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重宝な外国人

あらーもう6月後半...
 
前回《月記》を書いてからはや2ヶ月、一体何から書いてよいのやら。
 
5月半ばのうちの音楽祭は大成功でした。女優のMarie-Christine Barraultの機嫌が悪くなってちょっと暴れたりしましたが全てのコンサートほぼ満員、総動員数千人超えたようです。新聞、テレビも大絶賛だったので来年はもう少しスポンサーが見つかるかなー。僕が作ったアンサンブル・ムジカ・ニゲラも7月に室内楽のコンサート、12月頭にフォンテーヌブローの劇場でのオペラ、中旬にル・トゥケで合唱団とオルガンとのコンサートととなかなか順調な出だしです。すんごく疲れたけど(当たり前だ)、充実した10日間でした。
 
で、日曜に終わって月曜の朝パリに戻って午後授業だったんだけど眠くて眠くて...でも音楽祭の週はレッスン休みにしてしまったので行かない訳にはいかないし。でも生徒が吹いているのを聞きつつもまぶたが閉まる〜。
 
次の火曜はパリ郊外でオペラ、偶然メンバーの9割がたが僕の音楽祭に出たメンバーだったので盛り上がったんだけど、みんな同じように疲れていて集中力ゼロ。他愛も無いことでゲラゲラ笑い出したりして指揮者がむっとしてしまう。ごめんねー。水曜日あせって練習して(なぜ焦って練習かはもうすぐ分かります)、木曜がクレールモン・フェランでオペラ。土曜の朝電車でベリー地方へ。ピアニスト、シリル・ユーヴェが企画している室内楽フェスティヴァルに呼ばれていたのでした。
 
プログラムはシューマンのアダージョとアレグロ、シューベルトの流れの上に、そしてブラームスのトリオ。シャトールーの駅から車で延々と連れて行かれた先は何と18世紀に建てられたお城!イザベルさんと娘のステファニーに紹介される。イザベルさんは南仏出身、イギリス人の旦那さんとの間に出来たのがステファニー。旦那さんが昨年亡くなり今は母娘で年の半分ロンドン、残りはこのベリー地方のお城で過ごしているとの事。あとで周りの人に訊いたらお城の名義はステファニーだとか。35歳で城持ちー???おいおい。と言いたくなりますが彼女は全然それを鼻にかけずにとても良い人でした。お城も素晴らしかったけれどそれよりも庭(というよりも公園?)が...お城の前に立った限りは普通の中庭があって、噴水があって、とスタンダードなんだけど、後ろ側に回ったとたん『!!!』まさに絶句。山あり谷ありの敷地の真ん中に大きな池(湖?)、左手にはゴチック様式のチャペル(勿論ステンドグラスつき)、湖に下りて行く道があって彼方には隣の村が...写真を撮ろうかなと一瞬思ったけれど、写真ではこの感動は伝えられないと思い直して結局撮らず仕舞い。この景色は何時間でもずっと見ていたいものでした。
 
さてリハーサル。先ずはシューマン。一回通して色々意見を交わしてちょこちょこっと試してもう一回通しておしまい。初めて一緒に演奏するけどやり易い、良かった。シューベルトも同じ感じでOK.。で、ブラームス何時練習するのかと思ったら『ヴァイオリニスト(オランダ人)は今晩にしか着けないから明日の朝練習ね』だと。れれれーコンサートの当日練習は辛いかも...プログラムもプログラムだし。とほほ。でも仕方なし。夜着いたヴァイオリニストはとても感じが良い。でも『あたしこの曲演奏するの初めてなの。』だと。大丈夫か〜?
 
次の朝は早く起きて公園を散歩。朝食後にブラームス。シリル曰く『この曲カザレ以外のホルン吹きとやるの初めてなんだよね。』『アハハ...』もう笑うしかない。そういえばカザレと一緒にリゲティー、ブラームス録音してディスク大賞貰ってたなーあははははは。ご忠告ありがとう。
 
さて本番。お城の中庭でのコンサートなんだけど、さ、寒い。しかもソプラノの人がシューマンのリート歌ってる間音出しも出来ない。でそのままシューマンへ...気温とともにどんどんチューニングが下がって行くし水は溜まるし、何だかなー。とりあえず大した事故もなく無事吹き終えたものの、ブラームス吹く頃にはもっと寒くなってるよなーと不安がよぎる。で、案の定夜10時半過ぎにブラームス始めた頃には激寒になっていたのでした。途中で(チューニング上げなきゃ)と思ったらもうチューニング管目一杯入れてあってこれ以上上げられない事が分かって愕然とする。でも仕方が無いのでちょっと低いまま最後まで吹き通す。でもお客さんもステファニーもとても喜んでくれて何度も『いつでもうちに遊びに来てね!』と言ってくれるので絶対またこの場所に来ようと心に誓う。
 
