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先週はポワトゥーシャラント管弦楽団でのツアーでした。3つの街で演奏したあと土日がポワティエの新しいホールでのコンサート。曲はストラヴィンスキーの『兵士の物語』、ファリャの『ピエール親方の人形劇』、ラヴェルの『ピアノ協奏曲』『マ・メール・ロワ』『クープランの墓』。 この『ピアノ協奏曲』は1楽章にホルン吹きならみんな知っている怖いソロがあります。で、昔コンセルヴァトワール時代に学生オケでこれをやって何故か《本番のみ》失敗した事のある僕は、それ以来コンサートでこれが出て来る度に異常に緊張してしまう。今回もポワティエのコンサートはフランス国営放送が録音する事が決まっていたので、失敗したら記録が残っちゃうよ〜ん、えへへへへへ。とへらへら笑いながらも内心は緊張しっぱなしでした。 さて練習は滞りなく進み(指揮者がちょっとね...)1回目のコンサートもひどい音響のホールだった割にはまあまあ。これでやっと過去のトラウマから開放されると思ったら、そうは問屋が卸さなかった... 2日目のコンサートも順調に進みソロに差しかかる。《ソーソーソソソーシーシーラシ...》 コンサートが終わってからも正しく《針の筵》。同僚はみんな優しいから『こういうこともあるって。』とか『一生に一度も失敗しない人なんていないよ。トップレベルの演奏家でもこういう事はあるって言う証拠だよ』とか『タケノリ失敗しないのに慣れちゃってたからね。ハハハ。』と色々慰めてくれるものの、もう気分はどん底。こんなソロもまともに吹けないんだったら首席降りようかな、とか急に弱気になってしまう。 考えてみればたった一音、たった一秒の出来事なのにそれだけで人生真っ暗になってしまうなんていやな商売だよねー。でも正直言ってリサイタルではこんな風に緊張した事がない。理由は簡単。リサイタルで失敗したら聴いてる人は(あ、あのホルン吹きとちった。)と思われるだけだけど、オケだと連帯責任になってしまう。勿論どの楽器が失敗したか位は一般の聴衆にも分かるけれど、彼らはあくまでオーケストラのコンサートに来ているわけであって、ソロを失敗したのを聞いたら(オケのレベルが低い)と思うわけでしょ?それにリサイタルやコンチェルトだったら沢山音があるから1つ位失敗してもいくらでも名誉挽回する機会があるけれど、オケのしかもせいぜい数小節しかないソロで失敗すると聴いている人には《ただ下手なホルン奏者》と思われてオシマイ。だから僕はオケの方が10倍緊張するんだなー。 で、肝心のポワティエのコンサートは...幸い上手く行ったけれど緊張で倒れそうだった。まあこれで後世にへたっぴな録音が残らなくて済むと思うと一安心(笑)。まだシーズン始まったばかりなのにこれじゃあ先が思いやられます。12月にはメシアン(渓谷から星々へ)があるし1月はショスタコビッチのチェロコンがあるし、このままだとシーズンが終わる前にまた胃に穴が開くかも... 時々違う商売がしたくなる今日この頃です。(弱気)
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