竹中 正治(たけなか まさはる)

筆者が正しいと考える事実に基づいて記述しておりますが、その正誤については責任を負いません。自己責任でご判断ください。

金融・投資

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明日23日発売の週刊エコノミスト、シリーズ「出口の迷路、金融政策を問う」に寄稿しました。
ご関心のある方は、明日買って読んでくださいね・・・と思ったら、オンラインで既に全文掲載されている。これでは買わずにすんじゃうね。

けっこう大胆なこと書いてしまったような気もしますが、どうでしょうか。...
金融政策に詳しい大先生からお叱りを受けないか・・・・<(_ _)>

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物価と雇用、バブル回避は共存しない
引用:「このようなフィリップス曲線の不安定化は中央銀行にとっては頭の痛い問題だ。スタグフレーションの下ではインフレ率を抑制するために金融を引き締めると、不況が深刻化し失業率が上昇してしまう。

 また今日のようにゼロ%に近い低インフレ下でフィリップス曲線が水平化してしまうと、名目金利を下げることで実質金利を下げ、景気浮揚効果を出すことが困難になる。

 要するにフィリップス曲線が安定的に存在しないことは、物価の安定を通じた雇用情勢の改善を困難にする。金融政策にとって「不都合な真実」なのだ。 これは言い換えると「インフレ率の安定化に適した金利水準」と「自然失業率の実現に適した金利水準」が中長期でも一致しないことを意味する。

 さらに厄介なことに「資産バブルを起こさない金利水準」が、もうひとつ違う水準として存在し、「ほどよいインフレ率の実現に適した金利水準<雇用の最大化に適した金利水準<資産バブルを起こさない金利水準」であることだ。

 この事実は80年代末の日本のバブル期も00年代の米国の住宅バブル期も、インフレ率は問題のない水準だったことが物語っている。 異なる三つの適正金利水準の存在は、現下の金融政策に関する意見対立を不可避にする・・・」

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マンション暴落が来る?
まあ、1980年代末のような狂い方ができるほど、日本人は既に若くないから、基本はプチ下がりだと思う。
それでも直近の高値から20%も下がれば、在庫を抱えた業者は大赤字、資金繰りに行き詰まる業者も出てくるだろう。

私が近年継続的に見ている添付のグラフ(上段)は、成約件数に対する在庫比率(赤線)が上昇し(左、逆メモリ)いよいよ「水位が満杯まで上がったダム」の感じになってきた。在庫比率の変化は価格の変化に対して約1年弱先行している。つまり在庫比率が上がり過ぎると(逆メモリなので下に動くと)1年弱遅れて価格が下がり始める。 今年の4月にマンション価格の割高を警鐘した時よりもさらに在庫比率の上昇が鮮明になっている。

中古マンション価格指数(青線、右メモリ)は前年同月比でまだ5%弱のプラスだが、前月比ベースではマイナスの月も出始めている。下段のグラフは著作で紹介してきた中古マンション(東京)のPRR図表だ。 

以下の9月13日の日経新聞の以下の記事も、「ダムの決壊」が遠くないことを示唆する前兆現象を記述しているように思う。
 
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日経新聞引用:「「投資用マンションを買える顧客の目安は数年前まで年収600万円以上だった。今は銀行審査が緩くなり400万円でも購入できるようになった」(不動産会社幹部) (そんな輩は2〜3か月も空室になるとローンの返済ができなくなり、結果として担保物件が安く売りに出てくる。竹中)

 融資の現場では「不動産の担保価値の100%を融資します」といったローン商品でノンバンクが銀行から顧客を奪っている。対抗するため大手行でも厳格な返済条件を課すなどした上で「担保価値の120%貸す裏技も登場している」(関係者)という。

 「もう1棟、1億円の物件を買いませんか」。福岡県で2億円のマンション1棟を買った年収1000万円の会社員は最近、こう誘われた。もう1棟買えば3億円の借金を抱えるが「銀行融資は通りますよ」という誘いに心が揺れる。地銀の今年6月末の事業融資残高は前年比2.9%増。うち2%分は不動産向けだ。信用金庫では2.1%増のうち1.7%になる。」

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ただし今回局面がこれまでのマンション市況の循環と異なるのは、長期国債利回りがマイナスにまで下がり、運用難に陥った長期運用資金の一部が不動産にシフトしている可能性があることだ。現下の超低金利はまだ長引くだろう。そうすると割高に見えるマンション価格も過去より持続する可能性は捨てきれない。

それを検証するために、長期金利と東証REIT指数や中古マンション価格指数の変化の相関関係をチェックしてみたが、とりあえず有意な関係性を見出すことはできなかった。この点は引き続き検討事項として、何か発見があればブログで追報しよう。