次の日はポワティエでリハーサルなので電車で...と思ったら全然無い事が判明していたので、あらかじめオケの事務局から車で迎えに来てもらう。場所が場所だし、携帯も通じないので大丈夫かなと思っていたけれど、ディディエは難無く見つけて予定より30分早く到着。僕はイザベルとステファニーの前に代々ここに住んでいたという公爵夫妻を紹介されて、一緒に朝ごはんを食べている最中だったんだけど、この人たちが典型的な《爵位あり、金なし》で、周りを見下した物の言い方をするので早くこの場を去りたいと思っていた所だったので早速出発。ポワティエまでの道中ディディエの生まれた村などを通りながら楽しく過ごす。
 
という訳でその日はブリテンのセレナーデのリハ初日。でも全然練習が間に合ってない、あははははは。だって忙しかったんだもん、ってソリストがそういうことじゃいかんだろ。はいごめんなさい。ちゃんちゃん。とは終わってくれないんだよなーこれが。ホールで最後の悪あがきで練習しているとカントロフ登場。とても優しそうなので安心する。テノールのアメリカ人トーマス=マイケル・アーレンも登場。でかい。2メートル以上ある。並んでたつと大人と子供という感じ。それにしてもこの曲、どんなコンチェルトよりも緊張する。何でかなー。トマスが無茶上手い。カントロフも指揮はどうかなと思っていたらこれもとても良い。がんばらんとなー。
 
1回目のコンサートはトマスが暗譜を間違えたりして(楽譜見て歌えば良いのに...)ちょっとスリル満点だったけれど、1回目にしたら上出来(?)。2回目のコンサートでは地方議会議員が客席でボーっとしていた僕のほうを見て『ポワトゥーシャラント管弦楽団の素晴らしい演奏、そしてこうして国際的なソリストがこのような小さな街まで演奏しに来ることは素晴らしい』と言っているのを聞いて(いや、僕別に日本から来たわけじゃないんだけどなー。だしここのオケの団員だし。何か勘違いしてるなーこのおっさん。)とか思いつつ、やっぱり日本人の金管奏者って珍しいんだなーと他人事のように思う。最後のポワティエでのコンサートでは、ホールに入ったとたんそこいらじゅうのモニターに僕の写真が出ていてびびる。前日に新聞に出た記事も僕の写真入りだったし。有名な順から数えると先ずカントロフ、その次にトマス。で、ずーーーーーーっと下がって僕なんだけどな。何でだろ。
 
で、はたと思いついたのが『東洋人のソリストを前面に押し出すとエキゾチックだし国際的な感じがするから』という理由だった訳です。そういえば他にも思い当たる節が...8月に行くLarzacの音楽祭もホームページ見たら根本雄伯(日本)て書いてあったし。そりゃ間違いじゃないし僕国籍は日本だけどさ。何だかなー。
 
ブリテンが終わった2日後から行ったオーストリアはフェルドキルヒの音楽祭でも、他にも東洋人がいたのに何だか僕だけ特別扱いで正に《重宝な外国人》。見た目は日本人だけどフランス語、英語しゃべって、住んでるのはパリ。ヨーロッパ内だったらどこへ行ってもそんなにお金がかからないし、言葉の問題も、労働許可の問題もなし。オーガナイズする側にとっては本当に便利な日本人という訳。なーるほど。れれれ、って事は僕の能力を買われて色々な音楽祭に呼ばれてた訳じゃないの〜?オーマイガッ!!!
 
しかもこのフェルドキルヒの音楽祭では大馬鹿なディレクターの意向でストラヴィンスキーの兵士の物語とラヴェルのパヴァーヌを続けて演奏することになって、20分間一音も音出し出来ないまま黒いベールを被って(!)ステージに入ってそのまま演奏という暴挙に走る羽目に。本番は予想外に上手くいったものの、これで失敗してたら僕のせいにされたんだよな、と思うとむかつく。
 
こうなったら外国人であることを強調するために毎回イメージ 1『ワタシ、英語モフランス語モデキマセン』とか毎回言ったろか〜。空しい...

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野外コンサートは南仏だのイタリアだのの夏の夜ならいざ知らず、寒いとこでは勘弁してほしいよね。
うちも先週末は寒空の中、まさに宮沢賢治ばり(雨ニモ・・・ってやつね)の野外コンサート3本立てでした。
自分自身は服を着込んでカイロ使って何とかなるけど(ソリストはそうも行かないか)、楽器はどうにもならないから大変よね。弦の場合は気温より雨と直射日光ですが。
毎度あちこちでのお仕事お疲れ様です。Evaの初ブラームスどうだった?ねもちゃんはすでに芸祭でブラームス吹いてたっけね。そのうちディスク大賞に挑んで下さい。笑
ところでねもちゃんはフランス以外の国でも労働許可いらないの? 削除

2010/6/23(水) 午前 8:35 [ ゆき ] 返信する

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Evaとのブラームス、楽しかったです。彼女はもっと練習したかったみたいだけどピアニストと2人で『大丈夫、大丈夫!』って...きっと内心『フランス人って一体...』と思っていたと思います。
フランスの居住者カード持ってればヨーロッパ内ならOKだよ。オランダはそうじゃないの?音楽家なんてどこでもほいほい行くんだからそのための世界共通の特別なカードとかあればいいのにねえ。

2010/6/23(水) 午後 3:50 Takenori Nemoto 返信する

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