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 日本を救う人々

 東北関東大震災とそれに伴う巨大津波によって、東京電力の福島第一原発と第二原発の事故が発生し、大量の放射能および放射性物質が大規模に拡散する恐れがある。
 まさに制御不能となり巨大なモンスターと化した原発を鎮めるためには、核容器ならび使用済み核燃料の冷却が必要であることは各専門家が指摘している通りである。
 特に使用済み核燃料を冷却しているプールの冷却が地震と津波の影響によって破壊され、使用済み核燃料が高温となって極めて危険な状態にあることは世界中が知っている。
 最悪な事態に陥れば核燃料が溶解して大量の放射能および放射線物質を大気に拡散させ、日本および日本人に絶大なる被害を及ぼす、危機的情況に目下ある。
 事故現場は極めて濃厚な放射線濃度に包まれており大変に危険な状態となっている。容易に人が近づける状態ではない。
 ところが、そのような危険な所に赴き、何とか最悪の事態になることを食い止めようと決死で戦っている人々がいる。
 自衛隊、警察、消防、東電やメーカーの技術者、作業員の方々である。
 中には、福島原発の事故処理をすべく自らから志願して、福島に向かった地方の電力会社の定年を目前に控えた原発の技術者もいた。
 内心は恐らく決死の覚悟出発であるであろうその技術者は、普段の出勤と全く変わらぬ態度で家を出たという。
 三月二十日には、極めて危険な状態となっている福島第一原発三号炉に対して、死と隣りあわせで放水作業をした東京都消防庁の指揮を執った佐藤康雄警防部長(五八歳)をはじめ、ハイパーレスキュー隊の冨岡豊彦・総括隊長(四七)、高山幸夫・総括隊長(五四)の記者会見があった。
 冒頭、総隊長であった佐藤警防部長は、
「隊員が受けた最大の放射線量が二十七ミリシーベルトだったと説明し「幸い隊員一三級人の安全を確保し、連続的で大量の水を注入するミッションを達成できた」
と発表し、安堵の表情を見せた。
 現場の原発敷地内は、高濃度に放射性物質に汚染された瓦礫が散乱する中、給水車と放水車の間約三五〇メートルを、一本五〇メートル、重さ百キロのホース七本でつなぐ作業が手作業によって行われた。
 当初車両によってホースを繋ぐ計画であったが、瓦礫が散乱した現場では車両を使用することが不可能であることが判明したため、急遽手作業によってそれを行うことになったのだと、現場で指揮した高山隊長は証言した。
 また同隊長は
「見えない敵との戦い。いかに隊員を短い時間に安全に(作業をさせる)、というのが大変だった」
と話した。現場で一番長く活動した隊員の作業時間は約一時間にも及んだという。
また、冨岡隊長は自ら特殊災害対策車に乗車し、最初に現場周辺の放射線量を測定して、部隊の行動を立てた。
「通常の訓練とは違うが、このメンバーであれば(任務を)クリアできると確信した。一番大変だったのは隊員ですね」
と語って言葉をつまらせた。
やや間を置いてから
「隊員の家族に(心配をかけて)本当に申し訳ないとその場でおわびとお礼をいった」と つらそうに話した。その眼には涙が光っていた。
この極めて困難な任務を遂行して佐藤警防部長は次のように総括した。
「ハイパーレスキュー隊員は放射線について熟知しておりその分、一般の方より恐怖心は強い。
にもかかわらず自ら名乗り出て任務についた隊員に敬服している」
 尚、佐藤警防部長が夫人に出した
「これから福島原発に向けて出発する」
 という短いメールに対して夫人は「日本の救世主になってください」
 と返電したという。
高山、富岡両隊長も家族を心配かけまいと気遣いしつつ現場に向かった。
 このような三人の消防官に象徴されるように、我々は「殺身成仁(身を殺して仁と成す)」
無名の人々によって救われてきた。
 日本および日本人を有史以来護り続けてきたのは、このように「殺身成仁」の無名の英雄たちの力によるものである。
 国難を救うのは口舌の輩ではない。原発事故の記者会見において、要領が悪くまるで現場を知らない東京電力記者会見やなんとなく頼りない原子力安全委員による「大丈夫だ」とう言葉を聞くと逆に極めて不安になるのは果たして筆者のみであろうか?
 しかし常に人命救助のために殉職覚悟で働いている、普段は全く無口であろうかと思われる訥弁の消防勇士三人が、記者会見に臨んで安堵の表情を見せた上、
「国民の皆さまのご期待に大部分叶えることができたと思います」
 という一言によって、筆者はもう原発は最悪の事態とはならないだろうと思った。
 心より、原発事故と戦う無名勇士の皆さまに対して心から「有難うございます」と言いたい。
 
 
 
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         手前より冨岡豊彦隊長 佐藤康雄警防部長 高山幸夫隊長 (産経新聞)

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