追記:不動産経済研究所、8月のレポート、新築の下落は始まりましたね。


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今月のトムソン・ロイター社コラムへの寄稿です。ただいま掲載されました。
コラムでは図表はひとつしか掲載できないので、補足図表を掲載しておきます。

「株安・円高の呪縛が解ける日」↓

冒頭引用:「日本株と円相場の関係について、昨年夏の中国ショック、あるいは今年6月の英国のEU離脱国民投票をめぐるBREXITショックなど、世界経済に暗雲が立ち込め、世界中の株価が急落する時に円高に動くことが続いた。これに釈然としない方々は少なくないはずだ。メディアは「相対的にリスクの低いと考えられている円が買われて円高になった」とほとんど意味のない市況解説を繰り返してきた。この相場現象を考えてみよう。その上で現在の「株安・円高、株高・円安」という相関関係(逆相関)が崩れる可能性についても考えてみよう・・・」

途中引用:「ただし1990年代から2004年までの期間で見ると、株安・円高、株高・円安という逆相関の関係は安定的ではなかった。19902004年の期間について、月次データを使ってドル円相場と日本の株価指数TOPIXの前月比の変化で相関関係(期間1年)を計測すると、逆相関(相関係数がマイナス)が計測できるのは全期間の33%に過ぎない。また絶対値で0から1までの変域をとる相関係数(値が1に近いほど関係性が高い)が0.5を超えている期間は全体のわずか7%で、関係性は総じて弱かった。
 現在まで見られる日本株と円相場の強い逆相関は実は2005年頃から始まった。2005年から167月までの期間について同様に計測すると、全期間の96%について逆相関となり、しかも相関係数がマイナス0.51.0の高い値を取る期間が全体の60%を占める。この経緯を振り返ってみよう」

上記の部分、日本株と円相場の逆相関の関係、以下の上段の図をご覧頂ければ、わかると思います。2005年から前月比で見ても、前年同月比で見ても、相関係数はほとんどマイナス域にシフトして、しかもマイナス1に近い高い逆相関となっています。

下段の図はロイター社コラムと同じものです。

こういう現象ってアカデミズムの世界ではほとんど関心が払われていません。ああ、そうか。次はこれをもっと深堀して、論文にしようかな。


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気がついたら、金融・投資の世界はロボット(AI)だらけ!
人口知能が金融を支配する日」櫻井豊、東洋経済新報社、2016年8月

この本は日本の金融・投資に関わる全ての方々に読んで欲しい。
アマゾンでの発売日は8月19日だが、東京駅丸の内北口のオアゾ内丸善では5日から店の正面の大きな面積を平積みで占有していた。買って開いてほとんど一気に読みとおした。感銘を受けた。

Deep Learning技術により飛躍的な進歩局面に入った人口知能(AI)が、ビックデータの活用と相まって、金融・投資の世界をどれほど劇的に変革しつつあるかを平易に説いている。そしてその最先端を走るのはやはり米国であり、日本の金融・投資業界は悲しいほど遅れている。

実際、株式、債券、為替など主要な金融市場の売買はAIをバックにした超高速アルゴリズム・トレーディングに席捲されており、この分野の日本の金融機関の対応は悲しいほど遅れている(1章)。

2章では、ヘッジファンド業界では人工知能の実践的な活用のために莫大な投資がブームになっており、投資技術開発の熾烈な競争が展開している状況が語られている。ほとんどの一般の日本人には知られていない状況だ。

3章ではAIをベースにしたロボット投資アドバイザーが、米国では急速に普及し始めたことが語られている。その波は間違いなく日本にも押し寄せようとしている。

あとの章は省略するが、数理系人材として東京銀行でクオンツとして各種デリバティブの開発、運用に携わり、2000年にソニー銀行に転職し、執行役員市場運用部長として活躍した櫻井豊さんほど、本書のテーマに取り組むのにふさわしい人物はいないだろう。末尾の参考文献からは、櫻井さんが本書を書くために改めて相当勉強したことがうかがえる。
 
実は、私が東京銀行で通貨オプションデスクのチーフ・ディーラーだった時代に、櫻井さんは若きクオンツとして資本市場2部に属し、私は彼の価格モデルを頼りに日本で初めてノックアウト・オプション類(当時は「ストップション」と呼称した)の取り扱いを開始した(1989年)。

その後、ノックアウト・オプション類は為替や株式市場に広く出回るようになり、良くも悪くも度々市場やユーザーを激震(文字通りノックアウト(^_^;))するようにもなった。
最後に櫻井さんの思い(危機感)が凝縮された箇所を引用しておこう。
 
