茨城県の常磐自動車道でのあおり運転殴打事件をきっかけに、ドライブレコーダーへの注目度が一段と高まっている。大手自動車用品店では事件発生前から販売台数が6割増しとなったほか、助成金をつける自治体も出てきた。ただ、機種の選び方や使い方によっては意外な落とし穴もあるので注意したい。
 10日に発生した常磐道のあおり運転殴打事件がネットで話題となり、メディアで報じられ、容疑者の逮捕につながったのも、被害者の車に搭載されたドラレコが、あおり運転の様子から暴行シーンまで克明に記録していたことが大きな要因だった。
 大手自動車用品店のオートバックスなどを運営するオートバックスセブンIR・広報部の担当者によると、5〜11日の週と、事件後の12〜18日の週で比較すると、販売台数が約1・6倍に増えたという。
 売れ筋を聞いてみると、「魚眼レンズで360度撮影できる機種が注目度が上がっている。1台のドラレコで車内と後方のほか、横からの幅寄せに対応して両サイドも撮影が可能だ」と担当者。3万円程度するものがよく売れているという。数千円の安いものもあるが、停車中のトラブルなども記録もできるなど幅広い機能を持つ機種が人気だそうだ。
 ドラレコが急速に普及するきっかけになったのが、2017年の東名あおり運転事故だった。「ドラレコが、あれば便利というものから、必要なものだという認識に変わった。これまでお財布事情から手が出せないという意識の人も、今回の事件で『付けないと泣き寝入りになる』と、必要性をより強く感じているように見える」と前出の担当者。
 ドラレコ普及に動き始めた自治体もある。鳥取県の平井伸治知事は今月21日、あおり運転対策としてドラレコの費用を一部助成することを表明。県くらしの安心推進課によると、3000円を上限として11月中の開始を目指すという。
 自動車ジャーナリストの佐藤篤司氏も「99%取り付けた方がいい」と強調するが、有効に使うためにも留意すべき点があると解説する。
 「メモリーの残量が少なくなると、1時間ごとに上書きされて重要な記録が消えることもあるのでチェックが必要だ。また、プライバシーのため車内の会話などの音声を切ることもできるが、事故が起きた際には衝突音なども重要な証拠になるので、なるべく録音機能も切らない方がいい」
 佐藤氏は「自分のミスや違反なども記録される。また、ドラレコを取り付けることで、逆にあおる側を挑発する場合もある」とも指摘する。
 ドラレコを付けても、あおりに巻き込まれないための注意は必要なようだ。