム「十字路」馬渕治好氏
米長期金利(10年国債利回り)が低下、15日の米国市場では2.49%と2.5%を割り込んだ。2月につけた年初来の最低水準(2.58%)を下回った。米連邦準備理事会(FRB)が量的緩和の縮小を続け、雇用状況が改善するなかでの低下は「異常現象」・・・・ 「FRBが想定しているほどには米景気は強くないと市場はみている。そのギャップが長期金利に表れている」。野村証券チーフ金利ストラテジストの松沢中氏は話す。
    出典:日本経済新聞5月16日電子版 土屋直也氏
わたくしは大きな構造が変化しているのではないかと考えている。その「地殻構造の変化」の兆しを端的に示しているのが、米長期金利の動向だ。10年米長期国債利回り は28日の取引終盤に2.43%台と約11カ月ぶりの低水準となった。 米株が最高値圏で推移しているのに、米国債に資金が入り続けるのは、教科書的には「首をかしげる」現象だ。ましてFRBのテーパーリングが粛々と進む中での米長期金利の低下は、CONUMDRUM(謎)と言えるだろう・・・・この謎を解くカギとして、米国内で浮上しているのが「潜在成長率低下」仮説だ。
 
長期金利の推移は当然ながら米国の景気循環と金融政策を反映する。
 
まず景気の状況はGDPギャップ(マクロ的な総供給と総需要のギャップ、マイナスが需要不足、供給力超過)で示すことができる。IMFの推計によると2014年の米国のGDPギャップは−3.3%であり、次第にマイナス幅が縮小してきているが、1980年以来の平均値−1.9%よりもマイナス値がまだ少し大きい。これはリーマンショック後の不況による需要減少が非常に大きかったことの結果だ。
(IMF World Economic Outlook Database 2014 April)
 
次に長期金利は予想される短期金利の将来にわたる累積結果と同じ水準になるように決まるのが原理だ。つまり10年物長期金利と3カ月物金利ならば、将来10年にわたって3カ月物で資金運用(あるいは調達)した場合の予想累積利息と、10年物金利での累積利息が等価になるように決まる(信用リスクなどが同一であることが前提)。
 
現在は短期金利がFRBの非伝統的金融(量的金融緩和)政策で0〜0.25%に低く抑えられているが、将来は金利引き上げが行なわれると予想されているので、長期金利>短期金利であり、長短金利差
(yield spread)はプラスである。逆の状態(逆イールド)は景気が過熱しているような場合に限って生じる。
 
以上を念頭に、GDPギャップと長短金利差(10年物財務省証券利回り−3カ月物TB利回り)の相関関係を示したのが、掲載図だ。両者の間には有意な(関係性が偶然ではない)負の相関関係が見られ、相関係数(R)は−0.68、決定係数(R2)は0.47である。これは長短金利差の47%はGDPギャップで説明できることを意味する。
 
IMFが推計した2014年の米国のGDPギャップは−3.3%であり、上記の関係性を前提にすると対応する長短金利差は2.35%となる(図表の近似線方程式に−3.3%を代入して計算する)。現状の3カ月物TB利回りは0.1%前後なので、10年物財務省証券利回りの推計値は2.45%となる。
 
もっとも当然バラツキのある関係であり、推計値からプラスマイナス0.5%程度の幅をもって受けとめるべきである。そうすると10年物財務省証券の利回りの中心レンジは、2%〜3%が90年以降のデータの関係性を前提にする限り現状の自然な水準だということになる。
 
すなわち、昨年末から今年年初にかけての10年物財務省証券利回り3.0%前後と言う水準は、今年のGDPギャップと短期金利を前提に予想されるほぼ上限だ。利回り3.0%をつけた時でも、FRBの量的金融緩和が終了するのは今年の後半であり、実際に金利が引き上げになるのは来年の半ば頃と予想されていたはずだ。それを前提に考える限り、今年の10年物財務証券利回りが、3%を越えてするすると上昇したとすれば、その方がよっぽど「異常」「謎」として受けとめるべきことなのだ。
 
それではなぜ年末年初にそこまで長期金利は上昇したのか? それは2013年に米国の市場参加者を中心に語られたグレート・ローテーション相場(国債などの安全資産から株式などリスク性資産へのポートフォリオ・シフト)で、2014年もさらにひと儲けしようと動いたヘッジファンドなど投機的なプレーヤーが長期財務省証券を積極的に売り込んだからに他ならない。そしてその思惑が外れて損切りに追い込まれるプレーヤーの買い戻しで10年物財務省証券の価格は上昇、利回りは2.4%近辺まで押し戻されたということに過ぎない。
 
米国の景気が回復過程にあり、量的金融緩和の段階的縮小が進んでいるからと言って、長期金利が必ずしも一方向にするすると上がるとは限らない。そもそも長期金利に限らず全ての相場は将来の変化を先取りしようとするプレーヤーの思惑で短期的にオーバーシュート(行き過ぎ)したり、後戻りしたりしながらジグザグに進むものだ。今年の春の長期金利の軟化もそうしたポジション調整によるジグザクな動きのひとこまに過ぎない。 
 