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引用:「一方で日本の金融業界の実情はどうでしょうか。残念ながらこのような(米国)の動きにまったく太刀打ちができないほど遅れをとっています。その理由は、護送船団形成された体質、数理的センスの欠如、経験と勘を重視するという日本人の特性などさまざまです。」
 
「とにかく、これまでの日本の金融業界では、人工知能など数理的な手法で市場取引やビジネスを構築するという発想とセンスが欠落していました。」
 
「(金融)ビジネスのシステムにおいて何か革新を起こすと言う発想がほとんどなく、昔からの枠組みの中での競争を好む文化があります。」
 
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しかし日本も「ダメダメ」ばかりではない。最後の6章では、日本では物理的な形を持たないAIの開発や利用には立ち遅れていても、なぜか物理的な形のあるロボットの開発と利用には強い関心と執着心が見られることが指摘されている。

その通りだろう。そして日本で人工知能開発に最近もっとも大胆な投資をしたのがトヨタであることも偶然ではない。おそらく日本のAIはロボットカーという形態で進化するのではなかろうかと私が思う理由でもある。

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毎度のトムソン・ロイター社でのコラムです。先ほど掲載されました。

「日本株、買いは次の不況まで待て」

冒頭部引用:「4月に日銀が追加金融緩和に動くという某メディアの憶測記事と、実際の日銀政策決定会合での「政策変更なし」で、日本株も円相場も大きく上下に揺れた。短期トレーディングをしている金融機関のディーラーや個人投資家には翻弄された人も少なくないだろう。

一方、長期投資の対象として日本株を見ると、アベノミクス以前よりはまだ高いとはいえ、昨年の高値からの下落で米国株などに比べると長期的なリターンはやはり劣後している。しかし、日本株でも実はリスクを抑制しながら長期でリターンを向上させる簡単な手法がある。今回は、その仕組みと現状の株式投資へのスタンスを説明しよう・・・」

末尾引用:「最後に現状でのスタンスを確認しておこう。2016年4月末時点の修正積立法の示すシグナルは売りでも買いでもなく中立である。図が示す株式投資残高は、ピーク時から累積投資額ベースでは約半減、資産時価総額ベースでは25%減となっている。筆者自身は、昨年の時点で累積投資額ベースではピーク時の3割程度に減らし、4月の乱高下でも様子見を決め込んでいる。

毎期稼がなくてはならない金融機関のファンドマネジャーらと違う一般個人投資家の最大の優位点は、割安感でも割高感でもないようなレンジでは中途半端に手を出さずに1年でも2年でも休んでいられることだ。次に日本株の買いに動くのは、この修正積立法のシグナルを見ながら、おそらく次の景気後退時になるだろう。」

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補足: コラムには長くなり過ぎるので書きませんでしたが、GPIFに関する私の懸念は、彼らが日本株式の保有比率を高めたのは、私の提示した投資法が「売り局面」のシグナルを出した(そして私も売った)2014年〜15年だということですね。
GPIFは規模がマンモスで運用は長期ですから、本来は長期逆張り投資に最も適したファンドなんですが、そういう様には動けていない・・・GPIFの場合、ポートフォリオの変更が何か月も前から議論されて決定されてから、ようやく動けるという制約は確かにあるんですがね。

追記(5月21日):本日の日本経済新聞「M&I 2:解決!お金ゼミ、じっくり資産運用」で、私の「修正積立投資」が紹介されています。紙面の制約で図表は掲載されていませんが、直近のトムソン・ロイター・コラムで詳しく説明したものと基本的に同じです。
記事引用:
「筧: 実はもう一工夫すれば、積み立て投資で含み損を抱える期間を短くして、運用成績を上げることが期待できますよ。
岡根: そんな方法があるのですか。

筧: 龍谷大学の竹中正治教授が「修正積み立て投資」を提唱しています。資産価格があらかじめ自分で決めた水準より下がったときに一定量を買い増し、上がった時に売却する方法です。例えば毎月1万円ずつ積み立てるのに加えて、価格の5年移動平均線を20%以上上回った場合に5万円分を売り、20%以上下回った場合は5万円分の買いを入れることにします。

宗羽: つまり高値で買う量を減らし、安値で買う量を増やすわけですね。
筧: この方法を先ほどの日本株に積み立てる場合に当てはめると、累積投資額781万円に対し、売却益を含めた資産額は約1090万円とおよそ4割増になります。高値売りはしないで、安値の時だけ買い増すなど自分なりに応用する手もありますね。」



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