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ミッドナイトラン

ロードレースから足を洗って社会人となってからは完全にバイクからも遠ざかっていたのだが、その頃勤めていた会社の先輩からエンデューロのレースに出ないかと誘われた。
 
会社には数人のバイク愛好家がいたのだが、何故か全員オフ車乗り。
 
オフ車を持っていない自分はツーリングに誘われても林道を走れるようなバイクを持っていなかったのでいつも誘いをお断りしていたのだ。
 
ところがある日、僕がバイクのレースをやっていたことを知っているO本先輩がオフロードの楽しさを教えてやると僕にオフロードのレースに参加させようと目論んでいた。
 
そのレースとは、兵庫県にある柴田ファームという牧場で行われるエンデューロレースで、その名も「ミッドナイトランエンデューロレース」
 
その名のとおり夜通し走るレースで、夜の9時にスタートして翌朝6時まで1台のバイクを4人で交代しながら9時間走り続けるオフロードの耐久レースである。
 
 
 
仕事を終えて一旦家に帰り、同僚のH本を途中でピックアップしてO本先輩の家に向った。 O本先輩宅にはS村先輩が既に到着していたのだが、どうも様子がおかしい。
 
聞くと、O本先輩の母親が入院したらしく、レースどころではないそうだ。
 
仕方ない、3人で行こうか という事になり、S村先輩と同僚のH本、そして僕の3人で出場することになった。
 
バイクは当初の予定通りO本先輩のバイクを借りるため、先輩の車ごと借りて柴田ファームへ向った。
 
途中スーパーで食材を買い込み、柴田ファームへ到着した頃には既に殆どの参加者が集合していて、ところ狭しとあちこちでテントが設営されていた。
さっそくテントを建てるスペースを探すも隅っこのほうしか空き場所がなく、照明の届かない薄暗い場所にテントを設営した
 
3月とは言えかなり冷え込んでいて、ぬかるんだ地面はカチコチに凍っていたほどで、寝袋を持ってきたとは言えテントで過ごすのは少々勇気が試された。
 
そしてバイクを下ろしゼッケンを貼り付けて車検を済ませる。
 
スタートまであまり時間がなかったものの、この長丁場を走りきるためには腹ごなしが必要だ。
 
アウトドアなO本先輩の車(ハイラックスサーフ)にはテントを初めとするキャンプ用品が常に搭載されているので、こういう場合は非常に重宝する。
 
半透明のボックスに入っていた調理器具をセットして、スーパーで買ってきた煮込みラーメンを作りテントの中で頬張っていた。
 
あまりの空腹に3人共味などはあまり気にも留めず旨いのか不味いのかわからないラーメンを薄暗いテントでむさぼっていたのだが、そこそこ空腹も満たされてきた頃に何か妙な味がすることに気付いた。
 
最初に口を開いたのはS村先輩で、
 
「このラーメンて初めて食ったけど、こんな味なん?」
 
「僕らも初めてですよ。 けどなんか妙な味ですよねぇ?」
 
「やっぱり!? なんやろなぁ この妙な味というか匂いは・・・」
 
煮込みラーメンは野菜や豚肉を一緒に鍋で煮込んだだけのシンプルなもので、味付けは備え付けの調味料だけであった。
 
そしてどうもマグカップからは油臭い匂いがするような気がしたので、懐中電灯で照らしてみた。
 
 
すると、マグカップの内側は黒っぽい汚れのようなものがあり、どう考えてもラーメンの汁などではなかった。
 
「これは何が付いてんのやろ?」とキッチンペーパーでマグカップの内側を拭ってみたら、キッチンペーパーには黒い汚れがベットリと付着した。
 
 
 
 
 
 
 
 
げーっ!!! なんじゃこれ!?
 
 
 
 
 
 
 
 
そして他の二人も同じようにキッチンペーパーでマグカップの内側を拭いてみたら同じような汚れが付着して、それまで黒ずんでいたマグカップの内側はアルミ本来の輝きを取り戻した
 
 
どうやら所有者のO本先輩は前回使ったまま洗いもせず放置していたのではないかと言う結論に達した。
 
「あぁ、あいつやったらその可能性大やなとS村先輩。
 
 
 
迂闊だった。
 
 
そうこうしていると、今度は次第に気分が悪くなり、今まで経験したことのないぐらいの胸やけに襲われた
 
 
もうすぐスタート時間である。
 
 
だれから乗るかをジャンケンで決め、S村先輩が1番となった。
 
しかし先輩は着替えながらも「なんかムカムカしてめっちゃ気分悪い〜と乗り気ではなさそう。
 
そしてスタート時間を過ぎても3人はテントから出ることすらできず、寒さと胸焼けに耐えながら外から聴こえる爆音を子守唄に朝まで寝てしまった
 
というより、ほとんど失神状態!?
 
朝明るくなってからわかったが、全員顔が真っ青になっていた
 
 
結局一周も走らずにレースは終わり、不快な気分を抱えたまま柴田ファームを後にして、車とバイクを返しにO本先輩の自宅へ向った。
 
 
 
そしてO本先輩に事のいきさつを話すと、
 
「あー スマンスマン  あの鍋とマグカップなぁ、 こないだバイクのオイル交換したときに使って洗わんとそのままやったわ ガハハハ〜
 
 
 
つまりラーメンを煮込んでいたあの鍋にもたっぷりと使い古したエンジンオイルが付着していたことが発覚
 
 
てゆーか、キャンプ用の調理器具でオイル交換とかありえへんやろ
 
 
 
 
 
最低で最悪のレースデビューであった
 
 
 
 
 

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