最後に来年の予想をしておこうか。IMFが推計する来年2015年のGDPギャップは−2.2%であり、これは1980年以来の平均値である−1.9%にほぼ近い。これを前提にすると、来年の長短金利差の推計値は2.0%となる。現時点でFed Fund Rateの2015年12月期日の先物が予想するFFレートは0.735%だから、来年12月の10年物財務省証券利回りの現時点の推計値は2.74%となる(FFレートと3カ月物TBの利回りがほぼ同じ想定)。やはりプラスマイナス0.5%程度の幅をもって考えると、予想レンジは2.24%〜3.24%となる。
 
米国経済の先行きとインフレ率について、市場平均予想よりもやや強気の見方をしている私としては、多少予想レンジを上方にシフトさせて、2.5〜3.5%程度を来年の10年物財務証券利回りの中心レンジと予想しておこうか。
 
追記(6月16日):ブログのリピーターの方々のためにご参考までに
S&P500連動のmutual fund、米国のメリルリンチ口座で保有している分ですが、これは中核ポジションとして高値更新でも売らずに為替リスクのみヘッジする方針で来ましたが、さすがに昨今のS&P500の1900台での高値更新で、反落リスクが怖くなってきました。
 
しかしこの口座はプライベートバンキングなので売買手数料が高いんですよね。できるだけ売買せずにずうっと持っていたい。
そこで東証のETFでNNNYダウベアETNを買って少しヘッジすることにしました。
これはダウ先物売りを倍率1で組み込んだETN(野村証券)です。
S&P500連動の同様のベア物はなかったのですが、双方の指数の相関係数は0.9を越えているから、これで良いでしょう。
 
ヘッジ率はまだ10%程度ですが、ちびちびと分割して購入して、目先30%程度まで上げていく方針、中規模以上の米株反落があったら(高値から10%以上の下落)ETNを買い戻してヘッジ益を実現するつもりです。
 
NNNYダウベアETNについては以下ご参照↓
 

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ほんまかいな?にわかには信じられなかったが、でもそれが少なくとも真実に近いんだろうな・・・と感じた記事。
まあ、以下のYahoo financeに掲載された記事、ご覧ください。
 
世界のほとんどの人はお金の管理方法がわかっていない。
以下の質問にお答えください。
1.  Suppose you had $100 in a savings account and the interest rate was 2 percent per year.
After five years, how much do you think you would have in the account if you left the money to
grow?
A) more than $102; B) exactly $102; C) less than $102; D) do not know; refuse to answer.
 
2.  Imagine that the interest rate on your savings account is 1 percent per year and inflation is
2 percent per year. After one year, would you be able to buy
A) more than, B) exactly the same as, or C) less than today with the money in this account?;
D) do not know; refuse to answer.
 
3.  Do you think that the following statement is true or false?
“Buying a single company stock usually provides a safer return than a stock mutual fund.”
A) true; B) false; C) do not know; refuse to answer.
 
The correct answers are 1-A; 2-C; and 3-B.
 
In Russia, 96 percent of those surveyed could not answer the three questions correctly.
While that might be expected of a post-communist nation, the mecca of capitalism didn’t
exactly yield glowing results—only 30 percent of Americans aced the quiz.
 
The best-performing respondents were the Germans (53 percent got a perfect score) and
the Swiss (50 percent), but this still leaves almost half of each country’s population without
a basic understanding of financial matters.
In countries with relatively strong economies, the numbers are sobering: 79 percent of Swedes,
75 percent of Italians, 73 percent of Japanese, and 69 percent of French could not respond
correctly to all three questions.
 
These findings were recently published by two economists, Annamaria Lusardi and Olivia Mitchell, and the results reveal startling levels of financial illiteracy across the world.
*****
この種の調査は、同じ調査をしても調査ごとに結果にはばらつきが生じるので、回答率の数字をそのまま鵜呑みにするのは危険だ。第1問と第2問のように初歩的(極めて初歩的な)算数がかかわる認識力は米国人と日本人を比べると日本人の方がずっと高く出るので、上記の全問正解率が米国で30%、日本で27%(=100−73)というのは直感的に???な感じだが、まあ3%程度は誤差の内だろう。
 
問題の要点は先進国で教育を受けた人間でもほぼ半分以上が3問全問正解できないということだろう。
これでは現代の様々な金融現象を理解するどころか、初歩的なレベルで合理的な金融判断すら、人口の過半数の人間はできていないことになる。
 
これが現実ならば、行動経済学の研究成果を引き合いに出すまでもなく、「経済主体は合理的な選択を行う」という標準的な経済学の大前提は、修正するというよりも、一度捨ててかかるしかないことになろうか。
金融リテラシーの教育は急務というべきか、それともむしろ絶望的と言うべきか。以下の記事の指摘も重要。
quote:“They call attention to a perilous paradox: Financial ignorance is widespread even as the
world has changed in ways that make such ignorance more dangerous than ever before.”
 
う〜ん、やはり自分でやってみないと信じがたい。さっそく明日大学の学生相手に3問やらせてみよう。
結果は追ってご報告しよう。
 
追記:
早速本日3年生竹中ゼミ生20名対象にテスト実施
第1問 全員正解
第2問 全員正解
第3問 15人正解 5人不正解
全問正解率75%、不正解率25%
 
第3問で不正解が出たのはmutual fund(投資信託)についてテキストでは既にやっているのだが、
 具体的なイメージを持てなかっただめだろうか・・・・
 

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