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ほぼ100%の光を吸収する「究極の暗黒シート」は何に使えるのか?聞いてみた

8/30(金) 17:01配信
FNN.jpプライムオンライン
光を当てても真っ黒…
99.5%以上の光を吸収する「究極の暗黒シート」を産業技術総合研究所(以下、産総研)が開発し、話題になっている。
【画像】秘密は表面の「光を閉じ込める空洞」にアリ
そもそも、99.5%以上の光を吸収するとは、どういうことなのか?
産総研は、「一般的な黒いシート」と「究極の暗黒シート」を比較することで、その意味を説明している。
「一般的な黒いシート」は、ライトを当てると光を反射して、白っぽく見える。 一方、暗黒シートは、光を当てても、真っ黒なまま。なぜ、光を反射せず、真っ黒かというと、その秘密は“表面”にあるのだという。 「究極の暗黒シート」の表面を拡大してみると、ミクロなサイズの円錐状の空洞がたくさんあることが分かる。

「一般的な黒いシート」と比較すると、その違いは一目瞭然。この空洞こそが、産総研が開発した“光閉じ込め構造”。 黒いものに光が当たると光は吸収されるが、表面が平らだと、どうしてもある程度の光が反射されてしまう。 「究極の暗黒シート」では、表面のミクロな空洞で、光が何度も反射・吸収を繰り返して弱まり、閉じ込められてしまうのだという。

この仕組みによる、光吸収率は99.5%以上。
紫外線から赤外線まで吸収し、特に熱赤外線では99.9%以上、世界最高レベルの光吸収率を達成している。
すでに存在している“暗黒シート”の弱点を克服
実はこれまでにも、99.9%以上の光を吸収する、世界一黒い物質は存在している。その物質は、触ると崩れたり、剥がれやすかったりと耐久性が乏しく、普通の環境での利用が困難だった。

それに対して、「究極の暗黒シート」は、ゴム製で耐久性に優れていて柔軟性もある。
「究極の暗黒シート」と謳っている理由はわかってきたが、では、どのような場面での活用を想定しているのか?開発者である産総研の雨宮邦招さんに話を聞いた。
カメラなどに活用することが期待されている
――雨宮さんが「究極の暗黒シート」の研究を始めたきっかけは?
私の本業は、光の強さの基準(光の国家標準)の開発や維持・管理です。

光の強さ=光パワー、単位はW(ワット)を正確に測るには、光を全て吸収して検出する必要があります。そのために、とにかく黒い物質が欲しかった、というのが元々の動機です。
新しく黒色材料を開発する上で、取り扱いがしやすいことも併せて目指してきました。
――「究極の暗黒シート」はどのような場面で活用することを想定している?
余計な光を極力抑えたい場面での活用が期待されます。

カメラなどの撮像装置では、狙った視野の外から来た強い光が乱反射して画像に載ってしまい、ぼやけることがあると思いますが、これを防ぐためにできるだけ反射率の低い素材が必要とされています。
同じことは、光を使った分析装置でも言えます。余計な乱反射による信号を減らせば、高感度な分析ができるはずです。
実用化に向けた課題は“サイズ”
――実用化は何年後ぐらいになりそうですか?
2〜3年くらいで何とかしたい、という気持ちではいます。
――実用化のための課題は?
課題の一つは“サイズ”です。

暗黒シートを作るには原版(鋳型)が必要ですが、鋳型は量研高崎研にあるサイクロトロン加速器からのイオンビームで加工しています。
その実験装置の制限により、現状の鋳型サイズは最大10cm x 10cm 程度となるため、レプリカの暗黒シートも一枚ものの最大サイズは10cm x 10cm になります。現状でも、繰り返し複製して継いでいけば、大判にできないことはありませんが、大判シートが多く必要という声もあり、そのためにはもうひと工夫、必要と考えています。

また用途によっては、より高い光吸収率のものも求められると思います。
さらに、普段使いを想定するのであれば、単なる接触耐性だけでなく、より過酷な条件での耐久性について、詳しく見ていく必要があると考えています。 例えば、油分の汚れが十分、清掃可能か、などは、まだ未知数です。

産総研が開発した、99.5%以上の光を吸収する「究極の暗黒シート」。
カメラなど、余計な光を極力抑えたい場面での活用が期待されているということで、サイズの課題など実用化に向けて研究を進めていくという。

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